cozycozyさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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小説 言の葉の庭
新海誠 / 角川文庫
アニメーションだからできること、小説だからできること
1
素敵な言の葉たち。作者の映像をまだ見たことが無いけど、この本の空気感はとても好きで、映像を見てみたい。あとがきで、映像の方が雄弁たり得る、映像の方が情緒を喚起できるとあった。ここだけを読むと小説軽視の…ように感じるかもしれないけど、作者は、アニメーションにも小説にも片想いしている。だからこそ、それぞれへの想いが滲み出ているのかもしれない。映像から生まれる小説って当たり外れが多い気がするけど、この本は良かった。複数の視点で語られる恋の物語。万葉集の言葉の響きが全体を包み込んでいる。雨の庭っていいなー。 続きを読む
投稿日:2017.03.08
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そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー, 青木久惠 / クリスティー文庫
名作はいつ読んでも名作だった
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25年ぶりに再読したけど、名作は色褪せないことに改めて気付かされる。ミステリー好きでもそうで無くても、多くの人に読んでもらいたい作品。再読でもハラハラドキドキしてしまう。有名過ぎて読まない人が多そうな…のが残念。ふと、綾辻行人の「十角館の殺人」も25年ぶりにも読みたくなった。どちらも名作やし、両方セットで読んでもらいたい。 続きを読む
投稿日:2017.03.08
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本日は、お日柄もよく
原田マハ / 徳間文庫
言葉の力
1
文字の力もすごいけど、その場限り一回勝負のスピーチの力もすごい。文字や言葉の力に敬意を抱く自分としては、とても興味深いスピーチライターの仕事の話。結婚式のスピーチ、お客や会社を動かすためのコピーライテ…ィングの話から、途中からは選挙の対決に。選挙戦の対決は緊張感があって面白い。相手の状況や、キャッチコピーがどれだけ使用されてるかとか、情報戦にワクワク。想像がつくストーリーですが、期待通りで十分楽しい。安直なストーリーですが、十分ワクワクできるし泣ける。暖かい気持ちになれる本でした。この作者の文章が自分に合っているのか、するりと世界観に引き込まれて気持ちいい。 続きを読む
投稿日:2017.03.08
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神様が殺してくれる
森博嗣 / 幻冬舎文庫
ロードムービーのような美しいサスペンス
1
久しぶりの森博嗣作品。淡々と描写され、淡々と進むストーリーが、ロードムービーのようでもあって美しい。登場人物が外国人なので、モノクロの描写も似合うと思ったし、思い描くシーンはリオン以外はほぼモノトーン…の映像。ラスト数ページの展開がスリリングであるのに、どこか詩的な印象を受けたのは聴いてた音楽からかな。ゴリラズの新作の音楽がなぜか本とマッチしていた。衝撃のラストは賛否両論あるかもしれないが、個人的に好き。久しぶりに衝撃を受けた。 続きを読む
投稿日:2017.05.16
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彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?
森博嗣 / 講談社タイガ
人間と人工細胞の違いはいったいどこに
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森博嗣のSFシリーズ一作目。人工細胞で作られた生命体であるウォーカロン。人間との差はほとんどない。人工細胞によって人類はほぼ永遠の命を得たが、何故か子供が産めなくなった。ウォーカロンと人間を識別するた…めの研究をしていた教授が何者かに狙われる。人間とは何なのか、誰が何を守りたいのか。森博嗣作品はやはり会話がいい。SFは個人的に読者が歩み寄らないといけない作品だと思っているが、まさにそんな感じ。シンクロすると楽しい。続編をどうしても今すぐ読みたいとならなかったが、ゆっくり咀嚼してから続編へと手を出してみたい。
と感想の当初は思ったが、人工知能や人工機能のニュースなどを見るたびにこのストーリーを思い出したので、そろそろ続編が読みたい。 続きを読む投稿日:2017.07.15
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僕らのごはんは明日で待ってる
瀬尾まいこ / 幻冬舎文庫
切なく重く、でも軽やかで爽やかな作品
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文書のリズム、会話のリズム、言葉の選び方、ツッコミ、全てが心地よくて、内容は切なく重いはずなのに、爽やかでほんわかしたリズムに全てが気持ちよく包まれる。高校三年の「米袋ジャンプ」から始まる恋の物語。若…い2人の物語だけども、青臭い恋愛じゃなく、何歳でもあてはまる。ほろ苦く切なく悲しいのに、とっても温かい読後感で、いろんな人にこの本よかったよって勧めたくなる本でした。『悲しみをわかりあえる存在が与えてくれるのは安心だけで、一緒にいることで悲しみが薄まるわけではない。』 続きを読む
投稿日:2017.06.24