引き取られてきたヴィクターは着いたとたんに不思議な経験をします。主人のアンブローズは取り付く島もない態度だしハウスキーパーのバナールは変わったことを言うし、奥様は姿を見せないし、さて　これからヴィクターの不可思議な体験が始まります。奥様を無事にとりかえせるか？　あっ！今回コーネリアスは出てきません　ヴィルヘルムも。ユーイェンは出ますけど。

あのいろんなものに憑かれた人たちは何？？？シリアスなはなしのはずなのに、コミカルで面白いです。古きアメリカのヤクザな時代の暗い物語のはずなのに、すっごく変に明るい物語がある。またその話がすっごくつぼにはまって何度でも読み返したい。兎、狐、竜、パンダ、伊勢海老、麒麟、etc。。。。！！！

力がある故に若くして7代目の長になってしまったアーサーが妬みや嫉みを跳ね返して活躍してます。見出される巻も面白かったしリンガルの稜線の話も面白いけど、この巻はいくつも見えるから楽しいです。

よその県では言わないんだ。という事がわかる本です。机や重たいタンスなどを運ぶ時、片方を一緒に持ってもらうとき「ちょっとそっち側かいてー」と言います。年寄りだけかな？雨や水に濡れて　”びちゃびちゃ”　になったら「びしゃこになった」と言います。若い人には通じません。まだまだありますよ。隣の県では違う意味でびっくりされたとか・・・。方言って面白いです。

またまた不穏な空気が・・・。どうしても平穏にはすごせないのですねぇ。それにしてもリズはりりしい、ギリアドン蛇にも向かっていくんですから！あのレイルが気になる。何に使うのでしょうか？

相も変わらずどじっこの千津美ですが、藤臣くんはほっとするんでしょうね。じぶんがそのまま自然にいられるから、途中で出て来た豪法寺君達もいい雰囲気のキャラですねえ。千津美も初恋で藤臣君も初恋だそうですから。

淡路さんの緻密な作戦は、凄い賢いです。千堂を陥れるためにあそこまでの計画を立てるなんて。でももっと千堂を苦しませればよかったのに、ああいう人間は生きていてはいけません、ましてや国の重要な地位についてるなんて・・・現実に在りそうで怖くなった。とにかく淡路さんが可哀そうでした。薪さんはどっちの人間が好きなのかなあ・・・。

妹の葵をかばうためとはいえ、尚の一生は可哀想です。貧乏くじを引いたのは尚です。掘り返さなくていい事もある。全てを最初から俯瞰していた薪はどんな思いをしていたのか。 最愛の子供を殺された95歳の母の言う、この私にまだ守らなくてはならないものがありますか・・・、と言う言葉がすごく切ないです。もし同じ立場になったら・・・

物凄くドジでものすごく綺麗な心の持ち主の恋の話ですが、今時こんな可愛い子はいないですよねえ、みーんな世の中の情報や周りに毒されて。ホントに千津美のような子がいたら、息子の嫁に欲しい・・・なんて。理想のカップルなんて、くやしいーーーー。

8歳のミリーが一生懸命に動いて、グレースを守ろうとしている姿がとてもほほえましいです。ダグラス達も巻き込まれて、牧場やグレースや、ひいては町まで守ってしまうなんて、ヒューもかっこいいですねえ。すごくスピード感があって壮快で、楽しいです。