
マンガでやさしくわかる業務マニュアル
日本能率協会コンサルティング,浜田正則,たみ
日本能率協会マネジメントセンター
概要です
なぜ、マニュアルが必要か。 何を、マニュアルにするのか。 媒体をどうするのか。 作成は、誰が行うのか。 作成後のメインテナンスは、どうするか。 といった内容の大枠を説明している。 マニュアル作成を命じられたりしたら、最初に概略を掴むには、お勧めできる。 しかし、あくまで概要書であることには間違いないため、実際の作成となると、別の参考書が必要となろう。 どのような様式にするのか。 マニュアルの電子化は、どのようなソフトで行えるのか。 実際の作成業務担当者を専任とするのか、兼任させるのか。 メインテナンスを誰がどのように行うか。 ………などなど、いざ始めて行くには、壁にぶちあたりそうだ。 で、作者を見ると、「日本能率協会コンサルティング」…………。 やっぱり、コンサルが必要????
0投稿日: 2017.02.01
終わらない歌
宮下奈都
実業之日本社文庫
ガンバレ!
この本は、「よろこびの歌」の続編で、前作の高校2年から3年が経過した状況が描かれている。 なぜこのような書き方から始めたのかというと、前作を読んでいると、この小説の世界に入っていき易いと思うからだ。 前作では、思春期特有の妙に冷めていた主人公 御木元玲が、少しのきっかけで友人を得、自分が挫折を味わった歌で熱くなっていく様が描かれていた。 続編では、大学に行く者、就職する者、夢を追う者と若さや夢はあるが、まだ何者でもないという二十歳を描いている。前作の合唱で熱くなれ るきっかけを与えてくれた千夏と玲が描かれるが、他の同級生達も選んだ進路と何もできない自分にこれでいいのかと逡巡している。 前作の合唱で熱くなれるきっかけを与えてくれた千夏は、やはり玲のキーパーソンだ。千夏をきっかけとして、物語は一気に動き出す。 背筋にぞぞぞっとしたものを感じ、鳥肌が立つ(恐怖を感じるのではなく、感動した感覚です)。小説でこんな感覚を得たのは、初めて。 自分にも何者でもない、けれども何者かになろうとしていた時代。しかし、玲のように自分にリミッターをかけてしまっていた時代。 そんな頃があったなぁ・・・と感慨にふけった後に、この台詞に勇気づけられる。 「俺たちは、・・・(略)・・・意味もなくもがいて、意味もなく死んでいくんだ」・・・(中略)・・・「・・・(略)・・・どうせもともと意味なんてないんだ。 自分がいいと思うとおりに生きればいいと俺は思うよ。」 もう、先の見えたような人生だけど、自分の殻を破っていきたいと感じる一冊です。 ガンバレ!
1投稿日: 2017.01.10
そばもん ニッポン蕎麦行脚(20)
山本おさむ
ビッグコミック
よく頑張った!
