
総合評価
(2052件)| 1033 | ||
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powered by ブクログ真実とは何か考えさせられる本で、自分の価値観を変えられた一冊だとも思う。描写が圧倒的に優れているので、映画で知った人も是非本を手に取って欲しい。
13投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログ人を愛おしく思う気持ちが愛や恋ではないのなら何という言葉が適切か。 物語は途中出口のない迷路に迷い込んだ感があったが、終着点が見つかり安堵した。 親である私は色々考え出される内容だった。
1投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログ『光のとこにいてね』の読後感となんとなく似た部分がある気がする。恋愛ではないが、補い合う関係性というのが、シスターフッドな関係と自分の中では重なるのかもしれない。 自分ではない人の全てを理解するのは不可能で、現実でもあまり口を出すべきではないなと感じた。 この頃のニュースでも、いい人だと思ってたのに…みたいなコメントが付くようなものがあるが、みんないろんな面があるわけで、それを「普通」という尺度ではかったら、良い面も悪い面もある人、となってしまうこともあるだろうと思う。 善意は悪いものではないが、受け取ってありがたいかどうかはその人、その時によるものなので、押し付けずに、実際に会える人に対してできることだけ伝えたいなと思った。受け取られないこともあるという気持ちで。
102投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログはじめのほうは重いと思ったけど、こんな終わり方かと、ほっとした。これも一つの愛の形だと思う。お互いを信用して手を取り合う。ソウルメイトと呼べるのだろうか。自分達だけが真実を知っていれば良い。強い絆だ。
18投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ複雑な内容だけど、読みやすかった。 すごい話だった。自分が知らない世界だった。 普段ニュースとかでいろんな事件を知るけど、詳細までは実際どういう経緯で起きて、どんな心情かなんて本人達にしか分からないし、考えてもキリがない、難しい 凪良ゆうの本は初めて読むけど、解説の最初と最後の文を読んでなるほどなぁってなった。
15投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ「事実と真実はちがう」と小説のフレーズに出てくるが正確ではないと思う。 いくつかの出来事があって、それに世間の人が勝手な解釈を加えることで事実も真実もねじ曲がって、何が本当で何が嘘か本人自身も分からなくなってしまっている。 すごく読みやすいけれど、胸に迫る内容だった。 だけどどうしても主人公の更紗が好きになれなくて、終始更紗の言動に引っ掛かりを感じてしまった。 更紗は言葉が足りなすぎると思う。大事な人や周りへの最低限の配慮も足りないと思った。これだけ言葉やその解釈に人生を狂わされておきながら、なんでこんなに言葉足らずなのか…。 聞かれたことにただ頷くだけなら誤解されるのもしょうがない。言いたくないことでも、言わないと大事な人を傷つけるとしたら、私だったらもう少し勇気を出して言葉にしようと頑張ると思う。子供時代はしょうがないけど、立派な大人になったのだから、出来ると思う。 亮に「この人に突き落とされました」と言われる場面も、「あなたが押したんですかと問われ、頷くしかなかった。」とあるが、「強い力で腕を掴まれ、離してほしくて腕を払ったら、相手がバランスを崩した」とちゃんと説明すればいいのに。事実と真実が違うことを嘆く前に自分で自分を正当に守る努力が足りないように感じた。 すごく評価の高い小説なのに、皆と同じように手放して楽しめなくて悲しい。
9投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログふたりぼっちの世界。お互いにわかっていればそれでじゅうぶんって、そう思えるまでがしんどいよね。世間との埋められないズレを一生見つめていくのはくるしい。でも、お互いがお互いの光であったことにすくわれる。しあわせを祈りたい相手も、その相手をしあわせに近づけてあげられるのも、あなたであり、わたしであること。この関係に名前がないことは、もう気にすることではないね。
0投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ展開が早いので読みやすく、なかなか面白かった。 王道ラブストーリーのイメージを持っていたが、恋愛小説の一言では語り尽くせない要素が沢山あった。背筋が凍るような恐ろしさを感じる場面もあった。 更紗の元彼や従兄弟は胸糞で腹が立った。更紗も文も立派なストーカだと思う。 文が悪い人ではないとわかっていても、「小児性愛者」と思うと、心が拒絶していた。私がもし更紗の周りにいたら、同じ反応をしてしまうと思う。なので、何となくそうではないかな〜と感じていたが、「彼の話」の章で真実が語られて安心した。
22投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログきっと少し前の自分だったら潔癖や正義感で不愉快だけしか感じなかったかもしれない。でも今は何でも白黒はっきり付けることだけが正しいことではないと思えるから今の自分で読めて良かった。色々大変だった二人だけど心で繋がっている相手がいることはとても幸せなことだと思う。
0投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログ《2020年 第17回本屋大賞受賞作》 驚かされる回数も読了感も最高です! 終わり方もすごくすっきりしていて、読み終えてとても爽やかな気分です。 ストーリーとしては、主要な登場人物の殆どが心に闇を抱えていて、それらを中心に話が展開していきます。 主人公だけでなく、「彼」側の心情も見られたことが本当に嬉しかったです。 個人的評価 ⭐️4.8 勧めやすや ⭐️4.2 ※以下ネタバレ注意 〈読後の感想〉 長崎のシーン、最初のシーンに繋がる演出凄すぎた 更紗ちゃんと文くん、梨花ちゃんにはこれからも幸せに暮らしてほしい 亮くんももちろん谷さんも幸せな出会いがあると信じてる ただし孝弘、お前だけは許さん 更生してくれ
0投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
優しさを持つ人達と混ざり合えない更紗ちゃんの苦しみが伝わってきて目眩がすると共に、あまりにも最高のおにロリに言葉を失ってしまいました。 文が更紗ちゃんに抱く感情も、更紗ちゃんが文に抱く感情も、これは"愛"だと断言していいんじゃないですか!?私は愛だと思います!! 文体も凄く読み手の意識を引きずり込む感じで読んでる途中から世間の善意を持つ人達が言語の違う宇宙人に見えてきて脳がバグったのかと焦ったりしつつ……読了後にCalicoをGoogle検索して横転しました。こんなんクソデカ感情じゃん…大好き… ずっとずっと一緒にいて欲しいふたりです。
6投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログ初めて凪ゆうさんの作品を読んだ。事実と真実の違いをテーマにした男女の話。恋とも愛とも違う惹かれ合う文と更紗だけど、周りの外野は少女誘拐事件から15年経った今でも尚事件を掘り起こし当人たちを苦しめる結果になる。真実は当人しか知らないのに作られた事実に男女二人が苦しめられる話だか、DV彼氏には声を出してイラついた笑笑。でも真実を知る人が増えて最後は良かったかとも思う。
3投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シンプルに面白かった。一文一文が比較的短いので読みやすく、どんどんストーリーに引き込まれる。 この作品を端的に言うと、坂元裕二の『Mother』の続きを描くなら、(性別は異なるが)こんな感じになるのかな、と思った作品。 似たような作品に『52ヘルツのクジラたち』があるが、本作の方が面白かった。 浮かび上がれたと思ったら沈み、どん底まで沈んだと思ったら浮上する、言いようもない理不尽な展開とそれに必死に立ち向かう更紗と文に、涙が止まらなかった。 解説で吉田氏が2人の関係性を「命綱」と表現していたが、まさしくその通り、これ以上ないほど言い得て妙である。この手のテーマは、作者の筆力が出来栄えに大きく物を言うと個人的には思っているが、本作は申し分ないクオリティだった。
1投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
凪良ゆうのことを知ったのは汝〜が先で、これも本屋大賞だし、きっとおもしろいだろうなっていうのがきっかけで読み始めた。あと装丁がかわいいやつ出てたので!今だと思って!まあ同じ人が書いてるので当たり前の話なんだけど、とても凪良ゆうの文章で安心した。当時の文と更紗の時間がもっと長く描かれているのかと思ったらあっさり見つかって、あっさり捕まっちゃって、あ、ここからが本番だったのね!ってなったので、もうすこし当時の2人の日々も見てみたかったな。恋愛感情ではない、家族ともちょっと違う、不思議な依存関係。2人にとって2人が最適解。最終的にはごちゃごちゃしたものを抱えた人間が登場しすぎて、もうお腹いっぱい!という感じだった。
