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君が手にするはずだった黄金について
君が手にするはずだった黄金について
小川哲/新潮社
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総合評価

640件)
3.7
124
253
183
39
8
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    小川哲さんは、同時代に生きていて良かったと思わせてくれる書き手。どの短編も本当に面白かった。特に表題作は秀逸。何度も読み返したい作品。

    6
    投稿日: 2023.11.12
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    エッセイではないけれど、ほとんどエッセイなのでは?と思うような内容。 面白かった。自分モデル? 人生を円グラフにするのは、自己観察できて良い。 表題は、片桐くんの話だった。残念で痛い同級生の片桐くん。全く羨ましくない。 どの短編集も、面白かった。小川さんの実力を感じた。

    21
    投稿日: 2023.11.12
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    世の中で出会う、何だか胡散臭い人々、醸し出す雰囲気から、近寄らないようにしてはいるが、小川哲にかかるとこれほどまで分析されてしまう。 作者自身の自叙伝のような小説。占い師、漫画家、かつての友人も、この作者にかかると丸裸にされてしまう。正直この作家みたいな頭の良い上司がいたら、仕事がやりづらそう。でもたぶん、組織で働くようなタイプの人では、ないからその心配は、いらないか。

    30
    投稿日: 2023.11.11
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    最近の本のなかでは比較的スイスイ読んじゃったな、毎日読んでいたい本だった、連載してほしい、日常に欲しい本 https://x.com/ueharakeita/status/1714567122616303828?s=46&t=a9kyx0W8b2oHL6DSv_iKPw

    4
    投稿日: 2023.11.11
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    装丁がカッコいい。作者の前作も面白かったので読んでみた、読みやすく、新鮮な内容で、冒頭からひきこまれた。

    4
    投稿日: 2023.11.11
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     収録作は、全て一人称・「僕」(=小川哲)という小説家が主人公の連作短編集でした。これは自伝? 私小説? と感じながら読みました。  ご存知の通り、多くの文学賞受賞(ある意味偉業)を成し遂げた記録だとすれば(多少の美化も含め)自伝となるのでしょうが、少し違う気がします。  「僕」の日常そのままに願望や理想が加えられ、さらに話を面白くする虚構があるとすれば、私小説でしょうか?  作家となった「僕」が、自身を主人公にした小説を書き始め、承認欲求に囚われた怪しげな人々と出会います。いずれも身の丈を超えた己の価値を広め、他からの称賛を望む人物なのでした。  「僕」は、彼らの欺瞞や傲慢さを暴いていきますが、うそを物語にしている作家の「僕」は、虚構にまみれた彼らとある意味同じでは、と自問自答していきます。  本書の著者と作中の「僕」の線引きが曖昧(小説なので当然)で、虚実の淵に立たされる感覚です。  加えて、多々身に覚えがあり、私たちの足元も不安定になります。実力がなくても(偽物でも)自尊心を満たしたいとか、人が多面であるが故の偏見とかは、誰もが自分に内在すると自認しているはずで、小川さんはその辺を鋭く突いてきます。その感性に裏打ちされ、読み手も「自分は何者か」と考えざるを得ない境地に誘導される物語でした。    でも所詮私たちは普段無防備で、思い込みの記憶の捏造もあり、油断と隙だらけだからこそ、虚構の小説が好きなのでしょうかね‥。

    76
    投稿日: 2023.11.10
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    p11 すべての局所的な進歩は、大局的な退化である p193 デイトナを買うために複数をロレックス正規店を周回することを、デイトナマラソンと呼ぶ

    4
    投稿日: 2023.11.09
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    主人公を敢えて「小川君」として書いているところが戦略的。著者自身が投影されているのは間違いないが、どこまでが作ったキャラで、どこまでが本音なのか。 表題作の「君が手にするはず~」と、あと、「偽物」が面白かった。 「日本高校むかし話」っていうアイデアは絶対面白いと思いました。

    3
    投稿日: 2023.11.09
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    著者と同名の小川が自身の過去を振り返りながら様々な人と出会う。著者が各所で発言されているような小説家とは何をする職業なのかという考えが散りばめられている。近著の『君のクイズ』にも通づるテーマである、現代人の幻想と現実の間にある苦悩を冷笑しつつ、その中にある泥臭い人間らしさを受容する姿勢が感じられた。

