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みっちゃんさんのレビュー
いいね!された数94
  • ライジング・ロード

    ライジング・ロード

    高嶋哲夫

    PHP文芸文庫

    成功と挫折が人を育てる

    読み終わってみて、感動してすぐにでもレビューを書きたくなっている自分がいました。 物語りの前半、6割くらいまでは全国優勝を目指すスポコンの物語なのかな、と感じながら、何となく読んでいました。 ところが、全国大会への出場権を手にする直前からの展開、成功と挫折、人と人とのつながり、地域との心の絆、家族の愛情 未来への希望と、それら全ての経験を通しての登場人物たちの成長と未来への希望、ラストスパートの残り3割のページは 読むのを止められませんでした。 読んでいるうちに、何度か、涙が出てきて、感情移入している自分に少し驚きました。 気づいたときには、帰りの電車の中で、降りるべき駅を通り過ぎ、5駅も乗り過ごしてしまっていました。 好みもあると思いますが、個人的にはベスト10に入る、とても良い作品でした。 あまり話題になっていないみたいなので、少し残念です。

    1
    投稿日: 2016.11.25
  • 獣の奏者 全5冊合本版

    獣の奏者 全5冊合本版

    上橋菜穂子

    講談社文庫

    人類の光と影の本質

    エリンという一人の少女の五感と心を通して語られる人類や社会の光と影、自然と人とのかかわりを、ファンタジックな物語として語ることで 自然と心の奥深くにそのイメージがしみ込んでくる、読みごたえのある作品だと思います。 現代社会の、核武装や軍事拡大競争、テロや武力衝突などの闇の側面が、この物語の背景と重なって見えてきてしまいました。 その中で、最後まで本来あるべき姿と理想を追い求める、主人公のエリンの姿が、とても感動的でした。 すべてが思い通りに展開してゆくヒーロー物語ではなく、一つ一つの疑問に、思い悩み苦しみながらも、一つの道を切り開いてゆくエリンの 姿に、とても勇気づけられる気分でした。 古い作品ではありますが、アニメ化されDVDになっているので、改めてアニメ動画としても鑑賞してみたい、と思います。

    3
    投稿日: 2016.11.14
  • 私と月につきあって

    私と月につきあって

    野尻抱介

    ハヤカワ文庫JA

    あっという間に全3巻完読です

    とにかくポジティブな主人公たちの大活躍の物語。 難解な小説や物悲しい物語を読んだ後の、気分転換というか回復薬として とても楽しめた作品でした。 内容もよくできたSF小説です。

    0
    投稿日: 2016.10.15
  • 天使は結果オーライ

    天使は結果オーライ

    野尻抱介

    ハヤカワ文庫JA

    読み始めたら止まらない

    前作から読み始めて、その軽快なタッチと、とにかくポジティブな主人公たちの 活躍の物語に引き込まれ、ページをめくる手が止まりません。 あっという間に、第二巻の本作品を読み終えてしまいました。

    2
    投稿日: 2016.10.15
  • 女子高生、リフトオフ!

    女子高生、リフトオフ!

    野尻抱介

    ハヤカワ文庫JA

    軽快なタッチのSF小説

    とにかく軽快でテンポの速いストーリーです。 実際の宇宙科学に即した物語りの組み立てになっていますが、女子高校生のちょっと軽いノリで 深刻さのない明るく、ちょっとだけユーモアのある展開になっています。 シリアスな小説を読んだ後に、気分転換のために読むのに最適な物語です。 内容もよくできているので、全3巻、通して読んでしまいました。 2007年にアニメ化されていた様なので、早速、レンタルDVDを申し込みました。

    1
    投稿日: 2016.10.15
  • 小説 君の名は。

    小説 君の名は。

    新海誠

    角川文庫

    映像表現への展開を想像して

    話題になっているアニメ映画なので、近日中には映画館に行こう、と考えています。 そんな時、作者であり映画監督の新海誠さんのこの小説を知り、購入しました。 主人公二人の心理描写や、物語の展開が丁寧に語られていて、とてもイメージが膨らみました。 この繊細な心の動きを、アニメの映像でどのように表現しているのか、情緒豊かに語られる田舎町や自然の風景はどのように描かれるのか。 言葉からイメージが湧き起こる心の中の映像が、アニメの世界ではどのように描かれているのか、映画館に行くのが楽しみです。 きっと、瞬間の映像では見逃してしまいそうな些細なことも、この小説を読んでイメージを膨らませておくことで、漏らさず楽しめそうです。