0投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ2020年第17回本屋大賞受賞作。幸せな親子生活からいっきに転落していくフリーフォール不幸物語。文といるときだけ安心感が訪れ、それ以外は絶望オンパレード。「事実と真実は違う」という毒薬を、苦々しくも一気に飲み込ませるかのごとき名作。
0投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ形容できない2人の関係性はとても和やかで落ち着くのに、世間があるうちは赦される立場じゃないといけないのがなんとも言えない。。 他の作品も読みたい。
0投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今まで本を読んでこなかったけど これきっかけにハマりそう。 本ってこんなに面白いんだね。 SNSで『泣ける本』として流れてきて 映画も気になってたし 青色の表紙も気に入ったし読んでみた。 色々考えさせられる部分が多すぎて 読み終わってもなおやるせない気持ちを引きずり中。 「calico」の店名の意味に鳥肌立った。 更紗お母さとお父さんの3人の暮らしはすごく良かった。 更紗と文の真逆タイプの共存も良かった。 文が自分をトリネコだと思ってしまう気持ちもよく分かる。 文に更紗と梨花ちゃんという理解者が2人いて良かった。 性的な問題って思ってるよりもずっと複雑で 友情でも愛でもない更紗と文の関係はどこか羨ましくも感じた。
2投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ自分の優しさや正義が、誰かを傷つける可能性があることを痛感させられた。 文の相手が嫌がることをしない姿勢が好きだった。
0投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ悲しくて苦しくて美しい 誰かの正しさが誰かをズタズタに傷つけているかもしれない さまざまな依存 傷つけるのも傷つくのも依存から生まれてしまうのかな… 更紗の純粋な行動を見ていて、なぜかヒロアカのトガヒミコと重なった 純粋な欲求に対して行動しているだけなのに、それが世間の普通から外れてしまう、はじき出されてしまう そのもどかしさ ずーっともどかしくて、でも最後はほんの少しだけ分かり合えた気がして、救われていたのならいいな 凪良さんのお話は、苦しいのにどんどん読んでしまう 苦しくはあるけど嫌な気持ちにはならなくて、最後にはやさしい風が吹くようなそんな読後感。
3投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ2人がどんな運命を辿るのか気になってページをめくる手がとまらなかった。 世間の声はどこにいても時間が経っても付き纏うものなんだと苦しくなった。更紗の自由さ、文のクールな中にある優しさが好きだった。
6投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ一見した情報だけで人を判断できないということ。情報に踊らされる今だからこそ、改めて認識しておかなければいけない大切なことだと思った。事実であって真実ではない。ただ、真実はその当人だけがわかっていればいいことで、真実の内容は当人だけが決められること。偏見まみれの世の中で、私はこんなに俯瞰的な考え方を、受け取り方をできるかはわからないけど、「本当は違うかもしれないな」という少しの想像力が、誰かを救うかもしれないと思う。2人の空間が暖かくて、世間の残酷さが際立っていたな。とても好きな作品になった!
1投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読み始めは何が起きるのかという期待感をいだいていたけど、想像していたよりもリアルで深い物語だった。 自分が優しいと思って行動していたことも相手にとっては距離ができる行動をしているかもしれないから気をつけたいと思いつつ、当事者になってみないと共感できない感情もあるんだろうなと思う。自分も苦しいと感じる時があるが、すぐ近くに自分では想像できない悩みを抱えて生きてる人もいるんだと考えた。 また、現代のsns社会の怖さを知った。なにか事件のニュースをみると、犯罪者は顔を晒されて当然だという意見も出ているが、本当に事件が一生付き纏うことになるのだなと考えさせられた。被害者(この物語ではそうではないが)も苦しめられる世の中なのは理解できないし変えていかなければいけないと思う。 文と更紗には幸せでいて欲しいと心から思うし、この人しかいないというお互いにとって欠かせない存在感というものに憧れを感じた。
1投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログこんなにも2人の幸せを心から願ってしまう作品は出会ったことがない。とにかく読み進めたくて仕方がなかったけど、読み進める分ふたりにとって良くないこと、辛いことが起きるのではないかと不安になった。 生きていてもなにもいいことがない。 こんなフレーズが出てくるのだけど、それでも生きていかなきゃいけないのが人生で。 そんな人生に彩りをつけてくれるのが文にとっては更紗で、更紗にとっては文で。 名前のない愛というものがこんなにも美しくて心地の良いものであることを痛感させられた。夫婦でもない、恋人でもない、親子でもない、友達でもない、だけど自分にとって1番大切でなくてはならない存在。どれも満たされているのに、そんな関係の愛がとてつもなく羨ましいと思う。 架空の人物ではあるが、今も生き続ける文と更紗がふたりでずっと幸せに生きていけたらいいな。 わたしにとって人生の宝物になる作品でした。 またどこかで読み返したい。ずっと大切にしたい。
5投稿日: 2025.03.14
powered by ブクログひとつの映画を見終わったような満足感がありました。 事実と真実の違いはついてまわるけど当事者達が幸せになってくれてよかったです。 なんども涙がでる描写があり、その度に言葉の使い方や選び方が綺麗な作品だなと思いました。 作者さんのほかの作品をぜひ見たいと思える本でした。 2025.03.13~03.14
1投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログ固定概念というものを教えてもらった本。 誘拐事件。というものの、その背景が描写されているが、その裏には全く事件なんてものじゃなく純粋な男女の物語がある。 そんなこと現実なら誰も想像しないし、むしろそんな展開は基本ないはず。 と思うことが、すでに固定概念だし、当たり前ってなんなんだろうなーと強く感じさせられた。 なんか他の恋愛小説でもそんな話があった気がするが、人って結局は初めて自分がそのような境遇に置かれないと本当の意味での固定概念を崩すことはできないのだと思う。 けどそんな世界もあるのか。と少し心のどこかに余裕があるとなんかそれは魅力的な人だなと感じます。
5投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログ強く惹きつけられる内容と、言葉にできない複雑な感情の描写が面白く、一気に読み進めてしまった。 凪良ゆうさん、すごい。 「事実と真実は違う」をテーマとした男女のストーリーで、2人の関係や感情は他人には理解できるものではなく、2人にしかわからないものだと強く感じた。 世の中に普通なんて存在しないし、自分の中の当たり前(常識)が狭い世界のほんの一部なんだと思えた。 全体的に暗い話だったけど、最後2人にとっての幸せな結末で良かった。
2投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私は本を読む時、序盤はたらたらゆっくり読んで後半スピードアップしがちなところがあるけれど、この作品では最初からなにか引き込まれてものすごい勢いで読み切ってしまった。。 他の凪良ゆうさんの作品も読んできたけれど、今作もかなり沁みた。 更紗編では読み手でありながら、こころがもう更紗になってるかのように文が大好きで必要で一緒に生きてほしいと切実に思っていたから、文編でCalicoの由来を知った時や文の抱えていた悩みや想いを知って切なくなりながらもすごくすごく何かが報われた。 一方通行じゃなかった。2人ともお互いが必要だった。恋愛じゃないけれど。これらの事実にどれだけ感動したかは読まなきゃ分からないし、2人の関係性は言葉では表せない尊さと危うさがある。 《普通》ではない関係性にこんなに美しいものがあるなんて、周りを不幸にしているけれどどうしても貫きたかった思いは、読んでいる私ともリンクして大好きな一冊になりました。
2投稿日: 2025.03.12
powered by ブクログ最後まで一気に読みました。とても読みやすく物語に引き込まれてました。 事実と真実は違う。本当にこれを読んでそうだと思った。 本当の真実はその当事者しかわからない。 人の優しさ、相手を思う気持ちを考えさせられる話でした
