nakさんのレビュー
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疲れないカラダの作り方
サニー久永 / ゴマブックス
実践すれば「疲れないカラダ」になれるでしょう。
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チェックシート形式で問題点を確認しながら様々な疲れの原因と対策を教示する本で、対策の一つとして、ジョイレッチと名付けた疲労回復や骨盤矯正のためのストレッチの方法が結構な数、紹介されています。
このジ…ョイトレッチですが、私自身が普段から仕事の合間や、運動後等、こまめにストレッチを行っているからかもしれませんが、誰に教わるでもなく普段からやっているストレッチや知識として知っているものも含めると目新しいものはほとんどありませんでした。(効果は高いと思います。)
そして、原因や対策について内容毎に細かく書いてはあるとはいえ、こちらもあまり目新しいことは書かれておらず、この本に書いていることを物凄く乱暴にざっくりとまとめてしまうと結局は「規則正しく、健康的な生活を送りなさい」ということで、文章もただの教科書を読んでいるようです。
ここに書いていることを実践すれば疲れない身体にはなれるとは思いますが、なんでしょうこの残念な感じは...。最近疲れやすいと感じるようになったので、この本のタイトルに惹かれ購入してみたのですが、読む前は何かを変えられるかもしれないと甘い期待を抱いてしまっていたのでしょうね。疲れない身体を作るためにはこれが正しい方法で、近道はないことだというのは分かりました(苦笑)
ちょっと目新しいところではアロマセラピーを勧めていていることでしょうか。「疲れ目」、「慢性疲労」、「肩こり、腰痛」等、その症状別にアロマセラピーのコツとエッセンシャルオイルの種類やその効果について、レシピがまとめてられており、筆者曰く、「アロマテラピーは瞬時に自分を変えられる魔法」とのことでなかなか面白かったです。 続きを読む投稿日:2014.11.16
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ダンジョン飯 1巻
九井諒子 / HARTA COMIX
ありそう?でなかった。発想の勝利。
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様々な絵柄を書き分け、特徴的で豊かな感性を感じる短編が中心だった筆者の初の長編連載です。ダンジョンでとれる食材を料理するタイトルそのまんまの内容です。
ダンジョンはいわゆるテンプレ的なもので、死んで…も復活するゲーム仕様です。出てくるモンスターも定番なものばかりです。ここまでだとライトノベルやネット小説レベルでよくある設定ですが、妙な生真面目さとどこか間が抜けた雰囲気があり、個性的なキャラとアイデアは流石で、筆者らしさに溢れています。ダンジョンものなのに危機感が全く感じません。
それにしても動く鎧のフルコース…、この発想はないです(笑) 続きを読む投稿日:2015.02.14
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本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘I」
香月美夜, 椎名優 / TOブックス
おすすめ!読んでて楽しい!
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話の概要はざっくり言ってしまうと、本が好きで堪らない現代人が異世界に転生し、現代知識を生かして司書を目指すお話です。これだけ書くとネット小説界に吹き荒れる「異世界転生成り上がりもの」のテンプレとも言え…る設定ですが、書く人が書くとこんなに面白くなる。
身分制度がしっかりと確立している世界で下町の兵士の娘として転生した主人公マイン。早速本を読もうと探しますが、転生した世界は識字率が著しく低く、紙やインクの値段がとんでもなく高い世界でした。マインの回りでは本どころか、文字すら見かけない状態。町に本屋すらない!本は何処?そうだ!ないなら作ればいいじゃない!と本に囲まれた生活を目指して、奮闘開始です。
本の為なら自重を遥か彼方に置き忘れ、暴走するマインが巻き起こす騒動に笑いを誘われます。とても可愛らしい主人公ですが、なかなかいい性格で、一人称視点での語りや登場人物たちとのやりとりにニヤニヤ、クスクス、時にはホロリと無表情に読むことが難しい作品です。 続きを読む投稿日:2015.03.02
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黒博物館 ゴーストアンドレディ(上)
藤田和日郎 / モーニング
どうしたらあの人物の話からこんな物語を思いつくのか?
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もともとこの漫画を手に取ったのは、NHKの「浦沢直樹の漫勉」がきっかけです。たまたま視たのが「藤田和日郎」の登場した回で、本作を作成中の仕事場の風景を撮ったものでしたが、そこでの漫画の描き方に驚き、浦…沢直樹先生が言った藤田和日郎の描く漫画の「この世ならざるモノの目」という言葉に強く共感しました。
「この世ならざるモノ」 に限らず、藤田和日郎の描く人物たちの何と魅力的なことか。まさに目の表情から生み出すあの圧倒的な存在感と迫力は、他と一線を画し、その絵に負けない独創性豊かで重厚なストーリーと緊張感を生み出す演出に惹きつけられずにはいられません。
本作は上下巻600ページ程の物語ですが、 伝記にもなるような誰もが知っている人物のお話を、史実に沿いながら、怪奇・闘争・正義・信念・偽善・人道そして愛と、これでもかというほど様々な要素を濃密に盛り込みつつ、ファンタジックで独創的に仕上げています。
改めて藤田和日郎という漫画家の凄みを感じさせられました。
続きを読む投稿日:2015.09.18
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アルスラーン戦記(1)
荒川弘, 田中芳樹 / 別冊少年マガジン
荒川弘ならではのアルスラーン戦記に期待
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アルスラーン戦記は原作である小説をこれでもかというほど何度も読み返しています。それだけに頭の中でガッチリとイメージが固まっているため、 話のテンポや間が若干速いと感じる部分あったり、 キャラクターデザ…インにとんでもなく違和感があったりと、非常に私的な戸惑いがありましたが、2巻まで読んで徐々に慣れてきました。
今のところキャラクターデザイン以外は、ストーリー、台詞などはほぼ原作通りです。それだけに1巻最初のオリジナル部分が今後どうストーリーに影響してくるのか楽しみでたまりません。
是非とも荒川弘ならではのアルスラーン戦記を展開してもらい、新鮮な驚きを期待したいところです。 続きを読む投稿日:2014.05.09
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夜市
恒川光太郎 / 角川ホラー文庫
こことここでない世界が交わる場所
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「夜市」と「風の古道」の二編が収録されています。どちらもふっと不可思議な世界に紛れ込んでしまうお話です。
「最初に姿を現したのは永久放浪者だった。」夜市に入った時の一行目の文章です。あまりに唐突で「…?」となり、ページを飛ばしてしまったのかと前のページを確認してしまいました。その先をしばらく読んでも永久放浪者についての説明もなく、知っていて当然のように話は続きます。ああ、何か不可思議な世界に紛れ込んだのだと感じさせ、一気にワクワクしてきました。この辺の演出がニクイです。
「風の古道」の元となった武蔵野の多摩湖自転車道ですが、途中自動車が通る為の道路で何度も分断され、その都度嫌がらせのようにしつこく車止めが設置されていて興はそがれますが、多摩湖の周辺以外は本当に一直線です。そして自転車道というより隠れた裏道という印象を受ける部分もあり、本文にある「玄関を道側に向けていない」という部分もそこからインスピレーションを受けたのかなあと思いました。その他にも私が通った時に感じた印象を感じさせる部分もあり、そのせいか明らかに非現実的な空間でありながら、既視感を覚えました。
二編とももの凄いく怖いという類のお話ではありませんが、例えば道を歩いていて妙に静かに感じ、ふと見ると人の流れが途切れていて、何かから取り残されたような不安感、それでいてどこかワクワクするような、そんな得も知れぬ感情を感じさせるのが上手い作家さんだと思います。 続きを読む投稿日:2014.10.05