敢えて言います。蕎麦みたいなしみったれたもんを、よく主題にしたなぁと・・・(この言い回しで、多くの人を敵に回したことでしょう)。 私は、大阪近辺出身なのですが、たぶん、大阪近辺出身者は、蕎麦に思い入れの無い人が多いのではないでしょうか。 それでも、読んできたのは、関東の人がありがたがる蕎麦って何なんだろうって思ったからです。 結論から言うと、蕎麦は大した料理ではないということ。 よく言う汁を蕎麦の三分の一ほどつけて食べるのが通とかは汁が辛いからで、だから汁を飲もうとすると、 食べた後の汁に蕎麦をゆがいたお湯を入れて飲む(そば湯)という。あぁ、ビンボくさ。 そんなん最初から飲める汁にしときぃなと思ってしまう。 あとそば屋には、具やつまみもあまりないとのこと。 まぁ、さっさとかきこむ職人の料理なんでしょう。 こんな大したことない庶民の料理で、よく20巻も物語を紡いだなぁ・・・ということに感心しました。 そして、20巻続けた著者の栄誉を称え、★5つ。 でも、この巻だけだと説明が多過ぎて、ストーリーとしては、面白みに欠けるので、★マイナス1。
1投稿日: 2016.12.29
必要のない人
内館牧子
角川文庫
ねっとりした汗をかく
OLを辞めて喫茶店経営が軌道に乗り、周囲から成功したと思われているナミ。その喫茶店でパートとして働く頼子。ナミは、頼子をとろくさいと思いつつ、不満の捌け口として雇っている。頼子はナミのある秘密を知っていた。そして、お互いを「可哀想な人」と蔑み合う『可哀想な人』。 同じ著者の『終わった人』のプロットになっているのではないかと思われる『必要のない人』。今まで、バリバリ働いてきた男性が、戦力外通知を受け取るとこうなってしまうのかという悲哀を感じさせる。しかし翻って自分に当てはめると、まさしくこうなるだろうと脂汗をかく。 タヒチに若くして永住することを決めた大学時代の友人にばったり会い、その友人がやたらに高価なものを与えてくれる不自然さと、その自由な友人と自分を比べて魅力のなさを感じてしまう主人公。その先にあったものは?(『夏を抱く人』) など、1篇30分ほどで読める短編が6編収められている。とにかく、描かれる情景は、自分だったらということを考えずにはいられない。そして、その状況を想像すればするほど、ねっとりとした汗をかいてしまう。 鳥肌が立つわけではないのに、ぞぞぞっという祇園が適当な感情が渦巻く。爽快でも恐怖でもない、でも怖い・・・。そんな感覚を味わいたい方はぜひ読んでみて下さい。
3投稿日: 2016.12.27
校閲ガール
宮木あや子
角川文庫
スゴい!・・・解説が・・・
読んでいたら知らない間に読み終えていました。 なんだか軽い本だなぁ程度に思っていたのですが、あっという間に読めてしまうのには、理由があった! それが、角田光代さんの解説に滔々と語られております。スゴいじゃないか!宮木あや子! 私は、小説内小説が嫌いで、読み飛ばしていたのですが、これもスゴいテクニックらしいです・・・ハイ・・・読み直していませんが・・・。 私は男なのですが、この本で分かったことは、男性のような言葉を話す女性が大嫌いということです。 「・・・・じゃねーよ。」とか・・・そういうしゃべり方をする理由は書いてあるんだけど、もうこのキャラクターを受け付けない・・・・。 古い人間ですね。ドラマでは、石原さとみが演じていましたが、よくこんなオファー受けたなぁと思っていましたが、小説も一緒でした。 こういう小説は初めてでした。解説がないと、ちょっと嫌な本だなぁという感想だったと思います。 それが、「この著者はスゴいテクニック使ってるんだ!」「文芸のぶの字も分からない自分がレビューを書くなんておこがましい!」って思えるくらい解説がうますぎる! 小説を読んで、ぜひ解説を読んでください。そうすることでこの本がとても面白くなります。 仕事の描写は中途半端で、もう少し仕事に焦点を当ててくれたらいいのに・・・という思いから★マイナス1。 仕事の描写は、三浦しをんさんの「舟を編む」や「 神去なあなあ」シリーズのほうが、仕事への焦点の当て方が巧いと感じました。
3投稿日: 2016.12.25
家族という病2
下重暁子
幻冬舎新書
おばあちゃんの雑感
