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イヴの時間1巻
吉浦康裕,太田優姫
ヤングガンガン
いや、これはもう人でしょう。…人って何?
少なくとも一般的な日本人の性質を考えれば、そもそも「不気味の谷」を越えてしまった完全な人型であるアンドロイドをただの機械として扱うほうが不自然に感じます。物語の中でしきりにテレビでアンドロイドは人ではないと倫理委員会が啓蒙活動をしているのが象徴的です。 この物語の世界では大きな社会問題になっていて、情報操作や、人としての倫理観、アイデンティティの喪失、根源的な恐怖心等の影響によって、アンドロイドを人として扱うことをこの物語の設定ではアンドロイド精神依存症、通称「ドリ系」と呼んで蔑みの対象になっています。 そのような状況の中で、アンドロイドたちが喫茶店「イブの時間」の中でのみで見せる人間らしい姿を目撃した主人公の視点で物語は進みます。「イブの時間」の正体とは?読んでる最中から、何度も「人って何?」と考えさせられました。
3投稿日: 2013.12.13旅屋おかえり
原田マハ
集英社文庫
旅の魔法使い
旅レポーター「おかえり」こと、丘えりか。 彼女は何より旅が好き。 そんな彼女の姿見て、関わる人も楽しくなる。 そんな彼女を助けたい。力になろうと優しくなれる。 そんな彼女もだからこそ、頑張ろうと前向きに。 正方向のスパイラル、彼女は旅の魔法使い。 旅に出て、無事に帰って「おかえりなさい。」 いい言葉ですね。
1投稿日: 2013.12.07ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
大森藤ノ,ヤスダスズヒト
GA文庫
これぞ王道!熱い物語です。
冒険者が都市が所有するダンジョンに挑むというイマドキのライトノベル、ネット小説にありがちな設定ですが、神様の設定や、その神様に関わる成長の設定はなかなかよく考えられていて面白いです。 また、この作品にはレベルという概念がありますが、他の作品と少し考え方が違っていて、レベルが上がるということはチャクラを開くというか、神様に一歩近づくといった考え方になっています。なので、2レベルも違うともう人としての階層が違うのか、少なくとも1対1では絶対に勝てない存在になります。 主人公のベル君はそのレベルが遥か上の存在に恋をしてしまったから大変です。高みにいる存在、まさに高嶺の花に近づこうと必死に努力するまっすぐな少年の熱い成長物語で、これぞ王道!と言える作品になっています。ぜひ3巻まで一気読みしてください。
1投稿日: 2013.12.06プラネテス(1)
幸村誠
モーニング
本質はSFというより哲学的
設定やストーリーは見事なまでにSFですが、この物語の本質は人生などの根本原理を追求する哲学です。宇宙に出て自分というちっぽけな存在について本質を探るといった系統の作品は特に珍しくはありませんが、本作はとても上手くまとめられていて完成度の高い作品となっています。
5投稿日: 2013.12.06ふわふわの泉
野尻抱介
ハヤカワ文庫JA
気軽に読めるSFです。
私は当初、「ふわふわ」という言葉と扉絵からもっとおっとりした物語をイメージしていましたが、おっとりしているのは主人公の性格だけで、大筋は世界を変える大発見、それに伴う研究開発がメインとなっています。 ちょっとトントン拍子に開発が進み過ぎるのが気になりますが、それを気にする自分は野暮ですかね。 中盤以降に唐突に前触れもなく登場する霧子さんの存在には唖然とさせられました。なんか軽いしw 硬派で重厚なSFが好きな人にはちょっと物足りないかもしれませんが、気軽に読める良い作品だと思います。
0投稿日: 2013.12.06長歌行 1
夏達
ウルトラジャンプ
これからの展開に期待の戦記もの
かわいい顔に似合わず苛烈、冷徹。知略を武器に男装の軍師李長歌の戦いの始まりです。 セリフ一言一言に重みがあり、一方的なチートものでもなく、様々な勢力、敵味方の思惑が交錯する 本格的な戦記ものになっています。 これからの展開次第ですがこの手の戦記ものとしてはかなりの良作の予感をひしひしと感じます。
2投稿日: 2013.12.01夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦
角川文庫
日常でありながら非現実的な奇妙な世界観
「奇遇ですね」「たまたま通りかかったものだから」 純粋無垢で変ちくりんな感性の黒髪の乙女と、その乙女に想いを遂げようと迂遠なアプローチを続ける健気?で臆病な妄想たくましいロマンチスト男の二人の視点で展開される物語。 登場人物尽く一癖も二癖もあり。とある大学生の日常的なお話であるはずが非現実的な奇妙な世界観に侵食され読者を魅了します。 「おともだちパンチ」と「なむなむ」に密かに萌えつつ、楽しく読ませて頂きました。 しかし最後の無駄にファンタジー...。なんか笑えた。
2投稿日: 2013.12.01四月は君の嘘(7)
新川直司
月刊少年マガジン
音楽を題材にした漫画についての雑感
音楽を題材にした漫画が大好きです。といっても音楽に詳しいわけでも絶対音感を備えているわけでもありません。どちらかと言うと音痴です。だからこそ歌を歌える歌手に、楽器を奏でられる奏者に憧れ、ストーリーの中に没入できるのだろうと思います。 音楽漫画の最大の魅力は、想像力次第で無限大に心を動かす演奏を頭の中で奏でることができるところです。その想像力を最大限に刺激してもらう為、音楽の演奏シーンとそれに至るまでの過程でどこまで読者の心を揺さぶれるかが音楽漫画の心魂です。 この作品の7巻では、これまでの6巻までの過程を含めて大いに揺さぶられました。 演奏後、次の過程に備えたシーンに移行しますが、そこでも切なさと甘酸っぱさと、ちらりと見える暗い影...。次の演奏シーンが楽しみです。
4投稿日: 2013.12.01攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(3)
衣谷遊
ヤングマガジン
世界観にあったストーリーとバックボーンにあるテーマ性
ストーリーは、これまた近未来SFにふさわしい内容になっています。ここまで3巻まで読み進めましたが、1巻1話毎にそれぞれにテーマがきちんとあって、なかなか考えさせられます 草薙少佐とマルセロの格闘シーンがかっこ良かったです。体幹に一本筋が通っている感じがして衣谷遊先生の画力の凄みを感じます。 私は攻殻機動隊のアニメは映画版しか見たことありません。だんだんとアニメ版の攻殻機動隊SACもまとめて見てみたくなってきました。
0投稿日: 2013.11.30攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(2)
衣谷遊
ヤングマガジン
多脚戦車vs公安9課
話全体で見るとよくある設定で目新しくはありませんでしたが、最新型の多脚戦車と公安9課のタチコマとのカー?チェイス!現場とは別に展開する事務方での交渉、駆け引き。緊迫感があって見応え十分です。
1投稿日: 2013.11.30