
涼宮ハルヒの憂鬱
谷川流
角川スニーカー文庫
実はよく練られたSFです
再読。果たして何度目の再読でしょうか。。 中学生ごろに、タイラーやらオーフェンやらにハマり、しかしいつしか熱も冷め、すっかり忘れてしまっていた所を「やっぱラノベ楽しいわ」と思い出させてくれたのが、本作でした。 本シリーズの楽しいところは、何と言っても時間跳躍による伏線の回収なので、真骨頂はこの先というところなのですが、当然本作単体でも大変素晴らしい作品です。一見、何処にでもありそうなドタバタ学園ものを、一転して一気に未体験のSFにシフトしていく様は何度読んでも驚きで飽きさせません。 作者は只者ではないな、と感じずにはいられない一冊です。
7投稿日: 2014.01.04
万能鑑定士Qの事件簿 I
松岡圭祐
角川文庫
斬新だけどついて行けない
な、なんだこれ・・。自分の感性が古いのか、日本の出版界が新しいステージに突入したのか。ちょっと未経験の読書体験をしてしまい、戸惑いを隠せません。 まず、シリーズものを目指しているのは分かりますが、ならば最も力を入れるべき1巻目に、何故外伝が如く主人公の過去を紐解くところからスタートしているのか?主人公に興味が湧く前にこれをされても、退屈で仕方がないです。もっとも、作中に出版社からシリーズ化を約束されたかのような、実名団体の偏った宣伝文句が散りばめられているので、こういった手法も可能なのかもしれませんが。 そのうえ、ミステリでありながら、薀蓄は並べるが謎は解かないという新しい手法も、どうにもついていけなかったです。しかもラストは唐突に、伏線もなく次巻からファンタジーにも突入! てな雰囲気で終わってますし・・もう、何もかも新しすぎです! しかし、自分は特に新し物好きでもないので・・次のステップには進まないでしょうけど。
5投稿日: 2014.01.01
リング
鈴木光司
角川ホラー文庫
魂の底から震え上がる
再読。17~18年前でしたでしょうか。傑作中の傑作です。 初読の時は独り暮らしの大学生で、6畳一間の狭いアパートでしたが夜中に読み終えてトイレに行けなくなったのを憶えてます・・。ホラーと呼ばれるジャンルもいくつか読んでいますが、魂から震え上がるような経験をしたのはこの作品以外にありませんでしたね。 映画が有名ですが、先にストーリーを知ってしまっては、この恐怖は味わえなかったでしょう。そういう意味では、先に原作に触れられる機会に恵まれたのは、本当に僥倖としか言いようがありませんでした。 続編から、ホラーがSFになってしまったのは仕方がないのかな? 僕は、これ単体で完結したものと無理やり捉えています。その方がより怖いので・・
0投稿日: 2013.12.30
第三の時効
横山秀夫
集英社文庫
惜しげもなく詰め込んでます!
再読。警察小説の名作です。 一言でいうと、「勿体ない」です。しかし、僕が通常レビューで使う、設定やらキャラクターの無駄遣いという意味ではありません。6篇の短編に、長編にしても充分な結末を惜しげもなく投下してくる恰幅の良さに唖然としてしまっている表現です。これだけの内容で、一冊分の代金しか貰わないなんて、勿体ないでしょ! 中でも、表題にもなっている「第三の時効」は、初読の時には独りで「うぉ!」とか思わず声を出してしまったのを憶えてますね・・。 近いうちに再々読してるかも。それくらいの一冊です。
0投稿日: 2013.12.30
百億の魔女
小川淳次郎,ささきむつみ
講談社ラノベ文庫
動機が希薄
苦しめられました・・とにかく最後まで読むのが苦しかった。 兎にも角にも動機です。主人公を含めたすべての登場人物の動機が希薄なので、誰がどう行動しても作者のご都合主義にしか見えなくなってしまう。当然入り込むこともなく、遠くから眺めているような感じでした。 比較してしまうのが、「とある」シリーズです。目指すところのイメージは一緒と感じました。あちらも構成が崩壊し、勢いだけで進んでいるようなシリーズでしたが、人物の動機はしっかりしていて結末が期待できました。 やっぱりキャラに興味がわかないと、ラノベは無理ですね・・。
0投稿日: 2013.12.29
ダークゾーン(下)
貴志祐介
祥伝社文庫
「小説」の真骨頂!