1人1人個人として生きようという価値観はいいと思う。 しかし、それを裏付ける論拠は偏見に満ち溢れ、統計学的手法を採ったわけでも、科学的論拠を示したものも何もない。 いわく、エリートは打たれ弱いだの、問題のある家庭の子の方が難なく親を乗り越えていき健全に育つだの おばあちゃんの身の回りのたった一つのサンプルだけで語ってしまう狭隘さが目立つ人生感想文だ。いわゆるエッセーなのでしょう。 私は、エッセーというジャンルは人を楽しませる文章を書くものと思っていました。 けれども、この著書は、読んでいて全く面白くなく、むしろ不愉快極まりないです。 自由であるべきだなんていうけど、自分にとって都合のいい自由しか認めない押しつけがましさ(1巻目もそうでした)。 年賀状に家族写真を載せるなんて気が知れないなんていうけど、送ってこないで欲しいときちんと相手に言わず、 毎年しょーもないもんをを送ってきてやがってと陰で悪口を言うたちの悪さ――。 自由人なら相手に不要と言ってあげればいいのに・・・。 世の中には当然、打たれ強いエリートだっているし、問題のある家庭だからこそ親なんて簡単に乗り越えられるだろうし、 家族写真の年賀状も、私は意外に好きだ。 自由を手にしている人ってこんなに「自由、自由」なんてうるさく言わない気もするし・・・。 結局、この人の人生の感想文なのです。こういうのが好きな人はどうぞ。 読書で知識を得たい人、非日常感を味わいたい人、読書を文芸(エンターテイメント)の一つとしている人には 到底オススメできません。 (追記) 上記は、半分ほど読んで書いたものですが、頑張って最後まで読みました。評価は変わりません。 この本の論理構成は、 私の生き方が正しい→私と同じ生き方(この方のいう個を主体とした生き方)をしている人は素晴らしい人となっているが、 家族によって自分のやりたいことを制限した生き方や家族を大事にする生き方をしている人はろくな人生を歩んでいない →だから、私のような生き方は正しいし、そのような生き方をすべき。→その生き方とは自分という個性だけを第一優先に した生き方で、それ以外の生き方は碌なことが無いので止めるべき という風になっていて、結局「私だけが正しくて、他は碌でもないので、みんな私の生き方を見習いいなさい」という本に なっているため、全く共感できません。 この本の中で共感できたのは、この方が開いているエッセー教室の生徒さんの作品です。介護について書かれていますが、 非常に前向きで清々しく自分もこうありたいと思わせる文章でした。それに比べ、後ろ向きで自分がいかに素晴らしい考え方 をしているか延々と周囲を貶めて書くやり方にそんなに自己防衛しないと生きていけないんだと感じました。 私の人生の中で駄作のベストテンに入る作品ですが、駄作を書かれる方は、年寄りが多く、共通している点は、 自分の過去の栄光をとても素晴らしいと自己賞賛し、周囲の人を貶めて描き、自分の優位性を強調する書き方をする人です。 この文章はまさしくそれで、今後もこのような文章しか書けないようであれば、引退を考えた方が良いと思います。
5投稿日: 2016.12.04
なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略
石蔵文信
幻冬舎新書
結婚前に読んでおこう
結婚されていない方に読んでおいて欲しい本である。 燃え上がるような恋をしている方は、冷静になってこの本を読んでおこう。 結婚は色々なものをもたらしてくれるが、苦行でもあるのだ。 15の対策はよく読んでおこう。結婚している身にとっては、耳の痛い話しだが、本当に的を射ていることが書かれている。 既婚者の方は実行できるなら、15の対策はすぐに実行した方が良いだろう・・・といいつつ私には無理そうだが・・・。 日本の男性は、基本的にマザコン(自覚がなくとも)なので、結婚で妻に母のような役割を求めがちだ。 母の役割を妻に求めるのはよそう。所詮赤の他人だ。同時に、自分が個人として生きられるようになろう。 会社から帰ってくれば、三つ指ついて出迎えてくれるような妻とか、歩くときは男の後を三歩下がって歩くとかそんな人は 今時いないだろう。また、そのようなことを思う男も少ないいだろう。だが、意外に無意識の中に、女は控えめに男に尽くすもの 男は外に出て家族を養うものなどという思想が染みついていないだろうか。 もっと自由になろう。もっと自立して生きよう。 そんなことを考えさせてくれる良書だ。
1投稿日: 2016.12.02
水族館ガール3
木宮条太郎
実業之日本社文庫
てんこ盛りっ!
