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maxsekiさんのレビュー
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  • 探偵の探偵II

    探偵の探偵II

    松岡圭祐

    講談社文庫

    前作以上にハード&タフ

    万能鑑定士Qシリーズをはじめとする松岡作品ではあまり凶悪事件が起こらない先入観があるのですが、前作にも増してハードな内容となっていることにビックリしました。特に最後の闘いでは衝撃の展開が待っています。本巻だけ読むと、妹の死に助力した悪徳探偵「死神」を見つけるという本来の目的はあまり進展しないようにも見えるのですが、実はしっかりと伏線が張られており、次巻ではいよいよ死神と対峙することになります。今後のシリーズ展開が楽しみです。

    2
    投稿日: 2015.08.22
  • 幽落町おばけ駄菓子屋

    幽落町おばけ駄菓子屋

    蒼月海里

    角川ホラー文庫

    幽落町おばけ駄菓子屋シリーズ一作目

    あの世とこの世の狭間にある幽落町(ゆうらくちょう)を舞台としたハートウォーミングな物語。ウォッチな妖怪は出てきませんが、それに負けず劣らず楽しいアヤカシたちがお話を盛り上げてくれます。瑞々しくやさしい文章は読みやすく、重厚なものはちょっと・・・という方にもオススメです。登場人物にイケメンが多いこともあり(想像)、テレビドラマ化されても面白いなと思いました。

    3
    投稿日: 2015.08.21
  • 百年法 上

    百年法 上

    山田宗樹

    角川文庫

    上下巻通しての感想です。

    「不老不死」という禁断の果実を手に入れた日本人が国の未来に向けてどのような選択をとるのか。非常に重いテーマを扱った作品となっています。「不老不死」は夢の技術ですが決して幸せだけを生むわけではなく、人口爆発を避けたり新陳代謝を即すためには法律による強制的な死が必要となります。それが「百年法」なのですが、その必要性がわかっていながらも自らの命は絶ちたくがないために導入を拒む国民。このあたりのジレンマは実にリアルで、最近関西であった地方選挙を思い出してしまいました。設定はSFそのものですが、中身は人間ドラマあり、政治ドラマありと娯楽性たっぷりに描かれています。重厚な読み応えと高いエンタメ性を両立させている一押し作品です!

    2
    投稿日: 2015.07.18
  • 万能鑑定士Qの事件簿 XII

    万能鑑定士Qの事件簿 XII

    松岡圭祐

    角川文庫

    太陽の塔を舞台とした密室事件

    とりあえずの最終巻になります。ウエディングドレス姿の表紙絵を見て、小笠原との距離が一気に近づくことに期待していたのですが・・・そちらは少々期待ハズレでしたw 話の中心は太陽の塔を舞台とした密室事件。太陽の塔を鑑定するという大きな依頼が舞い込むのですが、これが一筋縄にはいかず、あの雨森華蓮(服役中)と協力しながら真相に迫ることに。このあたりのシーンは緊張感があって非常によかったと思います。これで一旦の締めくくりとなる本シリーズですが、きっと再び見せてくれるであろう活躍が今から楽しみです。

    1
    投稿日: 2015.07.12
  • 探偵の探偵

    探偵の探偵

    松岡圭祐

    講談社文庫

    美少女が裏社会に立ち向かう大人のエンタメ作品

    万能鑑定士シリーズとは一線を画するバイオレンスシーン満載のハードな作品です。文武両道かつ容姿端麗なヒロインには松岡作品らしさを感じますが、その美少女が殴られたり殺されかけたり、まさに表紙カバーのようにボロボロな姿になっていきます。それでも強い意志をもって前へ前へ進んでいく主人公の姿が本作最大の魅力と感じました。暴力シーンが苦手な人には勧めづらいところもあるのですが、大人向けエンタメ作品として高いクオリティを誇っています。テレビ向きではない印象の本作ですが、どうドラマ化されるのか、放映が楽しみです。(追記:ドラマは1〜3巻が描かれています)

