
死都日本
石黒耀
講談社文庫
驚異の描写力
火山の破局的大噴火によるディザスターパニック小説。 もちろんフィクションなのだが、過去の歴史や伝承、火山学に基づいた予測と考察により、まるで実際起こった現場を見てきたかのような緻密な描写と桁違いの災害シミュレーションで、読んでいるこちらも息苦しさを感じるほど引き込まれた。 いささか荒唐無稽に思えるところもあるが、日本の地表面積は世界の陸地の0.3%にも満たないというのに、火山の割合は世界の10%という現実、そして国内の火山地帯の最近の不安定な状況を見ていると、大袈裟ではなく今読んでおくべき小説なのかもしれない。 ジョジョで例えると、 究極生命体カーズでさえ火山の爆発的エネルギーには勝てなかった・・
2投稿日: 2015.05.10
六花の勇者 2
山形石雄
ダッシュエックス文庫DIGITAL
宿敵登場
アドレットの仇でもあり、彼が最強を志す唯一にして最大の理由ともいえる宿敵テグネア現る。 単に強いだけでなく、様々な策略を巡らす今後のキーキャラクター登場で、物語は大きく動き出す。 やはり戦いの物語というのは魅力的な敵がいてこそ映える。 そして7人目はあの人なの!? ジョジョで例えると、 「史上最弱が最も最も恐ろしい」
0投稿日: 2015.04.16
六花の勇者
山形石雄
ダッシュエックス文庫DIGITAL
ファンタジーとミステリー
設定だけ見ると日本のSF名作「11人いる!」を思い出させるが、読了後はラノベ的ファンタジーワールドでのミステリー要素を含んだ作品でいうと、初期の「戯言シリーズ」や、「トリックスターズ」に近い印象を受けた。 いわゆる「剣と魔法」の世界観なので、問題に対して論理的な解法を示すのは難しいのではないかと思っていたところ、個性的なキャラクターたちの顔見せと推理材料の提示を行いつつ、アンフェアギリギリのファンタジーならではの料理法で描ききったのはお見事。 そして最後の最後でまさかの展開をさせてくるあたり、次巻への期待も半端ない。 「戦う司書」で超展開の大風呂敷を畳んで完結させた著者の新シリーズ、今後も注目! ジョジョで例えると、 「相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している」
3投稿日: 2015.02.04
僕とおじいちゃんと魔法の塔 2
香月日輪
角川文庫
出会いの章
あっという間に時は流れ、小学生だった龍神も高校に入学する時期が来た。 成長したそれぞれのキャラクタたちの自己紹介的にストーリーは進む。 1巻よりもさらに魔法らしく、賑やかに楽しげに、塔とおじいちゃんと龍神の周りに集まる面子に、さらに突拍子もない人物(?)が! この出会いも必然か。 次巻も必読だね。 ジョジョに例えると、 君は『引力』を信じるか?人と人の間には『引力』があるということを…
2投稿日: 2014.06.17
僕とおじいちゃんと魔法の塔 1
香月日輪
角川文庫
少年の成長物語
著者お得意の、日常と非日常が隣り合うほのぼのファンタジーワールド。 一見家庭も学校生活も円満な少年「龍神( たつみ)」は、ある日祖父の遺した魔法の塔と、幽霊となった祖父自身と出会うことで、自分を見つめ直すことになる。 今まで当たり前だと思っていたこと、疑問を感じなかったこと、善いこと悪いことだと思っていたことが、祖父の言葉や塔の美しく妖しくそして心躍る風景を通じてあっさり崩れていく。 「子供だから」できないしょうがない、ではなく、「子供だからこそ」ありのままに感じることを大事にしたい。 自分もまだ親としては新米なので、龍神と父親との衝突は人事ではなくハラハラしたり(笑) ジョジョに例えると この『物語』は、ぼくが立ち上がる物語だ。
3投稿日: 2014.06.17
All You Need Is Kill
桜坂洋
集英社スーパーダッシュ文庫
展開が気になる
時間繰り返しものはいくつか見てきたけど、戦場に限定されたパターンは初めて。 新兵であるキリヤは人類と敵対する謎の生物(?)との戦いで命を落としてしまうが、直後に出撃前日に戻ってしまうという現象に見舞われる。 逃げても戦っても巻き戻される日々に、キリヤは無限の時間を有効に使う覚悟を決める。 何故時間は繰り返されるのか? 殺し殺される悪夢の中でキリヤは成長できるのか? そして運命の出会いへ。 これほど危険で切ないボーイミーツガール小説はあっただろうか。 続きが気になり一気読み必至!
22投稿日: 2014.01.01
黒い仏
殊能将之
講談社文庫
とんでもミステリ
いやー、これはスゴイ。 人によってはまるで受け付けられないかもしれないが、「名探偵 VS 真犯人」という使い古された縮図を超絶的に加速させて宇宙を二巡くらいした衝撃作。 とんでも映画「フォーガットン」が許せる人向け。 私はどっちもいけます。
0投稿日: 2013.11.09
心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている
神永学,鈴木康士
角川文庫
テンポ良いです
興味を引く導入部と、テンポよく進むストーリーで読みやすい。 キャラクターは魅力的。 ミステリ分よりも心霊分が多め。 あと若干のラブコメ分。 かなりツボです。
3投稿日: 2013.11.09
秋期限定栗きんとん事件 下
米澤穂信
創元推理文庫
まさに外道
解決編だけで満足度★5 小鳩くんと小山内さんが外道過ぎるwww やはりこのシリーズはこの二人が主役だ。 最後の流れに至るカタルシスが凄い。
0投稿日: 2013.11.09
秋期限定栗きんとん事件 上
米澤穂信
創元推理文庫
下巻必読
シリーズの主人公小鳩くんの他、もう一人の語り手によりストーリーが進んでいくのだが、もう一人のほうの性格がちょっとアレでウザくて、読むペースが落ちる。。 けど下巻を読んだ今だから言える。 だからこそいいんじゃないか。 下巻必読。
0投稿日: 2013.11.09
