
まりしてんぎん千代姫
山本兼一
PHP文芸文庫
通説とは違うラブラブな立花夫婦が微笑ましい
葉室麟の『無双の花』と並んで柳河城主立花宗茂の妻、誾千代を主人公とした小説。 どちらも通説となっている夫婦不仲説を真っ向から否定している点で共通しているが、本作の方が夫婦のラブラブ度が強い。 あくまでも主人公は誾千代なので、宗茂の活躍や合戦の詳細はあまり語られないが、それでも宗茂の魅力は伝わってくるし、なによりも誾千代にデレデレなのが微笑ましい。 誾千代もただのプライドの高い女ではなくて、優しさと強さを持ち合わせた素敵な女性として描かれている。 同じ女城主でも井伊直虎よりも誾千代こそNHK大河で描いてほしい。
0投稿日: 2017.01.11
本日は、お日柄もよく
原田マハ
徳間文庫
スピーチの力に魅了されます!
「この本、ここ最近読んだ本の中では最高傑作だわ!」と妻が大絶賛するので、それじゃあと読んでみた。 うん、確かに面白い!最高! 面白いだけじゃなく、笑いたっぷり、その直後に泣かされたり、何だか展開が目まぐるしい小説。 その上、スピーチの極意も身に付きそう。 かつて私に披露宴のスピーチを依頼した方々、すべてアドリブでごめんなさい。 これから私に頼む人は期待して下さい。 この本を読んだからにはスピーチライターのような渾身のスピーチを披露致しますね。
1投稿日: 2017.01.09
ドルチェ(新潮文庫)
誉田哲也
新潮文庫
誉田さんの描く新キャラ女性刑事
誉田哲也さんの描く女性刑事として新たなキャラクター登場。 誉田さんのタッチが随分と変わった印象です。 横山秀夫さんの警察小説に近い感じです。 トリックとかサスペンスといった要素を薄くして、人間の心理に焦点を当てた作品でした。 「愛したのが百年目」はなかなか良かったと思います。 でも、いつもの誉田作品を期待して読んでしまうと、ちょっと肩透かしを喰らったような感じで、パンチが足りない印象です。
0投稿日: 2017.01.08
続 戦国自衛隊 4巻
宇治谷順,半村良
Benjanet
ついに真田幸村登場!あれ?でも…東軍?
いよいよ大坂の陣が始まった! 遠くに見える機影。またしても米軍介入か? という絶妙のタイミングで4巻終了。 前半のほとんどは開戦までの水面下の政治的駆け引きが描かれる。 ここに来てやっと真田幸村登場! え、でも史実とかなり違う。 真田丸じゃなくてさくら丸? 一方、以心崇伝、徳川家康の正体も明らかになる。 微妙に史実と食い違う中、自衛隊は大坂籠城戦に挑む。
0投稿日: 2016.12.29
続 戦国自衛隊 3巻
宇治谷順,半村良
Benjanet
自衛隊員たちにいまだ安らぎは訪れない
関ヶ原決戦後から家康と秀頼の会見までを描く。 前巻がかなり激しい戦闘シーンの連続だったのに比べ、本巻はわりと政治的裏工作を中心に話は進む。 生き残った自衛隊員たちの名前が、穴山、海野、かけい、望月、三好・・・これってもしや十勇士? そう言えば、これまで真田幸村の名前が1度も登場しないのが気になる。 史実では次は大坂の陣。 さて、史実通りに動いていくのか、はたまた新たな歴史が作られるのか、波乱を予感させる衝撃のラスト。
0投稿日: 2016.12.25
続 戦国自衛隊 2巻
宇治谷順,半村良
Benjanet
いよいよ自衛隊の関ヶ原参戦!
大垣城入城から関ヶ原決戦までを描く。 自衛隊員の中にもう少し歴史に詳しい者がいれば、もっと先手を打てたと思うのだが、わりと史実通りに進んでいくのがもどかしい。 さすがに小早川秀秋の裏切りは知っていたようだけど。 とは言え、さすがに自衛隊が関ヶ原決戦に参戦すれば楽勝だろうと思うのだが、そこに予想外の「神軍」が参戦。 西軍に自衛隊、東軍に米軍が加担しての近代戦と戦国のいくさが入り混じったものすごい死闘が繰り広げられる。 戦闘シーンの描写が生々しく、多くの人間が命を落とす。 はたしてこの時代に送り込まれた自衛隊の存在意義は?
