パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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秘密をもてないわたし I Have No Secrets
ペニー・ジョエルソン, 河井直子 / 角川書店単行本
原題が良いダブルミーニングになっています
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重度脳性まひでコミュニケーションが取れないけれど、人や周りをよく見て物事をよく考えている好奇心旺盛な少女が主人公。彼女は近所で起こった凶悪事件の核心をひょんなことから知ってしまい、また、その彼女自身の…安全が脅かされているのだが、彼女はそれを表現できない!
深く爽やかなミステリィに感動しました。 続きを読む投稿日:2021.11.09
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目の見えない人は世界をどう見ているのか
伊藤亜紗 / 光文社新書
変な気を遣って固くなるよりユーモアを
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視覚障害者との突っ込んだ対話を元にして、美学を修めた方らしく「情報と意味」「客観と主観」を切り口に、視覚抜きで成立している世界のあり方を晴眼者へ提示する試み。
そもそも「障害」概念がなぜ生じたかを考…えても、変な気を遣って固くなるよりユーモアをもって柔らかく受け止めればいいんだな、と楽になった気がします。高齢化社会は多様な身体の時代になるので、当事者と社会の関係がいっそう重要になると心します。 続きを読む投稿日:2021.11.16
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本好きの下剋上ふぁんぶっく6
香月美夜, 椎名優, 鈴華, 波野涼, 勝木光 / TOブックス
年に一度のお祭りブック、さらに充実して登場
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この1年の間に物語が進むとともに、勝木光さんによるコミックス第4部が始まりました。今巻では、椎名優さんによるジュニア文庫付録しおりの絵も加わり、ますます華やかなできあがりになっています。香月美夜先生の…Q&Aも大充実。
なお、3箇所間違いがあり、TOBOOKSに正誤表が上がっています。それを見る前に、果たしてあなたは見つけられるか?(私は1箇所しか気が付きませんでした) 続きを読む投稿日:2021.12.02
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おっさんの掟 ~「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」~(小学館新書)
谷口真由美 / 小学館新書
新リーグのうたい文句が消されていった経緯
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プロ化や地域密着などを通して日本ラグビーをレベルアップさせるという気概や危機感が、W杯の成功に伴う現状維持派の根拠無き楽観論に反攻され、「ありがち」なガバナンス不全に回収されていた。そしてこれは日本社…会の「失われた30年」と同根であり、心理的安全性を確保していかなくては先が暗い。
リーグワンに感じる「なぁなぁ」な気配が合っていたようで悲しいが、ラグビーファンとして閉塞状態打破に期待したい。 続きを読む投稿日:2022.02.08
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保健所の「コロナ戦記」 TOKYO2020‐2021
関なおみ / 光文社新書
巻末の対談が秀逸
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保健所が何をするところで何をせざるを得なかったのか、初めて知ることが多かった。また、流行当初の「得体の知れなさ」を否応なく思い出し、たった2年で印象がズレていることを反省した。
準備されていた"プラ…ンB"が次々に消されていく一方でリソース無視の「政治主導」に疲弊していく様子が苦しいが、そういうエピソードの中に時折挟まれるジョークに癒やされる。
大曲医師が原稿を読んだ上で臨まれた議論が、この手の巻末対談としては格別にハイレベルで良かったです。 続きを読む投稿日:2022.01.26
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1984
ジョージ・オーウェル, 田内志文 / 角川文庫
自分自身も加担している「分断」の原型
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昨年出た新訳で約10年ぶりの再読。前に読んだのは高橋和久訳「一九八四年」(ハヤカワ版)で、訳者曰く近年では「憎悪」より「ヘイト」の方が馴染みの日本語になってしまった、と。メディアやSNSによる分断が身…近に迫っていることの意味を思い知らされて、背筋が寒くなっています。 続きを読む
投稿日:2022.02.07