
世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた
ムーギー・キム
東洋経済新報社
専門能力の優秀さにあぐらをかかずに、顧客や上司の信頼獲得に飽くなき努力をしている
著者のムーギー・キム氏のキャリアは、目も眩むようなものです。 外資系の大手投資銀行、戦略コンサルティングファーム、大手資産運用会社、プライベート・エクイティに勤められ、MBA留学もされているとのこと。 そんなムーギー・キム氏が目にしてきたトップエリート達の働き方をまとめたのが本書です。 MBAホルダーが志望する業界を目指す方には、トップエリート達の働き方のみならず、業界の内情も知ることができ参考になると思います。 私が本書を読んで印象に残ったのは、2つです。 1. つまらない仕事でも効率的に正確にこなし、周りの人から信頼を勝ち取ること 2. 誠実さ、情熱、人間的な深みといった、人間性に関することが意外と重要なこと 1については、投資銀行の仕事で、データ分析や資料作成といった「本当にどうでもよさそうな」仕事を猛スピードで、正確に、大量にこなし、フロア中から絶大な信頼を獲得し出生していった人の例が紹介されています。 エリートの世界も下積み的な仕事があるんだなぁ、という素朴な驚きとともに、それを嫌がらず、きちんと処理していくことで信頼を勝ち取る重要さが印象に残りました。 2については、例えば、プレゼンテーションに関し、次のように指摘されています。 『何かを伝えたいと思ったら、テクニックに走るよりも、「どうしても伝えたいメッセージは何なのか」、それを考え抜いて明確にすることだ。自分の気持ちへの誠実さと情熱こそが、あらゆるプレゼン成功のための肝なのである』 また、教育に関しては以下のようにも指摘されています。 『いまの先進国の教育は職業トレーニングの色彩が強すぎ、人間的な深みが欠如する一因になっている。』 『20代前半まではリベラルアーツの教育課程で哲学や文学を深く学んだほうが自分自身や人間全般への理解も深まり、それがマネジメントの本当の基礎になる』 トップエリートの働き方は、専門性に関するずば抜けた能力ゆえのものなのだろう、凡庸な私には縁遠い世界だ、という先入観で読み始めましたが、自分自身の仕事への応用も考えながら読むことが出来ました。 特に、最後のスペシャル付録の『トップエリートがやっている「今日からマネできる!」12のスキル』では、本書のエッセンスをまとめる形で、以下の6つの仕事術について整理されていて便利です。 ・コミュニケーション術 ・時間術 ・プレゼン術 ・人脈術 ・会食術 ・社交術 例えば会食術の「レストラン選びは命がけ」-相手の食文化を事前にしっかり把握する、などということを読むと、トップエリートたちといえども、仕事での成功のためには、専門能力の優秀さにあぐらをかかずに、顧客や上司の信頼獲得に飽くなき努力をしているのだと思い知らされます。
0投稿日: 2014.09.14
ビジネスマンのための「数字力」養成講座 これで、もっともっと見えてくる
小宮一慶
ディスカヴァー携書
「数字力」は仕事の目標達成力につながる
ソフトバンクの孫正義社長は、ビジネスにおける「数字」に対しての嗅覚が人一倍強く、 「数字の裏づけのない資料の価値は、ゼロに等しい」 「正しい数字を見ていれば正しい判断ができる」 と言う考えをお持ちのようです(2014/8/23 日経新聞電子版、「孫正義社長を「10秒」で納得させる資料作りの秘訣」より)。 孫さんのような経営者でなくとも、我々サラリーマンも「数字」に対しての嗅覚を強くすることは重要に思われます。 というのは、例えば、営業では売上、技術開発では性能向上、間接部門では業務効率改善というように、必ず「数字」が求められるからです。 「数字」に対する嗅覚を強くすること、それが本書で言う「数字力」のように思われます。 「数字力」を高めることは仕事の目標達成力につながる、と本書では言います。 『でも、わたしは、数字力というのは、 1 把握力……全体を把握する力 2 具体化力……具体的に物事を考える力(これは発想力にもつながります) 3 目標達成力……目標を達成する力 の三つが身につくことだと思っています』 『ビジネスでは、なんであれ、物事をできるかぎり具体化、数値化することが求められます。だいたい、物事は、具体化しないかぎり、実行できないし、数字というのは、ある意味、究極の具体化です』 『数字力が高まると目標達成力が高まるのは、すでにお話ししたように、具体化することにより、目標達成からの逆算が可能になるからだとわたしは考えています。逆算力、つまりゴールまでのプロセスを描く力が増えるからです』 本書では、具体的に「数字力」を身につける訓練法が4つ紹介されています。 1. 主要な数字を把握 2. 時系列で数字を把握(=定点観測をする) 3. 部分から全体を予測 4. 物事を数字と結びつける思考パターンを持つ まずは、自分の仕事を数値化し、それを時系列で把握してみるだけでも良いと思います。 そうすれば、 「この数字はなぜ増えているのか?」 「この数字を年度末までに目標ラインに到達させるためにはどうすればよいか」 等々、分析につながり、仕事の目標達成力を高める一歩になるはずです。 「数字力」は仕事の目標達成力につながると思います。