0投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても面白く、とても考えさせられ、とても胸にぶっ刺さった。読者は誰に自分を投影するのだろうか? 更紗の家のように縛られない思想の家庭で育ち、他人に迷惑をかけなければ、マジョリティーであるかマイノリティーであるかはどうでも良い。"その行いが美しいと思うかどうか"だけを基準にしなさいと育てられた。自分は普通だと思って疑わない人が一番普通じゃないと信じている。自分の普通を疑うこと、自分にとっての普通は他人には普通じゃないことなんてよくあることだ思って生きている。それでも、普通ってなんだ?優しさってなんだ?と考えさせられた。 特に偏見もないので、目の前で、更紗に「文は良い人だ」と言われたら、ストックホルム症候群の可能性も踏まえつつ、そうなんだねと聞き入れると思う。 完全には文や更紗(亮君や谷さんやその他の人物)と同じ背景を持つ人は殆どいないかもしれないけど、部分的には分かる部分や重なる部分があるんじゃないだろうか? 亮君のDVは理解しがたいけど、不安になる気持ちはわかるし、それで上手くいかなくなるのもよく分かる。更紗側から語られるから亮君の思考が変に見えるかもしれないけど、実際その立場なら、その不安や焦燥は当然かもしれない。(その後どう振る舞うは人それぞれだろうけど) 同じ状況で、手を挙げなくても、言葉の暴力を使いはしはいないだろうか?そのような思考に囚われたりはしないだろうか? 自分の経験と照らし合わせて‥ 優しさ、普通の意味 スイッチが入る 「哀願は暴力とは別の場所を殴りつけてくる」 「亮くんは私の身体に暴力をふるったけれど、わたしは亮くんの心に暴力をふるうのだと気づいた」 「けれどその中に時折、優しい気持ちが混じる。この人を理解したいとか、自分になにかできることはないかと、そういう善意がわたしの足をつかみ、そっちにいってはいけないと強く引き留める。」 なんて言葉の意味やフレーズがダイレクトに届く。マッカランやオールドバカラなどの小物も個人的な記憶とオーバーラップしてしまって相乗効果にもやられた。 登場人物の、誰か1人に自己投影するのでは無く、更紗の要素も文の要素も、亮君の要素も、更紗のパパの要素も、パンフレットを渡した警官の要素もその他の登場人物も少しずつ。 吉田氏の解説にある「そっとしておくこと、ほうっておくことこそが、優しさとして作用する場合がある。けれどもその態度は相手への無関心ではなく、あなたがあなたのままでいてほしいと願い、干渉ではなく隣にいることを願うこと」 これが自分には中々難しいところなのかもなぁと思っている。 面白すぎて読み終わりたくないと思った本は何冊かあるが、途中で本を置いても「もう、この本に満たされてるな。」と思ったのは初めてかもしれない。後半が失速するという意味では全くなく、どこで読み終えても「皆、何らかの欠陥を抱えて生きている。そんな世の中で優しさとは?普通とは?」を自分の中で再生するかの様に繰り返し問いかけてくる傑作だった。 皆さんはどう読みましたか? 上のを書いたあと、少し引っかかりがあり追記。 多分、多くの人反応はは亮君側ではなかろうか?(勿論DVの部分や、やり過ぎな所は除いて) 良くて谷さん。 小児性愛者とその被害者。 その被害者の彼氏。突然連絡が取りづらくなり、小児性愛者の、加害者と会っている。 小児性愛者の彼女。ストーカーだと思っている客が彼氏の隣に越してきて、彼氏もそれを認めている。 冷静に考えたら、確かに"普通"じゃない。 しかも、どうしてなのかを問うても答えてくれない。 答えられない事情がある。としても、だ。 普通にこの状況に遭遇してパニックにならないものか?そっとしておこうと思えるものか? それこそがこの小説の究極の問いかけでは無いだろうか? 更紗と文の側から書かれているからこそ、その二人にしかわからない世界が有り、唯一の安寧の地にたどり着けた美談で終わる。それは素直に良かったと、思えるけれど。 更紗と文がこうならずに済む方法はなかったか? 誰かが更紗の訴えを真正面から受け止めていたら? 誰かが文の苦痛に理解を示していたら? そっとしておいてほしい。 ストックホルム症候群だとしても大人になった2人を引き裂く正義が有るかを考えたほうが健全じゃないか?更紗も気になる人が出来たと亮君に別れを切り出すべきなのではないか?事実と真実は違う。それは良く知られたこと。文と更紗は違ったけれど、込み入った事情がある、小児性愛の犯罪歴の有る人間を我が子の隣に置きたいか?その人に我が子を預けられるか?更紗と文の綺麗な関係だけを通して世界を観るのではなく、実際にその場に身を置いたとき、貴方はどう感じますか?どう考え、どう行動しますか?にまで、思いを馳せて初めて2人の本当の絶望が分かるのではないだろうか。 現実には文のようなどうしょうもない背景があって可哀想な人と、ただ己の欲望に従って弱いこどもから性的搾取をする人間がいる。その見分けをどうやってするのだろう? この話、綺麗事じゃ済まされない。 文と更紗からは情報は得られない。 手に入る情報だけでどうやって、何を信じたら良いか。そこまで没入して初めてこの小説の吐きそうなほど胸えぐられる切なさと、現実の隔たりが分かるのではないか。
5投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ浮気を疑うシーン、理解できるなぁ。自分が見ている信じたい事実と、本当の事実は違う。状況判断からよくない方向に考えてしまうんよね 文が犯罪者情報サイトから更紗の場所を知ってカフェオープンした部分と、calicoの意味が更紗なのはお見
6投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ人間は自分がみたい景色を自分が気持ちのいいようにみているだけなのではないかと思いました。 そこにどんな真相があろうとも自分の都合の良いように解釈してるだけ。そうしないと生きていけないから。 人の話を聴いてあげることが優しさではないとおもいます。ただいるだけ、何もしなくていい。そんな存在でも良いとおもいます。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ初、凪良ゆう作品。 100万部記念カバーを見て。 心地よい重厚感。人を想うことの美しさや温かさ、その反面の厳しさを感じる一冊だった。 凪良ゆう作品を、綺麗な表紙カバーのイメージのまま捉えらていたが、重厚感は自分好み。 他の凪良ゆう作品も読みたい。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
物語の感想ではなくなってしまうけど。 人の気持ちを完全に理解することなんてできないし、普通はとか一般的にはとか、そういった枠にはめて考えてしまいがちだけど、人の数だけ感情や思いがあって望まれてないのにそれを理解しようとすること自体が当人を傷つけるんだよな、など改めて思った。 わたしにもある。 別に誰にも理解されたいと思ってない感情や思い。 だったらどうかそっとしておいて。どうせ分かりっこないんだから、それ以上踏み込んでこないでほしいって気持ち。 きっと自分が理解できる範疇の感情や感覚や気持ちに当てはめたいんだろうな、とも。 本当のやさしさってなんだろう。 分かりたいという気持ちに悪意はないはずなのに、無関心じゃないそっとしておくってなんだろう。 更紗は何を言ってもわかってもらえず被害者ってだけで同情や勝手な思い込みで人物像を作られたのに対し、文は逆に誰にも何も話してこなかったために本当の文をわかってもらえなかった。 なんだろう。どうしてだろう。やるせないし、もどかしい。 などと悶々と色々と考えさせられている。
6投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログあなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。 それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。 "事実と真実は異なる"そのとおりだと思う 物事の表面だけを見て、他人が批難する 言葉という暴力でー 物事を一面からだけではなく、多方面からみて、他人の意見に振り回されるのではなく、自分で判断していきたいと思った。
0投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログNEWSの裏側では…系。 自由奔放に生きていたはずなのに、それが崩れたサラサ。彼女の辛さを埋めてくれるのはロリコンだと思われている大学生の文。 文にとってさらさは呪縛から解いてくれる存在で、さらさにとって文は安らぎを与えてくれた存在。 作中にもある通り、僕も読む前はストックホルム症候群の話かと思っていた。まあ、広い意味では今回の話もそう言えるのかもしれない。 ただ当人たちがどう思うか。他者にあれこれ言われる筋合いはない。本当にそう思う。ただ、悲しいのが他者の善意だけの優しさまで当人にとっては辛いものになってしまうこと。さらさたちはそれでいいと、思える最後になったからよかったけど。
