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みっちゃんさんのレビュー
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  • 天冥の標 VIII ジァイアント・アークPART1

    天冥の標 VIII ジァイアント・アークPART1

    小川一水

    ハヤカワ文庫JA

    (I)メニー・メニー・シープの謎の舞台裏

    天冥の標(I)メニー・メニー・シープの物語の展開の中で、どうしても見えてこない点や、解かれないままの謎が、ジャイアント・アークでは、(I)の物語の展開の裏側で起きたことをイサリの視点や、個々の登場人物の視点で語られる。 ここまで諦めずに読破したからこそ到達した、謎の解明と、その後の物語への展開が、やっと始まる。 思わず、最初のメニー・メニー・シープの上下巻を本書と並行して読み直してしまった。 両方を読み比べてみて、細かい点の情景や展開の全体像が理解できて、何となく楽しくなってきた。

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    投稿日: 2017.05.11
  • 天冥の標 VII 新世界ハーブC

    天冥の標 VII 新世界ハーブC

    小川一水

    ハヤカワ文庫JA

    メニー・メニー・シープの謎が解ける

    何世紀、という単位の時間の流れの中で、メニー・メニー・シープとは何か、謎が解けます。 まだまだ、最初のお話までは、届きませんが、謎が解けてゆく快感に浸ってしまい、一気に読んでしまいました。 この後の展開、イサリと人類の行く末は??? 全巻を読破してきたがゆえに、この先の物語に、既にはまってしまっています。 天冥の標は、とっても長い物語で、すべてを読破するのは、ちょっと努力が必要かもしれません。 でも、ここまでの全巻を読破したからこそ、本編への納得感と物語の展開への期待感が、一層高まりました。

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    投稿日: 2017.04.28
  • コロロギ岳から木星トロヤへ

    コロロギ岳から木星トロヤへ

    小川一水

    ハヤカワ文庫JA

    時間の流れの世界に生きるもの

    一定の時間の流れの中で、三次元の空間に生きる人間が、別次元の生き物、つまり、この物語の場合は、 時間の流れの世界を一つの空間として生きる生命体をイメージした時、どのように描くのかという難問に 挑戦した作品。 魚は川の流れという空間に生きるもの。 川の流れ、という水の世界を、時間の流れ、という時空の世界に置き換えたとき、魚や川底の石のように、 例えば、人や太陽や、様々な三次元の物体が、時間の経過とともに未来に向かって変化し、その影響が 少しづつ拡散して広がってゆく様を、楔(くさび)という人間がイメージしやすい形態で表現している点が、 斬新でした。 その世界に生きる生命体が、異なった時間軸の楔に引っかかってしまった、という奇抜な設定と、その 生命体を通して意思疎通する、異なった時代の人々の交流が淡々と語られ、その斬新な描き方に、思わず 引き込まれてしまいました。

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    投稿日: 2017.03.31
  • 夏美のホタル

    夏美のホタル

    森沢明夫

    角川文庫

    おすすめ、の一冊

    まずは、読んでみていただきたい作品。 心が洗われる、そんな読後感を持ちました。 人を思いやること、愛すること、理解すること、そして感謝すること。 それらの意味を考えさせられ、自分の心をリセットしてくれる作品です。

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    投稿日: 2017.03.29
  • 星のダンスを見においで 宇宙海賊編

    星のダンスを見においで 宇宙海賊編

    笹本祐一

    東京創元社

    冒険活劇と天然の女子高生の組み合わせが痛快。

    ただただ、難しい話しは無しの、単純に楽しく面白い物語でした。 文学というよりも、物語に乗って楽しむ、という作品でした。

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    投稿日: 2017.02.04
  • 星のダンスを見においで 地球戦闘編

    星のダンスを見においで 地球戦闘編

    笹本祐一

    東京創元社

    地球編と宇宙編を通読すると、シンプルに面白かった!

