ソニー復興の劇薬 SAPプロジェクトの苦闘
西田宗千佳(著者)
/角川アスキー総合研究所
作品情報
実質8年ぶりの黒字で復活を印象づけたソニー。その内側でいま劇薬に喩えられるほど過激な社長直轄事業が進行している。平井社長以下、キーマン11名への密着取材で"メーカーの価値とは何か?"に迫るビジネス書。
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この作品のレビュー
平均 4.7 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
SAP(Seed Acceleration Program)という
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やりたい人が手を挙げて新規事業を作る方法に関する、
立ち上げとそこから生まれたモノ、人に関する物語。
素晴らしすぎる。羨ましすぎる。熱すぎる!!!
・「社内に存在するマグマのように沸き立つアイディア」をビジネスの形にまで引き上げるシステマチックな制度こそがSAP。
→作りたくてしょうがない、みんな手を挙げる文化。いいなぁ。うちの会社にはそのような人が表に出てこないなぁ。。。
・新規事業を目指すチームは「マウンドに上がるピッチャー」
①オーディション → 甲子園の地区予選に出場するようなもの。数枚のペーパープラン。放課後プロジェクト。誰でも参加可能。
②プレゼン×数回
③最終審査プレゼン →社外の人も審査に参加
④事業開始
⑤3か月毎に継続可否審査
口だけでは無い、まずマウンドに立ってみろ!
SAPは収益性だけではない。
ビジネスを立ち上げた経験が浅いメンバーにトータルでの経験を積ませる。
すなわちマウンドに立たせることにも大きな価値を持っている。
大企業では「シャドーボクシング」が起こりがち。
「僕の発想って素晴らしいでしょ」とプレゼンにまとめるところまでは真剣だけど
その後実際にリングにあがることは無いのでひたすらシャドーボクシングを続ける。
SAPが重視しているのでリングに、ピッチャーマウンドにあがること。
新規事業を作るだけが素晴らしいだけではない。
社内の人が支えあってビジネスは回る。
マウンドにあがることでそのことを深く理解することも目的の一つ。
・SAPは収益性を重視している。①のペーパープランから収益性や事業性を書いてもらう。
だがビジネスプランを立てるプロでは無いので甘い。
最終審査でも「収益性が低いからダメだね」とは言わない。あくまで内容のユニークさ重視。
事業計画の甘さは先のフェーズで磨きこむ。
→すごいね。これはなかなかできない。事業性を見て早くから潰されるのが普通。
・なにかあると迅速に1週間単位で「これならこういう人」と必要な人員をアサインする仕組み。
すごい技術を持った人が次から次へと。
→なんと!!!
・その他、「加速支援者」として自身の経験を生かしてサポートしたい!という人が続々。
自分の事業と関係ないけど面白いものを作ってる人がいたら自分も関わりたい。
今までは「助ける対象」が無かった。新しいものを作ることを手伝いたい!!
→40~50台の人は後輩に自分の経験を伝えたくてしょうがないので頼られると嬉しい。思わず手伝ってしまう
ってのもわかるなぁ。この仕組みも素晴らしい。
・価値観はお金だけじゃない。
「自分が持ってるスキルやアイディアを触発してくれて高めてくれる仲間がいる」
「やりたいことができる環境がある」
「大きいことができそうだ」
といったことの方がむしろ重要なんじゃないか?
→うちの会社に今、必要なのはこれなのでは?
・現状のメーカーとは開発以外でも量産体制にしても販売体制にしてもカスタマーサポート体制にしても
担当分担して流れ作業の形で行うので、全ての形で100万台基準で全てをやっているので固定費がかさんでしまう。
でも新しいものを作って新しい市場で勝負する場合、最初の市場は小さいので100万台基準の固定費をかけると
勝負ができない。
→まさに今、ぶち当たってる壁!!!
・品質基準
従来のように高い品質基準は求めていない。数が少ないので100個のうち1個不良品が混ざっていても
謝って交換すれば良い。高いコストをかけて品質をあげても効果薄い。
・SAPではクラウドファンディング利用
①需要の確認
②顧客への直接販売 →一般量販店経由はリスク高。
③顧客との長期的な関係を築くため
・構造改革を行ってるSONYにとって、構造改革ばかりでは疲弊する。そこで構造改革は終わったんだ!
というメッセージのためにもSAPを行ったのは意味がある
・SAPのもう一つの目的は社内のオペレーション改革であり意識改革
やれば小さく、早く出すことができるがそれだけではない。
これをノウハウ化したうえでこれまでの事業部へ反映すること!投稿日:2016.11.13
大企業で新規事業をどのように形にするのか、の具体的な話が詰まっていて、とても勉強になった。
単に新規事業を興すだけでなく、様々な副産物も産まれたことはすばらしい。
ただ、同じことを別の会社でもできるか…と言うと、そんなことはない。あくまで一つの事例として、参考にしたい。続きを読む投稿日:2020.01.29
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