もうダメかも――死ぬ確率の統計学
マイケル・ブラストランド(著)
,デイヴィッド・シュピーゲルハルター(著)
,松井信彦(訳)
/みすず書房
作品情報
「危険とは浅瀬のサメ、食器棚の錠剤、グランドピアノが窓からずり落ちかけている下で子供がスキップしている状況だ。クリーム摂りすぎの食生活、ベースジャンプ、密造酒、歩行者対2階建てバス、車でのスピードの出し過ぎ、変な天気もだし、スリル満点の物事もだ。言い換えると、危険はいつどこにでもある。そして…リスクには2つの顔がある。ひとつは一見冷徹な確率計算、もうひとつは、人々とそれぞれの身に起こった物語だ…この2つを一度に見る、というのが本書の普通ではない目的である」「数字と統計情報は揃っている。それらを駆使して、山あり谷ありの人生におけるさまざまな出来事の確率を見ていく…[そのために]手に入るなかでも、あるいは編み出せるなかでも最高の手法を用いる。特に、「マイクロモート」と呼ばれる巧みな仕掛け、そして新しい「マイクロライフ」という、命に関わるリスクを表す親しみやすい2つの単位を用いる…この意味で、本書は人生にまつわるさまざまな確率を取り上げた新しいガイドブックと言えよう」(はじめに)
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商品情報
- シリーズ
- もうダメかも――死ぬ確率の統計学
- 出版社
- みすず書房
- 書籍発売日
- 2020.04.10
- Reader Store発売日
- 2020.05.15
- ファイルサイズ
- 5.8MB
- ページ数
- 408ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (9件のレビュー)
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数字と物語/感情 リスクを巡って相反する見方
もし自分が、感染者の濃厚接触者としてPCR検査を受けた結果、陽性であることがわかったと告げられたらどう思うか?
無症状で、体内に侵入したウイルスは免疫によって大方退治され、あと数日もすれば駆逐される…はずなのに、その攻防の残滓を拾って「感染者」として社会的に隔離されるとしたら?
がん検診についても、生死に直結するがんと、ただそこにいるだけで深刻なものでないがんとを区別できない。
死亡率の削減にさほど大きな貢献もしておらず、実は生還者の90%はそもそも検診を受けなくても生きていることが明らかになっている。
「がんの診断と治療に耐えてきた方々が、自分がまだ生きていられるのは病気を最初に警告してくれた検査のおかげと思うのは至極当然である。
人間は物語を語るとき、生まれながらの癖として、ある出来事とそれに先立つ出来事とを結びつける。
まずこうなり(検診)、つぎにこうなって(治療)、おかげでそれから幸せに生き永らえた、という具合だ。だが、そうとは限らないのである」
検診を受けなければ発見されなかった悪性の癌と、検査を受けなくても自然治癒していた悪性ではない癌。
何の問題も起こさず同居している隠れた病気のリスクは?
検診については、治療そのものがなす害、いわゆる過剰診断が問題なっているが、実際に起こる良からぬ出来事と同時に、起こらない不発の出来事も、同じくらい重要なはずだ。
しかし、400分の1の"399"に目を向ける人は少ない。”1”を問題にし、その”1”を自分、もしくは最愛の誰かと考える人の方が多い。
ある決断の破滅を誰かの責任と語るために、物語は、「恐怖、方針、偏見、想定など、手近にある情緒的な線を何でも使って点を逆算でつないでいく」。
事後に語られる物語の恐ろしさを我々はよく知っている。
車より飛行機のほうが危ないと感じた人に、死亡事故の確率は逆だと指摘したところで、たいして効果はない。
その人にとって危険が単純に死亡率と同じということはまずないからだ。
たいていは危険の話ですらない。
だからといって著者らは、数字は大好きだが、リスクにおける数字がいかに重要かを語っているのでもない。
人にとって、独立した客観的な確率というものは存在しないと結論づけている。
なぜなら確率とは、自らの手で自らが知っていることに基づいて作り上げられているからだ。
「客観的な数字を主観的な見方と切り離すことできない。リスクを400分の1と記述すると、注意はどうしても”1”に向く。何も起こらない確率が400分の399だと記述しても同じリスクだと言って、数学的は正しいかもしれないが、フレーミンクが違うと反応が違うことは人間が不合理だという証左ではない。数字と見方はどちらも重要だ。リスクは人の見方と独立に存在しているわけではないし、リスクの見方が数字の束縛を受けていないわけではない」。
人は、物語と数字の両方を通して、リスクを見ている。
数字の長所は、確率を教えてくれ、物語の長所は、感情や価値観を伝えてくれる。
物語は、個人的かつ具体的であることを土台にしているが、確率の方は、単一の経験という証拠を疑うことを柱としている。
物語の信憑性はディテールにかかっているが、確率はディテールで破綻する。
数字と物語(感情)。
リスクを巡って、相反する見方が盛衰を繰り返して、危機に対する姿勢を作り上げている。
失業そのものが命を奪うわけではないが、「失業すると、収入を失うことに加えて、離婚、犯罪、健康の悪化、早死の可能性が高まる。死亡率上昇の一因は自殺だとよく言われている他、心臓病やアルコールも挙げられている。一言で言うと、失業者はストレス下に置かれ、気鬱になり、心破れて、病気になる確率が高い」。
別の研究では、「失業が1日に及ぼす健康への影響はタバコ12本分に相当しており、無職で1日24時間過ごすたび27時間年をとるかのごとく死を早める」と言われている。続きを読む投稿日:2020.07.19
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