
星の案内人 1巻
上村五十鈴
週刊漫画TIMES
「ほら真上を見上げてごらん」プラネタリウムを舞台に繰り広げられる、人と空との優しい物語。
それぞれの人生で不意に輝く星の話。おじーちゃんの語る星の物語が、難しく考えずに「そーなんだ!」て思えていい。とても健康的。 疲れていると自分の頭で考えたくなくなって、誰かに決断をゆだねたくなるんだけれど、そんなとき星は何もいわず輝いていて、そこにいてくれるのですよ。
3投稿日: 2016.12.29
なんてことないふつうの夜に
嶽まいこ
祥伝社
もしかしたらこの地球のどこかの誰かには起こってるのかも、くらいの不思議さ。
どれも本当になんてことないふつうの瞬間で、でもどこかおかしい、みたいなエピソードが粒ぞろい。そうそう頻繁にはおこらないけれど人生に一回くらいはあってもいいよね、くらいの絶妙なリアルっぽさがいい。 結婚を控えたクールなOLが、深夜に辿るネットの海の記憶「追憶のネットサーフィン」が、何度読んでもじわじわきて好き。自分的「私の好きなインターネット」感。
2投稿日: 2016.12.29
りとうのうみ
たかみち
ワニマガジン社
絵画のように、ぼーっと眺めて楽しめる漫画。
島で暮らす少女ちゃんと島の人々のほんわかスマイルストーリー。 フルカラー漫画。一応ストーリーはあるし、展開はするんだけれども。きれいな沖縄の風景も、元気な女の子がのびのびきゃっきゃ戯れている様も、心和むし無敵だからもうそれでよくない?何でもかんでも深く考えればいいってもんじゃない。
2投稿日: 2016.12.29
私たちが星座を盗んだ理由
北山猛邦
講談社文庫
切なくて苦しくてだから罪を犯すのかもしれない。
すべてに驚愕のどんでん返しが待つ、5つの短編集。 作品ごとに違うテイストで、ただどれも切なさを纏った謎を提供してくれます。例えば1作目では、犯人...というか話の流れはだいたい予想がついて、しかも解決編的やりとりもあって、「え、これ以上何をどんでん返すの?」と首を傾げてからの最後の一行の衝撃がすごかった。それ以外も、傑作だ!と言えるほど華やかな事件は起きないけれども粒ぞろいの秀作で、ファンタジーも舞台にするのだから作者の引き出し多いなぁという印象。 罪を犯す側の気持ちが想像つく作品も多くて、優しさと切なさと残酷さがない交ぜになったような彩りの物語だと感じる。本当は恐いグリム童話、的な反転があります。
3投稿日: 2015.05.23
最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵
椹野道流
角川文庫
自分に自信が持てない日には「ここにいていいよ」が救いになる。
給仕がつくかしこまったレストランの方が、町の定食屋よりも美味しいとは限らないはずで、大体は時と場合によりけり。素朴で優しくて、つい長居してしまいそうな喫茶店に似た雰囲気の小説です。 捏造スキャンダルで活動休止に追い込まれ、地元の定食屋で住み込みで働くことになった元イケメン俳優が主人公。深夜だけ空いてる定食屋「ばんめし屋」を舞台に、ほっこり和やかで、でも不意打ちでやってくる切なさとちょっぴりファンタジーテイストが隠し味になっています。 都会で散々な仕打ちに遭いながらも基本好青年な主人公海里が素敵。「努力してますって顔すんの、俺、嫌いなんだ」ていいながら、料理人に感心されるくらいテレビのためにキャベツの千切りを練習して、幽霊のために寝ずに出し巻き卵を練習する生真面目な真っ直ぐさにときめくる。
15投稿日: 2015.05.16
アルバート家の令嬢は没落をご所望です
さき,双葉はづき
角川ビーンズ文庫
ミステリの「信頼できない語り手」が好きな人にむしろオススメです。
