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future4227さんのレビュー
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  • 新装版 播磨灘物語(4)

    新装版 播磨灘物語(4)

    司馬遼太郎

    講談社文庫

    秀吉の天下取りに官兵衛の知謀が冴え渡る

    高松城の水攻めや山崎の合戦が詳細に描かれていて面白かった。 水攻めの際、如何にして川の水をせき止めたのか? 意外と知られていないが、かなりのグッドアイディアだと思う。 そして、毛利はどうして清水宗治を救えなかったのか? 小早川隆景、吉川元春、安国寺恵瓊らの毛利側の思惑が錯綜し、合戦というよりむしろ外交の勝負となっている点が興味深かった。 それにしても、清水宗治はなんとすがすがしい武将なんだろう。 そして官兵衛は最後まで運のないかわいそうな武将だったが、彼にとって合戦はゲームのようなものだったのかも。

    0
    投稿日: 2017.08.12
  • 新装版 播磨灘物語(3)

    新装版 播磨灘物語(3)

    司馬遼太郎

    講談社文庫

    絶体絶命の官兵衛

    有岡城からの官兵衛救出、三木城陥落など、話が急ピッチで進んでいく。 クライマックスとも言うべき第三巻であった。 有岡城落城の様子は吉川英治の描くそれとはかなり違っていた。 果たしてどちらが真実なのか? 三木城開城の折、別所一族の妻子が自害していく場面は涙を誘う。 それにしても、別所賀相、小寺藤兵衛、荒木村重たちの見苦しさには腹が立つ。

    0
    投稿日: 2017.08.12
  • 新装版 播磨灘物語(2)

    新装版 播磨灘物語(2)

    司馬遼太郎

    講談社文庫

    いよいよ官兵衛の活躍が始まる第二巻

    だんだん小説っぽくなってきましたね。 織田家の「申次」の制度、黒田節の由来など、例によって司馬遼太郎氏のウンチクがためになります。 別所家や櫛橋家がなぜあんなにも毛利にこだわったのか、よくわかりました。 背景に本願寺門徒と信長の対立があったとは。 また、司馬さんは信長を実はかなりの臆病者としてとらえ、一般的な信長像と違った解釈で描いているところが面白いです。

    0
    投稿日: 2017.08.12
  • 新装版 播磨灘物語(1)

    新装版 播磨灘物語(1)

    司馬遼太郎

    講談社文庫

    黒田家の生い立ちが綴られる第一巻

    官兵衛の目覚ましい活躍はまだない。 黒田家の生い立ちが司馬遼太郎氏の史観を交えて語られている点は興味深い。 九州の福岡の地名の由来が、備前福岡を出身とする黒田家にちなみ、長政が付けたものだとするウンチクはためになった。 信長に対する評価も従来の一般的評価に比べて辛口だが、納得感はある。 ただ、第1巻は小説というより、歴史評論の色が強く、物語の世界になかなか入り込めなかった。 第2巻に期待。

    0
    投稿日: 2017.08.12
  • 機龍警察〔完全版〕

    機龍警察〔完全版〕

    月村了衛

    ハヤカワ文庫JA

    東京で戦闘ロボットのバトルが始まる!

    ロボコップ、ガンダム、エヴァンゲリオン、パシフィック・リム、どれとも微妙に違うのだが、要するに身長3メートルぐらいの戦闘用ロボットに乗り込んで、ハイテクマシンと人間の神経を一体化させて戦う警察の話。 戦争もテロもこのロボットで戦うのが前提となっている近未来的な世界観に馴染むまで少し時間がかかる。 1冊読み終わっても、説明しきれていないことが多く、若干消化不良のままだが、シリーズが続いているようなので追々解き明かされていくのだろう。 月村さんの描く戦闘シーンはいつもながら迫力満点。 そういえば、自衛隊はどうした?

    0
    投稿日: 2017.08.09
  • 梟の系譜 宇喜多四代

    梟の系譜 宇喜多四代

    上田秀人

    講談社文庫

    宇喜多直家がすごい!

