
リスクコミュニケーション
福田充
平凡社新書
行動判断がベネフィットからリスクへシフト
リスクは仮定・渦中はクライシスと端的に分類しつ、さまざまな災害に対応できる社会基盤を創出するオールハザードアプローチを構想する。最後に載せられた津田大介氏との対談で2013年頃までのtwitterは炎上しにくかったとあり、仕掛けの重要さに思い至った。 本書の執筆は菅義偉政権から岸田政権への移行期。説明責任やコミュニケーションへの態度が前進することを期待して結んでいるのが、いまとなっては虚しい。
0投稿日: 2022.12.12本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身X」
香月美夜,椎名優
TOブックス
あと2冊を残すのみ。しかし濃い内容が続きます
web版への大幅な加筆修正による、すさまじい程の密度と疾走感に感嘆しています。椎名優さんの絵もメスティオノーラとローゼマインが並んでいる場面や、降臨している様子がとても神々しくて祈りを捧げたくなりましたꐕ webの651/677=96%まで来ましたが、ここからの加筆がまた多くなるということで、とても楽しみです。
1投稿日: 2022.12.10廃炉とは何か もう一つの核廃絶に向けて
尾松亮
岩波ブックレット
あるべき意思決定の先例と現状
スリーマイル島やチョルノービリの事故炉処理を巡る状況が詳しい。前者はデブリ搬出や移送を科学的・民主的かつ迅速に進める一方、炉本体は時間を掛けている。後者は石棺で覆っただけでなく、耐用年数100年のシェルター内で対応策を練っている。 東電の言いっぱなしに見える「40年」と彼我の差があまりにも大きいように感じた。
0投稿日: 2022.11.23オスとは何で、メスとは何か? 「性スペクトラム」という最前線
諸橋憲一郎
NHK出版新書
ステレオタイプな性理解はもったいない
性は雌雄の2極で扱うことが不自然な「あわい」の表現形であり、個体差があるばかりか生涯にわたって変化すること、などのポイントを遺伝子制御と内分泌制御という2つのツールで語り下ろす。特に性ホルモンの作用の解説が分かりやすかった。
0投稿日: 2022.11.20本好きの下剋上ふぁんぶっく7
香月美夜,椎名優,鈴華,波野涼,勝木光,椎名優
TOブックス
スペシャルなムックが毎年出ていることに感謝
いよいよ来年に迫った本編完結に向けたコアなファンの皆さんの深い考察が多くの濃い質問にあらわれていて、真摯な回答を通して更に世界観が広がって楽しいです。 印刷書籍ではB4版なので、図版は大きめの液晶で観るのがいいですね。ここはPCで読めるReaderStoreの良さが活かせます(但し、見開きページは縮小して表示されます)。
0投稿日: 2022.11.11これまでになかった ラグビー戦術の教科書
井上正幸
KANZEN
YouTubeの「らぐびーくえすと」と合わせて読もう
昔は熱心にラグビー観戦していたのですが、2019W杯の前までしばらく離れていた間に、キックの使い方や陣形などが様変わりして浦島太郎状態になっていました。本書で競技と戦術の略史や、現代ラグビーの各国代表の詳しいプレイスタイル分析を読み、観るのがますます面白くなりました。 特に戦術の進化は、現時点の「答え」を知っているだけに、ミステリーを読み解くような面白さがあります。 著者はYouTubeでもコーチングやプレイ解説などをされており、そちらと合わせて読むと一層理解が進むのでお勧めです。
0投稿日: 2022.11.09自民党の統一教会汚染 追跡3000日
鈴木エイト
小学館
ジャーナリズムの真価がここに
世界を震撼させた暗殺事件後たった2カ月でこの内容が上梓できる蓄積に脱帽。そして自民党および安倍政権との連綿とした繋がり、統一協会の活動実態・カルトぶりに驚いた。 日本会議などと同床異夢で進めようとする改憲の意味合いも垣間見え、無関心ではいられないと再認識させられる。滋賀県民としては、選出議員がほとんど関わっていた事実を重く受け止めたい。
0投稿日: 2022.10.05UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ
池内恵,宇山智彦,川島真,小泉悠,鈴木一人,鶴岡路人,森聡
東京大学出版会
固着した視野を広げる一冊
ロシア・ウクライナ両当事国自体の視点を離れて、アメリカ・中国・中央アジア諸国・中東諸国それぞれの考え方や立場・距離感が分析されていて勉強になった。この戦争はコロナ禍と同じく従来からある問題や課題を顕在化させているのだろう。 各国の情勢を読んでいると、直接協議に関する各国政府とロシアとで発表内容のズレが目立ち、ロシアのプロパガンダが浮き彫りになるのもすごかった。
0投稿日: 2022.09.30一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた
山﨑圭一
SBクリエイティブ
試し読み範囲に読みやすさのポイントが詰まってます
ウクライナ情勢などを追っていて背景知識の欠落を痛感し、読みやすそうでバイアスの少なそうな本をひとつ手に取った。 20年近い教育実践から生まれた画期的な構成は少なくとも私にはよく合ったし、自身の知識の欠落ポイントも概ね掴めた。YouTubeもぼちぼち観ようかな。
1投稿日: 2022.08.30シリアで猫を救う
アラー・アルジャリールwithダイアナ・ダーク,大塚敦子
講談社
アレッポのキャットマン
内戦で破壊された街に取り残された猫を一介の電気技師が連れ帰ったところからSNSで繋がってサンクチュアリが立ち上がり、不安を抱えた子どもたちが笑顔を取り戻す。しかしそこも政権軍の爆撃を受け… 無事を祈るばかりです。
0投稿日: 2022.08.24