READING HACKS!
原尻淳一(著)
/東洋経済新報社
作品情報
「ハックシリーズ」待望の読書術。
ネット活用で革命的に本の読み方が変わる、スマート&ポップな「ライフハック式」読書のすすめ。楽しみながら文字情報処理の効率を驚異的に高め、「超」アウトプット生産できる読む技術と習慣を解説します。
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商品情報
- シリーズ
- READING HACKS!
- 著者
- 原尻淳一
- 出版社
- 東洋経済新報社
- 書籍発売日
- 2008.10.23
- Reader Store発売日
- 2011.12.16
- ファイルサイズ
- 8.9MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (364件のレビュー)
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いかに読書の時間を充実した時間にするかのHACK!
HACKシリーズとして、さまざまな方法・工夫を提示してくれるシリーズの読書術版。
自己啓発本に分類されていますが、概念的な抽象論や感情論ではなく、
具体的な方法が様々な角度から紹介されているので、雑誌…感覚で読めて楽しいです。
ビジネス向けなので、実用書を対象としていますが、特定のジャンルに限らず便利な方法が様々紹介されています。
便利なツール(ブックダーツなど)のHACKから、読み方のコツなどいわゆる読書術の部分、
そして、読書タイムを有意義にする方法、本の内容を活用する方法まで、本を読む前から本を読んだ後まで、
いろいろなHACKを見ることが出来ます。
読書術系の本を一冊は見てみたいなというひとにはおすすめです。続きを読む投稿日:2013.09.28
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本を読むときに著者という人に注目することで本の行間が読めるようになるって分かるな。本を読む前にやることは念入りに著者について調べることだから。読書とかも人について知りたくてしてるから内容と…かはもはやサブなんだよね。記憶法としても内容として覚えておくよりも人として覚えておく方が記憶に残りやすいから。
原尻淳一
マーケティング・ジェネレーター。Harajiri Marketing Design代表取締役。一般社団法人みつかる+わかる共同代表。龍谷大学 客員教授。『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ、『マーケティング・フレームワーク』(日本経済新聞出版社社)の著者。龍谷大学社会科学研究所共同研究員。龍谷大学経済学部アドバイザリーボードメンバー。日経ビジネススクール講師。リクルートマネジメントスクール講師。環境省家庭エコ診断推進基盤整備事業検討委員 他。クリエイティブやプロモーションにつなげる触媒としての役割を自覚し、アーティストやタレント等、人のブランディングを得意とする、マーケティングマン。現在、そのノウハウを一般人に応用し、個人の価値を高めるワークショップや学校を主催している。
□01 ウィキペディアで著者のエピソードをたくさん読む
本を読む、資料を読むことだけに限ることではありませんが、何事においても、まずはその対象にのめりこむことが上達のはじまりと言えます。しかし、こののめりこむというのは大変難しいことで、はじめから何にでも興味を持てる人はいないでしょう。ことに活字で書かれているものは苦手な人が多いのではないでしょうか。たしかに、全く興味のない分厚い本を読むことほど苦痛なものはありませんよね。 しかし、ビジネスマンにはいつ、何が起きるかわかりません。突然、違うセクションに部署異動ということも現実に起きうる話です。その場合、嫌でもその移動先の資料や専門書籍にあたらざるをえなくなります。全く未知なる情報にのめりこむ技術がビジネスマンには必要不可欠なのです。 さて、本章では、本にのめりこむハックに、とことんこだわっていこうと思いますが、実は本が苦手だという人には悪い癖があります。それはテキストだけに頼りきっているということなんです。つまり、文字だけですべてを理解しようとしているわけです。だから、疲れてしまう。しかも、もともと興味があるわけではありませんから、集中力も続きません。これでは駄目です。 さきほど、上達のはじまりは対象にのめりこむことだ、と言いました。テキスト自体に興味が持てない。それならば、本や資料そのものから若干離れたところに興味の対象を探してみることからはじめましょう。たとえば、この文章を描いた著者が一体どのような人物か、いきなり本を読まずに、著者のバックグラウンドを探ることからはじめてみる。 そこで面白おかしいエピソードを見つけることができたらしめたものです。読むに読めなかった本が、気になりだした著者を知る手がかりに早変わりというわけです。
