nannryouさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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ご冗談でしょう,ファインマンさん 下
R.P.ファインマン, 大貫昌子 / 岩波現代文庫
ファインマン先生の人生は科学の言葉で描かれている…。
8
綺麗です。
人生も、思想も、科学に対する姿勢も、読み手との向き合い方も。
極上のエッセイを読んだときこういう気持ちになります。
ファインマン先生が体現するアメリカそのものの美しさに少し感動します。
科…学というものは善良でなければならないのです。
何事も自分自身が体現しないと納得しないファインマン先生の好奇心と、そしてそこからつながる、科学の再現性とコモンセンスの大事さがよくわかる一冊です。
科学の論理は、理論を尽くして、手を動かして、データと照合して、実験すれば誰もが同じ結論にたどりつくのです。
だからファインマン先生の一貫した人生観と遊びに満ちた人間性の理解に皆惹かれるのかもしれません。
星5つ。 続きを読む投稿日:2017.03.24
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ご冗談でしょう,ファインマンさん 上
R.P.ファインマン, 大貫昌子 / 岩波現代文庫
神道、ロスアラモス、そしてノーベル賞-永遠の子供-
8
ユダヤ教徒の中流家庭に生まれ育ったファインマン先生は、経営者の叔母を持ち、子供のころから発明や発見を繰り返した神童でありながら、決してユーモアを忘れないウェットにとんだ人でロスアラモスの鍵士の章などは…あきれながら、ついつい最後まで読んでしまいます。ロスアラモスについての仕事の記載が無いのは機密指定が解除される前に書かれた本であるからでしょう。1ドル特許の下りなどは見ていて噴出してしまします。
ファインマン先生のいい男ぶりが目立つエッセイです。
しかし、そういった"ご冗談"の中でファインマンダイアグラムなどのノーベル賞につながる発見が導かれたことは驚嘆すべきことで、天才と呼ばれる人たちはどこか違うなとも感じます。
ファインマン先生のような飾らないよい男性や女性が増えれば、日本の学問分野も魅力が増すのかも!?
星5つ。 続きを読む投稿日:2017.03.15
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図解 使えるミクロ経済学
菅原晃 / KADOKAWA
KADOKAWA流
8
の軽い本ですね。ミクロ経済学と堂々と描くからにはもう少し体裁が整ったものかと思ったのですが…。
日経文庫の方がレベルが高いが、これは、初学者?向けなのか?
少し辛い評価ですが、思ったものと違ったものは…仕方ないです。
これで¥1620取るのはちょっとですねえ。
まあ、経済の新書の外れを引いたような感じですね。
復習にはなったので星3つ。 続きを読む投稿日:2016.07.23
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電脳のサムライたち1 西和彦とその時代1
滝田誠一郎 / 小学館
伝説の世代
7
いや、まあ、もう雲の上の話ですねえ。
パソコン黎明期に生きていればとか、あと10年若ければとか思いますが、このシリーズに出てくる人たちはそういった空想の中に生きていた人たちですからねえ。
書き方も上手…いですし素晴らしいです。 続きを読む投稿日:2016.08.21
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制御工学の考え方 産業革命は「制御」からはじまった
木村英紀 / ブルーバックス
制御を数式抜きで説明し、先端研究の一幕をのぞくことができる
7
制御工学は入力、出力、伝達関数の学問であるわけですが、実社会での運用が透けて見えて興味がわきました。
数式があまり乗っていないので、伝達関数までわかっていて、先端応用例を検索できる人にとっては、そこま…で興味が持てる内容ではないかもしれませんが、産業革命から、核融合炉、経済学への伝達関数の応用とロボティクスの未来と本質的なフィードバックを考えさせてくれるよい本だと思います。
しかし、2050年までに人間のサッカーチームに勝てるロボットチームを作るのは無理じゃないでしょうか?
もちろん、リミッターを外した力任せのシュートとかが許されるなら別ですが…。
星5つ。 続きを読む投稿日:2017.03.03
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フランダースの犬
ルイズ・ド・ラ・ラメー, 和田今日子, WIPジャパン株式会社 / ゴマブックス
Too Late!
7
最後を知っていながら読んだのですが泣いてしまいました。いい歳をしたおっさんが泣いてしまうとは情けない…。
そう思うのは私がおっさんになった証拠です。
ネロに心情移入しているとロマン主義の美しさについ打…たれます。
なぜなら、誰にでもネロのような夢を抱く幼年期があるからです。そして大半の人は貧しさや世の中の厳しさを知って諦めるのです。
それが普通ではあります。
ですが、この作家はその苦しさを十分知った上で実際に成功した側の余裕をもってネロの最後を描き切ったのだと推察します。
そして、そうだと分かっていたのだとしても、ネロの素直さとパトラッシュの実直さに打たれます。読者が作者の手のひらで心地よく踊れてしまうのです。
短編ですが、素晴らしい名作です。ぜひ一読されてはいかがでしょうか?
英語訳は時間ができたら照合しながら細部まで読もうかなあとも思います。
星5つ。 続きを読む投稿日:2016.05.14