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shohjiさんのレビュー
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  • 精神科医はどのように話を聴くのか

    精神科医はどのように話を聴くのか

    藤本修著

    平凡社

    大変読みやすい

    共感、傾聴の本として興味を持ったので読んでみた。大変読みやすく精神分析や森田療法、認知療法なども分かり易く説明されている。心理士と精神保健福祉士とソーシャルワーカーはどのような違いがあるかという話も面白かった。最近はお医者さまも時間に追われて効率化を迫られ診察をしながらカルテを入力するのが当然になっているようで、そのプラスマイナスについては参考になった。やはり患者さんの話を聴くことに集中できないというマイナス面は否めない。日常の仕事にも活用できる内容であり巻末に聴き上手になるための10箇条も付いている。

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    投稿日: 2017.01.26
  • 心理学ビジュアル百科 基本から研究の最前線まで

    心理学ビジュアル百科 基本から研究の最前線まで

    越智啓太

    創元社

    100冊分のエキスを吸収できる贅沢な内容

    オールカラーで100項目、計200ページの図鑑のような本。大変読みやすい、見て面白い、わかり易い本。一昔前の心理学は読心術とか人を操るための手段という印象が強かった。しかし最近は研究者が一般読者向けに出版する本も増えて本物の内容になっている。脳科学や統計学と結びついていて人はこういう時になぜこういう行動をするのかが理論的に納得できる。この本の1項目が本当は1冊の本になるのだろうと思う。広く浅くではあるが100冊分のエキスを吸収できる贅沢な内容である。 面白かった項目は⇒●がまん強い子どもは将来成功する?●目の前のニンジンはやる気を奪う?●誰かが助けるだろうが生む悲劇●恋の吊り橋実験がうまくいくための条件とは●生産性を高めるには人間関係を重視せよ●負け惜しみのメカニズム●あえて不合理な行動を選択する理由●強者に服従し弱者を嫌悪するパーソナリティ(ドイツのホロコーストに関わった人たちの権威主義的傾向の調査)

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    投稿日: 2017.01.26
  • 世界最強の商人

    世界最強の商人

    オグ・マンディーノ,山川紘矢,山川亜希子

    角川文庫

    そっと背中を押してくれる本

    オグ・マンディーノの言葉は今まで読んだ啓発書やビジネス本で度々引用されていた。しかし原書は読んでなかった。何年も前に探したが古書で1万円程度したため諦めた。また読みたいサイクルが巡ってきて調べたところ新訳が、それも山川ご夫妻の訳で出ていた。読んでみてこれは引用やエキスを取り入れたのでは意味が無かったのだと分かった。ストーリそのものに大きな意味があり最初の1行から丁寧に読まなくては自分のものにならないのだ。物語はラクダの世話係だった主人公が商人になりたいと一念発起して世界一の商人になる道のりを描いている。 後半は新しい人生の扉を開く10巻の巻物について書かれている。その1巻を1ヶ月かけて繰返し読んでから次の巻に行くように書かれているが2日で全て読んでしまった。特別に変わったストーリではないが何故か深入りして行く感じで何度でも読みたくなる構成と文章は素晴らしい。前半の商人になる決意をして一歩踏み出すまでの揺れ動く心情も引き込まれる要素なのだと思う。キリスト教の教えに基づいて書かれているが日本人にとって懐かしさを感じる要素も多い。勝利は数え切れない敗北のあとにしかやってこない。そっと背中を押してくれる本である。

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    投稿日: 2017.01.26
  • 責めず、比べず、思い出さず 苦しまない生き方 禅と大脳生理学に学ぶ知恵

