
教場
長岡弘樹
小学館
警察学校で繰り広げられる人間の争い
正直軽い気持ちで読み始めたのですが、なかなかDEEPな本でビックリしました。 警察官になるために、また、警察学校で上に行くために、色々な人間の弱さや想いがぶつかり、人間の弱さや、汚さが垣間見える話で、ホラーに近いかもしれません。 個人的にはいくらなんでも、大人なんだからそんなことないでしょ、と思ってしまい、なかなか没入できませんでしたが、その世界を知らないだけで、案外そういう世界なのかもしれません。
2投稿日: 2016.12.14マネーロンダリング
橘玲
幻冬舎文庫
専門知識を駆使しながら、人間の欲が見え隠れする物語。
タックスヘイブンでこの作者の本にはまり、続いてこの本を読んでみました。 ストーリーは、香港で脱税や資産運用の手助けを細々とやっていた主人公のところに、美女がやってきて、五億円のお金を動かしたいと伝える。 しかしその後、怖い人から連絡が入り、五億ではなく、五十億が無くなったと告げられ、協力を半分脅迫で求められる。 そして、真実が見えてくる中で、色々な思惑や歴史が見えてきて、、、。 というようなお話。 金融の専門知識はよくわからない部分もありますが、前回に引き続き引き込まれました。主人公が、欲に対して、過去の一件もあり、自制している中で、事件の関係者は、欲の塊なので、その対比が面白かったです。 主人公が何故すごいのか、とか、協力者が協力する理由、とか、美女の思惑、とか、読み手に委ねられている部分も多いのですが、読後感の感覚は馳さんの小説に近かったです。なんやかんや言いましたが、結論面白かったです。
3投稿日: 2016.12.03超訳 日本国憲法(新潮新書)
池上彰
新潮新書
集団で生活するためのルール。国家とは、行政とはを考えさせてくれます。
おなじみ池上さんが、日本国憲法に何が書かれていて、その背景をわかりやすく説明してくれます。 憲法は、国民が、国家の守るべきルールを定めたもの。そう考えたときに、集団生活をするためのルールであり、国家のあり方を考えさせられます。 改めて日本という国がどんな理想のもとに作られたのかを感じるとともに、最後にある他国との比較がすごく興味深かったです。 権利は確かに保障されています。しかし、権利を守るために継続して努力をしなければならない。文章があるからと言って、解釈や改正が行われた瞬間、権利は保障されなくなる。先人たちの想いをかみしめながら、託された自分たちが守っていく責任も改めて感じました。
3投稿日: 2016.11.26白洲次郎 占領を背負った男(上)
北康利
講談社文庫
戦後日本を立て直した男の、一本筋の通った生き様。
日本国憲法の制定、独立復帰の裏で、人生をかけて駆け回った人物。 占領国であるアメリカに一歩も引かずに交渉をした裏には、日本を愛する気持ち、先を見る視座の高さ、何より、人として大切にするプリンシパルがあった。そんなことを感じる本でした。 個人的には、なぜそういった自分が従う原理原則を持つことができたのか、そしてそれを貫けたのは何故か、が消化不良です。 でも、自分の周りにこんな方がいたら、ちょっと嫌かもしれないです笑 生き様は本当にカッコいいの一言。筋の通った生き方をしたい、そんな方には、オススメです!
4投稿日: 2016.11.23人生の旋律
神田昌典
講談社+α文庫
正義、価値観、ルールが急激に変わる時代を生きた男の話。
第二次大戦の混乱の中、事業を興し、潰し、そしてまた事業を興した人物の伝記小説です。 従業員たった数人の商社がどうやって三菱商事、三井物産をはじめとした商社と渡り合ったのか、あの混乱の中、どうやって機会をつかんでいったのか、そして、その人が人生の最後に何を思っていたのか。 壮絶な人生を通じて、伝わってくる本です。 機会を掴むのは、飛び込むか飛び込まないかだけ。そして、そこに打算があったとしても、絶大な自信や、誇り、矜持があるからこそ、協力者が現れ、機会を活かすことが出来る。 それをこの本から学びました。 自分の意思で人生を変えたいと思う方は、一度読んでみると、色々感じるところのある本だと思います。
3投稿日: 2016.11.23燃ゆるとき
高杉良
角川文庫
魚屋の親父が築いた一大企業。
東洋水産の社長を主人公に、事業の立ち上げから、商社との戦い、競合企業との戦いを描いた経済小説です。 イチ個人としてのこだわりや、矜持が伝わってきて、改めて自分を見つめ直す機会になる本だと思います。 社長の人柄や、社員との関係性が伝わってくるのですが、企業規模が大きくなるに従って、その視座が変わっていってるのではないかと感じる場面があったり、業態が変わるタイミングでもっと葛藤があったのでは?と思う場面はありますが、魚屋の親父として、人として、をぶらさずに、事業を展開してきたのが熱を持って伝わってくる小説でした。何より、物語として面白いと思います。 主人公の情熱を感じながら、何故仕事をするのか、仕事とは、を改めて考える本としてオススメです。
3投稿日: 2016.11.02タックスヘイヴン Tax Haven
橘玲
幻冬舎文庫
最初から引きずり込まれました!
