
黄昏たゆたい美術館
柄刀一
実業之日本社文庫
絵画ミステリー
前作よりも心理的に重いストーリーが多かった気がします。事件を解決に導く思考と、絵画に対する見解・新たな説、両面で楽しめます。 「『ひまわり』の黄色い囁き」密室の謎や、しっかりとしたストーリーでミステリーとしては面白い。でも個人的に一番心に残ったのは表題作の「黄昏たゆたい美術館」でした。うるっと。
3投稿日: 2014.04.19
亜智一郎の恐慌
泡坂妻夫
双葉文庫
落ちついた文体と、江戸~幕末…激動の時代の雰囲気が楽しい。
亜愛一郎シリーズ番外。こちらだけでも問題なく楽しめます。 愛一郎の御先祖、幕末、徳川家定に仕える雲見番の番頭である智一郎を中心とした御話。雲見櫓で空を眺めるという閑職は隠れ蓑で、実は将軍直属の隠密…。とはいえ智一郎は愛一郎と同じくオトボケ優男キャラですが。 配下には甲賀忍者の末裔・藻湖猛蔵、天下無双の怪力・古山奈津之助、自ら腕を斬り落として死の危機から脱した剛の者(本当は違う)緋熊重太郎。緋熊は勘違いで抜擢されたため心労が見え隠れ。 『地震時計』『ばら印籠』『大奥の曝頭』が好み。激動の時代背景も描かれていて楽しい。奈津之助の活躍がもう少し読みたかったなぁ。
1投稿日: 2014.04.18
モロッコ水晶の謎
有栖川有栖
講談社文庫
表題作は消化不良…気味。
表題作を含む中篇3本+掌編1本。 表題作 『モロッコ水晶の謎』 の犯人はかなり…そういう理由だと理論的推理は中々組み立てられない気がする。 『助教授の身代金』 タイトルあざといです(笑) 『ABCキラー』 見方を変えれば直ぐに気づけたかも…でも面白かった。 掌編の 『推理合戦』 火村&アリス&小夜子女史…ほのぼのですなぁ。
0投稿日: 2014.04.18
朱色の研究
有栖川有栖
角川文庫
火村とアリスのやり取りが楽しい
作家アリスシリーズ長編。朱色に塗り潰されたような今作。火村の見ている悪夢が僅かに垣間見えた今作。動機は理解できる人と、できない人とで真っ二つに分かれると思われる。私は…後者。独り善がりに感じた。アリスと二人で観光名所を巡ったり、気まぐれに道産子ぶる火村先生が見れたりと二人のやり取りは楽しい。
1投稿日: 2014.04.17
スイス時計の謎
有栖川有栖
講談社文庫
アリスの過去が垣間見える一冊
全四篇。表題作『スイス時計の謎』なぜ犯行現場から被害者の時計が無くなっているのか。ただそれだけの突破口から、論理的に犯人を追いつめていくシーン…良かったです。アリスが小説を書き始めたきっかけとなった過去なども書かれていて、印象に残る作品。 『あるYの悲劇』ダイイングメッセージの使い方は面白かったです。
0投稿日: 2014.04.17
スウェーデン館の謎
有栖川有栖
講談社文庫
舞台は日本です。
雪の密室というシンプルなトリック。物悲しいストーリー。磐梯山を訪れたアリスが殺人事件に巻き込まれるのだが、電話一本で文字通り風のように火村先生が登場すると、一気に読むスピードが早まります。やはり二人が揃うとテンポが良いですね。珍しく火村が犯人に同調するような場面もあり、その心の内をまた少し覗けたよう。
1投稿日: 2014.04.17
春期限定いちごタルト事件
米澤穂信
創元推理文庫
うーん…
小市民シリーズ、第一弾…初読み作家さんでしたが。 狐と狼が巨大な猫を被ろうとしているけど、大きすぎて落としそうになってる感じ。バカだなあ…猫ってのは薄皮みたいなのを何枚も重ね着するものなんだぜ(真顔)ってのは冗談と言う事にしといて。小市民になろうと誓っている割に自制心が緩すぎる感じもする狐くん。後半の狼ちゃんも緩み気味。無事に小市民になれるのですかね。そもそも小市民とは何ぞや…という感じですが。 そしてどうしても気になったのが、美術部員の行動。それはちょっと…無いわー。美術部員がそんなことやっちゃ駄目だわー。
1投稿日: 2014.04.17
ホーリー・アップル(3) 虹色のスチーム
柏枝真郷
講談社X文庫
とてもとても幸せな完結編
前作ラストでのドイルの呟き通り、刑事への昇格を打診されたNY市警のハリーとジェフリー。刑事になればドイルとのコンビになるが、臆病なハリーは自分がドイルの足手まといになるのではと思い、なかなか刑事昇格への決心がつかない。そんな中、またもや「DODO」絡みで事件が起きる。「完璧な計画」だった筈の杜撰な宝石強盗。 ドイルの過去を知り、愛の言葉を交わし、二人が幸せになれて本当に良かった。表紙がまた本当に幸せそうで素敵ですよね。
0投稿日: 2014.04.17
ホーリー・アップル(2) ドードー鳥の微笑
柏枝真郷
講談社X文庫
二人の仲は、少し進展?
ミステリ風味の警察ライトノベルで、同性同士の恋愛小説。有能だけど協調性がなく相棒を無視した強引な捜査をする刑事ドイルと、気弱なハリー巡査。プライベートでも強引なドイルに傷心を少しずつ癒されていくハリー。甘いなぁ。事件もアレコレ発生します。警察ってのはどこも忙しいですな。ラストの台詞は…うん、ドイル策士だわぁ(笑)
1投稿日: 2014.04.17
ホーリー・アップル 穴だらけの林檎
柏枝真郷
講談社X文庫
甘ーい!
時代は80年代のアメリカ・ニューヨーク。恋人に去られた傷を引き摺っている臆病で弱気なハリー巡査と、その所轄に配属された刑事ドイル。ドイルはキレ者だけど皮肉屋で協調性がなくて取っつき難い。でもそんなドイルが私生活では甘すぎるほど甘くて…これがギャップ萌えというものなのか。ハリーのような男には多少強引な方が良いだろう。BLというよりも同性同士の恋愛小説と言う感じで、更に言うとミステリ調の警察ライトノベルかな。当時の都市の様子、描写は細かくて興味深かったです。
2投稿日: 2014.04.17
