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ondankbarehondさんのレビュー
いいね!された数49
  • 赤毛のアン

    赤毛のアン

    モンゴメリ,中村佐喜子

    角川文庫

    翻訳がイマイチ

    少女時代に何度も読んだ作品で、その翻訳に愛着があったので、この翻訳の用語訳、たとえば「アヴォンリー」「エヴォンリー」、「カスバートさん」が「カスバァトさん」、「緑の切妻屋根」が「緑の破風屋根」になっているところなどに、いちいち引っかかって、馴染めなかった。誤訳とかではないし、気にならない人はいるだろうけど。「赤毛のアン」の場合、翻訳が何バージョンもある。最初に試し読みして比べてから選んだほうが良いと思う。

    0
    投稿日: 2018.02.05
  • 孔雀宮のロマンス【ハーレクイン文庫版】

    孔雀宮のロマンス【ハーレクイン文庫版】

    ヴァイオレット・ウィンズピア,安引まゆみ

    ハーレクイン文庫

    粗製乱造ロマンス

    間違いだらけのオランダ語、古くて魅力のない人物造形、設定をロマンスの公式に当てはめただけの平凡な筋書き。ディテールが粗くてよく考えられていない所にもイライラさせられた。買わない方が良いと思う。

    0
    投稿日: 2017.10.26
  • 蛇衆

    蛇衆

    矢野隆

    集英社文庫

    少年漫画的

    文章を読んでいてまず漫画のコマが浮かんでくるような、外連味あふれて大袈裟な、少年ジャンプに出てきそうな作品。しかし躍動感があり、キャラクターが立っており(登場人物を筋の中で整理しきれていないきらいはあるにしても)、豪快であり、悲劇的でもある。物語としての魅力がしっかりあるので、最後まであっという間に読んでしまう。文体に独特の高揚感があり、現実の生活を少し忘れたい時には良いかもしれない。ただ、足軽雑兵が主役キャラの強さを引き立てるための単なる小道具として片っ端から殺されていくところに、ちょっと引っ掛かりを感じてしまった。

    0
    投稿日: 2016.10.22
  • 身近な危機から身を守る本

    身近な危機から身を守る本

    柘植久慶

    PHP研究所

    役に立たない

    不意の事態のための具体的な方策などを知りたくて購入したが、書かれている対策的なものは暗い道は歩かない、とか、ボウガンを準備しておいた方がいい、とか、催涙スプレーを持っておいた方がいいとか、ととりあえず道具そろえとけという、別にそれなら聞かなくて良かった的なごく一般的な防犯対策しかない。そこに、ダラダラダラダラとどうでも良いような著者の社会批判&意見が綴られ、その的外れな上から目線にイラッとさせられる。ちょこちょこ出てくる「私ならボコボコにしてやるだろう」みたいな具体性のない力自慢にも、そのボコボコに反撃する仕方が知りたくて買ったのに、単なる自慢妄想で終わるのでイラッとする。買わなければ良かったです。

    0
    投稿日: 2016.05.25
  • エスパイ

    エスパイ

    小松左京

    角川文庫

    小松左京の007

    スタイリッシュでちょっとエロティックで世界をまたにかけて活躍する超能力スパイ・エスパイたちのお話。エンターテイメント性満載の作品で、かなりメジャー志向な感じが小松左京氏っぽくないのだが、漫画週刊誌への連載だったためにこんな感じになったらしい。しかし硬骨のSF作家が描くメジャー路線な作品というのはこれだけ爆発力を持つのか、と思わせられる。最近、小松左京に無茶苦茶はまっている。超面白いので是非みんな読んだ方が良いし、この「エスパイ」は中でも読みやすく恰好いいのでお勧めである。

    1
    投稿日: 2015.06.30
  • 岬一郎の抵抗 1

    岬一郎の抵抗 1

    半村良

    集英社文庫

    超能力の悲劇

    ちょっと長いが、もともと超能力ものは好きなので、愉しめた。単に超能力者のあれこれにとどまらず、人間世界の深い所まで掘り下げてある大作。後半の展開が若干まどろっこしく、「なんで?」と思ってしまうが、それも含めて考えさせられる。また登場人物たちの話し言葉が落語みたいで、SF色の寅さんみたいな妙な味がある。好きだなと思った。

    0
    投稿日: 2015.06.28
  • 恐怖

    恐怖

    筒井康隆

    文春文庫

    洒脱

    恐怖がテーマだが、文体が洒脱でユーモアがあるので、むしろほのぼのした味があり、怖くはない。 なんとなく筒井氏が身を置いている文壇や周辺の人々とのかかわりを彷彿とさせるような、内輪の空気がある。 すこし自分がイヤになった時とか、寂しい時やなんかに読むと、紛れるかもしれない。ただ繰り返すが、怖くはない。

    1
    投稿日: 2015.06.28
  • ビッグ・ドライバー

    ビッグ・ドライバー

    スティーヴン・キング,高橋恭美子,風間賢二

    文春文庫

    最後まで読むべき。

    さすがはキングで、読ませる。女性にとってはどちらの話も怖すぎる。途中でやめたらきっとトラウマになるレベル。ただ、後半の主人公たちの決断と行動力が、前半の恐ろしすぎるストーリー展開を清算してくれる。自殺したくなるような真っ黒な展開からの目を見張る飛躍が、勇気をくれるし、本当に面白かった。 ただ、途中で読むのをやめたらダメ。死にたくなっちゃう。

    0
    投稿日: 2015.04.28
  • 妖かし斬り 四十郎化け物始末1

    妖かし斬り 四十郎化け物始末1

    風野真知雄

    角川文庫

    さざえさん的世界

    風野氏の優しい春風のような作風が好きなので、いつも通り楽しく読めた。 相変わらず主人公が最初から好きになれ、その周辺の人たちのキャラクターも親しみがもてる。 シリーズ一巻からすでにサザエさんみたいな「シリーズ」感覚が漂ってきて、安定の一作である。 ただ、この本には本物の妖怪は出てこない。最初から最後まで、このぶんだと全部人間の仕業である。 私は本物の妖怪話が読みたかったので、そこはちょっと当てが外れた。

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    投稿日: 2015.04.20
  • 青の炎

    青の炎

    貴志祐介

    角川文庫

    おやじの犯罪

    最初は正義の心で始めたことが、坂道を転がるように思わぬ方向へ・・・。やがて引き返せないところまで追いつめられてしまう。その起承転結が、貴志氏の作品らしく、非常に綿密に説得力をもって描かれている。 主人公は非常に早熟で聡明な高校生である。この高校生を描く際に、貴志氏はまったく手加減をしていない。彼を子供として描くのではなく、一人の大人として、一人の完成された人格として描いている。 夜中にバーボン101をあおり、カラスミの味を知っており、古典を愛し、何についてもウンチクを語る。そして同級生の心理を熟考し操る。深夜のコンビニバイトしかしてないのに、バンバンに金を使う。 読み進めていくと、やはりどうしても親父臭が激烈に漂ってくるのが残念である。 主人公が早熟な高校生を通り越して子供っぽい親父になってしまっている。それで、なんとなく滑稽な感じがしてしまった。

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    投稿日: 2015.04.20