    宇喜多四代という副題がついてはいるが、そのほとんどは宇喜多直家の生涯を描く。 木下さんの『宇喜多の捨て嫁』に比べるとキャラクターの作りこみやドラマ性に乏しく、わりと史実に則って現実的に進んでいく。 その分、上田さんの方が歴史的事実としての信ぴょう性が高い。 一度は城も家臣も失い、ゼロの状態から謀略を駆使し、あっちについたり、こっちについたりしながらお家再興を果たす。 これって真田昌幸と同じじゃないか。 ぜひ大河ドラマにしてほしい。 幼少期からの苦労人で、絶食日を設けて兵糧の節約を図るなど、家臣と一緒になって苦楽を共にする姿はまさに理想の上司。 そのため宇喜多家の結束は固く、家臣の裏切りもない。 そのおかげで、なんの苦労もなく育ってしまったボンボン秀家が、お家を一気に破滅させる。 なんとも哀れではある。

    0
    投稿日: 2017.08.07
  • トモシビ-銚子電鉄の小さな奇蹟-

    トモシビ-銚子電鉄の小さな奇蹟-

    吉野翠,げみ

    TO文庫

    (おそらく)鉄道ファンにはたまらない作品です!

    銚子電鉄を愛する人たちの恋物語3編。 3つの話が同じ時系列でつながっているので、登場人物の謎の行動が次の話で解き明かされたりするのが面白い。 私が一番ツボにはまったのは「富士見町のナンパ通り」が出てきたところ。 千葉駅周辺で遊んでた人にしかわからない超ローカルな通称が出てきたのには感動! 地元民しか感動できないフレーズなんだけど、さすが千葉県出身の作家さんだけあって、こういう所は外さないですね。 どれもほのぼのする話でしたが、3編とも主人公のキャラが優柔不断というか、臆病というか、ちょっとイライラしてしまった。

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    投稿日: 2017.08.07
  • 宇喜多の捨て嫁

    宇喜多の捨て嫁

    木下昌輝

    文春文庫

    戦国時代のダース・ベイダーだ!

    高校生直木賞受賞作。 謀略家宇喜多直家の生き様を主君、娘、娘婿、家臣、自分自身など様々な視点から描いた連作短編集。 それぞれが完成度の高い短編として充分成り立っているのだが、読み始めと終わりとで直家への印象が変わるようにうまく配列されている辺りが絶妙。 さらに無想抜刀術なる自動防衛システムを搭載することで、ガチガチの歴史小説にならずに、エンターテイメント性を盛り込んだ読みやすい小説となっている。 読後には直家がとても魅力ある人物に思えてくる。 まるでダース・ベイダーみたいだ。

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    投稿日: 2017.07.30
  • 岳飛伝 五 紅星の章

    岳飛伝 五 紅星の章

    北方謙三

    集英社文庫

    岳飛の騎馬戦が凄まじい!

    岳飛と兀朮の壮絶バトル! お互い義足と義手になっているのに強い強い。 小細工なしの一騎打ち勝負が見もの。 そして物語の世界観は西に東にどんどん広がり、ついには奥州藤原氏まで登場。 南の秦容は東南アジアに一大拠点を築きつつある。 一体どこまで広がるのやら。 梁山泊ではついにあの男が逝く。 雨の中、黙々と剣を振るう史進の背中に底知れない哀愁を感じる。 そして王清は大丈夫なんでしょうか? 完全にヘたれ状態になってますけど…。

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    投稿日: 2017.07.28
  • 鬼惑い

    鬼惑い

    武川佑

    講談社

    激闘の合戦の中に清々しさを感じる作品

    『決戦!川中島』に収録されなかった追加短編。 山本勘助を主人公に第四次川中島決戦に挑む武田家臣団との交流を描く。 特に鬼美濃と恐れられた原虎胤とのやりとりは子どもの喧嘩のようで微笑ましい。 それでいて、腹の底ではお互いに信頼し合っている男の絆が羨ましくもある。 ちょっと卑屈な性格として描かれている勘助だが、上からも下からも尊敬されていた魅力ある人物であることは間違いない。

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    投稿日: 2017.07.26
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