    4
    投稿日: 2023.11.09
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    新刊とはいえ、小説新潮用に書いた短編の寄せ集め集なので、まとまった印象はなく、特に短編は著者の真骨頂では全くないが、表題作と書き下ろしの「偽物」は、「才能を渇望する人種の生態」というほぼ同じ主題を違う切り口でエッセイ風に描いたかなりの傑作。理解力のない私でもストンと腑に落ちるのは、偏に語り口が上手いから。この2編だけでも読む価値はある。

    3
    投稿日: 2023.11.08
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    小説家だったらこう考えるだろうという 小説家からみたものの考え方がまとめられています。 かなり深い考察で感想を書くのが難しいですね。 内容的には 三月十日に何があったか思い出そうとしたり、 オーラリーディングの占い師と対決したり、 とんでもない友人たちに付き合わされて、 投資家の見方、偽物の見分け方を教えたり。 どこまでが小川先生の実体験で、どこまでがフィクションなのか。 重厚な物語です。

    5
    投稿日: 2023.11.07
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    「プロローグ」 「三月十日」 「小説家の鏡」 「君が手にするはずだった黄金について」 「偽物」 「受賞エッセイ」 小川という名の小説家が主人公の連作短編集です。 印象的だった言葉。 「小説家に必要なのはなんらかの才能が欠如していることです。僕たちは他の何かになれないから小説を書くのです」 本当かなとは思いますが…。 『君のクイズ』が面白く読めたので、この本も図書館に発売日前にリクエスト票を出したら予約1番目で借りられたので、もったいないから最後まで読みました。 私には難しかったです。 ミステリーかと思っていたら違ってどちらかというと純文学的な小説家の自伝のような話でした。 各短編の目の付け所はいいと思うのですが、だからそれが何を表しているのかがわかりませんでした。 「小説家の鏡」の友人の妻が青山のオーラリーディング占い師に言われて小説家になろうとする話が一番面白いと思いました。 「受賞エッセイ」でクレジットカードが不正利用された話は怖いと思いました。 全部実話なのか、小説なのかとか何も説明がないので、本当に何を読まされたのかわからず、レビューしないでおこうかとも思ったのですが、せっかく(予約1番目だし)読んだので書きました。

    111
    投稿日: 2023.11.07
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    小川哲『君が手にするはずだった黄金について』読了。これまでのただただその痺れるような文才にうちひしがれるばかりだった小川作品と異なり、私小説風の本連作はこうありたかった自分、こうであったかもしれない自分というものを想起させてくれるところがあり独特の何か落ち着かない読後感がある。

    5
    投稿日: 2023.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「君が手にするはずだった黄金について」 まずタイトルがいい 表紙もいい ルックスに惹かれて気付いたら買っていた 内容もこう、なにか抉ってくるような 脳みそかき混ぜてくるような 夢中で読み進めたけど読み終わってみると何を読んでいたかフワフワする感じ 世はまさに大承認欲求時代 フィクションなんだろうけど「絶対こういう人はいるよな。。」という絶妙なラインの登場人物たち 片桐は正直憐れすぎるし、ババは最早恐怖すら感じる 現実とフィクションの境界が曖昧になりました たまりませんね

    3
    投稿日: 2023.11.06
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    2023.11.6 読了 初読みの作家さん。なんとなく難しそうなイメージがあったが、面白くてスラスラと読みやすかった。偽物と、小説家の鏡が特に好きでした。私も占いはインチキと思っている派です。

    4
    投稿日: 2023.11.06
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    作者の体験談、エッセイみたいな感じで物語が進んでいって読みやすかった。あなたの人生を円グラフで表してください。で色々と考えてしまう気持ちはわかる。小説の主人公になって履歴書を書いていくのが面白かった。3月10日はギックリ腰になって布団で過ごしてた

    3
    投稿日: 2023.11.06
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    天才的に面白い。人それぞれの価値観、承認欲求、誰もが抱える考えや葛藤を物語の中に落とし込んで文字に書き起こしている。 共感できる内容も多く、思いつかない角度の話で読み応えがあった。