ある日自分が乙女ゲームの世界の悪役令嬢として転生したことに気がついた令嬢が、なぜか空回り気味に悪役を頑張る話。 これの面白さをネタバレなしにで話すの難しいんですが、「信頼できない語り手」ていうミステリの叙述技法あるじゃないですか。ぶっちゃけあれです。そこに「ゲームの強制力」がいい感じのシリアス醸し出しつつ、だいたいはコメディを突き抜ける主従コンビらぶ。
9投稿日: 2015.05.02
世界ぱんぱかパンの旅 <北欧編>
山本あり
コミックエッセイの森
兎にも角にもパンが食べたくなる旅行記。
北欧のフィンランドとデンマークでひたすらにパンを満喫する旅行記。 兎にも角にも出てくるパンが美味しそう。こんなに名前の付いた種類のパンが存在していたのか、と思った。チョココーティング感やデニッシュ感や、ハードなパンの質感がわかる描写です。無駄に力が入ってる。 いろいろ北欧の観光地巡りもしている描写があるのですが、結構適当で、休業のお店に落ち込んだり1日かけて向かったのに思ったより高くて諦めたり、の行き当たりばったり感も楽しい。あ、白夜をかける列車旅とその風景は、一部写真も使われてたりして綺麗だったなー!行ってみたい。 もちろん北欧まで足を延ばすのはなかなかハードルが高いので、近くのパン屋さんで焼きたての美味しいライ麦パンを探しに行こうと思います。
5投稿日: 2015.01.25
まんが家さんの修羅場めし
奥原まむ
リイドカフェ
料理ものとしても、漫画家インタビューものとしても断然楽しい。
まんが家は修羅場に何を食べているのか?を徹底取材&コミック化〜! さいとう・たかを、池田理代子、くるねこ大和などの有名漫画家陣に新人漫画家が取材、という流れで進み、それぞれの締め切り前の修羅場のエピソードや苦労話と一緒に、修羅場めしをレシピと一緒に教えてくれる内容です。どれも簡単めで美味しそう。なぜかそれぞれの修羅場めしのイラストだけカラーで、とりわけ美味しそうに見えるのですよね。井上純一先生(中国嫁日記)の水餃子がすごく食べたい。 あと単純に、それぞれの先生もイラスト化されていて、あーこういう雰囲気なのかこの先生ーみたいなコミックインタビュー的な楽しさも素敵なんです。
4投稿日: 2015.01.25
スピ☆散歩 ぶらりパワスポ霊感旅(1)
伊藤三巳華
HONKOWA
入り口は怖いもの見たさだったんですが案外楽しい。
いわゆるスピリチュアル、パワースポットの類を霊感ある女性たちが巡る系?(というほど系統があるかは謎) あちらこちらの神社を巡った経験を「視えるんです。」まんまの繊細でゆるりっとしたタッチで描かれていて、特に建物のイラストなんか綺麗だなーとか。眺めているだけでも幸せになれる。ゆるふわり。 多分霊感要素ってだけでドン引きしてスルーする方もいると思うんですが、人生なんて楽しんだ者勝ちです。そんなわけで私も読みました。そして案外楽しかった。「霊が降りてきて〜」的描写もあって、慣れてないとううう...みたくになりますが、それさえ割り切れば、取り上げているのが有名どころの神社で、かつ、案外知らない参拝作法や由来が勉強になるなーとか。こういった情報を知って参拝するとまた違いそう。
3投稿日: 2015.01.25
おひとりさま女子の田舎移住計画
柏木珠希,奥原まむ
朝日新聞出版
ぼっち気味にはまぶしすぎる地方移住計画。
こっちは綺麗な田舎移住計画。移住してからの話もあるんですが、むしろ、移住に向けての「どこに住むか」的な視点が丁寧に描かれていて目を引くと。 絵も綺麗だし想定される問題点も暮らしを彩るノウハウも描かれているし、実際の日常も移住検討者にためになるかもですが、一言。普通こんな友達いなくね?と。 一週間単位で泊まりに来てくれて古民家の修理を手伝ってくれてその後も訪問してパーティ的なイベントに来てくれる友達とか。友達少ないぼっち気味にはまぶしくて「でもそうだよね、無縁社会なこの世の中でこそ袖振り合うも多生の縁だよね」と、移住後も着々と人間関係を広げていく作者の姿勢に感銘を受けました。人間、一人では生きていけません。
5投稿日: 2015.01.25
