
海皇紀(45)
川原正敏
月刊少年マガジン
海賊&ファンタジー&海洋冒険&帆船バトル&歴史巨編
何度読んでも、帆船の戦いはワクワクする。海賊&ファンタジー&海洋冒険&帆船バトル。作者自身が商船高等専門学校で航海経験があるから帆船の描き方や操舵のシーンがリアルで緊迫感があり、「修羅の刻」のような歴史に対する造詣の深さ、「修羅の門」でのバトルのスピード感、全てを総動員して作者が好きなように描いているからか、全ての巻が面白い。ONE PIECE好きなら、って言いたいとこやけど、全ての少年漫画好きに読んでもらいたい作品。ヨットに乗ってからこの漫画を読むと、風の読みや操舵の難しさがよりリアルになって面白い。
0投稿日: 2018.11.20
あたしの一生 猫のダルシーの物語
ディー・レディー(著),江國香織(訳)
小学館
愛の物語
猫(ダルシー)の視点で描かれる物語。改めて読みなおしてみると、とことん自己中心的で、とことん献身的な愛の物語。もしダルシーが人だと思うと、めっちゃ重い愛と感じるかもしれない。でも、どこまでも愛を突き詰めると、真実の愛ってこうなのかもしれない。猫と一緒に暮らしている人が読んだら、きっと、絶対に、隣にいる猫を抱きしめるはず。何回読んでも最後は泣いてしまう。この本って、何で増刷しないのかな。「猫語の教科書」とこの本は、猫が語る本としてとても素晴らしいと思う。
0投稿日: 2018.10.23
彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?
森博嗣
講談社タイガ
人間と人工細胞の違いはいったいどこに
森博嗣のSFシリーズ一作目。人工細胞で作られた生命体であるウォーカロン。人間との差はほとんどない。人工細胞によって人類はほぼ永遠の命を得たが、何故か子供が産めなくなった。ウォーカロンと人間を識別するための研究をしていた教授が何者かに狙われる。人間とは何なのか、誰が何を守りたいのか。森博嗣作品はやはり会話がいい。SFは個人的に読者が歩み寄らないといけない作品だと思っているが、まさにそんな感じ。シンクロすると楽しい。続編をどうしても今すぐ読みたいとならなかったが、ゆっくり咀嚼してから続編へと手を出してみたい。 と感想の当初は思ったが、人工知能や人工機能のニュースなどを見るたびにこのストーリーを思い出したので、そろそろ続編が読みたい。
1投稿日: 2017.07.15
捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest
森博嗣
講談社文庫
主役同士の対決にわくわく
S&MシリーズとVシリーズとのコラボ。保呂草と西之園萌絵の対決がスリリングで楽しい。両シリーズが好きだからこその面白さかもしれない。コナン対ルパンみたいな感じ笑。王道の娯楽ミステリーで楽しく読めた。面白いキャラクターをたくさん生み出している作者がすごいなと改めて実感する。
0投稿日: 2017.07.02
僕らのごはんは明日で待ってる
瀬尾まいこ
幻冬舎文庫
切なく重く、でも軽やかで爽やかな作品
文書のリズム、会話のリズム、言葉の選び方、ツッコミ、全てが心地よくて、内容は切なく重いはずなのに、爽やかでほんわかしたリズムに全てが気持ちよく包まれる。高校三年の「米袋ジャンプ」から始まる恋の物語。若い2人の物語だけども、青臭い恋愛じゃなく、何歳でもあてはまる。ほろ苦く切なく悲しいのに、とっても温かい読後感で、いろんな人にこの本よかったよって勧めたくなる本でした。『悲しみをわかりあえる存在が与えてくれるのは安心だけで、一緒にいることで悲しみが薄まるわけではない。』
1投稿日: 2017.06.24
悪戯王子と猫の物語
森博嗣,ささきすばる
講談社文庫
詩のようなダークで美しいショートショート
森博嗣の詩のようなショートショート。印象的な挿絵と、それぞれが独立したようなどこか繋がっているかのような、ぞくぞくぞわぞわざわざわする世界観。『「似合う?」なんてきかれると、「似合うよ」としか答えられないのが男性の力学だから、…』ぞわぞわする文章は他にたくさんあるけども、どこか森博嗣的なこの感じがいい。
0投稿日: 2017.06.24
神様が殺してくれる
森博嗣
幻冬舎文庫
ロードムービーのような美しいサスペンス
久しぶりの森博嗣作品。淡々と描写され、淡々と進むストーリーが、ロードムービーのようでもあって美しい。登場人物が外国人なので、モノクロの描写も似合うと思ったし、思い描くシーンはリオン以外はほぼモノトーンの映像。ラスト数ページの展開がスリリングであるのに、どこか詩的な印象を受けたのは聴いてた音楽からかな。ゴリラズの新作の音楽がなぜか本とマッチしていた。衝撃のラストは賛否両論あるかもしれないが、個人的に好き。久しぶりに衝撃を受けた。
1投稿日: 2017.05.16
セトウツミ 7
此元和津也
別冊少年チャンピオン
どの巻も期待を裏切らない面白さ
「お前、寝不足のOLのファンデーションよりノリが悪いな」毎回書くけど、安定して面白い。電車で呼んだらこらえるのがつらい。座って話をしてるだけなのに、もう7巻。いろんな伏線があったり、風刺がきいていたり読み応えもある。今回は、いつもと違い、次巻が気になる終わり方。「コーヒー豆よりひいたわ」
0投稿日: 2017.04.28
楽園のカンヴァス(新潮文庫)
原田マハ
新潮文庫
ドキドキワクワクの美術ミステリー
「この絵の中に、君の友達がいる。そう思って見ればいい。それが君にとっての名作だ。」「アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ。」主人公の父の言葉に共感。ストーリー展開にドキドキさせられ、わくわくしながら読めた。ルソーへの愛に溢れた内容で、実物の絵にまた会いに行きたくなった。というか、実物の絵をじっくり感じた後に読んで、それからもう一度実物を見たい。「夢」が無理でも、ルソー作品で。美術館と動物園と植物園に行きたくなった。
0投稿日: 2017.03.08
本日は、お日柄もよく
原田マハ
徳間文庫
言葉の力
文字の力もすごいけど、その場限り一回勝負のスピーチの力もすごい。文字や言葉の力に敬意を抱く自分としては、とても興味深いスピーチライターの仕事の話。結婚式のスピーチ、お客や会社を動かすためのコピーライティングの話から、途中からは選挙の対決に。選挙戦の対決は緊張感があって面白い。相手の状況や、キャッチコピーがどれだけ使用されてるかとか、情報戦にワクワク。想像がつくストーリーですが、期待通りで十分楽しい。安直なストーリーですが、十分ワクワクできるし泣ける。暖かい気持ちになれる本でした。この作者の文章が自分に合っているのか、するりと世界観に引き込まれて気持ちいい。
1投稿日: 2017.03.08