2投稿日: 2014.08.23
ビタミンF
重松清
新潮社
「お話」の力を感じる短篇集
私事で恐縮ですが、2000年の夏、第124回直木賞受賞作が載った雑誌「オール讀物」を手に、「この作品おすすめだよ、読んでみて」と友人からすすめられたのが「ビタミンF」に収められた「セッちゃん」という作品でした。 「セッちゃん」はいじめをテーマにした作品です。 物語の中で描かれる家族の苦悩に、自分がその立場だったらどうするだろうと自問自答しながら読み終えて、強く感じたことは、いじめという重苦しいテーマからくる不快感よりも、「身代わり雛」を流すことで家族が前に進もうとすることからくる希望や救いでした。 あれから14年。「ビタミンF」の電子版が出版されたと知り、早速購入しました。 「セッちゃん」を読むためにだけと言っても過言ではありません。 今回読んではじめて知ったのですが、「ビタミンF」の後記で、各短編に込めた思いを、作者の重松清氏は次のように書いています。 『そのうえで、いま全七編を読み返してみて、けっきょくはFiction、乱暴に意訳するなら「お話」の、その力をぼくは信じていたのだろうと思う。これからも読み物の書き手として畏れながらも信じつづけていくものは、「お話」の力しかないんだろうな、とも』 私はこれを読み合点がいきました。 私が「セッちゃん」を読んで感じた「希望」や「救い」は、重松清氏が信じる「お話」の力の賜物だったのだと思っています。
3投稿日: 2014.06.28
ご機嫌な職場
酒井穣
東洋経済新報社
非公式コミュニケーションの活性化による職場の再生
本書は、非公式コミュニケーションの活性化による職場の再生について語った本です。 職場にとってコミュニケーションとは、組織の成果を出すための手段でしかないです。 しかし、そのコミュニケーションが弱体化しているとすれば、自ずと組織の成果も十分なものでなくなります。 著者の酒井穣氏の問題意識はここにあります。 『職場は、目的(理念)を持った組織(するもの)であると同時に、人間にとって重要なコミュニティー(あるもの)でもあります。この職場の二重性に注目し、特に後者を支える非公式コミュニケーションを活性化させることは、現代における急務になりつつあります』 ここでいう非公式コミュニケーションとは、飲み会での雑談でもなく、もちろん、職場における議論でもない、対話と呼ばれるものです。 『居酒屋での雑談では真剣さが足りず、会議室での議論では本音が出ないとき、そこに新たに見いだされるべき第三のコミュニケーション・スタイルが対話なのです。そして対話は、喫煙所や給湯室などで起こりやすいということが指摘されています』 では、なぜ、非公式コミュニケーションが組織の成果につながるのでしょうか? それは、非公式コミュニケーションの内容の豊富さ(冗長さ)にあるからだろう、と酒井穣氏は指摘します。 『情報の伝達や処理を行う神経系に対して、病気の感染を防ぐ免疫系は、何らかの異常を察知して、それへの順応を行うシステムです。免疫系にたとえられる非公式コミュニケーションは、偶発的でコントロールが効かないものの、内容は豊富(冗長)で柔軟だとされます。冗長性は、知識創造理論においてイノベーションの源泉とされるものであることを考えると、この指摘は非常に重要です』 ここで、知識創造理論とは、組織は「情報を生み出す(創造する)装置」とする経営学の理論のことです。 私は理論的なことは語れませんが、私の20年余りのサラリーマン人生においての実感としても、非公式コミュニケーションが活発な職場は、活き活きとしていて、良い仕事の成果が出ているように思います。 仕事とは関係ない非公式コミュニケーションが、実は職場の活性化と組織の成果につながるということは、経験や感覚としてそうは思っても、例えば他人に説得力のある説明をしようと思っても難しいところです。 そのため、多くの企業で、 『業績へのフォーカスが強まり、非公式なコミュニケーションが悪者にされている』 という実態があり、職場コミュニケーションの弱体化の一因になっているようです。 本書は、前半で職場コミュニケーションの弱体化の背景や、非公式コミュニケーションの重要性について語り、後半で非公式コミュニケーション活性化の具体的施策(実例)が紹介されています。 本書が、非公式コミュニケーションの重要性をマネジメント層が理解するきっかけになればと思います。
0投稿日: 2014.06.07
鉄道旅行 週末だけでこんなに行ける!