    8
    投稿日: 2016.09.18
  • 万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉

    万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉

    松岡圭祐

    講談社文庫

    シリーズ作品の完結のさせかた

    万能鑑定士のシリーズを巧妙な方法で完結してくれました。 スリルとサスペンスにラブロマンスとヒューマンドラマを長編映画にまとめあげて、一気にクライマックスのラストシーンに突入したような作品。 これまでに登場してきた別の物語の主人公、シリーズの脇役や悪役も含めた、個々の登場人物の人間性や、人生の物語も丁寧に語られて、 思わず感動してしまう場面もありました。  コピアの人間性や芸術に対する信念も初めて明かされた、と感じました。 最後になって、莉子と悠斗の結末とその後が・・・ そこまで読み進んでみて、タイトルに「事件簿」でなく「最終巻」と付記された本当の意味が理解できます。 途中で、ちょっとだけ解説みたいなセリフがありましたけれど・・・ 壮大な万能鑑定士Qの物語が、すっきりとした納得感を伴って完結した、というある種の安心感を伴って読み終えることができました。

    2
    投稿日: 2016.08.19
  • 守り人シリーズ電子版 7.蒼路の旅人

    守り人シリーズ電子版 7.蒼路の旅人

    上橋菜穂子,佐竹美保

    偕成社

    次回作、天と地の守り人、電子版はまだか・・・

    チャグムが主人公の二作目。 今回も、チャグムの五感を通して感じる大きな世界の動きが、生き生きと描かれています。 この作品があればこそ、次回作でのバルサたちの活躍や成長、心の動きが際立たされます。 明らかになった大きな世界の動きと、新ヨゴ国の危機に、バルサとその仲間はどのように立ち向かい チャグムの未来はどうなるのか、この先の展開への期待感が噴火する直前の火山の様に 膨れ上がったところで、次回作へ続く、と・・・   大きな期待感。 しかし、次回作、天と地の守り人、はまだ電子版が出ていません。  心が変になりそうです。 早く、次回作を電子版で出してください。

    2
    投稿日: 2016.07.30
  • 時砂の王

    時砂の王

    小川一水

    ハヤカワ文庫JA

    人類と地球外生命体との時空を超えた戦い

    最初は、異なった時間軸の世界の物語が同時進行している設定に戸惑いました。 しかし、読み進めるうちに、どちらの生命体も、高い科学技術を取得した時代では、その科学技術力が勝敗を分けてしまう、という 絶望的な状況に対して、人類が生き残る道はないのか、という壮絶な戦いの物語だと、理解できました。 最終的には、科学技術に頼らない、ほとんど裸の生命体としての戦いにおいて、いかに強い精神力と知恵や生命力をもって 打ち勝つか、それが卑弥呼の時代だった。 常に希望を捨てず、強い精神力と意志で生き抜こうとした卑弥呼を通じて、自分も勇気づけられた作品でした。 少し難解かもしれないけれど、読んでみることをお勧めしたい作品です。

    5
    投稿日: 2016.07.24
  • 守り人シリーズ電子版 5.神の守り人  上  来訪編

    守り人シリーズ電子版 5.神の守り人 上 来訪編

    上橋菜穂子,二木真希子

    偕成社

    力を持つことの意味

    国おも支配できる強大な力を持つことの意味は何か、民族の幸福とは何か、とても考えさせられる物語でした。 神の力を手に入れても、本当の幸福のために何をすべきかを悟った幼い少女に感動しました。 また、その背景には、バルサの愛に満ちた心の導きがあり、バルサの人間性を改めて感じることができました。 様々な苦難や、人々との交流を通じて、バルサ自身も大きく成長していることが、強く感じられます。 この後の展開が、ますます楽しみになりました。

    3
    投稿日: 2016.07.17