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cozycozyさんのレビュー
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  • 【合本版】王妃の館 上・下

    【合本版】王妃の館 上・下

    浅田次郎

    集英社文庫

    味噌ソース味お好み焼きネギ入りミックス広島風スペシャル

    150万円のツアーと19万8千円のツアーが、時間をずらしてわからないように同宿させる。久しぶりの浅田次郎作品だけども、やっぱり作者の文章は安心して読めるし、どたばたコメディの内容も軽すぎず重すぎずいいバランスでテンポよく読ませてくれる。現代のハラハラ感とルイ14世のお話のどちらも続きが気になる。楽しめる物語を読んでると、読んでない時間もどこか楽しい。 ドキドキ、ハラハラ、笑って、泣いて。予定調和、期待通り、「味噌ソース味お好み焼きネギ入りミックス広島風スペシャル」でええやん、て思える。『勇気は生み出すもの』『女にとっての家庭はすなわち国家そのもの。』『正論が必ず世界平和に寄与しない』『愛されようとするな。愛するのだ。』『平和とは戦争のない時間のことではない。心の平安が約束された時間のことである。そのためには、戦争や暴力を否定するだけではなく、世界中を美しいもので埋めつくさなければならない。』『美しいものに満たされれば人は優しくなる。』

    0
    投稿日: 2016.02.19
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

    色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

    村上春樹

    文春文庫

    2回目は音楽と一緒に

    フランツ・リストの「巡礼の年」を聴きながら再読したい。「ル・マル・デュ・ペイ」の演奏者による違いも感じてみたい。そうすることで、シロに対するつくるの感情がさらにわかるかも。つくるが36歳の割に子供っぽく感じてしまうものの、ほぼ同じ年齢で、自分も同じような思考や行動になることがあり、共感と嫌悪感が入り雑じる。人の心と人の心は、むしろ傷と傷によって深く結びついている。脆さと脆さによって繋がっている。説明が多い文章は好きじゃないのだが、押し付けることなく、逆に心地よく感じるのは、やはり作者の文章の上手さなのか。

    0
    投稿日: 2016.02.18
  • 神々の山嶺(上)

    神々の山嶺(上)

    夢枕獏

    集英社文庫

    上巻だけで、名作と言われていることに納得できる

    生と死が隣り合わせのピリピリした緊張感、ヒリヒリと肌にささる冷たい風、澄んでキリッとした空気感、登山家たちの熱い気持ち、登山をしたことのない自分でも感じる臨場感がすごい。そして、死と直面したときの手記の緊迫感がすごい。生の気力も死の気力もなくなる、凄まじい世界。登山の描写に圧倒されて、それだけで十分だけど、さらに「そこにエベレストがあるから」のジョージ・マロリーのカメラにまつわるミステリーが面白い。登場人物達のそれぞれの想いが交錯しながら、ミステリーの謎も少しずつ明らかになるのか。ワクワクしながら、下巻へ

    2
    投稿日: 2016.02.18
  • 神々の山嶺(下)

    神々の山嶺(下)

    夢枕獏

    集英社文庫

    とことんリアルな空気感

    熱い。心が温まるなんて熱さではなく、血が沸騰して自らの熱で燃えてしまいそうになるように熱い。山岳小説も冒険小説も歴史小説も、好きな本は全て同じような熱を持っていることに改めて気がついた。武士も、海の男も、山の男も、死なないため、生きるために死ぬ気で挑む。苦悩や悲しみなど全てひっくるめて、覚悟を決め、生きるために命を削りながら闘っているから熱いのか。上巻では、山岳小説でミステリーと書きましたが、下巻はとにかく山岳小説。いろんな謎なんてどうでもよくなってくるくらい、命懸けの登攀のシーンに圧倒される。名作です。

    1
    投稿日: 2016.02.18
  • ミステリーの書き方

    ミステリーの書き方

    日本推理作家協会 編著,赤川次郎,東直己,阿刀田高,我孫子武丸,綾辻行人,有栖川有栖,五十嵐貴久,伊坂幸太郎,石田衣良,岩井志麻子,逢坂剛,大沢在昌,乙一,折原一,恩田陸,垣根涼介,香納諒一,神埼京介,貴志祐介,北方謙三,北村薫,北森鴻,黒川博行,小池真理子,今野敏,柴田よしき,朱川湊人,真保裕一,柄刀一,天童荒太,二階堂黎人,楡周平,野沢尚,法月綸太郎,馳星周,花村萬月,東野圭吾,福井晴敏,船戸与一,宮部みゆき,森村誠一,山田正紀,横山秀夫

