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ココすけのままりんさんのレビュー
いいね!された数571
  • RDG レッドデータガール 全6冊合本版

    RDG レッドデータガール 全6冊合本版

    荻原規子,酒井駒子

    角川文庫

    合本版なので、心おきなく大きな世界に浸れます。

    引っ込み思案の泉水子ちゃんの心模様が丁寧に描かれていて、  深行くんとの関わり方が微妙に変化して行く様が、甘酸っぱい風となって心地よい。 泉水子ちゃんは自分自身を変えたいと思っているけど、行きつ戻りつで、あらららまたですか?って。ますます背中を押してあげたくなり、その内に存在感が徐々にレベルアップ! 周りを巻き込む力は天下一品。と、さまざまな力を持つ者たちとの頭脳攻防戦は・・・。 今の世の中、世界遺産登録にやっきになっているのは何の為?いろいろ推し量るものはあるけれど、姫神と泉水子ちゃんにとっての未来とはこういうものではないと思いたい。 RDG なんて思いもよらないファンタジー感!スパイラルからの逆転の発想が生んだ物語ではないかと思っています。

    6
    投稿日: 2015.07.19
  • 火花

    火花

    又吉直樹

    文春文庫

    笑う面白さではなく、突き詰めていく面白さがある。

    幼い頃より今までお笑い漬けの関西にいて、ピースの漫才やバラエティーも見てきました。 もちろん芥川賞候補というのも手伝って読もうと思いました。 それはさて置き、最初の1ページ目位の情景描写のなんと繊細かつパンチのあること。思わず一旦閉じました。 こんな感じで来るとは思っていなかったので、深呼吸しながら太い根性に入れ替えました。 その後ずっとそれが正解でした。 漫才とは何か?自分の思うその本質とは?狂気とも思えてくる2人のぶつけ合いは続くのですが、 入口が広く(読み始め)息苦しさに出口が狭い感じ。でも最後の1ページでストンと胸に落ちてくれました。 関西弁なので、たとえキツイ言葉でも暖かさが伝わってくる表現で、心に残る作品でした。 P.S. 誰がこんな事考えんねんという程の『蠅川柳』めっちゃツボに入りました。

    19
    投稿日: 2015.06.29
  • 山がわたしを呼んでいる!

    山がわたしを呼んでいる!

    浅葉なつ

    メディアワークス文庫

    きっと『山の女神さま』が微笑んでくれると思う。

    読み始めてしばらくの間、登場人物の一人の話し方に『イラッ』とさせられるのです。 でもひょっとしたらそれが『スカッ』とする人がいるかもしれない。 そしてそれによって、あきらちゃんの自分自身をさらけ出す事に。これで良かったんだと思う。 山にまつわる悲喜交々のそれぞれの人生。もれなくあきらちゃんも悪戦苦闘。 一歩間違えれば悲しく恐ろしい山に、またお花が咲く季節の雄大な風景や朝・昼。夜の空気感も合わせて 大きな山に登った事のない者には、ちょっと垣間見れたかな。 菊原山荘に集う人々には、あきらちゃんが必要なのです!

    5
    投稿日: 2015.06.24
  • 銀河不動産の超越 Transcendence of Ginga Estate Agency

    銀河不動産の超越 Transcendence of Ginga Estate Agency

    森博嗣

    講談社文庫

    銀河グループのトリケラトプス!見てみたい!

    なんともふわりふわりとした宙にだだよっているような感覚で、高橋さんと一緒に心を通わせながら、 ふむふむそうそうと頷きながら、いろんな人々と出逢っていきます。 心根の悪い人なんか誰ひとりいなくて、少しユニークな人たちばかりだなとは思うけど、みんな自然体。 それから一つの物事に対してものすごく掘り下げて考えて、そして追求していく様がめっちゃ面白いです。(赤外線ストーブのくだりなど) ひと時ホッとさせてくれる、スウィーツみたいなものかな。

    5
    投稿日: 2015.06.17
  • 遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ

    遺跡発掘師は笑わない 出雲王のみささぎ

    桑原水菜

    角川文庫

    今回の舞台はなんと『見返りの鹿』さんがいる出雲!(前作のレビュー読んでください)

    差出人「JK」って誰ですか?英文の内容って何なんですか? こんがらがっていた血族関係がやっと理解できてきて、ちょっとホッとしたところへこれです。「JK」って。 中盤にも1回。次作では必ず何とかお願いします! 今回もアクティブな逃走劇が待ち受けていて、あわやってとこまで行く前のめりな気の抜けない作品です。 出雲の神々の世界観と、人間たちのいにしえからのしがらみが怖いくらいに絡まってそれはそれは・・・。

