asphericさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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言ってはいけない―残酷すぎる真実―
橘玲 / 新潮新書
きれいごとに隠されている残酷で不愉快な真実とは
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「最初に断っておくが、これは不愉快な本だ。」という書き出しで始まるまえがきのとおり、
敢えて耳障りなことを聞きたくなければ手に取らない方がよい。
きれいごとでコーティングされた今の世界はまんざらでもな…い。
しかし「政治的に正しい」行い・政策は幸福な結果をもたらしているだろうか。
前著「『読まなくてもいい本』の読書案内」のスピンオフという位置づけらしく、
遺伝・進化・脳科学の近年の研究成果をベースに残酷な真実を解き明かしている。
どうあるべきかという意見も提示されているが、
著者も言う通り現時点では実現は困難だろう。 続きを読む投稿日:2016.05.02
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人生を面白くする 本物の教養
出口治明 / 幻冬舎新書
「教養とは、人生におけるワクワクすること、面白いことや、楽しいことを増やすためのツール」
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日本のリーダー層は世界標準からすると教養という点ではかなりレベルが低いという。それは戦後日本が、アメリカへのキャッチアップに邁進していた「ルートの見えている登山」であったことで、余計なことを考えて遠回…りをするとロスが発生する、つまり自分の頭で考えないほうが都合がよい社会であったからだと分析する。そのことで日本は高度成長という恩恵を受け、「終身雇用、年功序列、定年」の特異な労働慣行を生み出してきた。しかし高度成長の恩恵を受けられなくなった今、このモデルは成り立たず、自分の頭で考えること、「教養」が要請されている。
著者は教養の源として「本を読む」「人に会う」「旅に出る」を挙げている。 続きを読む投稿日:2016.04.16
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臆病者のための株入門
橘玲 / 文春新書
ど素人のための投資法を提案
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100万円の資産を1億円に増やすなんてかんたんだ。常に追証の恐怖に苛まれ、破産してすべてを失う覚悟ができているなら。(投資は自己責任で)
株式投資はギャンブル?デイトレードは儲かる?ジェイコム男にでき…てプロのトレーダーにできないこと、経済学的に正しい投資法などの興味深い話題を通して、ど素人のための投資法を提案する。 続きを読む投稿日:2015.12.20
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コーヒーが廻り世界史が廻る 近代市民社会の黒い血液
臼井隆一郎 / 中公新書
コーヒーの生い立ちを廻る歴史の旅
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安らぎのとき、旅に出るとき、集中して作業を行うときに飲む一杯のコーヒー。
自動販売機やコンビニ、街中のカフェで飲める手軽さとは裏腹に、ここまで生活に浸透するまでの生い立ちは、アロマのような穏やかなもの…ではなく黒い血液そのもの。
15世紀アラビアから始まりイギリス、フランス、ドイツ、ブラジルへと、黒い血液は歴史と共に世界を廻る。 続きを読む投稿日:2015.08.18
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寝ながら学べる構造主義
内田樹 / 文春新書
「なるほど」となるのが快感
1
岡田斗司夫氏との共著「評価と贈与の経済学」を読んで以来気になっていた内田樹氏の著書。
構造主義に興味があったわけではないが、読み始めると翻訳文では何を言っているのかさっぱりわからないニーチェらの哲学的…な主張も、独特のわかりやすい例えを引き合いに出して説明しているため、何となくわかった気になる。 続きを読む投稿日:2015.08.05
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技術大国幻想の終わり これが日本の生きる道
畑村洋太郎 / 講談社現代新書
現実を直視し意識を変える
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戦後50年間はどこに向かって進めばよいかが明確で高度経済成長を謳歌できました。しかしその後の20年間は行き先さえ分からずにただジャパンアズNo1という幻想を抱き、自信過剰、傲慢になりました。このことに…そろそろ気づき始めたのではないでしょうか。原発の電源喪失に見る「想定外」、半導体産業での敗北、電機メーカーの不振と、事例は枚挙にいとまがありません。
本書では日本の置かれている現状、日本がこれから意識するべきこと、日本の生きる道について、失敗学の畑村洋太郎氏が三現(現地、現物、現人)を実践して語っています。
印象に残ったのは、品質幻想。高品質を誇り韓国製半導体を粗悪品と油断していた日本の半導体メーカーは何社生き残ったでしょうか。know/howにこだわっていると思考が停止します。大事なのはknow/whyまたはknow/what。 続きを読む投稿日:2015.08.10