要は、興味の対象をテキストではなく、人やテーマなど周辺にずらしてみること。そして、そこから興味のカケラを見つける。これが、全く興味のなかった対象が気になる「きっかけのマネジメント」の基本形です。 わたしは本を読む時、まずウィキペディアで著者名を入れて検索し、その人の経歴やエピソードに眼を通します。また、人脈にも注意してみます。なぜなら、その人脈が著者の思考や人格形成に影響しているからです。
さらに、一歩深く知ろうと思えば、ビジネスマンなら日本経済新聞で連載されている『私の履歴書』がお薦めですね。この『私の履歴書』のおかげで、わたしのピーター・ドラッカーのイメージは、「経営の神様」というお堅い印象ではなく、「ロンドン・ピカデリーサーカス駅の長いエスカレーターで妻となるドリスと劇的な再会をした博士」★1というロマンティックなイメージが強いですし、GEのジャック・ウェルチに関しては、「肝っ玉母さんに育てられた負けず嫌い」★2という印象が強く残っています。 こういう愛すべきシーンやバックグラウンドを垣間見た後に本を読むのと、全く知らないで読むのとでは、その本に対する愛着度合いや継続性が全く違ってくるのです。
□02 本にのめりこむには、まず著者の声を聴く
これまで本のなかのテキストだけに頼らず、著者自身に興味を抱くことで、本に対する関与度を深めていく方法をいくつかあげてきました。しかし、著者に関して、最も人となりを教えてくれるツールを忘れてはいけません。ブログです。ブログこそ、リアルに著者自身が今の心境や本をアピールする最良のツールとなっています。
もう1つは、著者のプロフィールと人付き合いに関わる日記の内容に注意する★6。これはその人を知る上では基本情報であって、著者の思考や人格形成を探る手がかりになるからです。本というのは、著者の人生経験から生まれ落ちるしずくのようなものです。したがって、ブログにこそ、ホットで生々しい情報があり、それを押さえておくことは非常に大切なことです。
著者のバックボーンを知らずして、テキストだけから行間を読むということなど不可能な話で、だからこそ、この本を読む前に著者に着目するという作業は読書意欲を加速させる有効なハックだと言えます。
それからも先輩の本棚はよく覗きに行きました。本棚というのは、不思議なものでその人の性格や思考を表すんですね。それで慣れてくると、今度はその人が何に興味を持っているのかがわかってきます。これをさらに続けていくと、波長というか、自分の志向性と合う人、合わない人がわかってきます。それで見ていく本棚も自ずと淘汰されていきます。
このページでは、書評サイト、ブックレビューサイトから書評情報を横断検索することか可能です。また、関連情報として掲示板や、日記・ブログサイト、各種データベースの検索機能も提供します。
http://book.cata-log.com/review/
読書を持続的に行う点で、わたしが一番良いハックだと思うのは、著者と話すこと。これに尽きます。最近では、著名な著者の方々の多くは自分のブログをお持ちですから、そこにコメントを書き込んでしまうのが最も手っ取り早い方法でしょう。
わたしが著者の方とはじめて手紙でやり取りしたのは、大学生の時です。当時のわたしの研究分野はNPO(非営利組織)やボランティア活動で、ある時、わたしは永六輔さんのボランティアに関するエッセイを読んで、生意気ながら感想と自分のボランティア論を出版社に送ったのです。すると、永さんから直筆のはがきをいただき、とても感動したことを覚えています。
今自分でも本を出版するようになって、mixiでコミュニティを持ち、多くの方から感想をいただくことがあります。これは著者としても大変うれしいことで、これには必ず返事を書いています。著者本人が言うのもなんですが、著者とコミュニケーションを取るのは簡単です。敷居はそれほど高くありません。うそだと思うなら、読者のみなさまは是非わたしに感想をください(笑)★9。 読んだ本の感想は著者にまっさきに伝える。著者と簡単に直接会話ができる時代だからこそ、これを習慣にしてみることをお薦めします。著者から返信が来ると、やはり素直にうれしいですし、このうれしさが持続可能な読書に弾みをつけてくれるのです。これは確実に癖になります。
□29 読書投資基準=70:20:10モデル