    幻冬舎文庫

    作品作りの過程を覗き見

    家の作品作りの一端を覗いているようで、とても面白かった。ミステリーの書き方とあるけど、ミステリー好きじゃなくても、作家の思考の流れを知ることは面白いはず。作者の意図を知ってから本を読むと、ここに持ってくるためのこの場面構成なんだなとか、ここのシーン進行は苦労してるなとか、違った読み方もできて、たまにはそういう読み方も楽しい。ストーリーの作り上げ方、アイディアの練り方は作家それぞれの特徴があるけども、プロとしての取り組み姿勢ってどこか共通するものがあるんだなと感じた。

    8
    投稿日: 2016.02.18
  • 図書館戦争+別冊図書館戦争 全6冊合本版

    図書館戦争+別冊図書館戦争 全6冊合本版

    有川浩

    角川文庫

    絶妙な甘さの美味しいケーキを食べたときの幸福感

    ひねくれ者なんで、映画化されてからの本になかなか手をつけないのですが、電子書籍で全6冊一気読み。やっぱり期待を裏切らない面白さ。もっと早く読んでおけばよかった(笑)『塩の街』などの自衛隊三部作が好きな人なら絶対はまる。作者のミリタリーものは、戦闘シーンも面白いし、登場人物が男女問わずかっこいい。正義の危うさ、無関心の怖さなど、最近ずっと気になっている世の中のねじれた部分がわかりやすく書かれていて、作者の上手さを感じた。楽しくハッピーな気持ちにさせてくれる、絶妙なさじ加減で甘くて美味しいラブコメでした。

    0
    投稿日: 2016.01.04
  • ハサミ男

    ハサミ男

    殊能将之

    講談社文庫

    評判通りの面白さ

    評判通りの面白い作品でした。最後の数十ページの衝撃を受けるためにも、他の人の感想などはネタバレするかも知れないので読まないでください。久しぶりに一気読みしたくらい、面白かったです。ミステリは、読み終わった後に再読したくなったり、騙された部分を思い返すのが楽しい。この本なら、その作業をさせてくれるはずです。

    2
    投稿日: 2015.09.12
  • コウノドリ(9)

    コウノドリ(9)

    鈴ノ木ユウ

    モーニング

    ほっこり幸せの巻

    研修医の行動に、はらはらどきどきしながらも、成長に嬉しくなる。この巻は、これまでの中では一番ほっこりしてて笑いの多い巻。出産予定日を何度も先生に確認する若い父親は今時な感じがした。いつも読んでて、男はもっとしっかりしろよ、って思ってしまう。毎回毎回、再認識するけども、産まれるって奇跡だし、自分の命をかけて出産する母親は偉大やな。次かその次の巻に入る産後クライシスの話が気になる。

    0
    投稿日: 2015.09.08
  • 殺人鬼 ――逆襲篇

    殺人鬼 ――逆襲篇

    綾辻行人

    角川文庫

    さらに暴力的な内容に

    殺人鬼の続編。ホラー映画以上に、本の方が描写がリアルで気持ち悪い。スプラッター感やアクションは増して、さらに暴力的な内容になっているけど、ミステリーの要素も残されています。覚醒篇を読んでいると少し繋がっているので、さらに面白く読めた。B級ホラー映画やスプラッター映画好きで、読書好きならオススメです。たくさんの人が殺され、気持ち悪さは半端ないので、苦手な方は読まない方がいいです。

    3
    投稿日: 2015.07.28
  • 殺人鬼 ――覚醒篇

    殺人鬼 ――覚醒篇

    綾辻行人

    角川文庫

    後ろを振り返ってしまうくらいの恐怖

    非常にグロテスクな描写が多く、途中で読むのが嫌になるくらいなのに、最後まで読んでしまうのは、作者が生み出す魅力的な登場人物と、ストーリー。暗がりで読んでいると、恐怖で何度も後ろを振り返ってしまいます。グロテスクなだけでは終わらない、衝撃のラストは、さすがです。

    2
    投稿日: 2015.07.28