記憶する体
伊藤亜紗(著)
/春秋社
この作品のレビュー
平均 3.9 (40件のレビュー)
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障害のある状態を普通に感じ、折り合いをつける
どのようにして著者が、聞き取りをした彼らと知り合うことになったか、経緯を書いていないことに違和感が残った。
ある所をフィールドワークとしていてそこで偶然というのではないようだ。
こうした障害の支援…ネットワークがあって、彼らはそこで講演などしている有名人なのかも。
おおむね障害との付き合いが長く、現在は心身が折り合いをつけ、改善の途上にある人たちを見ていると、患者の側からの様々なアクションが変化のキッカケというより、時間の要因が大きいようだ。
苦しみは長引くが、時間の協力を得ずして、一足飛びの解決はありえないのだ。続きを読む投稿日:2020.09.30
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このレビューはネタバレを含みます
とてもオモシロかった『サイボーグになる』という本の中で繰り返し引用されていた本著を読んだ。完全に読む順番を間違えており本著を先に読んだほうが『サイボーグになる』はより解像度が上がったと思う。そのくら…い健常者が勝手に抱いている障害者のイメージと現実との乖離を一から丁寧に解説してくれており目から鱗な話の連発で興味深かった。こんだけ優しい語り口かつ理路整然としている文体がかなり好きだった。
レビューの続きを読む
著者が障害を持つ方にインタビューした内容を踏まえて当事者の障害について解説、論考する構成で11個のエピソードが収録されている。具体例からブレイクダウンしてくれるので話が理解しやすい構成だった。
タイトルにある「記憶」を軸に健常者側の偏見を裏切るような人選(たとえば全盲だけどメモを取る人、義手の必要性を感じていない人など)がなされており興味深かった。記憶の観点でいうと先天的もしくは後天的に障害を持つかで状況は大きく変わる。なぜなら最初から無かったパターンと元からあったものを失うパターンに分かれるから。状態は同じでもプロセスが違うこと、つまり記憶のある/なしで障害の認知が変化するということに改めて気付かされた。
また人間の体の仕組みがいかに複雑なのかもよく分かる。見ているものがすべてではなく、認知と現実のギャップが存在し、それを補填したり、もしくは間違えたりする要因の一つが記憶であり、それとどのように付き合うか。幻肢が痛む話はその最たる例で本著内で大きくフォーカスされている。そこにない足が痛むという事態をなかなか想像しづらいが本著の具体事例の数々でイメージが少し湧くようになった。
障害者の方たちが日々自分の体と向き合って、どうすれば最適化できるのかを考えている。分かりやすかったのは健常者の場合はすべての動作が基本的にオートマティックだが、障害者の方は各動作がマニュアルであるがゆえに大変ということ。しかし、そこには工夫の余地が残されており、ゆえにテクノロジーが介入している現状となっている。3Dプリンターの活用にはかなり未来を感じた。『サイボーグになる』で議論されていたように当事者の意見が反映された補填具が開発されていって欲しい。
健常者だからといって障害を他人事と思えないのは最後に収録されている若年性アルツハイマーのエピソードがあるから。当然、事故で視力や聴力、手や足を失う可能性はゼロではないもののアルツハイマーは自分ごとになるかもしれないリアリティがあった。このエピソードは他と毛色が異なる内容でかなり興味深かった。端的にいうとアルツハイマーで忘れてしまうことを逆手に取ったクリエイティビティの発揮だろうか。日記と小説の狭間にある記憶と忘却みたいな深いテーマがゴロッと放り込まれてた。『どもる体』も早々に読みたい。続きを読む投稿日:2024.02.11
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