本を選ぶ時にはどうしても無意識に好きなカテゴリーばかりを選んでしまい、ついつい偏りが出てしまうものです。ある分野の専門家になることは大切なことですが、それだけしか知らない人を「専門バカ」と言います。これはいけません。生きるということは、もっと全体的なことですよね。 税金に腹を立てることもあれば、おいしい料理を作りたい願望もある。栄養の知識がなければ、食品のバランスに偏りが生じますし、病気の知識がなければ健康であり続けることは難しくなります。自分の生活を改めて見つめなおすと、生きるということは専門分野だけで完結していないことは明らかです。そこで、読書には恒常的に「専門外の知識」を取り込んでおくようにしたいもの。よりよく生きる手段として、読書の目的を広く持てば、知りたい欲求は果てしなく広がるはず。 では、どうすべきか。最も簡単なのは、読書に対して「70:20:10モデル」と呼ばれる投資基準を持つことです。これはグーグルの社長エリック・シュミットさんが自社の投資基準比として掲げているもので、グーグルでは、既存サービスの充実に70%の金と時間をかけ、20%は既存サービスの周辺サービスの充実に、そして10%は全く新しい未知の領域に投資するという黄金比率があります。 わたしはこの基準を読書に持ち込んでいて、既存ビジネス領域への書籍投資に70%、既存ビジネスをサポートしうる、あるいは新しいビジネスになりうる領域の参考文献に20%、そして全く未知の書籍に10%を割くように意識しています。決して機械的にきっちりやっているわけではありませんが、この基準値を持っているだけで、「ああ、今ちょっと専門分野ばかりに偏っているなぁ」と修正意識が働きます。
わたしはこの基準を読書に持ち込んでいて、既存ビジネス領域への書籍投資に70%、既存ビジネスをサポートしうる、あるいは新しいビジネスになりうる領域の参考文献に20%、そして全く未知の書籍に10%を割くように意識しています。決して機械的にきっちりやっているわけではありませんが、この基準値を持っているだけで、「ああ、今ちょっと専門分野ばかりに偏っているなぁ」と修正意識が働きます。
そこで、10%を全く専門外の(あるいは全く興味のなかった)分野で面白そうな本を探すのです。これが案外楽しいものです。たかだか10%ですが、新しい出会いが演出されているわけですから、読書の楽しみが計画的にデザインされているわけです。しかも、その専門外情報には、偶然に自分の専門にフィードバックされる有益な情報が含まれている可能性もあります。
独断と偏見:わたしの生涯読書ランキングTOP10
1位:阿部謹也 『自分のなかに歴史をよむ』(ちくま文庫)
2位:三木成夫 『胎児の世界』(中公新書)
3位:エッカーマン 『ゲーテとの対話(上・中・下)』(岩波文庫)
4位:幸田文 『父・こんなこと』(新潮文庫)
5位:網野善彦 『無縁・公界・楽』(平凡社)
6位:鶴見良行 『ナマコの眼』(ちくま学芸文庫)
7位:佐藤雅彦 『佐藤雅彦全仕事』(マドラ出版)
8位:三枝匡 『戦略プロフェッショナル』(日経ビジネス人文庫)
9位:中村尚司 『人びとのアジア』(岩波新書)
10位:齋藤孝 『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)
さて、図書館で問題なのは、当たり前ですが本を返さなければならないことです。読み終わったら、自分の手元から情報がなくなってしまうのです。しかし、今は読んだ本の痕跡をウェブ上に残すことができますね。つまり、重要なのは図書館で本を借りた後、脳内の読書情報をウェブ上に可視化させておくことです。なぜなら後々になって、ビジネス構築なり、論文研究なり、企画書作成なり、何か形にする時、大変効力を発揮するからです。 借りた読書情報を可視化させるツールはウェブ上にたくさんありますが、いくつか紹介しておきます。その1つが「ブクログ」★16です。このツールを利用すれば、本の表紙がスキャンされていますから、ウェブ上にあたかも自分の本棚を再現することが可能です。しかも、評価の☆とコメントが書けますから、後で読んだ時にも大変便利です。さらにいろいろな並べ替えが可能で、「おすすめ順」で並べ替えれば、自分の「生涯読書のランキング」が再現されることにもなります。
□48 著者が書いているすべての本を読んでみる
