ondankbarehondさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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ガダラの豚 I
中島らも / 集英社文庫
怖すぎワロタ
2
人が沢山死ぬし、そこにアフリカの呪術が絡んできて、妙におどろおどろしいのだが、ユーモアがあって文章のテンポも良く、楽しく読めるエンターテイメント。ただ、中島らもの人生を知った上で読むと、何故か小説の中…の泥沼感が半端なく胸に迫ってくる。普通なら気にならないようなちょっとしたディテールが、立体的にグロさを増し、どす黒く思えてくる。ゴッホ型文学というか、作者の人生とセットになると味わいを増す作品だと思う。小説としても普通に面白い。 続きを読む
投稿日:2015.03.29
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64(ロクヨン)(上)
横山秀夫 / 文春文庫
高負荷の名作
2
ストレスの海の中を重りをつけながら全速力で泳いでいるような作品。読んだ後は疲れるが、面白いのでやめられなくなる。がんじがらめの縦社会や利権や派閥やしがらみの中で、疲弊し妥協し、負けてゆく人間たちが描か…れる。
ただ、横山氏の作品で素晴らしいのは、その苦しみが、正しくあろう、筋を通したいという心から生まれており、それをどうしても曲げられない人間を描いているところだと思う。小説ならではだと思うが、読後感がすがすがしい。
続きを読む投稿日:2015.04.08
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図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)
有川浩 / 角川文庫
巻末のおまけ小説
2
巻末のおまけ小説に激萌え。
中心的なキャラクターが魅力的で、文章は頭にマンガ的な絵が浮かんでくるような、読むアニメ的な、そんな感じ。読みやすい。投稿日:2014.04.09
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妖かし斬り 四十郎化け物始末1
風野真知雄 / 角川文庫
さざえさん的世界
2
風野氏の優しい春風のような作風が好きなので、いつも通り楽しく読めた。
相変わらず主人公が最初から好きになれ、その周辺の人たちのキャラクターも親しみがもてる。
シリーズ一巻からすでにサザエさんみたいな「…シリーズ」感覚が漂ってきて、安定の一作である。
ただ、この本には本物の妖怪は出てこない。最初から最後まで、このぶんだと全部人間の仕業である。
私は本物の妖怪話が読みたかったので、そこはちょっと当てが外れた。
続きを読む投稿日:2015.04.20
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水の柩
道尾秀介 / 講談社文庫
良かった
2
情景が浮かんでくるような文章と、巧みなストーリー展開。なんとなく不穏な空気が漂っているので、最後はものすごくグロイ展開になるのかなとドキドキしていたが、意外にも感動してしまった。
投稿日:2014.05.15
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愚行録
貫井徳郎 / 東京創元社
面白い
2
1回目、飛ぶように読んで、ラストにおお!と驚いて、伏線を確認したくなってもう一度読んだ。すると、最初に読んだ時とは読後感が違う。下衆な話題に、ワイドショーみたいな形で取り込まれて、夢中になって読んでい…るうちに、ふっと誰でも抱えている汚さ・愚かしさや、幸運な人間と不運な人間とのあまりの差や、悲哀などに取り込まれている。とてもよく書けている作品だと思った。 続きを読む
投稿日:2014.06.06