0投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログ満足 言葉に表すのが難しい 事実と真実は違う、ということを忘れずに生きてこうと思う 自分とはかけ離れた話と思ってたけど、SNSやら芸能人のニュースやらまさにこの本の話じゃんねと思う 個人的に刺さったのは、優しさを持っていても分かり合えない人はいる 分かってあげたいってことも相手にとっては時には苦しいよね、 だけど相手のことを決めつけるくらいなら分かろうとしていきたいなと思う
1投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログこれも多様性なのかな?凄く難しいテーマだった。 人間を表面だけで判断することの危うさ、愚かさ。表面の情報だけで全ては測れないし、当事者達が幸せかどうかが1番重要なんだと、気付かされた。 最終的には凄くいい終わり方であり、こういうお互いへの依存とまではいかない、絶妙にお互いなくてはならない関係になれるって最高の結末だと思う。 素敵な作品でござんした。
0投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログ面白かった あんま覚えてないけど正欲読んだ時とにてる 事実と真実は違う 固定概念って怖いし、しょうもないけど それを理解してくれる人がいるだけで救われる わたしは平凡だけど、いろんな意見を理解できなくても受け止められるひとでいたい
1投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログもう30年も昔、「更紗」という名前の、私より10歳くらい下の女の子と知り合った。「さらさ」という音の響きが大好きで、私に子どもができたら更紗と名付けたいと思ったくらい(結論として、息子が産まれました。満足ですよ♪)。私の知る更紗は勉強も運動もできて、リーダーシップのある溌剌とした人気者。「当たりのトネリコ」みたいな。 さておき、公になる話は全て、その公にする人により編集され、真実を知る本人、マイノリティは葬られる。いくら「違う」と声を上げても、公の大きさ、「普通」の多さには敵わないから。「普通」って平均じゃなくて、いろんな人が集まっている状態のことなんだろうに…。 私が更紗と関わっていたのは1年間だけだったけど、どんな大人になったんだろうって、ふと思った。誰にも編集されない幸せの中にいてくれたらいいな。
1投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分でもどうしようも無い傷を抱え、それでも"平凡な人々"に憧れながら、紛れながら生きていかなければならない苦しみ、善意で接してくれる人々と分かり合えない苦しみと、派生していくたくさんの苦しみを味わう2人が自分の苦しみと重なり、胸が締め付けられました。2人がお互いの命綱を手放さず前を向くことが出来て本当に良かったです。
1投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ超技巧のトリックや衝撃的な展開が続く訳では無いのに読む手が止まらなくなりました。 事実と真実とは?を問う作品で、切ない余韻が残ります。
10投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ解説にあるような「優しさについて見直す契機となる云々」と書かれると、啓蒙的というか自分にとって 小説を読む意味はそこじゃないんだよな〜となる。この小説の良さは、物語を通して文章を通して描かれる世界が綺麗なことだと思う。それはきっと綺麗でないものも描かれているからで、それが文と更紗の関係をより美しく際立たせている。 名言っぽく書かれてるセリフ、ニーチェの引用だって気づきたかったなぁ、調べるまで忘れてた。
0投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ劣等感を抱える主人公と1人の女性の話し。 とても良かった。 世の中の当たり前や基準は偏見でしかなく、 それぞれに正義があり守られるべきだと感じた。 人が個人に惹かれるって必然な事で他者が入る余地は無い。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログヘビーな内容だが、目が離せなくて一気読み。 他人に寄り添う行為と、自分の考えを押し付ける行為って紙一重なんだなと思う。 多様性とか個人の尊重とか言うけれど、本当に他人の気持ちを理解して共存していくのってすごく難しい。 この本では(酷い人もいるけど)基本的に登場人物が優しい「普通の」人たちばかり。それなのに主人公のこの生きづらさはなんなのか… 自分で好きなように生きたいのに、周りの善意や悪意に振り回される様子が読んでいて辛かった。 それでも不思議と読後感はよい。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりに良かった本です。 2人の関係が2人にしかわからない感じを最後は一番に大事にできて、ホントに良かった。分かってくれる人がいるだけで人は生きれるんだなぁ。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログとても残酷で、けれど美しい物語だった。 読み終わった後も、胸の底にずっしりとのしかかるような重みがある。 更紗たち2人が、お互いがお互いの居場所となっている。それが、絶望の中でも希望を見出しているように見えた。 凪良ゆうさんの表現力が素晴らしい…とても綺麗で、美しい文章だった。
1投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ「私は一体何に許されなきゃいけないのか」そう訴える更紗の今までの苦労と諦め、理解して貰えない苦しみが、大人の更紗を作り上げたのだと思った。 最後にはあの時の更紗に戻れていて良かった。
7投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ「大人にならない子なんていないもん」更紗の何気ない一言が、彼のはなしを読んだ時に重くのしかかってきた……真実と事実は違う。大多数の人たちにとって理解しやすいように、偏見や決めつけで事実を作り上げていることにもどかしくなったけど、全員が真実をわかる必要はないのかな、文と更紗はわかってくれる人だけに心を預けたら平穏に暮らしていけるのかな。 夕飯にアイス、いいな〜
0投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ面白かった。私自身がどんな犯罪者に対しても偏見の目で見ていたことに気づけた。それだから、ではなくてその裏にある事情を汲み取ることも大切だと思った。もちろん、だめなことはだめであるが。固まった価値観だけでは対立は深まるばかりである。事実と真実を分けて考えることを意識していきたい。この本を読んだあと車校で運転したのだが、気持ちがなんとも言えない、真面目な気分だったので先生とあまり話せなかったことだけが残念である。
5投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ更紗の本当はそうじゃないのに!って気持ちがよんでて伝わってきて私までもどかしかった。自分の見ている景色はどこまでも自分にしか見えないんだなと。
2投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ本当によかった。 孤独なもの同士が繋がる物語、二人しか分かり合えない独特の世界観が緻密に表現されていて、とても惹き込まれる。性愛ではなく、もっと大きな愛、穏やかであったかい愛の物語だなと思った。
3投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ幼女誘拐事件の加害少年(当時19歳)と被害者(当時9歳)とされた2人の物語。当事者だけが知る真実と社会の認識・憶測との間には、埋められない溝が広がっている…。
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ"汝、星の如く"が面白くて。凪良ゆうさんを読むようになりました。 わたしは自分の常識の狭い世界の中でしか生きていない。それを教わった気がします。世界のニュースも、記者さんの視点からしか見ていないし。そんなことってたくさんあるとは思っていたけど。分かっていなかったなぁと。 「事実と真実は違う」というテーマ。真実は当事者しかわからないのですね。 同じ土俵の話ではないけれど、わたしの周りの身近な話として。わたしの周りで離婚が増えていて意外と思えることも多いのですが、「夫婦の事は夫婦にしか分からない」と言った当事者の言葉を聞いて、深く納得してしまいました。
1投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ普通じゃないからと常識から外れた時点で叩かれる、叩いてしまうこと自分自身にも心当たりがあって、事実と真実は違うこと、憶測や推測で相手に接してしまうところがよくあるなと思った。 相手にこの言葉をかけることは優しさだと思って聞かない自分のエゴでしかないんだなと改めて実感した この話を読んで、色々なことがあるけれどそれでも文と更紗が一緒にいることを選んでくれたことに、涙が出そうだった。凪良ゆうさんの作品はどれも好きだなと実感!
