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future4227さんのレビュー
いいね!された数98
  • 小説 君の名は。

    小説 君の名は。

    新海誠

    角川文庫

    『転校生』+『時をかける少女』

    子どもの頃に観た大林宣彦監督の『転校生』を思い出した。 それに『時をかける少女』がミックスされた感じ。 高校生の恋愛系の話かなと思いきや途中からSFっぽくなり、しまいにはディザスターパニックの要素まで入ってきて、どんどん話が広がっていく。 笑いあり、感動ありの中にも、人の縁とか、運命の出会いの大切さを訴えてるような・・・そんなシリアスなテーマも感じられた。 子どもにも薦めたい秀作だ。 アニメも観に行こうっと。

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    投稿日: 2016.09.06
  • インフェルノ(上)

    インフェルノ(上)

    ダン・ブラウン,越前敏弥

    角川文庫

    今度の舞台はフィレンツェ だ

    ラングドンシリーズ第4弾。 初っぱなから何が起きているのか訳がわからないまま、絶体絶命のピンチが次から次へと襲ってくる。 今回はフィレンツェを舞台にした美術史とサスペンス。 建築物や美術品をネットで調べながら読むと面白い。 ヴェッキオ宮殿の五百人広間は、一面絵画と彫刻に囲まれて見事としか言いようがない。 でも、ヘラクレスとディオメデスという彫像はラングドン教授も苦手らしいが、ちょっとあり得ないモチーフだな。 ヴァザーリ回廊は一度中を通り抜けてみたい。 まだ謎が多く残されたまま中巻へ突入。

    2
    投稿日: 2016.09.01
  • 水を抱く(新潮文庫)

    水を抱く(新潮文庫)

    石田衣良

    新潮文庫

    読みながらナギの魅力に憑りつかれていきそうです

    官能小説でありながら純愛小説? こんな壊れた女性は実際いないよなぁと思いつつ、いたらいたで主人公のようにはまっていきそうな気もする。 確かに刺激の少ない日常の繰り返しの中で、ナギのような女性が突如現れたら理性も羞恥心も捨てて男も壊れてしまうかもしれない。 こういうぶっ飛んだ女性も個人的に嫌いではない。 読み進むうちに主人公の俊也とともにだんだんナギの魅力に憑りつかれていく自分がいる。 自分の中にもひょっとしたらそういう願望があるのかもしれない。 中盤からはストーカーの正体やナギの秘密、主人公の仕事の成否など気になって気になって読むスピードが加速する。

    0
    投稿日: 2016.08.24
  • 新トロイア物語

    新トロイア物語

    阿刀田高

    講談社文庫

    映画『トロイ』を上回る面白さです!

    映画『トロイ』をイメージして読んだけれど、それ以上の壮大なスケールと面白さだった。 映画で描かれた戦争までの経緯、トロイヤ滅亡後から再建までの冒険談がアイネイアスを主人公として描かれている。 半ば神話化された話を出来る限り歴史上の史実として再構築した阿刀田さんの筆力も凄い。 あり得ない話や不可能なことは阿刀田解釈によって修正されているので、いわゆるトロイの木馬作戦は多少アレンジされているが、やはりアキレウスVSヘクトルの一騎討ちは見ものだ。 地名や島が沢山出てくるので、地図がないと位置関係がわかりづらいのが難点。

    1
    投稿日: 2016.08.22
  • 明智小五郎事件簿1 「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」

    明智小五郎事件簿1 「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」

    江戸川乱歩

    集英社文庫

    若き日の明智小五郎は推理オタクの青年だった

    明智小五郎の事件を作品の発表順ではなく、事件の発生順に並べ直した短編集。 初期の頃は名探偵というより推理オタクの青年という印象が強い。 しかも風貌や仕草は金田一耕助そのもの。 犯人が誰か?ということよりもトリックをどう見破るかに力点が置かれ、松本清張のようなタッチを感じさせる。 時代が1920年ごろということもあり、やたらと古臭い言葉が並ぶのが面白い。 「冷やしコーヒー」「卓上電話機」「死骸」「賊徒」「下手人」など。 おまけに映画館は男女別の座席だったらしい。 レトロな雰囲気の正統派推理小説。

