さくらもちさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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林蔵の貎(上)
北方謙三 / 集英社文庫
間宮林蔵が主人公なのかどうなのか
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間宮林蔵の伝記っぽい電子書籍がなかなか見つからず、これを選びましたが、伝記ではなかったです。
完全に小説の体裁で、エンターテイメントとしておもしろい。しかし Wikipedia でざっと見ると意外と史…実に沿っているようで驚きました。もちろん細部は創作なのだと思いますが(嘘だという意味ではなくて、小説として完成させるには細かいところを想像で補うしかないということです)。
ひとことで言うなら「男の友情」か?
これを読んだあとは、いま北海道で普通に人々が生活しているのが奇跡のように思えます。
続きを読む投稿日:2014.11.28
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ムッソリーニを逮捕せよ
木村裕主 / 講談社文庫
イタリア人はどうやって第2次世界大戦から抜けようと思ったか
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イタリアにとって第2次世界大戦はどのように終わったのかなど、全く気にも留めていませんでした。最終的にイタリアとドイツが敵対していたことさえ知らなかった。
タイトル通り、ムッソリーニの逮捕からイタリアと…連合軍との休戦成立後まで書かれているのが本書です。
「陰謀」計画が着々と進んでいくところは、さすが、だてにローマ帝国やメディチ家の子孫ではないと思わされるのですが、後半は「それぞれの人が自分で勝手に考える」部分が裏目に出てどんどんぐだぐだになり、悲劇が……。
しかし著者のあとがきにもあるように、「戦争の終わらせ方を考えるのも参謀の役割」という軍人を輩出するイタリアと、そういう人がもしいたとしても結局表には出てこなかった日本との違いを考えさせられます。
内容はとても興味深いし淡々とした描写ながら後半はハラハラさせられますが、主語、述語がうまくかみ合っていない文章がたまにあって気になりました。
続きを読む投稿日:2014.11.08
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震度0
横山秀夫 / 朝日新聞出版
ミステリー部分はおもしろいのですが
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いつものように、警察内部の人間関係のどろどろはおもしろいです。
客観的に見ればおんなじようなオヤジばっかりなのに、きちんとキャラクターが描き分けられているのはさすが。
ただ、阪神・淡路大震災に「その…とき地震が起きた」以上の意味が感じられなくて、本当にその設定は必要だったのだろうかと思いました。
離れたところに住んでいる人には人ごとに過ぎないということが確認されるばかりで、読んでいてやるせない。
続きを読む投稿日:2016.05.21
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ふぉん・しいほるとの娘(上)
吉村昭 / 新潮社
激動の時代を生きた女性の物語
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出島で生まれたシーボルトの娘の伝記ではありますが、彼女を主人公として感情移入して読むという本ではありません。
そもそもこの娘が主人公になるのは上巻の終わりの方。
彼女を一応の軸としてこの幕末の時代の出…来事を描いた本だと思います。
人物の描写は終始淡々とした感じ。
下巻の最後まで読みましたが、シーボルトがどう見てもいい人に思えないのがなんだかすごい。
続きを読む投稿日:2014.09.08
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たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く
石村博子 / 角川文庫
終戦前後の満州の様子からサバイバル術まで
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タイトルから、戦災孤児の話かと勝手に思い込みましたが、そうではありませんでした。本人が人の言うことを聞かないタイプであるのに加え、日露混血児への偏見などから本来の引き揚げ隊に入れてもらえず、タイトル通…り一人で歩くことになります。
ご本人がコサックの家系なのですが、コサックとは民族名なのかと思っていたし、そもそも引き揚げには正規のめんどくさい手続きなどがあるということも知らなかったので(それは考えれば当然ですが)、いろいろなことがわかってとてもおもしろかったです。
続きを読む投稿日:2016.07.10
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おいでよ 動物病院! 1
たらさわみち / 月刊office YOU
獣医学部のシビアな現実
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全15巻を読みました。レビューの内容は全体に基づいています。
『MF動物病院日誌』の実質的には続きで、主人公が若いコオ先生にシフトしていきます。病院にくる動物や飼い主たちのドラマがメイン。
地域の…獣医さんが協力し合って夜間の救急センターを開設しているのは本当にいいなと思います。
こんな有能な先生たちのいる病院にかかりたい(今かかっている獣医さんが無能だと言ってるわけではないです)。
絵は少女漫画風ですが、中身はかなり現実的で、特に獣医学部の実験動物の話は衝撃でした。
続きを読む投稿日:2018.04.30