所澤秀樹
光文社新書
鉄道旅行を創造し実践する楽しみが伝わる本
本書は、週末だけの鉄道旅行堪能プランを紹介した本です。 少々、マニアックですが、鉄道旅行に興味のある方にとっては、鉄道旅行を創造し実践する楽しみが伝わる本だと思います。 私も鉄道旅行が趣味なので、楽しく、時には可笑しく、本書を読ませていただきました。 紹介されている週末だけの鉄道旅行プランは ・大阪への出張の帰りを新幹線を使わず在来線や私鉄を使ったプラン ・寝台特急を使って北海道、東北、山陽、四国往復プラン ・九州・四国巡りのプラン などで、単にプランの紹介だけでなく、著者の所澤秀樹氏が旅を実践しているところが、読んでいて引き込まれます。 九州・四国巡りの旅行で、同行した編集者のKさんが、 「阿蘇に登って、次の日にかずら橋を渡って、その翌日の朝、品川丼を食べるのは人類史上、我々が初めてではないでしょうか」 と語るシーンが有ります。 これなんか読んでいると、乗る列車や観光ルートを自分で決める鉄道旅行の楽しみが伝わってきます。 ツアーの観光旅行では決して味わえない感覚でしょう。 最後に、付録にある「電車で行く「東海道五十三次」宿場巡り」は、個人的には大変興味深かったです。 青春18きっぷの季節には、東海道本線はよく利用するので、今度、本書で紹介された宿場巡りを実践したいと思います。
3投稿日: 2014.04.04
北壁の七人 カンチェンジュンガ無酸素登頂記
小西政継
中公文庫
冒険こそが登山の真髄
本書は、日本人で初めて8,000mを超える無酸素登頂を果たした山岳同志会の登頂記です。 『不可能とされている中から可能性を引きずり出す冒険的な実践活動こそ、登山の真髄である』 と考える、この登山隊のリーダーで著者の小西政継氏が選んだのが、8,586mのカンチェンジュンガ無酸素登頂。 この極限に挑むには、登山の技術力、体力だけでなく、精神力、人間力が必要だということが本書を読むとあらためてわかります。 登頂記なので、頂上アタックがメインですが、本書はそれだけでなく、登山の企画からメンバー選定、スポンサー集め、高所順応の訓練といった実際の登山の前段階も丹念に描かれており、登山をしない私のような一般人にも「登山」の全体像を知ることができると思います。 無酸素登頂の偉業達成という気負ったところや悲壮感などは、本書からは感じられず、ざっくばらんな登頂記になっていることが、小西政継氏の人間的な面が感じられて興味深かったです。
1投稿日: 2014.02.27
グラゼニ(1)
森高夕次,アダチケイジ
モーニング
「ゼニ」を巡るプロ意識に焦点を当てたプロ野球漫画
この本、面白いです。こんな野球漫画があるとは知らなかったです。 「グラウンドにはゼニが落ちている。人が2倍練習してたら3倍やれ。3倍してたら4倍やれ。ゼニが欲しけりゃ練習せえ」 これは、南海ホークスの監督であった鶴岡一人氏の言葉と言われています。 これが、プロ野球界の現実であり、プロ意識です。 今までのプロ野球漫画は、この「ゼニ」を全面に取り上げることはしていなかったと思いますが、グラゼニは、この「ゼニ」を巡るプロ意識に焦点を当てたプロ野球漫画になっており、そこがとても新鮮であり、面白い漫画だと思います。 主人公、凡田夏之介は、神宮スパイダーズ所属の中継ぎ投手で、年俸1800万円。 趣味は選手名鑑を読むことで、全球団の1軍選手の年俸をソラで言えるという設定です。 凡田夏之介は、一流選手でもなければお荷物選手でもなく、年俸もそこそこ、役割は中継ぎ投手という、地味な選手ですが、ここが、この漫画のミソはなのだと思います。 これが年俸何億円ももらう選手が主人公の野球漫画だったら、よくありがちなスター選手の物語で終わるだろうし、また、年俸1000万円以下の選手が主人公だったら、苦労話などの人情物語になるのがオチでしょう。 上も見れば下も見る事ができる立ち位置で、プロ野球界の現実が描かれています。 この本を読んで、これからのプロ野球観戦の楽しみが一つ増えました。
2投稿日: 2014.02.14
爆速経営 新生ヤフーの500日
蛯谷敏
日経BP
~人も組織も変われる~組織改革のケーススタディになる本