11投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログ他人の決めたルール、皆にとっての当たり前、常識。偏見に満ちた世界にきちんと自分なりの意志で接しているだろうか。流されるまま誰かを傷つけていないか怖くなる。安心して自分のままでいられる居場所がどんな風に見つかるかに常識なんてない。夕食にバニラアイスを。
0投稿日: 2025.02.23
powered by ブクログめちゃくちゃ面白かった。 世の中の大半は常識が正になるが、常識では考えられないことだっていくらでもある。他人の意見は所詮他人。 速読後、映画も観ちゃいました。
1投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日常が穏やかに進む場面とどうしようもなくハラハラしてしまう場面が交互にやってくるのでページ捲る手が止められず、すぐに読み切ってしまった!ロリコンに対しては嫌悪感しか無いし読み終わった今もその気持ちは変わらない。世の中の事件やら噂話やらというのは当事者の言葉を拡大解釈されたり有る事無い事言われたり被害者と言われる人には優しさを押し付けたり、、わかるよって言っても何もわかってないし人はそう簡単に分かり合えないし主人公も分かってもらおうとすることを無駄だと割り切っていた部分もあって悲しい気持ちになった。その場面だけみて勝手に曲解しやすい媒体がたくさんある今だからこそたくさんの人に読んでほしいし映画が待ちきれない!
2投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ「流浪の月」#読了 真実と現実は違う。当事者視点と第三者視点、同じ出来事のことでも、両者には乗り越えられない高くて固い壁がある。文と更紗、それぞれが苦しみや絶望を抱きながら成長していく過程に胸が打たれ続けた。自由と呪縛を行き来しながら人は強くなるのかもしれない。 #読書記録
13投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ本屋大賞ということで手に取ってみたが、予想以上に内容が重く、けれどもとても面白い作品だった。なかなか自分の身近にはない話で、最初は戸惑いもあったが、読み進めていくうちに、だんだんと自分の価値観が変わっていくのを感じた。 愛の形とは何なのか、とても考えさせられる作品だった。
3投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログAudibleで初めて聴いて出会った大好きな凪良さんの作品。改めて活字で読んでみるとまた違う魅力を感じる事ができた。昔の文と更紗の関係、そして月日が経ったあとの2人の関係 汝、星のごとくや星を編むにあるように、まさに2人の関係が2人にだけわかる形で続けば良い、をこちらの作品でも綺麗に描かれているなと思いました。
1投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ルールがない少女と厳格すぎる規律の中で育てられた大学生 両親を亡くし、叔母家で暮らすが従兄弟に性的なことをされる7才の少女が公園で空っぽな大学生 フミに出会う。 居たければ好きなだけいればいいよという大学生フミは2ヶ月過ごし、 少女誘拐事件容疑者として、フミは捕まる。 時は過ぎ、少女は当時19歳であったフミの年齢をどうに越し24才となった。 不満はあるが、別れを告げるほどではない関係の亮と結婚を切り出され、迷いを感じている中、カフェを営むフミと再会する。 感じたこと。 世の中の暗黙のルールやただそれが普通だという常識で物事を見てしまうことを気をつけたい。 優しさはあくまで本人の尺度による優しさ。 偏見、意見、
3投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログ初めての、凪良ゆうさん。 9歳の更紗は19歳の文に『親戚から暴力を受けている』と助けを求めていた。 19歳の文は何を考え、なぜ更紗と一緒に住もうとしたのかという疑問が残りながらも読み進めると本人には本人で『性成長の悩み』があったこと。 ふたりとも『誰にも言えない』苦しみがあり、彼らの周りに伝えられない苦しさがあった。 報道された真実と助けを求め一緒にいた事実は違う。でも世間体は真実でしか見てくれない。私たちが見る報道される情報は『表向き』の情報にしか過ぎず、被害者・容疑者は余計に息がつまり苦しい中で生きていかなければいけないのかと、感情が込み上げてくる。 そんな彼らにどう接すればいいのか。 例えば、身内・友人・知人が『容疑者』or『被害者』になった時、どういう行動をするのだろう? 『優しく接する』、『寄り添う』だけでもいいのか。そう考えると容疑者・被害者の気持ちを考えて接するって自分たちは『偽善』なんじゃないかって思ってしまった。なので本を読む手を止めてしまったし、どんどん感情の渦に巻き込まれていく。 自分たちができることってなんだろう? それは「彼らが少しでも息苦しさのない世界で生きていて欲しいと願うだけ」でいいのではないかと思いました。 幸せになってほしい…ただそれだけ。
23投稿日: 2025.02.18
powered by ブクログ凪良ゆうさんの作品は重いのが多いね笑よくこんな家庭環境とか人格が描けるなと思う一方読む手はとまならない。佐伯文が単なる小児愛性者ではなく、おそらくクラインフェルター症候群で自分の体が性徴しないことを正当化するために仮面をかぶっていたのは衝撃。更紗と文のような関係性ってフィクションではあるけど落ち着いていて過ごしやすそう。
1投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ凪良ゆうさんの作品を読むの3回目でしたが、今回も色々考えさせられました。 子ども時代の更紗の家族との幸せな暮らしが文章から想像できてホッコリ。 それが、父親の死と母親との別れで幸せな時間が壊れていく様子は読んでいてやるせなかった。 大人だけじゃなく子ども達も誰にも言えず、言わずに我慢してる部分があるんだろうな…と思った。 更紗と文の関係って小説内だから歪だけど素敵な関係性って思えるけど、現実世界で実際にあったらイカれてるって思う自信しかない。 だってどんな理由があっても無くても犯罪は犯罪だもん。 でも、偏見でその人を決めつけるのは良くないんだよね。 好気の眼差しで2人を見ちゃう人たちの気持ちも分かるし、それぞれ孤独とかを抱えてお互いの存在を支えに必死に生きてる更紗と文の気持ちも痛いほど分かる。 色んな人が生きてる中で生きるのは難しいことだね。 色々なことを乗り越えて生きる更紗と文の幸せを願いたくなる、そんな一冊でした。
7投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分の不甲斐なさと弱さを思い出したとき、また読みたい。 子供と大人、真実と事実、自由と普通。 相反するものの間でずっと悩んで苦しんで、ようやく平穏に過ごせそうになると思ったら人生うまくいかない。過激な人生だけど生きるしかなくて、更紗はどうにか生きてる。 更紗みたいにつらいこともしんどいことも自分には全然ないけど、地元を離れて一人暮らししている自分に重なる感情があった。自分がいなくなっても悲しむ人がいなくて、それが悲しいけど自由で嬉しいという…。 女性のあいまいな社会的な弱さの描写があって、漠然と将来の不安を考えてしまった。人間1人じゃやっぱり弱いのかな。
0投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログ対面でコミュニケーションを取っていても、余程意識しなければ自分の思い込みフィルターを通してしか相手のことが見えない(=分かり合えない)のに、ましてやネットやマスメディアの情報だけ並べ立てて、一体何が分かるというのか。想いを含めた本当の真実は当事者にしか分からない。せめて相手のことを分かった気になってズカズカと踏み込むことのないよう、自分には分からない・見えていない領域があるのかもしれないと常に頭の片隅に置いておこう…絶望的に分かってもらえない苦しみの中で寄り添い合う2人の哀愁漂う物語から、そんなことを感じ、学びました。 個人的に好きなシーンは、更紗と文と梨花、3人が同じ空間にいるのに、それぞれが好きなものを食べ、好きなことをして、ばらばらなのに安心感を共有している場面です。 同質的で一体感がある時の良さも勿論ありますが、違うことを許容し合えている関係もとても居心地がいいんだろうな…と想像して心が温かくなりました。
