
殺人鬼 ――逆襲篇
綾辻行人
角川文庫
おぇー!
前作に引き続き、今回も一言で言うと、おぇー!という感じです。 もはや「残酷な殺し方コンテスト」みたいになってきました。 よくもまあ咄嗟に色んな殺し方が思いつくもんだとむしろ殺人鬼の創造力に驚くばかりです。 後半「殺す殺す殺す殺す」があまりにも連呼され過ぎて、ちょっとウンザリ。
0投稿日: 2016.06.14
ガリバー旅行記
ジョナサン・スウィフト,山田蘭
角川文庫
元祖天空の城ラピュタ登場
以前、読売新聞の書評欄で小泉今日子がお薦めしてた本。 ガリバー旅行記というと小人の国に行って・・・というのが有名だけど、いやいや、とんでもないスケールの話だった。 その後、巨人の国に行き、なんとあの天空の城ラピュタにも行き、江戸時代の日本にもやってきて将軍様とも謁見をしている。 そして馬が人間(社名の由来となったYahooと呼ばれている)を支配する国など、立場の違いによる価値観の相違を政治、法律、道徳、宗教、文化、思想、科学、経済など様々な視点から描く壮大な哲学書だ。 暗記パンならぬ暗記菓子も出てきたのには驚き。
0投稿日: 2016.06.14
国を蹴った男
伊東潤
講談社文庫
大名の描き方がひと味違います
吉川英治文学新人賞受賞作品。 いつもながら伊東氏の歴史の着眼点は面白い。 権力や脅しに屈せず、保身や利益に惑わされないような男気のある人物がたくさん登場する短篇集。 たとえ自分の命が失われることになったとしても、決して信念は曲げない生き方が素晴らしい。 また、直江兼続はかなりの腹黒い奴、前田利家は節操のないダサい男、長束正家は柔軟性のない算術オタク、現代ならサッカー日本代表間違いなしの今川氏真など、従来の一般的な人物像を覆す描き方が新鮮だった。
1投稿日: 2016.06.14
魔術師 上
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
上巻とは思えない盛り上がり!
ライムシリーズ5作目。 今回の相手はかなり手ごわい。なんたってイリュージョンの使い手。人をだますプロ。ありとあらゆるテクニックを繰り出して連続殺人を実行していく犯人。 まだ上巻だというのにクライマックスのような展開。 魔術師の次の一手は?ターゲットは誰か?そして動機は?いくつかの謎を残したまま下巻へ。 女性イリュージョニストの代表としてプリンセステンコーが引き合いに出されたのは日本人として嬉しいところ。
0投稿日: 2016.06.14
魔術師 下
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
犯人が鮮やかすぎる!
『デイヴィッド・カッパーフィールドとハンニバル・レクターを合体させたようなサイコ・イリュージョニスト』という解説に書かれていた表現がまさにぴったりの犯人。 最後の1ページを読み終えるまで、騙されそうで気が抜けない。 文中にさりげなくシャキール・オニールという名前が出てきたりして、バスケット好きには思わず笑みがこぼれる場面も。 それにしてもリンカーンは水のようにいつもマッカランを飲んでいるんだな。しかも18年物。ま、確かにおいしいけどね。
0投稿日: 2016.06.14
ようこそ、わが家へ
池井戸潤
小学館
社内闘争と犯罪サスペンスの両方が楽しめます
テレビドラマを観たついでに読んでみた。 原作では沢尻エリカが演じていた人物は登場せず、ちょっと残念。 テレビドラマの脚本の方がよく練られていたように思う。 原作の前半部分は緊迫感があるが、後半の解決に向かう場面は以外にあっさり。 半沢直樹のような倍返しもなく、スカッと感があまりない。 かといって、同じパターンでもつまらないのだけど。 半沢直樹のテイストにストーカーという犯罪サスペンスが加わった点では面白さは倍になったかな。
0投稿日: 2016.06.14
図書館の神様
瀬尾まいこ
ちくま文庫
図書館から始まる人間再生物語
『図書館の神様』はなんか前向きな気持ちになれる話だった。 人間的に出来すぎの高3生の垣内くんが、ある事件をきっかけにテキトー人間に成り果てた、全くやる気のない非常勤講師の早川先生をいっぱしの教師に仕立てあげていくストーリー。 どっちが先生なんだかわかんない展開や会話のやりとりが笑える。 垣内くんのお陰で、早川先生はちょっと遅い青春を味わえたのかな。 もう一つの短編『雲行き』は、なんとなくいい話になりそうな予感はするのだけど、今一つ何を描きたいのかよくわからなかったな。 もう少し長めに書いてもいいのに。
1投稿日: 2016.06.13
アントキノイノチ
さだまさし
幻冬舎文庫
さだまさしの才能が光る作品です
最初、アントニオイノキって読んじゃいました。 ふざけたタイトルに反して、内容はかなり真面目な話でした。 命の尊さ、生と死というものに思い悩んでいた主人公が、遺品整理という仕事や周囲の人々の言葉を通して、だんだん腑に落ちていくという物語。 現在と過去が交互に少しずつ描かれていく構成もいいし、途中でサスペンスタッチに切り替わるあたりも程よい緊張感がある。 いやー、さだまさしって凄いなー。
0投稿日: 2016.06.12
ちはやふる(27)
末次由紀
BE・LOVE
新、かるた部作る!
せっかく新がかるた部を作って元気になってきたのに、太一と千早はどんよりした感じ。 新は、なんか吹っ切れたというか、かるたの楽しみをつかんだみたい。 この巻は試合らしい試合がほとんどなく、普通の学園ものの話で終わっちゃったな。 ちょっと残念。
1投稿日: 2016.06.10
バーニング・ワイヤー(下)
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
ドアノブに触れなくなります
えっ?なんで? 犯人は意外な人物に辿り着く。 意表を突く展開はディーヴァーの真骨頂。 また、昔ながらの情報屋を使った操作方法に限界を感じ始めたFBI捜査官のデルレイ。 心の葛藤が実に上手く描写されている。 単なるサスペンスの面白さだけにとどまらず、人間の生き様においてもディーヴァーの筆致が冴えわたる。
0投稿日: 2016.06.10
