ペンギンずさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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珈琲時間
豊田徹也 / アフタヌーン
コーヒーが飲みたくなる短編集。
4
短編・全17話。コーヒーは基本的に小道具。うんちくマンガでは無い。
内容は種々雑多。何気ない日常だったり、シリアスだったり、ユーモア、SFっぽかったり。一つひとつの話は非常に短いが、その中にドラマが…あり、もっともっと、色んな話を読んでみたくなる。
第一話「Whatever I want」から、つかみはオッケー。女性チェリストが、喫茶店で出会ったうさんくさいイタリア人。コーヒーを片手に繰り広げられる二人の会話に、クスリとくる。
それにしてもこの作家さん、絵がうまいなぁ…。描かれる構図が、映画のよう。キャラクターもオシャレな色気があって良い感じ。コーヒーを焙煎する「おば」と「めい」の、何気ない会話を描いた第三話「すぐり」は、話に派手さはないが、ついつい各コマに目を止めてしまう。
というわけで私も今からコーヒーを飲みます。インスタントだけど。 続きを読む投稿日:2014.06.25
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Spirit of Wonder
鶴田謙二 / アフタヌーン
夢とロマンにあふれたSF短編集。
4
時間旅行、ロケット、宇宙への冒険…そして美女(笑)。が
夢と希望のあふれるちょっと不思議なSFと、鶴田氏の描く魅力的な女性たっぷり詰まった短編集。
「チャイナさん」シリーズ三編も収録。絵柄はちょっと古…いが、楽しめます。 続きを読む投稿日:2013.10.16
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道をひらく
松下幸之助 / PHP研究所
社会で働き、悩むあなたが「道をひらく」ために。
3
「松下電器の創業者が書いた本なんて、難しいんじゃないの?」
「昭和の本だけど、今の時代と合ってないんじゃないの?」
この本を読む前に、私もそんな心配をしたが、それは杞憂。
平易な文章で、人間の生き様に…関する普遍的な内容が記されている。
読んでいて、松下氏が経験してきたこと、苦労してきたこと、後悔してきたことなどを、後世の日本人に伝えたいのだなぁ、という気持ちがひしひし伝わる。またビジネス書にありがちな押し付けがましい文章ではないので、それらが素直に受け止められる。
社会で働き、日々悩んでいる人たちに、是非読んで欲しい。きっと新しい光が射しこんでくるだろう。
何度も読み直したくなる一冊。 続きを読む投稿日:2013.11.02
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思い出トランプ
向田邦子 / 新潮社
懐かしい感じ。しかしそれが逆に新鮮。
3
向田邦子氏の作品は、学校の教科書以来(笑)。13編の短編を収録。「思い出トランプ」という作品はないのだが、「トランプ」は「13」という数字にかけているのだろうか?
人間の強さ・優しさ・恐ろしさ…。どの…作品も、人の心の深い部分を豊かな筆致で描いていて、読後に余韻が残る。
全体的な内容や表現は「昭和」色が強いが、今読むと、むしろそれらが新鮮に感じて、おもしろい。
「古きを知り新しきを知る」では無いが、最新の小説を読む人にこそ読んで欲しい。新たな発見があるやも。 続きを読む投稿日:2013.11.02
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宝の嫁
近藤ようこ / 月刊コミックビーム
「懐かしさ」が響く、近藤ようこ氏えがく「おとぎ話」
3
優しいタッチで描かれる、おとぎ話計8編。「石の赤子」「かくれ里」「花守り」「苦い泉」「宝の嫁」「君よ知るや南の国」「夢の底の人形」「稀人」を収録。
過去のあやまちに苦しめられる僧侶のたどった結末―「…夢の底の人形」、死罪となった父の罪を背負って、寺の住職にこきつかわれる娘は、ある日ふしぎな旅の一座と出会い―「稀人」、の二編が個人的に好み。作者いわく、元ネタはあったりなかったりするそうだが、優しい話や救われない話、因果応報など、どの話も日本人が幼いころから親しんできた「むかしばなし」風。派手さは無いが、淡白な絵柄と相まって、どの話も心に馴染む。こういう話が前置きなしにスッと受け入れらるのは、やっぱり「まんが日本昔ばなし」で育ってきた、という下地があるからだろうか。 続きを読む投稿日:2014.06.22
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GREY 上巻
たがみよしひさ / ぶんか社コミックス
懐かしいアクションSFの名作。
3
今はなき「少年キャプテン」に連載されていた単行本全三巻を、上下巻に再録した本作。かつてアニメ化もされました。荒廃した世界で繰り広げられる、ハードな戦闘描写が、全編で乾いた空気を醸し出す。アジアンテイス…トなメカ群も、他の作品とちょっと毛色が違っていて面白い。
本作の魅力はなんといっても、主人公・グレイ。たがみ作品独特のちょっとキザなセリフ回しが似合う、クールでスカしたカッコ良いヤツ。特に後半冒頭のグレイは、成長した風貌とも相まって、何ともシビれる。
下巻、割りとぶっ飛んだ展開になるが、全体としてはコンパクトにまとまった良SF作品。 続きを読む投稿日:2014.06.22