    5
    投稿日: 2015.06.12
  • 獣の奏者 全5冊合本版

    獣の奏者 全5冊合本版

    上橋菜穂子

    講談社文庫

    あくなき探究が真実を、そして平安を。

    想像の民や獣そして人名や地名など、もちろん物語も無からの創作でありながら、すべて裏打ちされた理に驚き感銘したミラクルワールドです。 この物語の筋書きは1ページ1ページ読んでいっても、ほんの少し先の事すら思い描くことができない。こうなって欲しいという願望あるのみ。ずっとずっと思考がおっつかない程の展開が続く。これで面白くないわけがない! 外伝がみそ。 今までの筋道がわかっている分、彼ら彼女らの心の奥の奥に持ち続けている葛藤、叫び、諦め、それらもまた重なり合わさって、より深く大きな世界観をふくらませてくれます。 上橋さんてなんてフレンドリーな方なの。ウォンバット!ってなんでですの?(50の質問)を読んで。

    4
    投稿日: 2015.05.07
  • 舟を編む

    舟を編む

    三浦しをん

    光文社文庫

    花柄の座布団が教えてくれます。

    『意味が分からない単語』『ことわざ』などがあれば、スマホでそれこそ1分かからずに、これでもかって程情報を得ることができる。 もうそれが当たり前なので、手近などころに辞書はない!。しかし『ぬめり感』なるものの感触を得たくて、書棚の奥から引っ張り出してパラッパラッとめくる。相当古いものであるが ふむfふむこれかあと確認できる。そしてそこに載っている一つの言葉を選んでみる。項目を読んでいると、どんな人が書いたのかなあとか大変だった作業が浮かんできて、終には編者のことばやあとがきを見ることに。そう多分皆さん辞書必ず引きます。 一つの目的に向かって踏ん張るまじめさんの真面目さゆえのズッコケさ加減が、周りの人たちや猫さんたちに見守られながら、あたたかい笑いあり涙ありのいい感じになってます。

    4
    投稿日: 2015.04.08
  • 神様の御用人2

    神様の御用人2

    浅葉なつ

    メディアワークス文庫

    本当にほんわかして、じーんときます。そしてモフモフも。

    1巻2巻を通して ①敏益じいちゃんの、そして孫の良彦の、それぞれの心を込めた思いやりがじーんと胸に押し寄せてきます。 ②黄金さまのモフモフ。なんて気持ちよさそう。しゅりしゅりしたい! ③『あとがき』特に1巻の声をあげての大・大爆笑につき、必読。 ④神様たちのよくもまあユニークすぎて唖然となる程に、より人間的で親しみをもって感じられます。 最後に、1巻から気になっていた穂乃香ちゃんの人となりと動向ですが、優しいフリーターくんとモフモフさんコンビとの  絡みが続いて・・・・・・。

    3
    投稿日: 2015.03.23
  • イニシエーション・ラブ

    イニシエーション・ラブ

    乾くるみ

    文春文庫

    2回目はメモ用紙のご用意を。

    予備知識を持たずして読んだ私は(こんな人物像だったかな?とか最後の最後で確かこれ違うなとかはありましたが。) あっけなく2度目の読みへ。 そこである事に気付きました。そのある事を基準に並べていくと、そこに浮かんできたものは、なんともコワ~イ事実。 あれれ!あれもこれも?すべてがひっくり返りました。 クイズ:奇跡の偶然、あるいは神様のいたづらのキーワードはなんでしょう? ヒント ◎ー◎◎ル◎◎ル (8文字)

    1
    投稿日: 2015.02.19
  • 真夜中の五分前―five minutes to tomorrow side-B―(新潮文庫)

    真夜中の五分前―five minutes to tomorrow side-B―(新潮文庫)

    本多孝好

    新潮文庫

    『僕らの人生は、ただそうあるだけだよ。』

    双子でもなく、恋人をなくしたこともなく、なので2人の心について行くのがちょっと難しかったかな。 そこにアイデンティティとはなに?みたいな事をふっと思いちょっと考えました。 でもいつもの日常ではそんな事浮かんでもこないですから。 対話の妙。 全編を通してのことばのやり取りがセンスあふれ、また私自身のテンポに合っていて、 どういう風に心の変化を迎えてゆくのか?心の落ち着き先はあるのか?という期待感を湧かせてくれる一つの要素になっていると思う。

    0
    投稿日: 2015.02.13
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