
小説 アルキメデスの大戦
佐野晶,三田紀房
講談社文庫
小説の主人公の決断に乾杯
映画も良かったけど、テンポのいいストーリー重視の映画と違い、主人公櫂直と父とのやりとりが所々に挿入され、物語に厚みを加えているのがいい。数学を武器にモンスターとなるか、数学を愛し平和のために使うのか、主人公の最後の選択に父親の存在が大きく影響しているのは間違いない。映画では描かれていない後日談も加わり、映画とは違う結末が楽しめる。それにしても、大里造船の社長はどう考えても鶴瓶以外思いつかないぐらいのはまり役だ。
0投稿日: 2019.08.30東京二十三区女 あの女は誰?
長江俊和
幻冬舎文庫
あっと驚く展開が待ってます
シリーズ2作目。そこで終わるかー!という絶妙な所でつづく?よね?相変わらず東京にまつわる蘊蓄が面白い。歌川国芳の浮世絵『東都三ッ股の図』の建物はもはやスカイツリーにしか見えないし。昨日ちょうどBBQをやった水元公園では、心霊スポットの公衆電話を探す始末。ひと駅隣に勤務してたのに立石様って知らなかったなぁ。一つ一つの短編がゾクッとさせたり、感動させたりしながら、全編を通じてオカルティックなミステリーに仕上がっている。後半にはどんでん返し的な展開が待ち受けていて、一気に読み手を混乱に陥れること間違いなし。
0投稿日: 2019.08.23捜査一課殺人班 狼のようなイルマ(祥伝社文庫)
結城充考
祥伝社文庫
ダイ・ハード日本版&女性版です
同じ女性警察官を描くクロハシリーズから更に新しいキャラクターを誕生させた結城さん。クロハよりもハチャメチャで、地道な捜査よりも勘の良さとバイクを駆使した機動力で、誰よりも早く犯人に近づいていくイルマ。そして誰よりもタフ。全身ボロボロ具合がまるでダイ・ハードのジョン・マクレーン刑事じゃないか。これはもう警察小説というより、アクション小説だと思って読まないと。でも、犯人側の生い立ちなども丁寧に描かれ、危うく同情しそうになった。それにしても「聳える」「犇めく」「頻りに」など難読文字が多いな。ルビふって!
0投稿日: 2019.08.22リハーサル
五十嵐貴久
幻冬舎文庫
この女、もう誰も止められない
じわじわと外堀から攻められて、それだけでも充分不気味で怖いのに、最後の最後でドッカーンとドデカい恐怖。やはり来たか。うわぁマジかよ。この最後はむごすぎる。正体のはっきりしない幽霊もののホラーや犯人のわからないサイコスリラーとは違い、相手の正体が最初からはっきりしているのに、こんなにも恐怖のどん底に突き落とすリカの凄さ。小細工なしでグイグイと恐怖感や嫌悪感を掻き立てる作家さんの筆力も凄いわ。次は『リメンバー』が出るらしい。まだまだ続くリカワールド。
0投稿日: 2019.08.10ルパンの帰還
横関大
講談社文庫
なぜか美人しか出てこねー
ルパンの娘の続編。今回はコミカルな要素が控え目で、いたって普通のミステリーに仕上がっている。まぁ、それはそれでいいのだけど、せっかく泥棒一家と警察一家というユニークな設定があるのに、それをあまり活かしきれていないのが残念。そこに今度は名探偵一家の娘、美雲が加わり、三雲家と名前までかぶって、なんだかややこしい人間関係が形成されつつある。しかも美雲の一目惚れの相手が・・・ええーっ!大混乱必至のこの後の展開は続編を待つしかない。
0投稿日: 2019.08.04ルパンの娘
横関大
講談社文庫
痛快コメディのラブロマンスミステリー??
近頃、深キョンにすっかりメロメロの私としては、当然ドラマも見逃せませんし、原作も読まずにはいられません。幸い、ドラマとは多少のかぶりはあるものの、基本的にストーリーや細かい設定は別物なので、ネタバレの心配もなくドラマと原作、二つを同時に楽しめます。「悔い改めな!」というキメぜりふもなければ、てんとう虫も出てきません。その代わり、和馬の着信音は「太陽に吠えろ」で華の着信音が「ルパン三世」というのが笑えます。コメディでありながら殺人事件の謎解きもあり、刑事と泥棒の娘とのロマンスあり、盛り沢山の面白さでした。
0投稿日: 2019.08.03ブラック&ホワイト
カリン・スローター,鈴木美朋
ハーパーBOOKS
レナとサラの直接対決!サラ、ついにブチキレる
ウィル・トレントシリーズ7作目。冒頭でいきなり襲撃事件。そうそう、カリンスローターはこうでなくっちゃ。スリリングな出だしからあとは目まぐるしい展開のはずが・・・んー、なんか今回はテンポ遅いなぁ。そして登場人物たちがやたら喧嘩ばっかしてるんだけど、その理由もいまいち理解に苦しむ。サラはなんで怒ってんだ?ウィルは気の毒なぐらい終始ボコられてるし、これで活躍したとはとても言えない。あと、誤植だと思うけど、強制捜査の場面でそこにいるはずのないサラが突然出て来て一瞬パニクった。レナの間違いだよね?
0投稿日: 2019.07.29AIに負けない自分で考える子どもを育てる 21世紀型教育
大橋清貫,本間勇人
秀和システム
もはや勉強の古き価値観を捨てるときです
近年、みるみる偏差値を上げている注目の三田国際学園中の学園長(元広尾学園理事長)が書かれた本。先日読んだ千代田区立麹町中の取り組みと相通じるものがある。AIに代替されない創造力、思考力、発想力を養う教育。いつまでも大学合格実績を競う教育じゃダメなんだよ。「制限のない教育」という方針が素敵だ。大学でやるような内容まで躊躇なく進める授業。基礎学習は生徒が自分でやってしまう。先生も生徒も保護者も学びの本質をよくわかっている。最先端教育を受けたいなら麹町中学→三田国際高校というルートだな。そして大学は海外。
0投稿日: 2019.07.15最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法
メンタリストDaiGo
学研
勉強は気合いと根性だけじゃダメってことです
メンタリストDaiGoさんって多才な人だなぁ。おそらくこうした効率のいい工夫が、生活のあちらこちらに染み込んでいるのだろう。様々な工夫がどこかの大学の実証データに基づいているので説得力がある。でも、ある章では勉強後に10分昼寝をしろと言い、別の章では勉強後に5分ウォーキングしろと言う。一体どっちやねん!他にも色々前後にやることが多過ぎて、とてもすべてはやりきれないなぁ。
1投稿日: 2019.07.14空母いぶき(12)
かわぐちかいじ,惠谷治
ビッグコミック
日本の未来はこの一戦にかかっている!
自衛隊11機対中国軍35機のドッグファイト。いくら自衛隊機が強いといっても、この差を覆すのは無理だろー。一方、日本政府も一歩も引かない強気の外交交渉を続ける。アメリカの同盟頼みの自国防衛か、自力での防衛なのか、これは現実においての日本の問題でもある。そろそろ日本も真剣に考えないといけない。
0投稿日: 2019.07.11