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旅のラゴス(新潮文庫)
旅のラゴス(新潮文庫)
筒井康隆/新潮社
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総合評価

855件)
3.9
233
332
192
23
14
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    旅先での出会いや不思議な体験が、奇想天外で楽しめた。ラゴスの旅の目的は結局、あまり分からなかったな〜でも世界観は好きだった。

    15
    投稿日: 2021.09.09
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    時間がかかっても目的を曲げない意志の強いラゴス。旅する先々の村での出会いで信頼を築き、人々に引き留めにあうのにそれを振り切るように目的の為に旅をしていく。 ラゴスの行動がツッコミどころ満載なのだけど、展開が気になりページをめくる手が止まらないのはくやしい(笑)

    0
    投稿日: 2021.09.08
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    むかしは七瀬3部作や 男達の書いた絵 クセの強い作風だったのに こんなに読後感のイイ小説とは! 表紙買いして大正解でした。

    3
    投稿日: 2021.08.31
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    旅のラゴスという題名のとおり、1人で旅に出るというストーリーである。 1人で旅に出るが、そこには各町で様々な人々と出会い、そこから仲が深まるシーンが多々ある。 ラゴスが人との繋がりをもたらし、また女性との出会いがありそこで恋愛感情を伺わせるシーンが何度となくあった。 ラゴスの旅の目的は、1人で気ままに旅をするわけではなく、ある街で過去の歴史・政治学などを学びそれを自分の故郷等に教え繋ぎ、都市の繁栄を願ってのことかと思った。 最終的には、女性への会いたい感情に負けず、旅をするということだった。

    0
    投稿日: 2021.08.12
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    SF的な要素への説明も多くなく時間や場所が移り変わるのに不思議と読ませる力がある。旅に出たくなった。

    0
    投稿日: 2021.08.04
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    随分前に移動中の暇つぶしに何の気なしに買ったが、思った以上に面白かった!薄さも相まってあっという間に読み終え、到着するまで何度か読み返した笑 連作短編でサラサラと読める。何よりラゴスの性格と登場人物がどれも魅力的。奴隷にも王様にもなり、どの章も違った味がある。 自分も旅に出たくなる

    1
    投稿日: 2021.07.30
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    読み応えのある本だった。 人生をかけて旅をするラゴス、そしてその旅で得たもので人々に影響を与え、最後は再び旅に…。 最初はどこか現実離れした展開に、過去なの?未来なの?どこの世界?ファンタジー?と疑問が渦巻いたが、結局ストーリーとラゴスという人にどんどん引き込まれていった。 最後がすごく気になる終わり方で、ハッピーエンドではなかったので…結末まで読みたかったなという気持ち。

    1
    投稿日: 2021.07.12
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    長年気になっていたものの読まず嫌いで読まなかったのを損するくらい面白かった ラゴスかっこいい。 世界観は不思議だけど、何も考えずに読める。 ただ、最後がすごく気になる終わり方だった。 どうなったのかな。

    9
    投稿日: 2021.07.09
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    これまで読んだ本の中で最も面白かったかもしれない。 科学は発展していないが、その分軽度の超能力が存在する世界を生涯をかけて旅する男を描いた物語。 長編SFではあるが、ユーモアたっぷりの易しい文体であることから誰でも読める。 読めば旅をしたくなること間違いなし。

    1
    投稿日: 2021.07.09
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    結構好きだった。 ラゴスのブレないところが好き。 私も強く生きたい、変化に恐れずに、でも周りへの影響に最大限配慮しながら。 そして、旅っていいなと改めて思う。 超自然的な世界での旅は、現実世界で旅ができない鬱憤をしっかり晴らしてくれました。 はやくMY未開の地へ行きたいなぁ〜

    0
    投稿日: 2021.07.07
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    「あまり読んだことのないジャンルを」と思いSF物のこの本を手に取ったけど、単にSF物では収まらない作品 超能力やオーバーテクノロジーに頼らず、むしろ主人公ラゴスの旅には泥臭さや人間らしさを感じられ、人生続く限りそれは旅を続けることなんだと感じました。