    女子高生と中年男の宇宙海賊とのアンバランス、天然ボケっぽい女の子のちょっぴり鋭い一言や何気ない活躍。 特に、後半の宇宙編に入ると、絶妙なアンバランスの中に痛快な女の子の大活躍が光ります。 頭の中を空っぽにして、単純に楽しめる面白い物語です。

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    投稿日: 2017.02.04
  • 守り人シリーズ電子版 10.天と地の守り人 第三部

    守り人シリーズ電子版 10.天と地の守り人 第三部

    上橋菜穂子,二木真希子

    偕成社

    国と民を治めるための資質とは

    天と地の守り人、3巻を一気に読み終えてしまいました。 第一巻:  バルサやチャグムにかかわった重要な脇役を描くことで、彼らの視点でチャグムの足跡と  苦難に満ちたロタへの道程を描き、その間接的な描写によって、チャグムの不安や希望  バルサの思いに、想像力が喚起されました。 第二巻:  チャグムを救うために命を賭した人々とバルサの活躍によって、ロタとカンバルの同盟を  実現させる物語と並行して、新たな脅威が顕在化し、タルシュとの戦が始まる。  タンダは生き残り、バルサと再会できるのか??? 第三巻:いよいよ、本書です  タルシュと同盟軍の戦いとタルシュを打ち破る物語を描くのではなく、各国の王となるべき  人物が、如何に国と民の意思を統一して収めてゆくか、その各国の動きの視点で描くこと  によって、王となるべき指導者の資質が語られた点は、チャグムの行動と考え方の本質を  理解するうえで、とても重要な要素になっていて、単なるヒーロー物語ではない心に残る  感動とイメージを形作ってくれました。  また、バルサとタンダの結末は、ある意味で軽快なタッチで終わっていて、その先の夢物語  を想像する余韻となりました。 精霊の守り人から始まった、長大な物語の完結編としては、とても満足した作品でした。 読み終えてみて、何度も最初から読み返してみたくなる、シリーズでした。

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    投稿日: 2017.01.11
  • 守り人シリーズ電子版 9.天と地の守り人 第二部

    守り人シリーズ電子版 9.天と地の守り人 第二部

    上橋菜穂子,二木真希子

    偕成社

    新たな脅威と侵略戦争との絡み合い

    間一髪の危機的な状況でのチャグムとバルサの感動的な再会、その後のカンバルとロタの 同盟を実現させるまでのハラハラ展開。 そこで垣間見える立派な成年へ成長したチャグム の勇姿と心の中の葛藤。 一作目の精霊の守り人から脈々と語り継がれてきた数々の物語が、少しずつ組みひもの様に 組み上げられ形となってゆく、その物語の展開に、思わず没入してしまいます。 ナユク(ノユーク)の春がもたらす新たな脅威への気づきからの展開。 タンダは無事生き延び、バルサと再会できるのか。 待ちきれずに、最終巻を読み進めています。

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    投稿日: 2017.01.07
  • 守り人シリーズ電子版 8.天と地の守り人 第一部

    守り人シリーズ電子版 8.天と地の守り人 第一部

    上橋菜穂子,二木真希子

    偕成社

    運命を切り開く細い糸

    祖国と民を守るために漆黒の海原へ前途を求め旅立ったチャグムが、とても細くて心細い 未来への糸を手繰り寄せて、数奇なめぐり合わせの人々の助けを得ながら目的に向かって 一歩一歩、未来を切り開く姿が、かかわった人々の視線で描かれている。 それを追い続けるバルサが、もう一歩、というところですれ違ってしまうバルサの視線との 絡み合いで、ハラハラ感がさらに高まって、あっという間に読み終えてしまった。 前作までの物語が、複雑かつ微妙に絡み合って、見えそうで見えない先の展開に チャグムとバルサの再会の場面も含め、いろいろと想像と期待が膨らみます。

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    投稿日: 2017.01.07
  • 虹の岬の喫茶店

    虹の岬の喫茶店

    森沢明夫

    幻冬舎文庫

    時の流れと人のつながりと絆の物語り

    岬の喫茶店の主・悦子の人生の時の流れの中で、悦子と心の絆を紡いだそれぞれの登場人物の視点で、 一つ一つの物語が語られ、旅立ってゆく。 一見、短編小説集の様だが、実は一人一人の登場人物と悦子との絆の物語が、悦子の時間の流れに沿って 淡々と語られてゆく、一つの長編小説だったのですね。 読み進むにつれて、自分自身の心が洗われてゆく、心に響く作品です。 改めて、まだ見ていなかった映画も、見てみようかな、とDVDをレンタルしようと思います。

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    投稿日: 2016.12.02