水族の博物館である水族館の有り様を、これでもかっ!というほど見せつけるお話になっております。 今回はとにかく色々なテーマがぶっ込まれています。 梶との恋愛、人間の勝手な「かわいい」という思い込みによる水族の飼育(今回はラッコで説明)、 動物愛護と水族館の矛盾、そして水族館経営まで!とにかくテーマがてんこ盛りっ! 人工的に自然環境を構築している水族館に、いかに自然に水族を展示するかはこの小説シリーズ共通に 描かれる一コマで、今回はさらに、動物愛護についても、踏み込んで書かれています。 人間が「かわいい」という感情を抱く動物(小説では水族)と人間がかわいいと思えない動物で保護に差が 出てしまう現実・・・。そしてさらに、経営問題まで扱います。金銭的に水族館を経営していくことの難しさを うまく説明しつつ、物語が破綻しないように描いていきます。破綻しないがゆえに、全てが丸く収まり、全てが ハッピーエンドです。 だからこそ、物足りなさを感じます。誰もの仕事が、何の失敗もおきず淡々と成功していきます。 小説だからいいんだけど、こんなにうまくいく?というくらい・・・。 ちょっといろんなテーマを盛り込みすぎかなぁ。 動物愛護なら、捕鯨やイルカ猟に触れたり、経営なら、博物館としての水族館とレジャーとしての水族館を どう両立させるかという突っ込んだ描き方もできるんじゃないかなぁと感じてしまいました。 といって、やり過ぎると破綻するだろうし、絶妙なバランスなのでしょうね。 けれども、もう少し、ストーリーに起伏が欲しかったということで、星マイナス1。 会社の昼休みにちょこちょこ読んでもあっという間に3巻飽きずに読めました。
1投稿日: 2016.11.26
水族館ガール2
木宮条太郎
実業之日本社文庫
共感できれば面白い
梶は出向し、由香は後輩を迎えます。 そういった環境変化の中、水族館という名の「水族を展示する博物館」が抱える問題点が描かれます。 しかし、そればかりを論じていては小説になるはずもなく、恋愛という要素も付け加えられています。 しかし、話しのほとんどは、イルカのショー(あくまで小説ではショーではないのだが)と水族の飼育が中心です。 由香が1年であっという間にど素人から後輩を持つまでに急成長したり、梶が少々挫折を味わいつつも重大な仕事を任されたり 財政難の水族館に都合のよい資金が投入されたりと、ご都合主義的なところはありますが、「イルカのショー」をただの「ショー」 として観ていた身としては、イルカの生態や水族館の裏側は興味を持てました。ここがくせ者で、興味が持てなければ、 何が面白いの?という感想を持たれそうな気がしました。 久しぶりに子どもの頃に観たシャチのショーを観てみたくなりました。イルカよりもはるかに大きいシャチでショーをしていたなんて、 今更ながら凄いことだと感心。今もやっているかなぁ・・・。
1投稿日: 2016.11.12
マンガでわかる 非常識な成功法則
神田昌典
ぶんか社
やりたいことなど何もない!やりたくないことも何もない!
若い人向けですね。 いい年こいても「やりたいこと」なんてないし、仕事はメシ食うためにやっているって考えだからか、 「未来」を夢見るって大事だなぁと感じました。 ただ、この手の本で「マンガ」は、ダメだなぁと思います。 「マンガ」は強烈に頭の中に一つの印象として残ってしまうからです。 このマンガでは、成功=「起業」でお金を稼ぐという一つのパターンしか描かれないため、 成功するには起業しかないという印象が強く残ります。 企業に勤めていても「成功」はあるかもしれないし、そういう夢を描く人(例えば、この会社の社長になる!とか・・・)に対する フォローがないなぁと感じてしまいます。 これを読んだ人は、成功するには「起業」しかない!という単線思考に陥らないことを祈ります(解説ページにも書いてありますし)。 原作の要点を再構成したものとのことですので、原作を読んだ方がいいかもしれません。
0投稿日: 2016.11.10
