konohaさんのレビュー
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ピルグリム〔1〕 名前のない男たち
テリー・ヘイズ, 山中朝晶 / ハヤカワ文庫NV
2人の天才の戦い
2
悪魔的なテロリスト〈サラセン〉による恐るべきテロ計画。
それを阻止するために、元アメリカ諜報機関の男〈ピルグリム〉が呼び戻されて追跡する。
どちらも天才的な人物であり、それゆえに想像を超えた展開をたど…る。
非情な世界のサスペンス小説であるが、意外にも愛のあるストーリーでもある。
全3巻に及ぶ長編だが、ストーリーを追っていくうちに引き込まれていって、一気に読んでしまった。 続きを読む投稿日:2014.11.16
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そして夜は甦る
原りょう / 早川書房
フィリップ・マーロウの日本版
2
読み始めてすぐに「これは良い」と思った。
一つ一つの文章が良い。私立探偵・沢崎の視点で語られるので、沢崎の語り口が良いとも言える。
そして、それはフィリップ・マーロウを主人公とするレイモンド・チャンド…ラーの小説とよく似ている。
チャンドラーの小説と同じ感覚で読み進めていくことになった。
作者の原尞自身、レイモンド・チャンドラーの小説を愛読し、強く影響を受けているので、いかにもといった感じである。
フィリップ・マーロウはチェスが趣味で、一人で名人の棋譜を並べたりする場面があるが、沢崎は囲碁が趣味で新聞の囲碁欄を読む場面がある。このあたりにもチャンドラーへのオマージュが感じられる。 続きを読む投稿日:2013.09.26
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第二次幻魔大戦 ハルマゲドン
平井和正, 生賴範義 / e文庫
「幻魔大戦」のストレートな続編
1
角川文庫版「幻魔大戦」のストレートな続編。
第一部は高鳥慶輔とその教団が描かれる。
高鳥はかなりの力を持っているし、まだ成長の過程にあるのだろうが、悪の救世主になるには器が小さいような気もします。
第…二部は東丈不在のニューGENKENが描かれる。短期間に随分と変わってしまい、失望される向きもあるかもしれないが、東三千子を見ている限り、悲観的にはならない。
物語はまだまだこれからなのだが、中断したまま再開されなかったのが残念。続きを読みたかった。しかし、「ハルマゲドンの少女」の第3部でその数ヶ月後の世界が描かれており、中抜けにはなるが続きが読めたのはうれしかった。こちらもたいへん興味深いので、早期の電子書籍化を希望。
本作は物語の途中で終わってしまうので、中途半端ではあるが、ショッキングな展開があり、読まずにはいられません。
高鳥の前に現れた“霊体の郁江”は・・・・なのか!? 半信半疑でけっこう悩まされました。 続きを読む投稿日:2016.12.14
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原発ホワイトアウト
若杉冽 / 講談社文庫
現役キャリア官僚による告発小説
2
小説としておもしろいというのとははちょっと違うかもしれない。単なるフィクションだったら、不愉快に思うだけで終わったかもしれない。しかし、これが現役キャリア官僚が匿名で書いた告発小説となると受け取り方も…まったく変わる。
東日本大震災を期に脱原発へと向かいかけたのが、政権交代によってあっさりと原発再稼働へと転換した。この小説を読むと、その辺の裏が見えてくるようである。
自らの利権のために原発再稼働へ向けてひた走る政官財が生々しく描かれている。そして、原発再稼働に反対の知事を陥れて排除していくのも、現実的で空恐ろしい。 続きを読む投稿日:2015.07.15
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2061年宇宙の旅
アーサー・C・クラーク, 山高昭 / ハヤカワ文庫SF
シリーズ3作目
1
前2作と比べると読後の印象が希薄だったのは否めない。このさらに続編の「3001年」のほうが印象に残った。
さて、今作では老いてなお元気なヘイウッド・フロイドがユニバース号で再接近したハレー彗星へ向かう…一方、孫のクリスの搭乗するギャラクシー号が禁断の星エウロパに向かい、そして事件が起きるのだが・・・
お馴染みのモノリスにボーマン、そしてハル・・・ラストはなかなか興味深いです。 続きを読む投稿日:2013.12.05
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ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 下
ダヴィド ラーゲルクランツ, ヘレンハルメ 美穂, 久山 葉子 / 早川書房
双子の物語
1
別々に育った双生児が長じて出会ったら驚きに満ちたものになるだろう。もう一人の自分に出会うようなものだから。
リスベットとカミラの場合は幼少時に一緒に育ったこともあり、まったく状況は異なるが、これは極…めて特異な例と言うべきか。
さて、この双子の研究に関わっていたのがレジストリーであり、リスベットが追っているものであるが、レジストリーの側も旧悪露見を阻止すべく過激な動きを見せるため、波乱は必至の展開となる。
それとは別に過激なイスラム原理主義者や刑務所にいながら不気味な影響力を持つ女囚との戦いもあって、終盤は息つく暇もなかった。
続きを読む投稿日:2017.12.25