とにかく、わたしはE・H・カーと阿部謹也にゾッコン惚れてしまいました。大学入学時は比較的時間がありますから、徹底的にこの2人の著作を読んでみようと思ったのです。 まず大学図書館に行って、2人の著作の全リストを出力してもらいました。それを手がかりにして、図書館にある論文やエッセイをすべて見つけていきました。ちょっとした探検気分です。劣等生ですから、劣等生らしく、読みやすいものだけをコピーして読むようにしました。この過程でわかったのは、当時のわたしにはE・H・カーを読みきる実力がなかったことです。それで思い切ってターゲットを阿部先生1人に絞りました。 さて、そのリストのなかに面白いものがありました。たしかNHK市民大学の『よみがえる中世ヨーロッパ』のテキストと映像のセットです。これはしめた! と思いました。劣等生は読むことより耳で聴くほうが楽ですから(笑)。それでいきなり阿部先生の講義をビデオですべて見る幸運に恵まれたのです。既に『自分のなかに歴史をよむ』でバックグラウンドは知っていますから、今度は阿部史学の思想そのものをつかまなければなりません。 これは難しいと思っていた矢先、映像で本人の声を聴いて、短時間でサクッとポイントを理解することができたのです。これをきっかけにして、わたしは気になる著者の講演会がある時は必ず行くようにしました。ライブから入って著作につなげれば、読むことがすごく楽になることがわかってしまったからです。 もちろん阿部先生の講演も聴きに行きました。ちょうどわたしが大学生だった頃、京都では平安建都千二百年記念行事で「世界賢人会議★2」が行われ、その時イリヤ・プリゴジン博士が参加するシンポジウムの司会を阿部先生が担当されていたのです。学生時代の友達と2人で席取りに並んだことを覚えています。ここまで来ると、アイドルの追っかけに近いですが、少なくともほとんどすべての著作を読み、本人の肉声を聴いていくと、ぼんやりですが劣等生でも何が言いたいのか、わかってくるものです。「ははぁ…ある学問分野を理解するには、その道の大家を決めて、読みやすいエッセイのようなものから徐々に読んでいくと、1つの思想、1つの体系がだんだん見えてくるんだな。わかったぞ」。 この時、ようやく読書のコツのようなものがわかりだしたのです。
まさに大江さんが言うように、わたしの読書は阿部先生の本を軸に、横に広がっていきました。Sに導かれてはじまったわたしの読書歴は、「人」が軸となっています。人に惚れて、人を知り、その人の書物に引用される人にまた興味を持ち、横に広げていく。そんな読書をしてきました。その結果、わたしの本棚は著者の人脈によって、書脈をなし、それが帯となって広がっていったと言えるでしょう。
自分のパッションを呼び覚ます。それが効果的なのは、意外と漫画なのではないでしょうか。わたしが最近「座右の書」として読むのは、夢枕獏原作、谷口ジロー画『神々の山嶺』(ビジネスジャンプ愛蔵版)です。これはエベレスト登頂に命をかけた山男の物語で、大自然の猛威に果敢に挑む人間の精神の限界をリアルに描いている名作です。 この漫画のなかにも出てきますが、エベレストでは7000メートル地点と8000メートルの地点では世界が全く違うのだそうです。ベースキャンプを張り、天候を見ながらアタックをかけるわけですが、7000メートルまでは多くの人たちが行ける世界。しかし、8000メートルから上は神の領域。運の世界とも言えます。 これを読むたびにビジネスに近いなぁと思うんです。8000メートルから上というのは並外れた体力、精神力の持ち主でないと到達できない世界です。そのために登山家はどういう気構えで、どういう準備をするのか、そこに注意しながら読むと、自分がビジネスに対してそこまでの姿勢で臨んでいるか、参考にもなり戒めにもなります。 さまざまな困難を限りなく自分のこととして捉え、それをストーリーのなかで追体験していく。そういう気持ちの持っていき方もある意味、自分に活を与えるリーディング・ハックなのです。
本章では、恥ずかしながら、わたしのお粗末な読書歴を書かせていただきました。なぜ、書いたかと言えば、わたしのような読書の劣等生でも、読書のコツさえつかんでしまえば、誰でも年間300冊くらい読めることを示したかったからです。わたしは市販されている「読書術」は学ぶべき点もありますが、かなり問題が多いと思っています。
つまり、わかるということは、知ることで得た知識を自分流に変換でき、その結果、態度変容にまで行き着くことなんですね。しかし、読書というのは知る作業でしかない。ですから、いくらたくさん知識があったとしてもそれだけでは駄目で、「他人の教訓を変形させて自分だけのノウハウ」に昇華させることが重要なのです。
一見関係のないミュージシャンや映画と仏像に補助線を引いて、意外な視点を提供してくれる。これが知的な面白さの根源なんですね。 知の面白さというのは、こういう全く違った領域を跨いで、意外な共通点を発見することだと思います。
□64 アウェーからの学びが専門をより強くする