本書は、ヤフーの新社長、宮坂氏が取り組んでいる、ヤフーの組織改革のルポルタージュです。 組織を率いるリーダーの立場の人には、組織改革のケーススタディとなる本だと思います。 宮坂氏の行った組織改革のステップは次の通りです。 1. 会社の理念の再定義 2. 理念を実現するための明確な目標の設定 3. 目標達成のための具体的な戦略と戦術策定 言うまでもなく、この3つのステップは、組織改革の常道です。 しかし、ヤフーという、成功した大企業を、「理念」から再定義して改革していくのは並大抵のことではないと思います。 改革を推し進めるマネジメント層の協力者をつのり、社員に対しては管理型のマネジメント手法から、社員が自律的に動けるマネジメント手法に変えたり、そして、時には他社をも巻き込みながら、宮坂氏が情熱をもってヤフーの改革を進める様子が本書から知ることができます。 宮坂氏が社長に就任する前のヤフーは、増収増益を続けていたにもかかわらず、社内には閉塞感があったといいます。 実際、1ユーザーの立場で、ヤフーのサービスを使っていた私からしても、そのころのヤフーは、サービスは乱立し、SNSとのシナジーもなく、スマホで利用したいと思うサービスもなかったという印象でした。 要するに、PC時代のポータルサイトをひきづったままだったという印象です。 しかし、宮坂氏の体制になり、1年で、業界や市場関係者からの評価も高くなったと言われています。何より、サービスを使っている私も変化を感じている一人です。 まだ宮坂氏の組織改革は道半ばですが、これからどのようにヤフーが変わっていくか、楽しみでもあります。
0投稿日: 2014.02.12
あっと驚く2050年・超未来予測 週刊東洋経済eビジネス新書No.26
週刊東洋経済編集部
週刊東洋経済eビジネス新書
上り坂というより、どちらかと言えば、下り坂の時代を生きることになるであろう日本を考える切っ掛けになる本
本書は、2050年を中心に、将来の日本人の生活がどのようになるかを展望した書です。 例えば、人口と高齢化問題。 日本の人口は、2050年には9515万人まで減り、総人口に占める65歳以上の人口の割合も39.6%になると予想されており、このような人口動態の変化に経済条件も加わり、家族や世帯のあり方も大きく変容するといいます。 結果、2050年には子供のいる夫婦世帯は2割で、4割は単身世帯になると指摘されています。 今までステレオタイプに考えていた夫婦に子どもという家族や、地域社会でのコミュニティのあり方も見なおさなければならなくなるでしょう。 人口以外にも、気候、エネルギー、経済・産業についての将来見通しのデータが紹介されています。 上り坂というより、どちらかと言えば、下り坂の時代を生きることになるであろう日本を考える切っ掛けになると思います。
1投稿日: 2014.02.11
アイデアのちから
チップ・ハース,ダン・ハース,飯岡美紀
日経BP
アイデアを伝えるためのSUCCESsという6つの原則
本書は、アイデアを伝えるための6つの原則について書かれた本です。 ジョン・F・ケネディの「アポロ計画」、ソニー創業者の井深大氏の「ポケットに入るラジオ」、アイオワ州の小学校教師ジェーン・エリオット氏の「差別を児童に具体的に実感させる」教育など、今までに、組織、社会、国、世界を動かした数多くのアイデアの事例を元に、それらに共通する6つの原則を抽出し、分析と解説をしています。 この6つの原則を理解し実践していくことで、我々でもアイデアを他人に伝えるスキルが確実に向上すると思います。 自分の考えを部下やメンバーに伝えることの多い組織のリーダーはもちろんのこと、私のような一般のビジネスマンにもプレゼンのスキル向上につながる良書だと思います。 アイデアを伝えるための6つの原則とは、以下のとおりです。頭文字をとってSUCCESsと覚えられます。 1. 【Simple】単純明快である(核となる部分を見出し、伝える) 2. 【Unexpected】意外性がある(関心をつかみ、つなぎとめる) 3. 【Concrete】具体的である(理解と記憶を促す) 4. 【Credible】信頼性がある(信じてもらう) 5. 【Emotinal】感情に訴える(心にかけてもらう) 6. 【Story】物語性(行動させる) ビジネスマンの方は、仕事で、自分の考えや業務報告などを、上司やメンバーに伝える機会が数多くあると思います。 その時のプレゼン資料や、報告書、メールなどを作るとき、この6つの原則にそって、内容のチェックをするとよいと思います。 本書の中でも、取り上げた事例を6つの原則にそってチェックしておりますが、6つ全て○というのはないようです。 我々も自分のアイデイアを伝えようとする時は、6つすべて○を目指さなくとも、まずは、一つでも○になるよう、気にかけると良いのではないかと思います。
0投稿日: 2014.02.11