0投稿日: 2016.12.25
インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)
ダン・ブラウン,越前敏弥
角川文庫
ダンテの『神曲』を読みたくなる!
ダンテの『神曲』の文言を紐解きながら、フィレンツェ(上)、ヴェネツィア(中)、イスタンブール(下)とめまぐるしく舞台を変えながらストーリーは進んでいく。 映画も観たけど、このスケールはやはり映画では描ききれない。 観光名所を巧みに紹介しながら、ラングドン教授による美術的価値のウンチクを盛り込みつつ核心に迫っていくというのはいつものパターン。 おかげで読んだ後はいつもその場所に実際に行ってみたいという衝動に駆られる。 残念ながら写真で我慢しているけど。 今回は地球を救うために人口爆発を防ぐという信念を持つバイオテロ。 バイオテロという手段はともかく、人口過剰であることは間違いないわけで、実際、何か手を打たないといけない深刻な状況にあるという点では共感できる。 この重たいテーマとダンテの『神曲』や数々の美術品を関連させたストーリーは、ダン・ブラウンでなければ書けないだろう。 そして、息つく暇もないような展開に最後までハラハラしどうし。 なんだかわけがわからないまま逃げまくって、逃げながら謎解きをして、最後は犯人を追いかけて・・・これを1日でやってしまうラングドン教授はすごいですね。 本題とは関係ないが、巻末の「謝辞」(刊行にあたってお世話になった人に作家が感謝を述べる欄)に作中の登場人物マルタ・アルヴァレスの名前を発見したことに密かな感動を覚えるのは私だけ? マルタさんは実在の人物なのだろうか?気になるー。
2投稿日: 2016.12.21
合本 悲しみのイレーヌ その女アレックス 傷だらけのカミーユ【文春e-Books】
ピエール・ルメートル,橘明美・訳
文春e-Books
各賞総なめの衝撃ミステリー3部作!
日本語訳が刊行されたのは『その女アレックス』が最初なのだが、本当の刊行順は『悲しみのイレーヌ』が最初。 ここはやはり『悲しみのイレーヌ』から読むべきでしょう。 『その女アレックス』から読むと1作目のネタバレになってしまう上、主人公カミーユ警部の心情が今一つピンとこなくなってしまう。 このシリーズの面白さは、犯人は誰か?という謎解きだけにとどまらず、カミーユ警部を取り巻く人間模様が魅力的に描かれているところにある。 捜査チームの仲間や愛する人が否応なしに事件に巻き込まれていく。 一刻も早く犯人を見つけなければ、次の犠牲者が出てしまうというプレッシャーの中での捜査。 そしてストーリーの前半と後半で、事件の様相が根本的に覆る仕掛けもルメートルの巧みな作風である。 主人公のカミーユ警部もシャーロックホームズや杉下右京のような天才的な推理力や運動神経を持っているわけではない。 むしろコンプレックスの塊のような人間が、現場のたたき上げで地道に成果を積み上げてきたようなキャラクターだ。 そういう所が親近感を覚える一因でもあるし、読者は読み進めているうちに自然とカミーユにかなりの肩入れをしてしまうことになる。 そしていつも最後にはカミーユの運命に涙することになるのだ。
2投稿日: 2016.12.21
その女アレックス
ピエール・ルメートル,橘明美
文春文庫
ハラハラしどうしのスピード感がたまらない
「史上初の6冠達成」という受賞歴と「この本を読まずして年は越せない」というキャッチコピーにそそのかされて衝動買い。 かなりハードルの高い期待感だったにもかかわらず、それを軽く上回ってしまう面白さ。 フランスの小説なのにスピード感があっていい。 サスペンスともミステリーとも言える、いやミックスされた小説かな。 映画化されるらしいが、フランスが舞台だけに個人的にはジャン・レノにご出演願いたい。
0投稿日: 2016.12.17
シャドウ・ストーカー(下)
ジェフリー・ディーヴァー,池田真紀子
文春文庫
やっぱりあります!どんでん返し
わかっているのに、どんでん返しの連発で結局だまされる。 いやぁ、なかなか犯人は見抜けないなぁ。 今回は大御所の助っ人リンカーン・ライムが登場。 大御所過ぎて、キャサリン・ダンスの活躍がちょっと薄れてしまった感がある。 どちらかというと恋バナの方が気になるのだが。 こっちの話はなくてもいいと思う人もいるかもしれないが、ライムシリーズと一線を画すためにはこういう路線も有りでしょ。 とにかく絶品の面白さ、間違いなし。
0投稿日: 2016.12.17