専門ではない領域の読書が意外と新しい視点を提供してくれることがあります。たとえば、登山家の登頂の準備はビジネスにおいても大変参考になりますし、サッカー監督の視点はチームプロジェクトのコツにも重なりますし、温泉宿の女将の対応は、お客様に対する営業コミュニケーションの鏡とも取れます。そこから学ぶことは大変大きいのです。 やや学問的に捉えたとしても、文化人類学者のフィールド・リサーチは、マーケティングにおけるターゲット分析の方法論にもなりますし、心理学はターゲット・インサイト(消費者心理)を分析する重要な視点を与えてくれます。脳科学における強化学習の話は、ブランド・ロイヤルティを形成する上で大変有用な示唆を与えてくれます。 自分の専門外でも、そこから示唆を得ることはたくさんあります。そういった「意味ある偶然」を読書計画のなかにも忍ばせておくのは重要なことです。先にあげた読書投資基準「70:20:10モデル」は、20%の領域で専門に関係する分野に投資するというものでした。さらに残りの10%では未知の領域にチャレンジするもので、合計した30%の領域で、いかに新しい視座を持ち込むかがアウェーから学びを得るチャンスなんです。この30%分の投資領域から、自分のビジネスにフィードバックできるものが見つけられれば、それは新規ビジネスの種にもなります。 1つの専門性(思考のホーム・グラウンド)を体得したら、積極的に外に出て、大いに刺激や示唆を得て、自分のビジネスにポジティブ・フィードバックを引き起こすことが重要です。ここで言う外へ出るとは、専門の外に出ること、行動範囲をはみ出してみること、読書も積極的にはみ出してみること、部屋にいるより外へ出ることです。読書で言えば、垂直型読書から水平型読書へ移行すべき段階と言えます。そこでの刺激を思考のホーム・グラウンドで考え、醸成できれば、さらに高い思考にレベルアップしていくのです。
ハブとなるブログ
ハブ(Hub)・・・車輪(ホイール)などの中心部のことを指す言葉です。 そこから転じて、物事の中心や中核、集約点という意味で使われるようになりました。 たとえば、各地からさまざまな航空路線が乗り入れ、重要な中継地としての機能を持つ空港は「ハブ空港」と呼ばれます。
アイデアファイルとは、自分の好きなものだけを集める秘密のファイリング・データベースです。極めて個人の好き嫌いに左右されますが、それはそれでOKです。なぜなら、アイデアやクリエイティブは、その人の好きを極めることから生まれるものだからです。元電通のクリエイターで、現在、東京藝術大学の教授をされている佐藤雅彦さんは、クリエイター時代、自分の好きなものや気になるものを集めて、そのなかから共通するものをルールとして明言化し、広告制作を行っていたそうです。 たとえば、1つの事例として「濁音時代」というルールがあります。これは佐藤さんが気になる言葉を集めて分析したら、濁音がつくものばかりだったそうで、そのルールに基づいて作ったのがなんとNECの「バザールでござーる」。なるほど、佐藤さんは自分の好きというものに潜んでいるルールや法則を見つけて、アウトプットに結び付けていたわけですね。 わたしがアイデアファイルに集めている素材は、圧倒的に雑誌の切抜きです。なぜなら、雑誌は写真や記事やグラフなど、アウトプットが美しいものが多く、ビジュアル的に刺激になるものが多いからです。そこで「おっ」と思ったものは迷わず破ってしまいます。ほとんどの人が雑誌を破るという習慣がないため、はじめは躊躇しますが、迷わず破ると気持ちがいいものです。
こういう複眼的問題解決のアプローチは、専門書ばかりを読んでいるだけでは生まれてきません。むしろ、専門外に眼を向けつつ、「おっ」と思うものを自分の仕事に取り入れていく作業にこそ、新しいクリエイティブが生まれてくる可能性がある。大げさかもしれませんが、演劇の表現方法にプレゼンテーションのコツがあるかもしれませんし、チームスポーツの練習のなかに、業務プロジェクトをまとめるコツがあるかもしれません。ですから、自分の好きな領域だけにとどまらず、全く未知の領域へ積極的にチャレンジし、そこでの学びを持ち帰るリバース・モードがリーディングにも必要なのです。
□82 直感を信じて、「好きな」文章も集めよう
