三森雪さんのレビュー
参考にされた数
887
このユーザーのレビュー
-
路地恋花(1)
麻生みこと / good!アフタヌーン
あー恋がしたい、
10
京の路地裏。職人たちの愛情だったり思い出だったりの短編集。
しんみり、しっとり、ほっこり。そんな言葉が似合う、優しい恋とか愛が詰まってます。幸せな部分だけを切り取った訳じゃないのに、恋の辛い部分まで…がどこか優しくて、読了感はほのぼの。
ベタですが、製本屋の小春さんが綴る昔巡りの物語と、銀細工職人の光生くんが鋳る見守りの物語が好きかなぁ。あー恋がしたい。
あったかいココアを入れて、雨だれを聞きながら読みたい本です。 続きを読む投稿日:2013.10.06
-
新装版 銀行総務特命
池井戸潤 / 講談社文庫
2話目だけでも読んでほしい。
10
同じ短編連作でも、次の短編で前の事件の結末を描く「不祥事」より、”想像にお任せします”なスタンスのこちらの方が余韻があって好き。「不祥事」的な勧善懲悪ではないものの、期待を裏切らない明快さです。
特…に2話目の「煉瓦のよう」のラストは、短編ながらに重厚感と静けさと、語られないながらも想像できる先の鳴動に、胸が高鳴ります、物語の始まり的な意味で。(始まらないけど。いや始まらないからこそ心臓をぎゅっと掴まれるのやも。)
あと何より、あんまり本心的な部分が語られず、指宿さんラブな鏑木くんから伝聞的に語られる主人公指宿さんが素敵です。物語の仕掛け的に二転三転する時も、指宿さんは冷静で読者がハラハラ、みたいな。きっと、ハードボイルドで多分熱い想いを胸に秘めてると想像。 続きを読む投稿日:2014.06.04
-
ビジネスパーソンのための無敵の整理術
ビジネス集団エグゼ / impress QuickBooks
地味に良書。
10
はっとする系ビジネス書ではないけれど、思い出させる系マニュアル書?価格相応以上には価値、あると思います。
そういえば最近出来てなかったな、とか、あ、無意識でやってたこのフローはこうすれば良いのか、と…確認するのに最適です。地味に良書。1年に1回読み返すと、忘れていたことが振り返れて良いかも。
個人的には「メールの整理」「簡単な時間割を前日に作る」「チェックリストで定期点検」あたりが、意外と効率化されてなかったので要見直し項目でした。 続きを読む投稿日:2014.06.27
-
なぜ昇進するのはいつもあなたではないのか もっと早く知っておきたかった「社内政治」の技術
ジェーン・ホラン, 矢沢聖子, 三ッ松新 / CCCメディアハウス
「半沢直樹」的世界とは無縁な会社員人生を望む人へ。
10
社内政治のルールを知って致命傷を避けるためのスキル書。社内政治を上手く渡り歩く人ではなく、むしろ「半沢直樹」的世界に巻き込まれることを嫌う人向けの本です。
海外の優秀かつ善良なエリートたちが、社内政…治的に未熟/無知だったため、いかに足を掬われ会社を去ったか。の、事例と解説と対策。そうならないためにはどういうスキルが必要か。三ツ松 新氏の解説を引用すれば、"足を引っ張る人が出てきたときには、攻撃せずとも防御のスキルは必要になってきます""ゲームのルールがわからなければ結局のところ太刀打ちができません"。
翻訳物のため微妙に読み始めがつらかったりもしますが、印象としては『再考・空気を読む(社内政治編)』といった様相で、意外とテクニカル。スキルアップというより、無知は罪的な要素が強い本。 続きを読む投稿日:2014.08.18
-
読むだけであなたの仕事が変わる 「強い文章力」養成講座
川上徹也 / ダイヤモンド社
ブログやレビューの「タイトル」で毎回悩める同志とシェアしたい、キャッチコピー力の本!
10
このレビュー自体、本文よりタイトルで時間かかってます。
コピーライター著者による、受け手に「刺さる」キャッチコピー力の基礎と応用。具体的な手法と豊富な事例に、かぶりつきで読みました。すごく良いです。…
読まれる文章には、受け手が「自分ごと」と認識してくれる、短く的確で"ベネフィット"のあるキャッチコピーが必要です、にまず目から鱗。 かばん1つとっても、「当社比15%軽量化」というファクト(事実)、「軽い」というメリット(一般的利点)では足りなくて、「あなたを肩こりから解放する」というベネフィット(受け手の利益)まで踏み込んでこそ、に納得と衝撃。AppleのCMはこれが上手いのだそうな。
応用編では、読まれる企画書、メール、プレスリリースなどの文章術で、こちらも電子書籍にマーカー引きまくりでした。企画書はタイトルが9割、構成は起承転結でなく序破急、とか。プレスリリースはマスコミが記事にしやすい大義やニュース性を先読みする、とか。本気で、職場の新人研修で参考書籍に推薦したい気分。 続きを読む投稿日:2014.09.27
-
読書は「アウトプット」が99%
藤井孝一 / 知的生きかた文庫
書評が上手く書けずに悩む人が、書評を真似ぶに最適な本。
10
読書術の本として購入したら「本を読んだ後」の話がメインでした。読んだ内容を即行動に移せ、よりはハードル低めで、読んだ内容を「話し」て「書く」(+可能なら行動する)なアウトプットの紹介。
読書術的には…多読で自分に必要な部分を「斜め読み」「飛ばし読み」「逆さ読み」で見つけていくやり方。同系統の読書法は世にいくらも出回っていて、珍しさはないと思います。
本書の本領発揮だと思うのは後半、まさにアウトプットの部分。特に、要約力や文章力を鍛える手法としての「書評・レビュー」が、手堅いながらシンプルにまとまって、「書評とは何ぞや?」と頭を悩ませる身としては面白かったです。しかも最後の章では著者自らの書評が掲載されているので、ひとつの書評の形を知るには最適なんではないかと。学ぶは真似ぶから始まり、守破離であると言いますし。
あと、文中で引用される本がどれも面白そう。古典に分類される種の本を「読みたい!」と思うのは久しぶりかもしれません。 続きを読む投稿日:2014.10.21