三森雪さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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クジラのソラ01
瀬尾つかさ, 菊池政治 / 富士見ファンタジア文庫
私が知りうる、至上最高に主人公な女の子。
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主人公チートもの流行ってるじゃないですか、俺TUEEEE系?クジラのソラの主人公・雫は、それとは真逆の主人公です。天才に囲まれた努力の人。才能を与えられず、自分の真横にスポットライトが当たる人。渦中に…いながら必要な情報を隠され、ピエロのように踊らされる人。
でも、なんかですねー。主人公・雫は、私が知りうる史上最高に主人公な女の子です。打ちのめされて、這い上がって、口では悪態つきながら大切なモノたちと真っ向からやり合う、その生真面目さと健気さが最愛な主人公。
「異星人から提供された、国の威信と利権を賭けた艦隊バトルゲームの大会。その大会の優勝者であった兄を追って、大会優勝を目指す15の少女と周りのスペース・ファンタジー」。せっかくの女主人公、なのに恋愛のギミックすら用意されない。だけど4巻のシリーズ、終わってみれば天才どもは脇役で、どう考えたって雫が主役の物語です。この感無量感が凄い。
ちなみに号泣した雫の台詞、「一般人代表として、一般人を見下す天才様へ」。傲慢に聞こえるじゃないですか、でもね、幸せになれって祈りながら言うんですよ、この台詞。 続きを読む投稿日:2014.09.10
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人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人
楠木新 / 東洋経済新報社
それは、ビジネス書と言う名のホラー(恐怖)でした。
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若い頃どんなに優秀でも、会社と言う組織上、8割の人は「働かないオジサン」になるのです、という、人事評価系ビジネス書の皮を被ったホラーもの。
10年、20年先に必ずやってくる未来、若さでもって目を背け…ていたその事実を、目の前にどんと置かれると、恐怖以外の何者でもない。ただ、恐れを持って気づけるのは幸運かもしれない。響きもしなくなったら、この本のタイトルをスルーするようになったら、その状況こそが真に恐怖な気もします。
ノウハウ系じゃない意識改革系のビジネス書。自分が嫌悪し冷めた目で見ている職場の「お荷物」社員になるリスク、それは誰もが持つもの。そこに至る、組織で働くことの意味に悩む状態「こころの定年」への対策はオーダーメイドな自分仕様で、自分ひとりの戦い。だからこそ、「こころの定年」を迎えるまでにどう考え何をして備えていくべきかの7か条です。別名、イキイキ働くための7か条。イキイキ働くオジサンの事例が豊富で、自分はどうなりたいか、の指針にしやすい構成で、結構考えさせられる。 続きを読む投稿日:2014.08.31
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[カラー改訂版]頭がよくなる「図解思考」の技術
永田豊志 / 中経出版
右脳(図)の記憶能力は左脳(テキスト)の約100万倍以上。
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コンサルタントの説くのビジネスモデルやフレームワークに憧れつつも挫折した人にそっと差し入れたい図解思考の本。
シンプルな「四角形と矢印」の基本の形をベースに、パターンと使用場面を増やしていく構成。理…論→基本→応用→実践と段階を踏んでいて、図も豊富なので取っ付きやすい。
「複雑なことを複雑にしか伝えられないのは本質を理解していない証拠」と言い切る通り、図解だけでなく説明の文章もシンプルでスルッと読めます。
右脳(非言語)の記憶能力は左脳(言語)の約100万倍以上、なんて情報もあるので、図解思考・フレームワークに興味がある、以外でも、記憶術に興味がある人に一読の価値あり。 続きを読む投稿日:2014.07.21
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海の底
有川浩 / 角川文庫
私は躊躇せず走れるだろうか、
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使命のため勝ち目がないレガリスに立ち向かう機動隊、解決のため硬直した組織を内から動かすお役人、尊敬する人を犠牲に救った子供たちを守る自衛官、どこか「歪んで」真っすぐな子供たち。私は彼らのように躊躇せず…走れるのかな。
有川作品で外れる訳ない自衛隊もの。個人的にナンバーワンにしてオンリーワン。負け戦も権謀術数も成長も青春もラブも詰め込みつつ破綻しない・・・えーと、ジャンルSF??
主に機動隊パートで大人の事情を、潜水艦パートで子供の事情を交互に追いつつ、失速せずに落着しての、エピローグがとても好き。望さん愛い。茂久も好きだなー。圭介ラストで可愛く見えるとかなんたるマジック。 続きを読む投稿日:2014.06.28
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リストランテ・パラディーゾ
オノ・ナツメ / EROTICS f
時には漫画も、シックな部屋のインテリアになる。
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「オトナの"小さな恋のメロディ"」なコピーが最高に素敵。ローマの小さなリストランテを舞台に、全員老眼鏡紳士な従業員と、その客たちが織り成す群像劇。
メインは自分を捨てた母親を訪ねてリストランテにやっ…て来たお嬢さんが、優しくしてくれた老眼鏡紳士にきゅんとして、それが恋かどうかを確かめる話。と、その周囲の人々(・・・を装った老紳士萌え。)
舞台装置がイタリアなだけあって、人の立ち姿やしぐさがいちいち粋でオシャレ。ついでに展開するストーリーまで、BGMにジャズピアノが聴こえるようなレトロクラシカルな装いです。ある意味、シックな部屋のインテリアとして機能する漫画。でも萌えます。 続きを読む投稿日:2014.08.20
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朝イチでメールは読むな! 仕事ができる人に変わる41の習慣
酒巻久 / 朝日新聞出版
サラリーマン社長の経験則から見えた「誰が会社で出世するのか」
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キャノン電子の社長、酒巻久氏が経験から紐解く仕事習慣の本。
上司部下との関係、スキルアップや交渉、組織のマネジメントなど、広範に渡るのにいちいち示唆に富んでいて、マーカーを引いていったら最初50箇所に…なってました。サラリーマン経営者が自分の試行錯誤を書いた経験則の本って、座学とはまた違って面白いです。あと、出世する人はこういうとこに気を使うんだな、と。
ぞわっと背筋に来たのが、2章の上司についてで「上司の頭越し(直属の上司飛ばし)は辞職覚悟でやれ」。それは最も上司の怒りを買い、たとい結果を出しても上司との関係が壊れるのは必至だから。チームについての8章でも、情報の飛ばしと抱え込みが組織を狂わせる、として、最近、それで再編に至ったチームを知る身としては、自戒にしたいと。
再読で、過去の自分の読書メモで「昇進して部下を持ったら再読する本」の伝言があったんですが、今も消化しきれないところがあるので「会社の意思決定に関わる立場になったら再読する本」として引き継ぎます。 続きを読む投稿日:2014.10.13