    責めず、比べず、思い出さず 苦しまない生き方 禅と大脳生理学に学ぶ知恵

    高田明和

    コスモ21

    難しいことだが詮無きことは思わずが一番ということである。

    著者は医学博士であり禅の分野にも造詣が深い。本書は仏教の根本的な教えと脳科学という二つの要素があり面白い。私は10年程前に仏教関連の本を読み漁ったことがある。その時に般若心経や延命十句観音経を暗記し呼吸法も練習した。10年前は何となく怪しげな印象の本も多かったが本書はエキスが簡素に詰まっていてわかり易い。【一切衆生みな悉く、如来の知恵徳相を有す】しかし生きる屍となる人が多いのは全て妄想、執着が原因である。【念起こる、これ病なり。継がざる、これ薬なり】難しいことだが詮無きことは思わずが一番ということである。

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    投稿日: 2017.01.26
  • 下り坂をそろそろと下る

    下り坂をそろそろと下る

    平田オリザ

    講談社現代新書

    衰退期を迎えた小さな国に何が必要なのだろうか。

    様々な地方都市の成功実例を挙げながら芸術論、文学論に至る盛り沢山の内容だが終章の20ページほどに著者の本当に言いたいことは要約されている。いま、日本全体が「自分以外の誰かがうまい汁を吸っている」と疑心暗鬼になり、妬みや嫉みが蔓延する息苦しい社会になっている。この猜疑心にあふれる社会を、寛容と信頼によって再び編み替えない限り日本の未来はない。競争と排除の論理から抜け出し寛容と包摂の社会へ。これは多くの人が感じていながら口に出せずにいることなのではないだろうか。

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    投稿日: 2017.01.26
  • 思考・発想にパソコンを使うな  「知」の手書きノートづくり

    思考・発想にパソコンを使うな  「知」の手書きノートづくり

    増田剛己

    幻冬舎新書

    主に手書きノートを薦める内容

    手帳、メモ、ノートの違いと使い方が書かれているが主に手書きノートを薦める内容になっている。ノートはメモを文章として書き直したものであり手帳のような決まり事がなく自由である。本筋からは逸れているが星新一、伊丹十三、永井荷風、山田風太郎など文豪の日記やノートの引用が多数あり楽しめた。夏目漱石は英国留学時に英語の本一冊につき大学ノート一冊という読書ノートを作っていた。古川ロッパは25年間日記を付けていたが昭和19年、日記帳が手に入らなくなってノートに書くようになったがその使い勝手の良さを書き残しているという。 また、吉行淳之介をめぐる3人の女性の日記や私小説なども面白い。つい最近、宮城まりこさんとねむの木学園の特集をTVで見たばかりなので色々考えてしまった。有名な話としては石川啄木のローマ字日記などがあり、私が読んで感動した遠藤周作「深い河」創作日記にも触れている。この本を買った本来の目的は一体なんだったのか?とも思うがかなり楽しめたので良しとしたい。

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    投稿日: 2017.01.26
  • FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方 あなたは毎日“隣りの隠れた犯罪者”に狙われている!

    FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方 あなたは毎日“隣りの隠れた犯罪者”に狙われている!

    メアリー・エレン・オトゥール,アリサ・バウマン,松本剛史

    学研

    危険は本能や直感では感知できない。

    元心理分析官が危険人物を見抜く方法と対処法を伝授するため実例をあげて書いた本である。危険は本能や直感では感知できない。危険な人物は愛想が良く魅力的で自分を無害に見せるためのウソが上手い。人の印象を操作することはとても簡単なことである。そして危険な人物はそのやり方を心得ている。周囲に溶け込むのも上手く外見だけでは判断できないのだ。子供は見知らぬ人間に誘拐される危険より身近な人間に虐待される確率のほうが高い。非常に怖ろしい内容が続くが引き込まれていく。確かに一般的な価値観で語れない相手はいるのだと思う。 特にインジャスティス・コレクティングという言葉が印象に残った。不当な扱いを受けたという思いを溜め込んでいつまでも反芻して絶対に忘れない。絶対に許さない。復讐を考え大勢の人に対する不平不満リストを作成するような人物のことである。そして無防備な人間やNOと言えない人間を探りあてるのが上手い。自分の周囲にいる人間を安易に信用し過ぎていないか確認する方法や質問の仕方など具体例が多くて参考になる。しかし身近に潜む危険を考えることも程度問題かなと感じるのも事実である。