    5
    投稿日: 2015.07.03
  • 帝王、死すべし

    帝王、死すべし

    折原一

    講談社文庫

    折原マジックもキレはいまひとつ

    著者らしい叙述トリックものです。途中わずかな違和感を覚えつつもその正体がわからない。最後の最後になって「ああそういうことだったのかー」と心地よい驚きを与えてくれる。それが折原作品に期待するところですが、本作については種明かしされても意外性に乏しく、いまひとつキレがなかった印象です。中だるみも感じたので、この長さならばもう一捻りほしかったと言うのが正直なところ。しかし、登場人物たちの様々な思惑が交錯して、ラストに向かっていく過程はなかなか面白く、著者の底力を感じられました。

    0
    投稿日: 2015.05.22
  • 六花の勇者

    六花の勇者

    山形石雄

    ダッシュエックス文庫DIGITAL

    ファンタジー × ミステリー

    剣と魔法の世界のファンタジーです。復活した魔神を倒すべく各地から選ばれた6人の勇者。しかし、集合場所にはなぜか7人の勇者が集っていた・・・というストーリー。偽の勇者のレッテルを貼られた主人公が、他6人に追われながらも真相に迫っていくのですが、戦闘シーンが緊張感たっぷりで非常に読み応えがありました。バトルものとしても楽しめます。また、最大の特徴として、ミステリー色が濃いことが挙げられます。真犯人ならぬ偽勇者をあぶり出したり、密室の謎を解き明かす過程はミステリーそのもの。言い方を変えれば、特殊設定での雪山の山荘モノとも言えます。ファンタジーとミステリーの融合型として完成度が高いだけでなく、何よりエンターテインメントしても非常に面白い、お気に入りの作品です。

    4
    投稿日: 2015.04.05
  • 超巨大密室殺人事件

    超巨大密室殺人事件

    二宮敦人

    角川ホラー文庫

    オンラインRPG殺人事件

    角川ホラー文庫ですが、ホラー要素はほぼありません。むしろテレビゲームというデジタルの世界を扱っていますので、ホラーとは対極にあると言ってもよいほどです。おそらく著者はプレイ経験者なのでしょう。オンラインRPGの描写もリアルでした。しかしながら、ゲーム内の事件だけを扱った作品というわけではなく、オンラインRPG内の事件と実世界の事件。この2つの事件を通して1つの真相を浮かび上がらせるという構成になっています。コンパクトにまとめられており、うまく緊張感を保ったままクライマックスシーンに繋げられています。一方、マイナス点としては、登場人物が少ないために真相が想像できてしまう点と、タイトルと内容があっていない点でしょうか。ただ、テレビゲーム(特にオンラインゲーム)が好きな方であれば共感できるところも多く、概ね満足のいく内容になっているかと思います。

    1
    投稿日: 2015.03.24
  • 万能鑑定士Qの事件簿 XI

    万能鑑定士Qの事件簿 XI

    松岡圭祐

    角川文庫

    古都を舞台にした同門対決

    シリーズ11作目は京都が舞台。不正な方法で参拝客を集める住職と対峙することになるのですが、その住職がなんと莉子の師匠でもある瀬戸内の弟子。つまり兄弟子との同門対決になるのです。古都を舞台に激しい頭脳戦が繰り広げられます。また、本作は小笠原との距離が一気に縮むところもシリーズファンとしては見逃せません。次作の表紙がウエディングドレスであることを考えると、その前振りになっている・・のかも?

    1
    投稿日: 2015.03.01
  • 万能鑑定士Qの事件簿 X

    万能鑑定士Qの事件簿 X

    松岡圭祐

    角川文庫

    駆け出し鑑定士の成長物語

    記念すべき10作目にして原点回帰とも言える作品です。1〜2巻に続く物語であり、開業直後の莉子の初々しい姿を見ることができます。この頃の莉子はまだ駆け出しで、詐欺に騙されるなど不安いっぱいでしたが、事件を通して少しずつ論理的な思考を身につけていきます。その成長過程で、今の自分に出来ることを必死に行い、被害者を助けようとする姿はとても感動的です。莉子の成長物語であり、原点を感じとれる濃密な一冊となっています。

    2
    投稿日: 2015.02.08