レビューネーム未設定さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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グイン・サーガ133 魔聖の迷宮
五代ゆう, 天狼プロダクション / ハヤカワ文庫JA
ついに本格的に始まった「続編」
4
ついに、栗本薫正伝の中断地点からの語り継ぎ。
初巻は、少し肩に力の入った感じも少しあるのだけれど、長い中断のストレスを解消させてくれるような怒濤の展開!ちょっと盛りだくさん過ぎるかなぁ、次巻からの展開…が少し心配になるのだけれど(これじゃあ、150巻くらいで終わってしまう(^^;))、まずは歓迎。あとは、過去の伏線・登場人物の、消費と再生産のバランスくらいかと思うけれども、まあその点は、大量の原作に支えられて、「豹頭王の花嫁」にたどり着くまで心配ないかな。
気になる、語り手の交代による違和感だけれども、読んだ感覚は、外伝1 七人の魔道士あたりに戻った感覚で、個人的には(連続性はともかく)それほど違和感は感じず、これもありかな、という印象。栗本ファン,というよりは、グイン世界のファンである自分としては、じゅうぶん以上に、楽しめる出来だった。 続きを読む投稿日:2014.09.24
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ライアー×ライアー(1)
金田一蓮十郎 / デザート
王道の設定かと思わせつつ
4
同居の義理姉弟という、あまりにも王道の設定から、ほんのちょっとはみ出したところに、こんないいネタが。気づかないなんてありえないだろ!とツッコミを入れたくなるところだけど、弟の方にも何か事情がありそうな…雰囲気もにおわせつつ、次巻に続く。読まないわけにはいかないかなぁ。 続きを読む
投稿日:2014.06.15
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重版出来!(1)
松田奈緒子 / ビッグスピリッツ
見た目より、まずは読んでみて。
3
絵が…
今どきこんな、(よく言えば)「味のある」絵のマンガは久しぶり。どう考えても一般向けには不利なはず。それでも各所で取り上げられ、アンテナ感度の低い自分にまで届いてくれたというのは、まだまだマンガ…業界も捨てたもんじゃない。この本に出会えたことに感謝!
まずは、本好きにお勧めするが、本以外の一般消費者向けのモノ作り・流通などに携わる人でも楽しめるはず。
主人公、作中では存在感のある(体力的に?)役回りとなっているが、新人なので当然、会社を動かす力も、従って、物語を動かす力もない。しかしいつの日か、彼女が成長して、自分の物語を語れる日が来るのではないか。その日(最終回かもしれないけど)を楽しみに、もうしばらく付き合ってみよう。 続きを読む投稿日:2014.03.06
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ブラックアウト
コニー・ウィリス, 大森望 / 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
コニー・ウィリス8年の集大成
3
「ブラックアウト」「オール・クリア1」「オール・クリア2」通しての感想。
厚い!紙で読んだのだが、1冊目を手にしたとき、あまりの厚さに読む前から心が折れそうに…。3冊で、400字換算3,500枚。当初…もっと長かったものを、必死でこの長さに収めたらしい。どれだけ長いの、コニー・ウィリス。まさにこういった本こそ電子書籍向けではあるのだけれど、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の装丁も格調高く捨てがたい。
読み始めると、この分厚いページがみるみる減って楽しくなる。特に「ブラックアウト」終盤1/4はものすごい疾走感。物語に完全に入り込んでいるため、単語を見た瞬間に状況が理解できてしまう。プロットだけを考えるともっとコンパクトにできるはず、と冗長に感じるけれど、物語ピークでの加速感は、飽きるほどひたすら描き込まれた助走期間があればこそ。
舞台は、第二次世界大戦中のロンドン。タイムトラベルしてきた学生がトラブルに巻き込まれ…という物語。歴史や地理などの背景知識が全くなくても十二分に楽しめたが、知識があればもっと楽しめたのでは、と感じてしまったのは残念。
タイムトラベルSFでは「パラドックス」の処理が肝心。本書では、流行りの量子力学的に煙に巻くでもなく、「感覚的に理解できる」パラドックス解決法が提示されている。しかし登場人物はこの解決法に疑問を抱き、実は…。このテーマが、物語を構成する単なる「ギミック」にとどまらず、登場人物の心の動き、そこから紡ぎ出されるストーリーの根幹に影響を与えていく。この処理がお見事。
章構成も、短い章構成で時間・場所をシャッフルする中に、「叙述トリック」を紛れ込ませていく巧妙な構成。二転三転する登場人物の名前がトリックの要。一見誤植かと見逃しそうな中にヒントが埋め込まれており、本当は再読して解き明かしたいところ。ただこの長さでは…。
今だからこそ3冊連続して読むことができ、久々の濃い読書体験ができたのは幸せだった。 続きを読む投稿日:2013.12.22
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聲の形(1)
大今良時 / 週刊少年マガジン
重いなぁ。
3
ここまで、逃げずに全てを自分で背負って、何もかも無くしてしまうような「強さ」ってあるのか。
硝子に再会して、ここから、救いのある内容になっていくのか。そうでなければあまりに辛すぎる。一巻でやめづらいな…ぁ…。 続きを読む投稿日:2014.09.01
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聖の青春
大崎善生 / 角川文庫
壮絶。
3
あまりに壮絶。これがフィクションなら、ちょっとやり過ぎでしょ、とツッコミを入れたくなるくらい、残酷な運命。それでも最後まで読み切れたのは、聖を取り巻く人々の、決して哀れみではない愛情と、そしてそれを引…き出す聖の力強い生き方に背中を押されたからか。名人村山を見てみたかった。 続きを読む
投稿日:2017.02.05