80投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ真実とは何なのか 見えてるものが全てではない 分かってくれている人、共有できている人が1人でもいることが大きな救いになる
7投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人の偏見や決めつけはほんとうにこわいなとおもった 更紗にとっては模範的に手を差し伸べてくれるひとの力で救われたことはなくて 世の中で一般だと犯罪といわれる文の行為で救われたんだなって ひとは失ったら上手く生きて行けない人と出会うこともあるんだなって思った それが更紗と文だと どう言葉に表そうが拭いきれない更紗と文への目線がほんとに悔しかった 更紗が警察署につれていかれて文と更紗がふたりで帰っていくシーンで涙が溢れた ひとは決めつけをもって他人の感情を想像しないまま生きているんだと なにも知らずに悪くいってしまえるんだと わたしもきょうそんな経験をした、色んなひとの背景を考えようって思いながらも私は考えられてないのかな わたしも親じゃない人に支えられてるから世の中一般的にみたらおかしなことなんだろうけど でも私は救われてて、私が嫌なことだとしても相手が思ってることならしてあげたいって思えるくらい信頼してて感謝してて そういうところが更紗の感情と重なるところがあるなって思った
3投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
汝、星の如くと星を編むを読んだので続けて著者のこの作品を手に取った。 重いテーマがいくつも含まれる内容だったがすらすら読めた。 三作品とも、自分たちの関係に他人が好き勝手にラベリングしてくるのに辟易しつつも、最終的には他人にどう思われようとも自分のいたい人といる、という内容だった。 自分も体裁や周囲の目などではなく、本当に大切な人を大切にしたいと思えた。 ネットで炎上していることや週刊誌が報じていることなどどれも部外者には真実を知り得ないものだと再認識。本当は違うのかも、と常に思って発言したい。
3投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
流浪の月、名前は聞いたことあって いつか読んてみたいと思っていたら、 本屋で100万部記念の アニバーサリーカバーを発見して即座に購入 こういうカバーもあったんですね〜 凪良ゆうさんの作品は初めて読むけど、 めちゃくちゃ読みやすく、 続きが気になり、あっという間に読了 普段僕はあまり早く読了するタイプではないので、 短期間で読めた達成感と満足感、話の内容と結末に 凄く心地よい余韻に浸れた 実際僕も誘拐事件等の被害者や被疑者の気持ちを 考えた事も何度かあって、当事者にしかわからない ネット上での見てもない他人の誹謗中傷等に 辟易する事もあったので、すごく感情移入できた あと親戚の子で親が失踪した子もいるので、 更に感情移入できた 話しは概ね、嫌な〜予想通りの展開で進んでいった それでも作品に引き込まれて止まらなかった 最後だけは凄く嫌な予感はしたけど、 それだけは予想が外れてくれて心から良かった この二人、いや三人か、には幸せになって欲しいと 心底おもったので 小説の話なのに 何でこんなに感情移入するのかを考えた 身近な人の体験や自分自身の考え方に 合うのも理由なのだろうけど、 妙にリアリティがあるんだと感じた 読んでいて場面場面が 脳裏でイメージとしてすんなり出てくるからだ 読ませ方、書き方もさることながら、 心理描写に至るまで上手なんだ 僕は小説を読んでても 人物の心理や行動が 腑に落ちない事がよくあるのだけど、 この作品には一度もなかった 全て、行動に至る理由があって納得できた だから心地よいと感じれたのかな あとはやはり最後が良かったのが一番かな 映画化もされてるようで、 そちらも観てみたい 調べたら文役は松阪桃季、、 いや、ぴったりすぎるわ!!
35投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ初めて凪良ゆうさんの作品を読了。 また新たに推し作者さんを見つけてしまった! 中盤から続きが気になりすぎて、ラストまでページをめくる手が止まらなかった。 読了後、小説の世界に引き込まれてしばらく余韻に浸ってた。 「事実と真実はちがう。」 真実は当事者にしかわからないから、他人は事実でしか物事を判断することができない。 この作品を読んでからは、ニュース等で知る出来事や事件の見方が変わってしまいそう。 朝井リョウさんの『正欲』に通ずるところがある。 これは小説であり、フィクションなのだけれど、この話と似たようなことが身の回りでも起きているとはっきり思えてしまう。 ふらっと立ち寄ったファミレスの隣の席で、更紗と文、そして梨花が仲良くご飯を食べているかもしれないな。
19投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ優しさとは、他人の痛みを知ること、あえて言わないことである。事実と真実は異なり、真実は当本人しかわからない。
2投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
すごい感動する本。 文と更紗、事実と真実。 ほんとに真実はこの2人にしかわからないと考えさせられる本だった。 恋愛でも友達でも家族でもない2人の関係が切なくてでも優しくて… 題名の「流浪」とは文と更紗が15年前のことを掘り返されたとしても、どこへでも2人で一緒に生きていけるという意味なのかなと思った。
9投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
“” 支えてくれる人がいるからこそ生きていけるのか、支えてくれる人がいないと生きていけないのか。もう28年も生きてるけど生きる意味みたいなことがぼや~っとしてて、でもそれって私は恵まれてる気もしてて。じゃあ恵まれるってどういうこと?とぐるぐる。更紗と文のお互いのお互いへの強い想いに惹かれたし、その強い想いがお互いを15年生きる糧というか希望になってたところが切なくて心地良く感じた。上手く言葉にすることが出来ないのが悔しい。 誰しも自由を憧れるのにどうして人と同じようにしてないと駄目なんだろうか。これは永遠のテーマすぎる。なんで好きな物事を好きとしてるだけなのに。 文に関してはよく頑張ったな(そんな言葉で済ませちゃだめなのはわかってる)って思う。自分だけが違うことが恥ずかしくて堪らんのもめっちゃ分かる。 人はみんな何かしら1つのかばんを持ってて、中身は分からないってあったけど、その中身を上手く隠せる人と隠したいのに隠すことでしんどくてしんどくてしんどくて堪えられず手放したい解放したいから隠すのをやめる人。叔母息子とかはうまくやってくやろうな、と考てるとムカついて仕方がない。亮くんは↑の両者にもなれず、ただただ自分中心なだけやけど。でもそれも一種の囚われになるんよね。 何を事実として何が真実かなんて当人同士にしかわからんってことを再確認できた。私も表面だけで知った気になってその情報が正しいと思いがちなので気を付けたい。
1投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ社会の偏見や固定観念に囚われた二人の特異な関係を描いた物語だ。幼少期に母親から捨てられ、親戚の家で孤独に育った主人公・家内更紗と、大学生の佐伯文が出会い、共に奇妙な共同生活を送ることから物語は始まる。しかし、その関係は周囲に誤解され、二人は引き裂かれてしまう。大人になって再会した二人が、それぞれの傷を抱えながら再び向き合う姿が繊細に描かれている。 印象的な場面は、文が更紗に「君がここにいるだけでいい」と静かに語るシーンだ。彼は自分の過去や世間からの視線に苦しみながらも、更紗に対しては一切の条件を求めない純粋な存在として接する。その優しさが、更紗の心を救う一方で、文自身も彼女によって孤独から救われていく。この二人の間に流れる特別な信頼関係が、読む者の心に深く刻まれる。 また、社会が「普通」や「正しさ」を押し付けることで、二人が不当に傷つけられていく様子にも胸が痛んだ。世間は彼らを理解せず、表面的な事実だけで判断するが、それに屈することなく、自分たちの居場所を求めて生きようとする姿は力強い。 この作品を通じて、他者の価値観や生き方を尊重し、表面だけではなくその人の背景に目を向けることの大切さを学んだ。世間の常識や偏見に囚われず、自分が本当に信じられるものを守ることが、人生においてどれほど重要であるかを考えさせられた。優しくも鋭い筆致で描かれる人間ドラマが、読後も深く心に残る一冊だった。
