ペンギンずさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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珈琲時間
豊田徹也 / アフタヌーン
コーヒーが飲みたくなる短編集。
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短編・全17話。コーヒーは基本的に小道具。うんちくマンガでは無い。
内容は種々雑多。何気ない日常だったり、シリアスだったり、ユーモア、SFっぽかったり。一つひとつの話は非常に短いが、その中にドラマが…あり、もっともっと、色んな話を読んでみたくなる。
第一話「Whatever I want」から、つかみはオッケー。女性チェリストが、喫茶店で出会ったうさんくさいイタリア人。コーヒーを片手に繰り広げられる二人の会話に、クスリとくる。
それにしてもこの作家さん、絵がうまいなぁ…。描かれる構図が、映画のよう。キャラクターもオシャレな色気があって良い感じ。コーヒーを焙煎する「おば」と「めい」の、何気ない会話を描いた第三話「すぐり」は、話に派手さはないが、ついつい各コマに目を止めてしまう。
というわけで私も今からコーヒーを飲みます。インスタントだけど。 続きを読む投稿日:2014.06.25
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百鬼夜行抄 1巻
今 市子 / Nemuki+コミックス
男性も読まねば損をする、美麗ホラー。
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亡き祖父の血を継ぎ、好まざるも妖魔が見えてしまう主人公・律。美しくも天然ボケな従姉妹・司。律の父の体に住まい、律を守る、祖父の式神・青嵐。律を主人と慕う妖魔、尾白・尾黒など、愉快?なキャラクター達が、…時におかしく、時に恐ろしい事件に遭遇する。ユーモアの中に、ドキリとする恐怖が襲う、純和風ホラー。絵柄も非常に美しい。
作者の今市子氏と言えば、BLマンガで有名?な方だが、本作はそっち系の要素は一切無く、男性でも楽しめる、いや、是非男性に読んで欲しい、というか、読まないと損をする!オススメのマンガ。 続きを読む投稿日:2013.10.23
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ひきだしにテラリウム
九井諒子 / イースト・プレス
ひきだしいっぱいのショートショート
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日常的妄想、昔話風、SF、ほのぼの、クスリと笑える話など、バリエーションに富んだショートショート集。
どの話も楽しんで読めたが、未来の恋人候補のカタログを見た男の選択―「恋人カタログ」、とある女性の…脳内で繰り広げられる裁判の行方―「代理裁判」、謎の奇病に悩む村人は元凶と思われる猫神を殺そうとするが?―「神のみぞ知る」、が好き。
ジャンルの豊富さもさることながら、絵のタッチを話の雰囲気に合わせて変えていることがスゴイ。小説とはまた違った、コミックならではの魅力がある。九井諒子氏のひきだしに詰まったショートショートが堪能できる一冊。 続きを読む投稿日:2014.01.24
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臨場
横山秀夫 / 光文社文庫
『終身検視官』の活躍。
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L県警にて『終身検視官』の異名をとる倉石義男。事件に携わる人々の目を通して、鋭利な観察眼と独特のキャラクターで臨場にあたる倉石の活躍を描いた短篇集。
横山氏の他の警察ものに比べると、割りとトリッキーな…事件群。あくの強い倉石の人物像。その彼を周囲の目線から浮かび上がらせるスタイル。そのどれもがビミョーに噛み合わさっていないかな…。
検死のリアリティ、そしてそこから事件の真相に迫っていく物語性は引き込まれるものがあるので、もう少しボリュームを増やして、各話をじっくりと描いて欲しかったところ。 続きを読む投稿日:2014.02.23
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沈黙のフライバイ
野尻抱介 / ハヤカワ文庫JA
宇宙へのロマンが溢れる、SF短編集。
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地球外文明との邂逅、火星への片道切符を握った宇宙飛行士達、高度80キロを目指す有人の巨大凧…。
各編で描かる内容は種々雑多なれど、読み進める内に伝わってくるのは、人類の持つ宇宙への夢・希望・ロマン。
…読者を引き込む奇抜な発想、作品の背景に広がる壮大なスケール感は、野尻抱介氏作品ならでは。特に「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、「ふわふわの泉」に通ずる軽快な楽しさがある。
読み終わった後で、何となく目の前に宇宙が広がってくるような、そんな気持ちが味わえる秀作SF短編集。 続きを読む投稿日:2014.02.28
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福家警部補の挨拶
大倉崇裕 / 創元推理文庫
和製+女性「コロンボ」
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「コロンボ」とか言っても、最近の人はわからないかも?要は最初から犯人はわかっていて、探偵役がいかに犯人を追い詰めるかを楽しむ形式のミステリー。
全4編収録で、各事件のおもしろさもさることながら、福家警…部補のキャラクターが徐々に解き明かされていく感が楽しい、気軽に読めるミステリー。 続きを読む投稿日:2013.10.10