konohaさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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空中ブランコ
奥田英朗 / 文春文庫
笑っちゃう
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精神科医・伊良部を主人公とした連作短編小説。
伊良部はカウンセリングを受けようと思って来た患者に、「話をしただけで治るわけない」と言ってしまうのだから、まともな医者ではない。注射が好きで、患者にはとり…あえず注射するのだが、看護師マユミが注射するのを興奮しながらじっと見ているのである。子どもがそのまま大きくなったような人間で、空中ブランコ乗りが患者としてやってくれば、自分も空中ブランコをやりたいと言って実際にやってしまったり・・・
まったく笑っちゃうような話ばかりで、おもしろい。
第131回直木賞受賞作というのも驚き。直木賞は大衆小説を対象とした文学賞だからいいのか。 続きを読む投稿日:2014.07.04
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ファウンデーション対帝国
アイザック・アシモフ, 岡部宏之 / ハヤカワ文庫SF
ミュール登場でおもしろくなる
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ファウンデーションシリーズの第二部。前半は残存している帝国との戦い。いまだ圧倒的に強力な軍事力を誇る帝国に対して、歴史的必然的にファウンデーションが勝利するというもので、第一部のストレートな延長線上に…あるといってよい。
しかるに、後半はミュールが登場することによって、一気に物語は大転換を遂げる。
ファウンデーションシリーズは、このミュールの登場によって一気におもしろくなる。 続きを読む投稿日:2016.04.24
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スロウハイツの神様(下)
辻村深月 / 講談社文庫
辻村さんの本の中で一番好き
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上巻は登場人物紹介的な部分がけっこう長いですが、下巻になると物語は一気に動いていきます。
自分も一緒に暮らしたくなるような魅力的なキャラクターたち。
中でも悲惨な少女時代を過ごした赤羽環とチヨダコーキ…の2人には注目。
読むのは2回目ですが、やっぱりじーんときます。
読後感も最高でお薦めの作品です。
続きを読む投稿日:2015.09.05
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武士道シックスティーン
誉田哲也 / 文春文庫
武士道とは
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「武士道シックスティーン」は高校女子剣道をテーマにした小説で、「武士道セブンティーン」、「武士道エイティーン」と続くシリーズをなしている。宮本武蔵を心に師と仰ぐ香織は敵を斬るのが目的というような怖い女…子高生だが、早苗はまったく対照的でお気楽不動心の持ち主。全く対照的なこの2人が主人公である。
剣道にまったく興味がなくても、この小説はおもしろい。タイトルに「武士道」とあるように、単に青春・スポーツものの話ではない。主人公の香織も武士の仕事は相手を斬ることではなく、戦いを収めることであると身をもって学んでいく。単に強くなるのではなく、確かに成長しているな~
というわけで、楽しくて、全3巻、あっという間に読んでしまった。 続きを読む投稿日:2014.07.04
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幻魔大戦 20 光芒の宇宙
平井和正 / 角川文庫
第一期完結
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第一期完結とはいうものの、物語の方は何も終わっていない。この後、第二期幻魔大戦はタイトルを「ハルマゲドン」と変えて3巻まで刊行したところで中断。この中では、読者の信を試されるような衝撃的エピソードが・…・・。また、「ハルマゲドンの少女」においては、さらにその数ヶ月後が描かれており、想像を絶した展開を見せる。 続きを読む
投稿日:2015.01.06
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ハルマゲドンの少女[ファイナル幻魔大戦]
平井和正, 生賴範義 / e文庫
「幻魔大戦」の最終回答!?
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中断したまま再開されずに終わった「ハルマゲドン」の数ヶ月後の世界が描かれる! それだけでも注目だが、ここではさらに驚くべき展開を見せる。
幻魔大戦の最終的な回答がここに示されているようです。
…救世主に関しては、思ったほど単純な話ではなかったようで、真の救世主も悪の救世主も紙一重?
何やら恐るべきことが暗示的に書かれています。
なお、「幻魔大戦deep」以降のストーリーについては、まったく別のストーリーと割り切っていきましょうか。 続きを読む投稿日:2017.06.22