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    投稿日: 2017.01.26
  • 世界のエリートがやっている 最高の休息法

    世界のエリートがやっている 最高の休息法

    久賀谷亮

    ダイヤモンド社

    残念ながらストーリが洗練されているとは言い難いがそれ故の親しみ易さもある。

    雑念が集中力を低下させ負の連鎖を作る。競争に負けたくないという気持ちが脳を疲弊させる。仕事のON/OFFの切り替えが難しい。何もしないでいるのが実に難しい。休もうとすることでかえって疲れてしまう。全ては「心ここにあらず」過去を反芻し未来を心配するからである。全く笑えない内容である。私も堂々巡りの中で苦し紛れに瞑想や呼吸法などに興味を持った時期があった。その結果少しずつ、いつの間にか怒らなくなり焦らなくなったのも事実である。しかしこの一歩を踏み出すのは難しい。宗教を連想するため瞑想を嫌う人も多いと思う。 それならば何とかしてきっかけをみつければいいのである。そのきっかけ作りとしてこの本は脳科学の立場から書かれているので最適と言える。主人公が東洋思想や仏教にアレルギーを持っている設定なので入り易いと思う。残念ながらストーリが洗練されているとは言い難いがそれ故の親しみ易さもある。とにかく多くの人が推奨するのであればやってみようかという柔軟性を持ったならその瞬間にほとんどの問題を乗り越えているのだと思う。

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    投稿日: 2017.01.25
  • あなたの中の異常心理

    あなたの中の異常心理

    岡田尊司

    幻冬舎新書

    人間は二面性を抱えた生き物である。

    誰でも影の部分を持っている。正しいことをしたい気持ちがあれば、それとは裏腹に悪いことをしたい衝動も潜んでいる。それが人間である。これは本書の書き出しの部分である。学術的な説明よりも「精神科医の語る幸福論」といった内容が多い。夏目漱石や三島由紀夫の生い立ちと作風、ユングの少年時代の心の病などから親子の関係を掘下げている。アドラーの承認欲求などにも触れていてわかり易いが愛着障害や親子関係に拘りすぎている感もある。紹介されている「とらわれを修正する技法」は入口の部分のみである。 とにかく人間には二面性があり異常心理は人間が生きて行くのに必要なことを教えてくれる。怖いのは悪感情は快感になりやすく快楽回路が一度できるとループし続けることだ。自分の感情に不安を抱く人は実際に行動しない場合が多いが本当の異常心理は高揚感を伴う。幸せに生きるためには完全主義にならないこと、全か無かしかない二分法的思考を持たないこと。完全主義にならないための見本として水木しげるさんが登場しているのが面白い。実はこの本は買ってから結構長く積読状態だった。それはまさに読みたい気持ちと読みたくない気持ちの両価性であったと思う。

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    投稿日: 2017.01.25
  • 花のない葬礼

    花のない葬礼

    レックス・スタウト,大村美根子

    グーテンベルク21

    美食とビールと蘭をこよなく愛する私立探偵ネロ・ウルフ

    美食とビールと蘭をこよなく愛する私立探偵ネロ・ウルフ。外出嫌いで書斎と寝室、食堂、温室をうろつく毎日。実際の調査は助手にまかせてウルフは推理だけ。その推理力が素晴らしい。他に類をみない偏屈者でさらに自ら偏屈者を演出する懲りよう。それでも次々と依頼は舞い込む。数年前にウルフにハマったがその当時は絶版本が多くて手に入れるのが大変だった。ウルフ熱は冷めてしまったが読み始めると一気読みだった。

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    投稿日: 2017.01.25
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