nakさんのレビュー
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働かないアリに意義がある
長谷川英祐 / 中経の文庫
働かないんじゃない、働けないんだ!
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個ではなく集団(コロニー)で種の存続の為に動く社会的な生物で、中でもアリやハチ等のように繁殖と労働をそれぞれ専門の個体がこなす等の特殊な生態を持つ生物を真社会性生物と言うそうです。単純な思考しかできな…いアリやハチたちがどのようなメカニズムで組織として働けるのかが説明されています。
完全にその組織の歯車として働いているように見えて、実は一匹一匹それぞれに個性と呼べるものを持っているというのには驚かされます。そしてその一匹一匹の個性こそがコロニーの中で非常に重要な意味を持ち、種の存続になくてはならないものになっていて、進化の過程で脈々と受け継がれ、生命の営みのなかで淘汰を繰り返しながら合理的に最適化されたシステム(社会)とは、本当によくできているものだなあと感心させられました。中にはそのシステムにただ乗りし、利益のみを享受する裏切り者(チーター)もいるみたいで、成熟度、複雑さに係わらず、社会があればどこにでも不埒な者がいるというのは面白いところです。
そういった個性や個体がどのように形成されるのか、そもそも真社会性生物として何故進化したのか等、その答え(仮説を含む)を提示しています。
各章の最後にその章でのまとめがあったり、人間社会を例に充て、または比較したりしながら、理解してもらおうと書かれている点は好感です。真社会性生物を専門に研究している方が書いている本なので雑学としては非常に濃い内容になっています。
アリやハチの生態を雑学として披露する機会はそうはないとは思いますが、個人の知的好奇心を満たすという意味で、私にとって満足度が高い一冊となりました。 続きを読む投稿日:2017.11.19
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波よ聞いてくれ(3)
沙村広明 / アフタヌーン
もう存在自体が楽しいミナレw
3
一歩間違えると非常にさむい漫画になってもおかしくないのに何かもう色々と絶妙すぎて、いやーすごいわ。この漫画。
ミナレが面白すぎてそこにいるだけで楽しい。もちろんミナレをいろんな意味で引き立てる脇を固…めるレギュラー陣も最高です。
現実の方が奇々怪々?いいえそれを言うならミナレという存在こそ...(笑)
続きを読む投稿日:2016.12.15
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ハイキュー!! 24
古舘春一 / 週刊少年ジャンプ
日向の貪欲さ
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今巻は特に試合もない練習シーンだけでしたが凄く面白かった!
全日本ユースの合宿に呼ばれた影山ですが、日向は日向らしい行動力と向上心を見せてくれ、ワクワクさせてくれます。相変わらず魅せ方が上手いですね…。
そして影山が参加したユース合宿では個性的でくせ者揃いの選手たちがぞろぞろと。その中にまた日向のライバルになりそうな選手の登場に、今後の展開を期待してしまいます。
続きを読む投稿日:2016.12.15
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ベイビーステップ(42)
勝木光 / 週刊少年マガジン
久々の一巻丸ごとがっつり試合。
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前巻で覚醒を見せてくれたエーちゃんですが、それはそれ。上を見るといくらでも強敵がいるプロの世界。チャレンジャーズ本選1回戦の相手は、前回数ページのダイジェストでサクッと負けた○○選手です。エーちゃんよ…りもパワーがないという珍しい相手ながら戦略・戦術と抜群とスイングコントロールを持つ、ある意味エーちゃんに似ている選手です。
琢磨戦等のように読みながら指が震えるようなギリギリの緊張感という展開ではないものの、 毎回よく考えるなあと感心する工夫を凝らした展開に、相変わらずのワクワク感です。ここ数巻、展開的に仕方がないとはいえ、試合数をこなしているというダイジェスト的な試合内容が多かったので(それでも面白かったですが)、今巻は良かったです。
続きを読む投稿日:2016.11.25
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ダンジョン飯 3巻
九井諒子 / HARTA COMIX
相変わらずの面白さ、でも...
2
作品自体は相変わらず面白いですが、3巻まで読んでふと思ったことは、そろそろ短編読みたいなあでした。ダンジョン飯という作品は画風や発想力等、この作者が持つポテンシャルのほんの一部しか使われていないのでは…ないかという想いがふつふつと沸いてきました。
短編を作れる漫画家というのは最近では案外貴重な存在になっているような気がするので、この作者にはむしろそっちを極めてもらいたい等と身勝手な想いを抱いてしまいました。
続きを読む投稿日:2016.11.02
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ロードス島戦記 ファリスの聖女 電子版(上)
山田章博, 水野良 / カドカワデジタルコミックス
魔神戦争時代の英雄達の物語。
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ストーリーとしては物語の壮大さ、登場人物の濃さ、物語の結末といい、本編より面白いとも思えるのが、この魔神戦争時代。
小説版のロードス島伝説の消されたもう一人の英雄の話も面白かったですが、この漫画は神…官戦士フラウスを主人公とした物語となっています。
この漫画の魅力はストーリーはもちろんですが、何と言っても山田章博の描く圧倒的な画力です。ネガティブなことを言えば構図やコマ割りに問題があるのか、「漫画」としての「動き」とセリフの順番が分かりづらく、決して読み易いとは言い難いです。しかしながら、山田章博氏の描く絵は漫画というよりも、それこそ歴史的建造物や古代の遺跡に描かれるような「壁画」をイメージさせられ、それがこのロードス島「伝説」の雰囲気に恐ろしくぴったりとはまっているように感じます。 続きを読む投稿日:2016.10.03