
千里眼 マジシャンの少女 完全版 クラシックシリーズ6
松岡圭祐
角川文庫
大量虐殺の物語から死人の出ない物語への転換点?
これまでの千里眼シリーズを読んできた読者ならば、ははぁ、彼女が岬美由紀なんだな、と比較的早い段階から気づいてしまいます。 彼女の存在は、書かれていないのですが、このシリーズを読破してきた読者だからこそ、書いてはいないのに彼女の存在を理解できます。 その意味では、私はとても楽しめた作品でした。 また、前作までの大量の死人の出る物語展開から、本作品では、ほとんど死人の出ない、むしろ人命尊重の展開に変わっていることに気づきます。 万能鑑定士Qや特等添乗員αの世界観にもつながりを感じる作品となっていると思います。 そのためか、岬美由紀のスーパーウーマンぶりが、より一層に際立った作品だと思います。 大量虐殺がなかった分、暗い気分にならずに楽しめました。
0投稿日: 2016.07.06
守り人シリーズ電子版 4.虚空の旅人
上橋菜穂子,佐竹美保
偕成社
物語の世界観が明らかに
読み終わった後に、守り人シリーズの物語の舞台となっている世界と、2つの次元の異なる世界のイメージや 相互の関係性が、初めて理解できた気がしました。 そうして、もう一度、チャグムの活躍や行動、周りの人々との気持ちの動きなどを思い返してみると、改めて この後の物語の展開に、いろいろな想像が沸き起こってきます。 サルーナのチャグムへの思いの進展は? 3年を経たバルサの生活は? チャグムが示した周辺国をまとめた リーダーシップがどのような国家間の連携を構築するか? などなど。 今後の物語の展開が楽しみです。
2投稿日: 2016.07.02
首都崩壊
高嶋哲夫
幻冬舎文庫
まるでドキュメンタリーの様だった
首都直下型の巨大地震と日本経済の危機、それらに立ち向かう人々の、壮絶な挑戦の物語り、なのだが・・・ 読み進むうちに、現実の世界の出来事ではないか、と錯覚してしまうようなリアリティーがあった。 近未来に起こりうる大災害と経済危機のシミュレーションの一つ、としてとらえても良い、と感じた。 この物語の登場人物たちのように、現実の世界でもこのような日本と世界の危機への人々の連携が実現できる ことを、読み終わった後に心から願っている。
5投稿日: 2016.06.03