わたしが声を大にして言いたいのは、自分の好きなものへの感覚を信じろということです。アイデアというのは、その感覚的経験から滴る雫のようなもの。だからこそ、アイデアを発想したければ、自分の好きな情報をストックしておくことが大切です。これは雑誌のビジュアル情報だけにとどまりません。本から好きな言葉を集めるというのも大事な作業です。 つい数年前に明治大学の齋藤孝さんによって開発されたユニークな「3色ボールペン読書」。この方法は著者が言いたい一番大事な箇所には赤で傍線を引き、まあまあ大事な箇所には青、自分がオモシロイと感じた箇所には緑で傍線を引くというものでした。一番大事な箇所に赤で線を引くというのは、誰もが共通する点を見つけることであって、著者の結論やメッセージを的確に見抜くという点では、この赤線の作業がビジネスマンには重要かもしれません。 しかし、アイデア発想という観点からすると、わたしは「緑線」の部分こそ重要だと断言します。なぜなら、赤線や青線のようにある種客観性を帯びる文章は、企画や文章をまとめ、説得する際に使われ、緑線のような主観性の強い文章はアイデア発想につながる傾向が強いからです。「おっと、これはオモシロイ」という文章は、既に自分のなかに芽生えているアイデアに身体がうずいているわけです。ということは、自分に呼応するオモシロイを集め、そのオモシロイの本質や法則性がわかれば、それがクリエイティブの方法論になっていく。これは写真だけでなく、文字情報も同じでしょう。 この時ちょっとしたコツですが、オモシロイ箇所に傍線を引いた後、その理由を本の余白に書いておくようにしておくことです。Reason/Whyが整理されていると、後で見直した時、本を読んだ頃の課題や背景がはっきり見えてきます。そのメモはアイデアが急激に形になることを手助けし、既に必要のない情報になっているかもしれないことを教えてくれるはずです。 では、この読書における「オモシロイ」をどうデータベース化していけばいいのでしょうか?
□83 ブログを「個人データベース」として活用する
わたしの場合、読書情報はすべてブログ「Life Hacking Life」に集約していきます。ブログを単なる日記としての役割にとどめず、ビジネスに使えるデータベースとして構築するのです。情報のセレクトショップを運営しているようなものですね。『IDEA HACKS!』や『PLANNING HACKS!』でも書きましたが、わたしは鶴見良行先生のフィールド・ワークの技法を仕事においても応用しており、ブログにおいても次の3つの要素に分けてデータ蓄積をしています。 読書カード……これは京大式カードに参考となる文献の文章・ページ数・著者名・書籍名を記載しておくというもの。鶴見先生は4万枚のカードをお持ちだった。 日記……フィールド・ワークに出て、その日のうちにフィールド・ノートを作成する。ノートの左ページには、出会った人の名刺や地図を貼り、右ページにはその日の出来事を克明に記し、そこで考えた仮説が描かれる。 写真……鶴見先生の写真の腕前はプロ級で、雑誌にも掲載されるほど。数十年というフィールド・リサーチで歩いたアジア・オセアニア各国の写真が数万枚、保存されている。 鶴見先生は、この3つのパーツを再編集するだけで、著作のほぼ8割ができ上がってしまうという、とてつもないデータベース・システムをお持ちでした(現在、この資料は埼玉大学共生社会研究センターで誰でも見ることができます★3)。しかし、時代を経て、最新のネット技術を駆使すれば、これらはすべてウェブ上に集約することができ、ほぼ無料でデータベースを構築することができます。 わたしはこれまで自分のパソコン内に上記の構造を意識してデータベースを作っていましたが、最近になって、徐々に、ウェブ上に情報を移植し始めました。なぜなら、2つの利点を見込んだからです。まず、携帯電話でも見られるため、いつでも、どこでも簡単に必要情報にアクセスできること。これは急いでセレクト情報を確かめる際にかなり便利なツールとなります。 さらに読書カードに言えることですが、mixiの書籍評価などは、自分の参考文章や意見だけではなく、他の方々の意見や評価を見渡せるという点で、かなり付加要素がありますし、書籍に対して複眼的、かつ客観的に見ることができるからです。 ブログを単なる日記としてではなく、アウトプットのための情報データベースと捉えなおし、必要情報をネット上に公開し、さまざまな人の意見をも取り入れる編集装置として機能させれば、ビジネスマンとしてかなり有効な武器を手に入れることになるはずです。
わたしの会社の先輩に、残業は朝することを習慣にしている方がいました。たしかに、ウェーバー的習慣の有効性から見ても、ビジネス環境から見ても、朝残業のほうが夜の残業より効率性が高いのは確実です。なぜなら、早朝の会社は誰もいないからです。電話も鳴らない最も理想的な集中環境なのです。続きを読む投稿日:2024.04.23
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