4投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ人には言えないこと、わかった風を装って、優しさを盾にして相手を推し量る人は多い。かくなる自分もそんなことをしてしまっているのではないか。 可哀想な子、偏見。相手の実際の気持ちなんて、十人十色全員違う。 誘拐された子、家が辛いということ、 読者視点で彼女の声を知り得なければ、自分はこんな立ち位置にはいられないだろう。 ただ何も言わない優しさ、文の魅力を僕は感じた。 でもなんだろう、文、安西さん、店長しかり、 結局自分とか、身の回りに同じ思いをしてないと、本当の優しさって持つことができないのかなとも思う。 苦手な食べ物の味、苦手な人にしか伝わらない。 平気で食べてみなっていう感じ。 ーーー 再会からのこと、喫茶店での2人の話は何度も読み返したくなる。文の優しさに甘えてしまう、居心地の良さ、いいのか悪いのか、替えの効かないものはある。
1投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログ一気に引き込まれて、一気に読んだ。 本屋大賞受賞作、納得です。 お互いに、言葉にすることができない「つながり」「命綱」を求めているのに、お互いを思い遣っているのに、周りからは理解されない。事実と真実は違うのに、「普通」はそれを許さない。 周りの人はみんないい人、優しい人だけど、「普通」ゆえに当人を苦しませる。本当に難しい。
3投稿日: 2025.02.04
powered by ブクログ一気読み。すごく好きだ〜。しかも読みやすい。 自分の認識と他人の認識は異なるし、きっと完全にわかってもらうなんて難しい。周りから見えておかしなことでも、当人にとってはそうでもなかったりする。この頃よく考える“常識”とか“普通”って何だろうということ。そんなのその人の主観だよね。どうしたって人は見たいように見るし、きっと気をつけているつもりでいても自分だって同じことをしていると思う。 複雑な関係性だけどたしかな絆があって、それは共有した時間や思い、救われたという感情が生んだものなんだろうな。
14投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ真実と事実はちがう。 自分の普通は人の普通ではない、善意が人を傷つける事もある、人との関わり方を考えさせられる本。 そして特に親や小さい頃の環境が子供に与える影響の大きさを考えさせられる本ではないかと思った。
2投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ真実と事実は違う。 客観的な事実は大事だ。誰が見ても同じだから。しかし、それが全てではない。当事者しかわからない真実もある。この本の事実だけを取り出すと自分もやばい男と女だと思う。だって誘拐しているか。しかし、本当はそんな関係ではない。お互いを支え合う存在だった。勝手に推測してそれを押し付ける行為はなんて短絡的か。事実を取り上げるのは大事だが、そこに気持ちを乗せる時は押し付けてはいけない。そこで留めておくべきである。終盤で苦しい気持ちにもなったが、最後は幸せになっていて穏やかな気持ちになれた。流浪の月は文を表していたんだなと最後にわかった。
2投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ真実は当事者しか分からないし、みんなが見ている景色は自分が見ている景色とは違うかもしれない。時々そう思う。
2投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ一気読みでした。 文にとっても、更紗にとっても、ヒーローであった事がすごく嬉しかった。 すごく寂しい気持ちで読み進めていったが、最後あたたかい気持ちで読み終える事が出来ました。
7投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログ心から2人のことを羨ましいと思ってしまいました。そのようなことを言ってはいけないとわかっていますが、そう書かずにはいられないほど羨ましい と思いました。 足りないものもあれば、嫌なものもあるけど、綺麗で大切なもので溢れているこの世界に憧れてしまいました。 また、本書を読んで自分の人生に活かせられることは、人の幸せに口出しをしてはいけない。ということです。 とても素敵な物語でした。
2投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
凪良ゆう先生の書く文章に惹き込まれあっという間に読んでしまった。 「普通」とは何か。をよく考えさせられる小説だった。 「一緒にいてはいけない理由は山ほどある。 わたしたちはおかしいのだろうか。 」 恋と愛とか恋人でもないけど家族でもない それ以上の深い繋がり。 それでいて一緒にいると心が落ち着くような安心感があるようなずっと一緒にいたいような関係に少し憧れを抱いてしまったわたしはおかしいのだろうか。 共依存って言う言葉で簡単に片付けるには難しいと感じた。 自分のものさしであれは変だ、普通じゃないって思うことでも 他人にとってはそれが「普通」ってこともある、自分の価値観のあり方を考えさせられた。 「事実と真実は違う」という言葉もすごく印象的だった。 真実や知らない他者が発する言葉1つや印象で 事実が簡単にねじ曲がってしまってそれな真実となってしまう。 真実は本人達にしか分かりえないから 他人がとやかく言うもんじゃないと思った。 ふたりの関係は理解されないけど ひとりじゃないしふたりだからもう強いね。 夜ご飯のアイスクリームもデリバリーのピザもダラダラも最高だよね
0投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
感動する。誰しもが先入観とか偏見を持ってしまっているからこそ成り立つ話だと思った。最後、文の真実を知った時涙が止まらなかった。
1投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログこういうの大好きです。事実と真実は違う。たしかになぁ。恋愛してから人の気持ちを解りたいと思うようになったけど、人の気持ちを必要以上に推測して気を使うのもすごく失礼だと思った。人間関係に正解はないね
1投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ本書は、深い孤独を抱えた二人が、常識や偏見に縛られながらも互いを理解し支え合う姿を描いたヒューマンドラマです。人と人との絆、社会の目、そして自分らしく生きることの難しさを鮮やかに浮き彫りにします。 物語の主人公は、幼い頃に父を亡くし、母は家を出てしまい、親戚の家で孤独な日々を送っていた10歳の少女・更紗と、大学生でありながら孤独な青年・文。ある日、更紗が文の家に身を寄せることになりますが、社会からは「誘拐」と見なされ、二人の関係は大きく歪められてしまいます。それから15年後、再び再会した二人が過去の傷と向き合いながら、互いの存在の意味を問い直していく姿が描かれます。 本作の魅力は、何気ない日常の描写と、登場人物の繊細な心情の描写にあります。更紗と文の関係は一筋縄ではいかず、読者の価値観や倫理観に揺さぶりをかけますが、その奥にある純粋な感情は強く胸を打ちます。また、社会の目や常識の枠組みの中で自分らしく生きることの難しさが、静かに問いかけられる点も印象的です。 「事実」「真実」とは何か、「理解」とはどういうことかを考えさせられる深い一冊。読み終えた後も心に残る余韻と、登場人物たちの切なさが胸が締め付けられました。
55投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログ「あなたたちが幸せなら、それでいい」と誰かの幸せを潰さず、ただひたすらに祈り願うことができるなら、お互いにいいことなのだろう。 分かっていても、それでも「この人はこう感じているはず」だとか「こうでなくては理屈がたたない」と己の尺度でものごとを測ってしまうというのは、自分の中にも確実にあるものだと思う。 私がきっと更紗のそばにいたら、文のそばにいたら、梨花のそばにいたら……過去はどうあれ「今はこれが幸せなのだ。こうやって生きていきたいのだ」と願う子たちを、そのまま受け入れられるだろうか。 「優しさ」や「寄り添う」ことの、第三者としての自分について、考えるきっかけになる作品でした。