いやぁ、この人はやっぱ凄いわ。改めて思いました。 正直言うと、ダークゾーンでの対局は、確かに熱いものはありましたが、分かりやすくもありませんでした。また、結末も意外といえば意外でしたが、全く予想の予想の範疇外ということもありませんでした。 が、貴志さんの作品はとにかく感情を揺すぶられる。未知の世界の不安、勝利の安堵、嫌な予感が現実に近づいていく寒気、キャラクターとの別れの寂寥感。教典も、クリムゾンも、新世界も、大抵そうでした。 やっぱり、小説はそうでないと。いい経験をさせてもらいました。
0投稿日: 2013.12.28
ダークゾーン(上)
貴志祐介
祥伝社文庫
また新しい世界に出会ってしまった・・
この作家さんの頭の中って、どんなことになっているんだろ・・!? と、思わず呻かずにはいられない作品。また新しい発想の本に逢ったな、と思ったら、大概この人の作品のような気がします。 もちろん、設定だけなら奇抜なものは沢山あるでしょう。けどこの方の作品の驚くべきところは、きちんとミステリーという根底を抑えたままで、我々に未知の世界の冒険心とか不気味さとかをくすぐってくれているところなのではないでしょうか。 ・・と、この感想はちょっと早かったですね。後半、信頼はしてますけど、どんな結末が待っているかは分からないですから。 いざ下巻!
1投稿日: 2013.12.28
セクシャル・ハンター・ライオット1
築地俊彦,はましま薫夫
講談社ラノベ文庫
これはよい下ネタ
な、な、なんじゃこりゃぁ!? 久々の衝撃的な一冊でした。いい意味で、です。 まず、1ページ目からパンツ丸出しのイラストがあり、しかも性欲を力にして怪物に対抗する的な設定で、官能小説買っちゃったか、とも思ったのですが、進めてみると意外に過激でなくでちょっと好印象でした。 そして本作は何といっても、下ネタが大変面白く、官能ものかと身構えさせられたところを不意打ち的に笑わせられたので、何か精神的におかしくなってしましました。いや、こんなに笑った本はいつ以来だろう。。 惜しかったのは、展開に意外性が無かったのと、主人公の性格に一貫性が無かったことでしょうか。 しかし、これは本当に面白かった。お勧めです。
0投稿日: 2013.12.26
聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 1
三浦勇雄,屡那
MF文庫J
刀鍛冶はどこに行った・・
最初の1ページで、最近のラノベの変な悪ノリな雰囲気が無さそうだと分かったので、安心して最後まで読めました。 ・・と、そういう感想を持つ時点で、オヤジってことなんでしょうね。これでも思春期をラノベで育った世代なんだけどなぁ・・。 ただ、無条件に面白かったかというと、期待通りでなかった部分もチラホラありました。やっぱり、誰しもまずはタイトルと読み始めの数ページで、ラストの展開を期待するんだと思います。本作はちょっとその通りでなかったですね。まずもって、刀鍛冶という設定はどこかで生かされていたのでしょうか・・。 とはいえ、読みやすかった。次作検討中。
0投稿日: 2013.12.26
まよチキ!
あさのハジメ,菊池政治
MF文庫J
ムズムズしてしまう
なんか、読んでる最中は「こんな感想書いてやろう」とか、いろいろ考えていましたが、ラストの強引なラブコメ展開とドタバタな幕引きにあてられた感じで、途中のストーリーをすっかり忘れてしまいました・・。 自分もかなりの中二病というか中二脳を持っていて、カユい展開にもそれなりの耐性は持っているつもりでしたが、それにしてもこれはキツかったですね。 とはいえ、最近よく目にかける、山なし谷なしオチなしの真っ平らなラノベに比べたら、まだ展開に波があって良かったのではないでしょうか。 しかし、思い返すと、主人公の設定が何の伏線にもなっていなかったような。贅沢というか、勿体無いというか・・。
1投稿日: 2013.12.25
