
第三の時効
横山秀夫
集英社文庫
そもそも「第二の時効」は何なんだ。
とタイトルが気になった方は、是非「第三の時効」本文へ。 F県警強行犯係を舞台にした連作短編集。刑事ドラマかつミステリとしての魅力が凝縮された、「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」の計6編。 どの作品も、テレビドラマではなかなか味わえない、「刑事」のリアリティにゾクゾクする。 表題作「第三の時効」も秀逸だが、少年時代に心に傷を追った刑事が毒物事件に対峙する「ペルソナの微笑」も人間臭くて良い。
0投稿日: 2013.11.09
からくりサーカス(1)
藤田和日郎
少年サンデー
あなたはからくりサーカスの世界へ「とびこむ」or「とびこまない」?
少年が、青年が、登場するありとあらゆるキャラクター達が、世界を救うために熱く闘い、世界を駆け巡る! 一度読み始めたら、終幕に向かってひたすら突き進まずにはいられない、強いパワーを持った作品。 全43巻と結構なボリュームがあるが、ラストは鳥肌モノ。「からくりサーカス」の世界に是非とびこんでください。
2投稿日: 2013.11.07
ヴォイニッチホテル(1)
道満晴明
ヤングチャンピオン烈
コミカルな絵柄と毒っ気が魅力。
どのキャラクターもちょっと頭のネジがゆるくて、どこかずれていて、そして秘密を持っている。そんな彼らが織りなす、コミカルで、シュールで、ブラックなストーリー(!)マンガ。万人にオススメする内容では無いが、サブカル的なものが好みの方は一読して損は無し。 アンドロイド刑事・キカイ田の下ネタギャグが笑える。
0投稿日: 2013.11.07
太陽の簒奪者
野尻抱介
ハヤカワ文庫JA
テンポ良く読める、良作SF。
月並な言葉だが、あえて書く。「おもしろかった!」 本格的なSFでありながら、非常にテンポ良く読める。 「本格SF」は、時に専門的な知識やSF的お約束の羅列で読むのがイヤになることがあるが、これは本格でありながら、余分な部分をそぎ落としたような感じ(私の印象だが)で、それが先へ先へと読み進みたい読者の気持ちを削がない。もちろんSFとして適当なのではなく、テーマやディテールなど、納得のいく内容。 主人公である日本人科学者・白石亜紀も共感・感情移入できるキャラクターで◎。 普段SFを読まない、という人にも手にとってもらいたい良作。
6投稿日: 2013.11.07
空想オルガン
初野晴
角川文庫
青春にもミステリにも手抜き無し。ハルチカシリーズ第三弾。
二年生になったハルチカ達の、恋、青春、そして謎解きが熱い!シリーズ第三弾。 前二作とくらべて、笑い要素より若干シリアス成分が強いかな?それも上級生となった主人公達の、普門館への熱き思いからだろうか。新登場のギャルバンの謎を描く「十の秘密」は、ちょっとグッとくる。 とにもかくにも、相変わらず安定・安心の「ハルチカ」クオリティ。年齢を問わずに読んで欲しい作品。
0投稿日: 2013.11.06
九月が永遠に続けば
沼田まほかる
新潮社
底なしの不安感。
沼田まほかる氏のデビュー作。 一人息子の突然の失踪に始まり、主人公・佐知子を次々と襲う不安が、読む者にじんわりと襲い掛かる。ずぶずぶと、底の見えない深い沼にはまっていくような、ダークなサスペンス。 読後に初めてわかることだが、このタイトルはなかなか秀逸だと思う。
2投稿日: 2013.11.06
25時のバカンス 市川春子作品集II
市川春子
アフタヌーン
ドキッとする、独特な魅力を持つSF短編集。
市川春子氏のシンプルだが流麗な線で描かれるキャラクターと、独特の発想で描かれる不思議なSF世界が魅力的な短編集。第一集の「虫と歌」もそうだが、市川氏の作品にはどれもちょっとびっくりするシーンがあり、そしてそこからついつい作品に引きこまれる。そして何度も読み直したくなる、独特の空気がある。フシギ。
1投稿日: 2013.11.06
地上はポケットの中の庭
田中相
ITAN
優しい5つの庭。
田中相氏の短編5篇。 「5月の庭」「ファトマの第四庭園」「地上はポケットの中の庭」「ここはぼくの庭」「まばたきはそれから」を収録。 どの作品にも田中氏の優しい感性が詰まっているのだが、視力の弱い王子と、王子に拾われた庭師の親交を描いた「ファトマの―」は秀逸。グッとくる。
0投稿日: 2013.11.06
道をひらく
松下幸之助
PHP研究所
社会で働き、悩むあなたが「道をひらく」ために。
「松下電器の創業者が書いた本なんて、難しいんじゃないの?」 「昭和の本だけど、今の時代と合ってないんじゃないの?」 この本を読む前に、私もそんな心配をしたが、それは杞憂。 平易な文章で、人間の生き様に関する普遍的な内容が記されている。 読んでいて、松下氏が経験してきたこと、苦労してきたこと、後悔してきたことなどを、後世の日本人に伝えたいのだなぁ、という気持ちがひしひし伝わる。またビジネス書にありがちな押し付けがましい文章ではないので、それらが素直に受け止められる。 社会で働き、日々悩んでいる人たちに、是非読んで欲しい。きっと新しい光が射しこんでくるだろう。 何度も読み直したくなる一冊。
3投稿日: 2013.11.02
スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガル
大和書房
「意志力の弱さ」に悩むあなたへの一冊。
タイトル通り、「自分を変えたい人」にオススメの一冊。 スタンフォード大の心理学者・マグゴニガル氏が、禁煙やダイエットができない、決めた目標が守れない等々、「意志力」に関わる諸問題について、脳の仕組みや理論・豊富な実験例を元に、わかりやすい言葉で解説。 そしていかにして「やる力」「やらない力」「望む力」を育て、成功への道へ進むかを、論理的に解いてくれる。 もちろん、本書に書かれていることを実行して役立てることができるかどうか、は読者次第。 でも、「意志力の弱さ」に悩む人にとって、読んでおいて損の無い一冊であると思う。
47投稿日: 2013.11.02