    0
    投稿日: 2016.08.10
  • ちはやふる(30)

    ちはやふる(30)

    末次由紀

    BE・LOVE

    みんなの成長光る全国大会

    いよいよ高校生活最後の全国大会。東京都予選ではスタメンにもなれなかった千早が、キャプテンとしてみんなを引っ張る。自分が強くなることよりもチームや後輩を強くすることを考え始めた千早の人間的成長が著しい。新も団体戦に初参戦。掛け声をかけるタイミングに四苦八苦する新が微笑ましい。

    2
    投稿日: 2016.08.07
  • 世界地図の下書き

    世界地図の下書き

    朝井リョウ

    集英社文庫

    仲間のために頑張る子どもたちに感動します

    児童養護施設で暮らす子どもたちの葛藤や友情、成長を描く。 突然、両親を事故で失ったり、虐待を受けたり、という過酷な状況の中で、子どもたちが友情を育み、目的を持って生きていこうと努力する姿が心をうつ。 ちょっと歪んだ行動力や判断力が周囲とのギクシャクとした関係を産み出してしまうのがもどかしい。 家族のような仲間を必要としながらも、みんな自立していこうとする心の成長に思わず拍手を送りたくなる。

    0
    投稿日: 2016.08.06
  • 暗黒祭

    暗黒祭

    今邑彩

    角川ホラー文庫

    いつもの今邑さんとは違う異色小説です

    4部作にわたるシリーズ完結編。 そうとは知らずに迂闊にも本作品を最初に読んでしまった。 でも、過去のいきさつが所々出てくるので、前作までの展開がおおよそ推測できて、未読でも違和感はなかった。 幼女誘拐事件から始まり、ミステリーか?と思いきや徐々にオカルトな路線に転じていく。 残念ながらいつもの今邑さんの軽快なテンポはなく、重々しい感じのストーリー運び。説明もくどい。いくつかの謎について、真相を明かさないまま放置。読後のスッキリ感が感じられない。 今邑彩ファンとしてはちょっとばかり残念な一冊。

    1
    投稿日: 2016.08.01
  • 奇策―北の関ヶ原・福島城松川の合戦

    奇策―北の関ヶ原・福島城松川の合戦

    風野真知雄

    祥伝社文庫

    老将、本庄繁長が伊達政宗に挑む!

    歴史上あまり語られることのないマニア受けしそうな福島城松川の合戦。 関ヶ原の合戦の最中、東北では伊達家と上杉家の攻防が繰り広げられていた。 二万の軍勢を率いる伊達政宗、それを迎え撃つ本庄繁長の軍勢三千五百。 これまたマニア好みの武将。 圧倒的不利な状況の中、意表を突く作戦で面白いように伊達政宗を翻弄する。 いやぁ、まだまだ凄い武将がいるもんだなぁ。 作者の風野さん、忍城の攻防を描いた作品といい、この作品といい、判官びいきなのかな。

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    投稿日: 2016.07.27
  • 夜は短し歩けよ乙女

    夜は短し歩けよ乙女

    森見登美彦

    角川文庫

    不思議な世界観を醸し出した小説

    なんとも不思議な小説だった。大学生の男が後輩の不思議少女ちゃんをなんとか物にしようと悪戦苦闘するだけの話なのだが、古風な言葉遣いと今時の大学生らしからぬ会話が明治の小説を彷彿とさせる。ストーリーもハチャメチャな設定と展開で、もはや予測不可能。伊坂幸太郎のような感じ。斬新な小説ではある。

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    投稿日: 2016.07.25
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