6投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログ世間一般が決めたレールから外れてしまったら(外れていたら)、生きづらい世の中だと思う。 そんなレールなんて気にしなければ良いと思っていても、日々を生きていく中でそのプレッシャーをひしひしと感じてしまう。 どんな人でも、自分の存在を肯定できる世界になってほしい。その関係性に一般的な名称がなくとも、ただ一緒にいたいというだけで大切な人と一緒にいられる世界になってほしい。 そんなことは理想でしかないのだけれど。 周りに溢れかえるたくさんの情報に振り回されて真実を見ようともしない人にはなりたくない。真実を知ろうとする努力、自分の頭で考えることをやめないようにしたい。
7投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログこの二人の幸不幸を決めつけてはいけない。 気持ちや幸と不幸を第三者が決めつけ、それがなお日常に溢れかえっていることに、もどかしさをおぼえました。 自分の言動も改めさせられます。 この本に出会えてよかったです。
4投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログたまたま正欲に続けてこちらの本を読んだので、テーマが似ていてびっくりした。 「普通」を自任する人々の多くは、まさにその優しさ、善意や良心、道徳心から「よかれと思って」、自分の目から「普通」ではないと思われる人々に対し、「普通」を突き付ける。それは刃であり暴力であって、突き付ける側は相手を殺める危険性を秘めていることに気付いていない。(解説より) 「多様性」を声高に叫ばれるとなんとなく違和感を感じる、どちらの小説もその違和感を考えさせてくれる小説だった。
3投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ事実と真実は違う。 勝手なフィルターにかけられて周りに色々と思われてしまうということは辛いことだ。 本当のことは当事者たちではないとわからないのに憶測で物事を話すのは良くないなと改めて思った。 『彼のはなし』の章での文の気持ちはとても苦しかった。 普通って何だろうと考える話でもあった。 2025.1.28(火)読了
9投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ初めて。 映画を見てからの原作読書。 広瀬すずさんと、松坂桃李さんの演技が素晴らしかった、の一言。あと、内田也哉子さん。 原作に忠実で、どちらが先でも楽しめる作品でした。
1投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログまさに多様性。恋ではなく愛。そして愛とは何か。 みんなそれぞれ秘密を持っているけれど、それを一緒に背負ってもらおうだなんて思ってない。ただ自分で抱え続ける。 「自己開示をすることは良いことなのか」を考えさせられる作品だった。自己開示をすれば私のことを理解してもらえるけれどそれは承認欲求でしかない。節度を弁えなければ、己の欠点を露呈することにもなる。逆も然り。相手のことを知ることが必ずしも友情や愛情の深さに繋がるのだろうか。 「事実と真実は違う」とは真理だと思う。客観的と主観的は異なることが多い。どちらも大切にしつつ、自分の心に嘘をつかない人間でありたい。 「氷砂糖のような声」という表現がすごく好きだ。透き通った冷たい声。そこには儚さもある。危険な甘美も感じる。
1投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ人の「普通」を次々と決壊していく様に引き込まれて一気読み! 一緒にいてはいけない理由は山ほどあるし名前がつかない関係性だけど、誰よりもそばにいたい人(泣)
13投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログその関係性に名前がなく、 周囲の人たちにわかってもらえなかったとしても 本人たちの中に本当があるのならそれでいい。 そこにある本当が一番大切。それをとやかく言う権利は誰にもないのだと思う。 なんでも一般論に結びつけることは暴力的。 この本を読んだ私はそう思うけれど、誰の中にもそれぞれの考える普通があって、それを基準として言葉を選んだりしているところはあるから、私も、無意識に誰かを傷つけているのかも。だからこそ、目の前の出来事やその日見たニュース、いろんなことに対してそれを見たままに受け取らず、一度想像してみることがすごく大切な気がする。だってその時見たものは、そのほんの一部にすぎないのだから。 傷ついても傷ついても、この人と一緒なら本当の自分でいられるし、どこへでも行ける。 人生でそんな相手と出会えたならば、それはとてもとても幸福なこと。
1投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ二人の欠けていた部分がピースがはまるように綺麗な形になったんだね〜、作中の全ての人が穏やかに幸せな日々を送っていけますように。
1投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ自分が歩んできた人生とは大きく異なる人生を歩んできた2人の主人公の生きずらさが、なぜか自分の生きずらさに共鳴して、深くこころを揺さぶられた作品です。また、普段の生活でたびたび出会うありふれた状況や、何気ない言葉一つ一つについての受け取り方について考えさせられる作品でもありました。
1投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログ愛ではないけど一緒にいたい。「ふつう」という言葉は人のよっては傷つける言葉である。自分の思っている優しさは、相手を傷つけているかもしれない。
0投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ自由に生き、そしてキラキラした日常を送っていたのに、突如奪われ、「普通」を押し固めらた少女と、異常なまでの思想を突き付けられ、周りが「普通」に成長してきたなか、それとは違うことに戸惑う大学生が出会ったこの物語。一見はたから見れば異常であり、「普通」ではない二人の関係性。では「普通」とはなんなのだろうか。私たち、特に大人はこれまであまりにも多くの出来事を経験し、それらをどこか自分のなかで理解しながら生きていく。普通を自分の中で創り上げながら生きてきた気がする。そしてそれから外れるものを普通ではないとしてはじいていく。はじくだけならよもや構わないが、その普通や自分の中にある正しさみたいなものを誰かに押し付け、時には救いの手のように差し伸べる。これ自体の怖さをとても感じた。誰かの普通は誰かの中で異常なのかもしれない。その逆も然りだ。そして、私たちは他の人の普通や価値観やそういった類のものに安易に触れてはならないのかもしれない。それか、触れることや見ることもできないものなのかもしれない。みんなそういった類のバックを持っていて、その中身は誰にもわからない見たところで理解できないものなのかもしれない。しかし、そのバックの中身をわかってくれる人が欲しいと願い、よもや誰かに見せてしまいたいと思うものだと思う。それを理解する人に出会え、そしてその人とバックの中身を見せ合えるのなら、いかにいびつなものだろうと、それは周りがなにもいうことはないのかもしれない。それはいびつだと、おかしいと判断するとき、もう二人はそこにはいない。更紗と文はそういった恋や愛とは異なる関係だったのだと思う。そして私は純粋に二人がうらやましい。いつかその私も私のバックを見せ合える、誰に何と言われようとも、大切ななにかを共有できる人と一緒にいたいと心から思った。 追伸 凪良ゆうさんの書籍を初めて読んだ。めちゃくちゃスーっと文章が入ってきた。文字からキラキラや苦しみやいろんなものが感じ取れた。個人的にすごく好き。他の作品もぜひ読みたい。
13投稿日: 2025.01.22