    5
    投稿日: 2023.11.06
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    承認欲求のなれの果て。人から認められたいという気持ちも度を越すと、人からの評価=自分の幸せとなり、自分のアイデンティティーを失ってしまう。しかしすべての人に好かれることも、すべての人に嫌われることもありえない。自分という軸を持っていれば、チヤホヤされて浮かれることもなく、他人のものさしで測ったり線すらも自分で引かないということはしないだろう。手にするはずだった黄金、には黄金律の意味も含まれていて、絶妙なタイトルだと思った。

    5
    投稿日: 2023.11.05
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    序盤は内容が難しく感じたが読み進める中でも、どんどんはまっていきあっという間に読み終えてしまいました。

    5
    投稿日: 2023.11.05
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    Amazonの紹介より 才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。 認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いや、噓を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作! 論理的に語っていてちょっとウザい人間だなと思った一方で、一つ一つ積み上げていくかのような文章の構成が良かったです。 他の方のレビューを見る限り、高評価が多いということで、ちょっと書きづらいのですが、個人的にちょっと・・と思ってしまいました。 確かにわかりやすく書かれているなと思いました。この主人公は頭の回転がよく、知識も豊富で、相手に対しても、わかりやすく言葉を噛み砕いていて、ページが止まりませんでした。 ただ、ベクトルがどこを向いているのか、最終的にはわかるのですが、前半の段階では、よくわかりませんでした。 最初の「三月十日」では、大震災当日はよく憶えているのにその前日は何をしていたのか?同級生たちで話し合っていくという物語です。 気づかなかった視点だったので、面白かったのですが、その反面、それを知ることで何か話が発展するのか?といった疑問が読んでいて思いました。 ただただ同級生どうしで話し合っているので、もしかしてこれは何かに発展⁉︎と期待したのですが、何も起こらず次の章だったので、何か腑に落ちないなと思ってしまいました。 また、読者に何を伝えたかったのか?といった雰囲気が伝わらず、内内で澄ましてる感があるように感じました。 ただ、その後、主人公に起きた同級生に関する事柄を通じて、自分とはどんな人間なのか?何者なのか?といった展開が待ち受けているので、なんとなくどんな空気感なのかは感じ取れました。 わかりやすい文体ですが、何を伝えようとしているのか?といったベクトルがあやふやな感覚があって、微妙に感じてしまいました。 しかし、主人公の思考にはあまり意識してなかったことが多くあったので、個人的に色々気付かされました。 実際にいたら、めんどくそうで、あまり関わりたくない人間だなと思う一方で、主人公の思想や行動には興味を惹くような事もあって、新鮮味がありました。

    9
    投稿日: 2023.11.03
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    小説家の捻くれた価値観を現代的な設定に落とし込まれると、理解しやすくて面白い。 どこまでが実体験で、どこまでが創作なのか気になった。 ちなみにぼくも断言恐怖症です。

    6
    投稿日: 2023.11.02
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    小説新潮に掲載されていたときはまだ小川哲にハマっておらずなんとなくしか読んでいなかったけれども、あらためて読むと小川哲の論理的(理屈っぽさ)な感性全開でやっぱり好きだわとなりました。面白かったし、好きだけど読後感はそれほど良くなく星四つです。

    14
    投稿日: 2023.11.02
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    夢中で読んだ。この本への感想あるいは賞賛として、自分が夢中で読んだという事実以外のいかなる言説も不完全に感じられる。 世の中に面白いことは色々あるが、夢中になれることはなかなかない。夢中で楽しむ時間を過ごさせてくれたことに感謝しかない。読み終わってしまったことが寂しく感じられる。 なぜこの本にそれほど夢中にさせられたのか。素朴に話が面白いのもあるだろうし、主人公の感覚が自身のそれと近いこともあるかもしれない。あるいは、主人公と作者がある種同一視されている構造が、作者の視点に立って作品を見てしまう自分を、作品の中へ引き込みやすくしていたのかもしれない。 いずれにしても、他の人が読んで同じような感覚になるのかとても気になる。