著者の本ははじめてでしたが、最初から引きずり込まれて一気読みしてしまいました。 内容は、ある人物の死亡から、物語は始まります。 そして、そこから、無くなった10億円、見え隠れする大物政治家、裏社会のドン、プライベートバンク、と様々な思惑が入り乱れながら、話が進行していきます。 久々にはじめから引きずり込まれ、最後の結末には驚きました。 そんなに難しい専門用語もないので、普通に小説として面白く、オススメです!
8投稿日: 2016.10.22貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
橘玲
講談社+α文庫
マイクロ法人のすすめ。ハウツーが詰まっています。
あまり深く考えずに読んでみようと軽い気持ちで読み始めた本でしたが、この時代を、自分らしく生き抜く為のファイナンスの知恵、ハウツーが詰まった本でビックリでした。 正直僕の知識では、追いつかない部分が多々ありましたが、基本、税法上の扱いで、税率がことなっていたり、控除されたり、経費とみなされたりと、うまく使い分けることで、よりお金に困らない生き方が出来る、という内容です。 独立を控えていたり、したての方は、読むとすごく参考になる気がします!
3投稿日: 2016.10.22超一流の二流をめざせ!
長倉顕太
サンマーク出版
世の中は、一流の人たちに、都合のいいように出来ている。
この本は、作者が、世の中の「普通の人」達のために書いた、世の中の嘘や、策略にはまらずに生きていくための知恵が詰まった本です。 一流と呼ばれる人たちは、多くの人がどんなところに興味を持ち、どんな弱さを持っているのかをよく知っている。そして、もちろん能力も高い。 そもそも世の中にあふれた自己啓発本や、ビジネス本は、そうした普通の人には出来ないことが書かれていたり、それが役に立つかどうかは置いておいて、多くの人たちが好みそうなそれっぽい話が書かれている可能性もある。 そこも含めて情報を精査することが大事なことは納得です。 ただ、この本を買っている僕はもしかして騙されている・・?という想いが、グルグルします笑 世の中の情報に操作されず、自分の価値観を持ち、地に足を付けて生きる。この本は、騙されるな、というと同時に、求めるのであれば、厳しい社会でやっていかないといけないこともはっきりと言っています。 結構衝撃的なタイトルも、二流か一流かというよりも、自分を正しく捉えなさいというメッセージだと思います。 色々追いかけ続けて疲れた方、には特にオススメです。
3投稿日: 2016.10.17黙示(新潮文庫)
真山仁
新潮文庫
人類が先延ばしにしていた選択。
食料問題、生態系の変化、科学技術の進化、人の欲求が、農薬による事件を中心に描かれています。 中心となる農薬の開発者と、養蜂家でもあるジャーナリスト、そして農水省の官僚、それぞれがそれぞれの立場から、苦悩しながらあるべき姿を模索していきます。 もちろん農薬にも良い面悪い面があり、同様に自然環境の保護だけを追求したら、その分何かを捨てなければならない、遺伝子組み換えにおいてもそう。 その中で、一人一人が、どう選択をしていくのか。ただ目の前の状況だけでなく、その選択が及ぼす影響まで含めて選択をしていくことが求められている時代なのだと、この本を読んで改めて思いました。 正解があるものではないので、読み終わった後、すっきりする物語ではないですが、今一度、食料問題、環境問題を考える機会をくれる本です。
3投稿日: 2016.10.09