スカイフィッシュさんのレビュー
参考にされた数
777
このユーザーのレビュー
-
空色勾玉
荻原規子 / 徳間文庫
古事記・日本書紀をベースにした日本成立ファンタジー
9
解説によると、女性作家さんが自分の読みたいファンタジーを描いた、とのこと。読み終えて振り返れば確かに、古事記や日本書紀をベースにしつつも少女が憧れる人生や恋・冒険が満載のシンデレラストーリー。主人公の…少女は、普通に田舎暮らしていたら実は姫であり巫女。少女を迎えに来る超美形の白馬の王子。ちょい意地悪なお姉さん。そんな中で出会う〈大蛇の剣〉の主、稚羽矢との展開もまさに王道シナリオ。でも読んでいる最中はそんな裏読みをする余裕などありません。古代日本の成り立ちの過程を見事に小説として読ませてくれ、私の伝奇考古学的な興味を存分に刺激されて一気に読み終えました。古代日本の謎に興味を持っている男なら、楽しく読めると思います。読書時間は約4時間、途中興味を失うことなく2日間くらいで行けます。 続きを読む
投稿日:2015.06.23
-
機動戦士ガンダム THE ORIGIN(5)
安彦良和, 矢立肇, 富野由悠季, 大河原邦男 / 角川コミックス・エース
TV版との微妙な違いを発見するのが楽しい!
8
基本構成はTV版と同じだが、ディテールの違いに出会うのが楽しい。地球に降りた後のホワイトベースの航路が違っていて、そんなルートでジャブロー目指すのか!とか、カイのセリフが一層空気読んでなくて、セイラさ…んのカイへの風当たりがもっと強かったり。グフのノーズが妙に長いのも気になる。あと、ガルマの死の責任をとってシャーが更迭された後のエピソードなど、結構発見があって深く楽しめるのがORIGINの魅力。 続きを読む
投稿日:2014.09.29
-
タイム・シップ〔新版〕
スティーヴン バクスター, 中原 尚哉 / ハヤカワ文庫SF
億の時を旅し、人類の果ての姿を見る
8
私の陳腐な想像力の殻を2つも3つも突き破って展開する、果てしない未来の人類のカタチの描写。1800年代をオリジナルの時代とし、数十年~億の未来の人類とその進んできた道程をヴィジョナリーに見せてくれるこ…れぞ!SFという醍醐味あふれる作品。まるで数億年分の人類の変遷を自分が見ているよかのような。オリジナルのタイムマシンを読んだのはもう20年近く前ですが、読み返さなくてもこの作品の見せてくれるビジョン、十分楽しめました。 続きを読む
投稿日:2016.04.26
-
機動戦士ガンダム THE ORIGIN(9)
安彦良和, 矢立肇, 富野由悠季, 大河原邦男 / 角川コミックス・エース
これぞTHE ORIGINならではのオリジナル!1年戦争10年前、サイド3でのダイクン暗殺の詳細が語られる
8
新鮮です。映画でもTVでも触れられなかったサイド3でのダイクン暗殺の詳細が語られる。今まで知らなかった宇宙世紀0068年、一年戦争約10年前のサイド3エピソードが満載の超オススメ巻。ジオン・ダイクンが…唱えた人の革新とは?ダイクンはなぜ暗殺されたのか?幼いキャスバルとアルテイシアのサイド3脱出!TV版でセイラとランバ・ラルが幼年期を回想する場面があったが、そのオリジナルシーンがココにある。一年戦争10年前の主要登場人物が軒並み登場!まさかハモンさんの若い時まで出てくるとは思わなかった。 続きを読む
投稿日:2015.03.03
-
月夜の島渡り
恒川光太郎 / 角川ホラー文庫
沖縄の不思議な物語集
8
私の好きな作家さんの、沖縄怪談短編集。沖縄ならではの、亜熱帯の湿気の多い空気、離島の人気のない海岸やジャングル。未だどこかにあるかもしれない死人の魂とリンクする風習、くりかえされる生まれ変わりの伝説。…この作品は、これらを今の自分に関係ない伝説としてではなく、今の沖縄の生活や自然の中を舞台に書いてくれています、もし自分が沖縄にいったら同じ体験をしてしまうかもしれない、そう思わせてくれるのが新鮮。恐怖ではありません。どちらかと言えば切ない気持です。もしかしたら遠野物語を現代の人を主人公にして沖縄を舞台に書いたらこんな感じかもしれません。最終話「私はフーイー」の最後のシーンが、すごく心に響く作品でした。 続きを読む
投稿日:2015.11.30
-
空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
角幡唯介 / 集英社文庫
奥チベット・人跡未踏の地・世界最大の峡谷。興味を持った人ならオススメ
8
著者のプロフィールには疎かったものの、日常からかけ離れた本が読みたくなってタイトルに惹かれて購入。読書効果は、狙い通りでした。ヒマラヤ、しかもチベットの奥地。人跡未踏の世界最大の峡谷。チベットの村での…出会い。ガイドと別れた単独の探検。バックパック1つで雪の降る森で2週間。自分で実際にやらないものの、自然の厳しさにの中に身を任せて、それに耐えて旅するという一種Mっぽい充足感がもたらしてくれる歓びを感じさせてくれる本です。ツアンポー峡谷、google MapやErathで検索すると半端ない山奥。その中にツアンポー川が重く激しく流れている様子が見て取れます。著者が文章をあまり飾らずに等身大の自分のまま記述してくれており、この冒険を自分毎のように追体験できるところが貴重な作品ですね。 続きを読む
投稿日:2016.02.09