    8
    投稿日: 2023.11.01
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    エッセーのようで、自叙伝のようでもある、虚実の境界線が判然としない私小説風連作短編集。小川さんの言語化能力の高さに唸らされ、主義主張に共感を覚え、そして嘘の巧さに脱帽の一冊。

    16
    投稿日: 2023.10.31
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    昨年『地図と拳』で直木賞を獲り『君のクイズ』で本屋大賞にノミネートされた著者の新刊。今作はそんな著者自身が一人称の語り手のような不思議な構造を採っている。出てくる固有名詞のディテールが絶妙に細かい上に(特に自分は1987年生まれなので世代的にもぶっ刺さるw)そこで繰り広げられるのはどこかブラックで意地の悪いお話。「2011年3月10日に何をしていたか?」というツカミには思わず引き込まれたし、表題エピソードや『偽物』はまさに現在進行形でどこかで起きているほぼ実話なんだろうな。

    5
    投稿日: 2023.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あまりにもリアリティがありすぎて、小川さんの周りにはなんでこんなにも変わった人がいるのだろうと不思議に思い、ババリュージという漫画家のことを検索しそうになるほどでした。 フィクションなんだろうけれど、主人公が「小川哲」という時点で全てが全くフィクションというわけでもないだろうし、かといってすべて実際にあったことなのか、思ったことなのかというとそうとも言っていないわけで、いったい何を読まされているのだろうと妙な気分になりました。

    5
    投稿日: 2023.10.29
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    まるで日記とか雑記みたいな軽やか文章が多く、それこそ小川哲さんの「思考」とか「感性」が描かれたような作品で、そのユニークさが魅力的な作品でした。 本作は小川哲さんを主人公にしたような連作短編集。人との出会いや別れ、日常の出来事などを小川さんの視点と感性で面白おかしく書いていく中で、すごく人間らしさが感じられたような気がします。 どの作品も、自分が持ってない感性で描かれていて面白かったのですが、個人的には「君が手にするはずだった黄金について」、「偽物」がお気に入りです。どちらの短編も主人公と「人」との出会いを描いた作品ですが、ズルさや狡猾さ、非合理的な行動が生々しく表され、とても人間らしさを感じられる作品だなと思いました。 本作読了後、小川さんの経歴等を調べたのですが、なるほど、東大のご出身なのですね。それを踏まえると、確かに東大生とか京大生独特の物の見方、考え方ってこんな感じだよなぁと体感することもあったので妙な納得感ありました。

    65
    投稿日: 2023.10.28
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    とても満足感の高い本だったな~ 6編からなる連作短編集、もっとあってほしいと思った。 哲学っぽい、屁理屈っぽいと思うところもあり、 フィクションかノンフィックションか混乱しながら・・・ 小説?エッセー?と混乱しながら・・・ 割合や、境界線がわからないところもいい意味でよかった。 「君が手にするはずだった黄金について」と「偽物」は、何となく似ているように思えた。 「偽物」の最後らへんではひろゆきさんがどこかの動画で言っていたことを思い出しちゃった。

    4
    投稿日: 2023.10.25
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    『小川哲の思慮深さがにじみ出る自伝小説』 著者の大学院生から小説家として生計を立てている現在までの半生を振り返り、自分は何者なのかを問うた一冊。エッセイに近いが、「小川哲」という人物を描いた自伝小説でありフィクションなのだろう。なぜなら小説家の紡ぐ言葉は基本的にはフィクションであり、創造と嘘の境界線が不明瞭だと作中で何度も自問自答しているからだ。意識を自分の内側に向けた新感覚の作品である。 登場人物は同級生の片桐、漫画家のババ、怪しい占い師といったキャラの濃い人たちばかり。その中にいて小川哲の立ち位置は異質である。どうしようもない登場人物たちにイラッとする人も多いと思うが、小川さんはなんでも受け入れてしまう。スマートなのに気取った感じもしないし、とても謙虚に映る。そんな小川さんの人柄が垣間見える。 物語は淡々と進んでいくが、時折ユーモアも交えながら非常に読みやすいことも特徴だ。理由はよくわからないが、「文体が好き」という表現が当てはまる。読み戻りがまったく発生せず、頭に文字がするっと入ってくるのは特筆すべきことだと思う。 タイトルの「君が手にするはずだった黄金について」の"君"とは、まさに小川哲のことであると解釈した。資格も入社試験もない小説家という仕事。たしかに自分で名乗ることでしか表現できない特殊な職業だ。何かが欠如していたことで小説家となったが、小説家以外の道に進んでいたときに小川哲は一体どんな黄金を手にしていたのか。これからも小説家とは何か、自分は何者かと問いながら書き続けるのだろう。 この作品はあの「地図と拳」を書いた小川哲だと言われれば同じ作家だと思わないし、「君のクイズ」を書いた小川哲だと言われれば思慮深い点ではそうかもしれないと思う。「嘘と正典」だと言われるとやはり信じられない。でもひとつ確かなことが言えるのは、私はこの本が好きだ。

    11
    投稿日: 2023.10.24
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    作者の著作を読むのは初めて。 エンタメ作家という印象を持っていましたが、純文学にも通ずる味わいがありました。 どこまでが私小説で、どこからがフィクションなのか… そう感じている時点で、すでに作者の術中にはまっているのでしょう。 自分が認識している自分と、他人が見る自分、さらには自分を投影した作中(作中作中?)人物。 自分が見る他人と、その人自身の自己認識。 そういった視点と〇イメージのずれを感じながら読み進めました。 個人的には、占師のエピソードが印象に残りました。 友人の奥さんはどうなったのかなあ。

    18
    投稿日: 2023.10.24
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    小説でありながら哲学書でもあるような、1冊で2度おいしい本だった。 特に『プロローグ』と『三月十日』がお気に入り。 名前とは?記憶とは?自分とは? 本当に頭のいい人は、難しいことを誰にでも分かるように説明する人ってよく聞いたことがあるけれど、この小説が正しくそうだと感じた。

    13
    投稿日: 2023.10.23
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    主人公の作家小川さんが怪しい人物たちと遭遇する6つの短編集。短編集はあまり読まないが、本屋で手にとり面白そうなので購入。ページをめくる手が止まらずあっという間に読了。 承認欲求は強いが実力が伴わない登場人物達を主人公は冷ややかにみている。個人的には占い師の話が面白く、主人公と占い師が対峙するセッションの場面は虚実と誠実が入り混じりスリルがある。 個人的に学ぶことが多く読み応えがあった。

    18
    投稿日: 2023.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小説家の頭の中を覗いているような興味深い小説だった。論理的で難しいことが書かれているように感じて、読んでいて疲れるシーンもあった。物事に対しての見方、捉え方が個人的には羨ましかった。どんなこともフラットに見ることができて、その上で深掘りしていて、考えすぎて疲れそうだとも思った。人それぞれ個性があるが、小川さんの思考のフィルターを通して描かれる人はより一層個性的に描かれているんだろうなと思ったし、一度でもそのフィルターを通した世界を見てみたいと思った。3月11日の前日何していたかなんて全く覚えていないけど、私も調べてみたくなった。 ・僕たちは日々、これまで知らなかったことに触れる。それらは多かれ少なかれ、僕たちの人生を変える。まだまだ、世界には自分の知らないことが数多く存在するのだと教えてくれる。

    7
    投稿日: 2023.10.21
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    自分が何者であるのか? 「我思う、ゆえに我あり」 究極まで疑い尽くした者がたどり着いた、 疑いのない自らの存在。 その自己が、芽生えた疑問を考え抜いて、 見つけたものを形にする。 それは役割を全うする人間の在るべき姿なのでは? 疑問があるから、発見がある。 それらを表現するという存在証明。 それこそが人の生きる道。 生きたいように生きていきたい。 小川哲って天才なんじゃないか? って前から思ってましたが ……はい、正しくその通りでした(はぁと 小川さんの振り幅がマジで凄すぎて。 直木賞受賞作の『地図と拳』と 本屋大賞ノミネート作の『君のクイズ』だけでも 同じ作者?ってなるのに 今回のこの新刊はなんと! 主人公が小川哲…! ほんと、脳内面白すぎるんよ小川さん…… どこからどこまでが本当?と勘ぐってしまうけど 本当でも嘘でも、もうそんなのなんでもいい。 ただただ小川哲さんの小説を読んでいたい… ってなります。もう最高です。

    11
    投稿日: 2023.10.21
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    ページをめくる手がとまらない。 これは著者自身なのか?違うのか? どちらにしても、この作品の中の小川くんの頭の中の「思考の泉」のようなものの中にずっと浸っていたい感じ。読み終わりたくない!そんな作品でした。

    23
    投稿日: 2023.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これ、すごくすごくすごく好きだ! 冒頭から、もう身体がうずうずそわそわして、「あぁ、これ好きだ好きだ好きだ」と前のめりで読む。 主人公小川くんの、この「何者かになりたくて、でも何になりたいのかわからなくて、だからといってじたばたするわけでもなくて、かといって投げ出すわけでもない」状態がまるでかつての自分のようで。 いつも足元がふわふわしていた、先が見えないわけでもないけど見えてる自分がいるわけでもない、そんな「あの頃」の不安定なのに充足していた自分を思い出したりして心がうずく。 満員電車に乗るのが嫌で就職せずに作家になった小川くんと、その周りにいた承認欲求にまみれた者たちとの邂逅。 この小川くんが物わかり良いのに面倒くさくてとてもいい。面倒臭さがインチキ占い師や億の金を動かすトレーダーやロレックスをはめた漫画家たちの「嘘」をこねくり回していく。 彼らのついた嘘の、その生まれてくる根源にある「認めて欲しい」という叫びに覚えがありすぎて痛い痛い。 いやしかしそれにしてもこの一冊が好きすぎて困ったな。 この世界を好きだという人とは友達になれる気がする。

    16
    投稿日: 2023.10.18
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    今まで小川哲さんの作品を読んだのは「君のクイズ」のみ。 「君のクイズ」は単なるクイズに収まらない、論理的思考が張り巡らされた印象を持ったが、本書も哲学や理論に沿って展開される。 小川さんがそういう思考回路なんだろうなぁ。私は感覚的に物事を見るタイプなので、論理的な人の頭の中を覗いているようで、興味深かった。 小説家の主人公が「小川」という名前なので、自然と著者のイメージに重なる。 物語は意外な展開…というわけではないが、日常にありそうな事柄が、小川さん独自の視点で描かれていて面白かった。

    7
    投稿日: 2023.10.17
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    君のクイズがめちゃくちゃ好みだったので 新しいのも読んでみた 最後のお話以外は 全部好き とくに三月十日 日記を、日記をつけなくては!!! って気持ちになったな 家族にあの日あの時何してた? ってしつこく聞いたりするほどに とてもすごく考えさせられる話だった あれ?これ自分のこと書かれてる? って感じることが 本好きたちならあるんじゃなかろうか でもさ やっぱり作家は 才能がないとなれないと思うな 何者にもなれなくて 本が好きなら 「作家になったろかい」 って考えたことある人は こじゃんとおるはずだが 書くまでに至った人のほうが 圧倒的に少なくて さらには書き上げた人は もっと少なくて 作家にたどりついた人は もっとずっとほぼいないと思う 好みなので 星は4つ

    8
    投稿日: 2023.09.09
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    私小説かと疑う6篇で構成された短篇集。内容をまったく知らずに「小川哲」という作家名だけでリクエストしたため、冒頭のやけに長い「プロローグ」に驚き、続く「三月十日」で屁理屈っぽいのに説得力がある妙な読後感に感心した。以後はその掌中でいいように転がされた感じだ。特に表題作の摩訶不思議さにやられた。 小川さんの作品はこれで3作目だが、どれも外れがない。本書では作家論や創作技法まで踏み込んでいるが、本当に小川さんの思考なのか、それとも作中の「小川哲」という作家のものなのか判然としない。作中の人物や出来事も含め、小説を読む愉しさを堪能した。 2023年10月18日発売、NetGalleyにて読了。

    12
    投稿日: 2023.09.03
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    自伝的短編集どれも面白おかしく読めました。3月11日はすごく印象に残るのに3月10日は思い出せない、いいところに目をつけました。小川哲、一味違った小説をあなたも楽しんで下さい。

    13
    投稿日: 2023.08.30