    1
    投稿日: 2021.07.03
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    独特の世界観すぎて、最初はなにが描かれているかわからなかったけど、段々没入できた ラゴスや周囲の登場人物が魅力的だった 1番印象的だったのはドームで数年の間寝食を忘れて本に夢中になったところ 最後がここで?!ってなったけど、なんかそれさえも段々心地よいというか、最後は死に向かって行くんだけど徐々に穏やかな気持ちになった

    0
    投稿日: 2021.06.17
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    南の大陸で王様になった話がいちばんすきだ。あとはスカシウマがすごくいい。わたしもスカシウマと同化してみたい。人生とは失うことを嘆かないこと。筒井康隆の文章ってさっぱりしてて読みやすい。てっきり最後の雪の女王まで読めると思ってたので読みたかったなーという気持ちで☆は4つ。

    1
    投稿日: 2021.06.08
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    独特の世界観に少しびっくり。 モノ、時間、地位に執着しない生き方。 ラゴスらしいラスト。 ドネルが誰だったのか読みなおしたくなった(ヒントあるかな) 個人的にはスカシウマが気になるw

    6
    投稿日: 2021.06.05
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    ラゴス、デキる男。 筆者は彼に、理想の生き方を、はたまたロマンを追求させている? とくに心にのこったのは、ラゴスが5年もの間、ドームで寝食を忘れ書物に読み耽るところ。培った「知」こそが彼の財産で、金や名誉はどうでもいい。「知りたい」が続くかぎりラゴスの旅は終わらない。かっこいいね。 でも結局、ラゴスって女には淡白だった(笑)愛の讃歌というより、知の讃歌ととったけれど、どうだろう。

    15
    投稿日: 2021.06.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    淡々と旅が進む。 読破後に振り返ると、SF要素である超能力や生物は物語を彩るただのスパイスで、ラゴスの生き様や出会った人々との物語が本題だったように思います。 登場人物のほぼ全員がラゴスに好意や抱き、特に女性からの好感度はさながらラノベを読んでいるかのようでした。ただし、実の兄だけは違うようですけどね。 私の心にヒットする物語では無かったけど、不思議な後味のお話でした。

    1
    投稿日: 2021.06.01
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    ラゴスの旅を描く。 世界観が不思議な小説。 時間が経つのが早いね。人が一生に出来ることは限られていると感じた。だからこそ儚い夢を描き、情熱に動かされ、失望し、喜ぶのだろうと思う。 旅の目的は知識であったか。自由なのか。それとも淡い恋心か。 物語は最後までラゴスの主観で進んでゆく。ラゴス自身は、人望があり、知識欲も強く、聡明で人を思いやる気持ちもある魅力的な人物である。しかし、目的の為ならば、残酷な選択もするという、ハードボイルドな部分も持ち合わせている。出来る限りの準備をし、人々に役立つものを残し、それぞれの村、街から旅立ってゆくラゴス。 祖先の知識に触れる部分については、本書の中盤以降、ラゴスや人々に大きな影響を与えている。ある種、禁断の知識であり、ラゴス自身も慎重に扱っている描写が多い。 ラゴスが求めた一人の女性は一体どんな魅力があったのだろうか。 読者としては、旅の中で出会った女性の一人であり、特別何かを感じたわけではなかったが、ラゴスは最後に彼女を求めて旅をした。 たとえ、それが死の旅であったとしても。

    25
    投稿日: 2021.05.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終わった瞬間は、え!?終わり!?結局どうなったんやーーー!?となったけど、しばらく経つと不思議とこの終わり方がなんとなく心地良くなってきた。 もう随分長い間会っていなかった人と再会したり、人生で考えるとほんの一瞬一緒にいただけの人をふとしたタイミングで何度も強く思い出したり、人生何が起こるか分からないから面白いなと思った。 ラゴスの視点を中心に書かれていたので、ラゴスと一緒に旅をしている気分になれた点も良かった。

    1
    投稿日: 2021.05.30
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    ぜひ一気読みしてほしい一冊。掴みどころがない感じなので好み分かれるかもですが、私は大好きでした。ラゴスに心掴まれた。派手なアクションシーンや感動的な出会いや別れがあるわけでもないですが、ラゴスと一緒に世界を旅しながら自分も人間として成長した気分になる。旅の終わりまで一緒に連れて行ってほしかったけど、それは野暮ってもんですね。しばらくは、彼の旅の続きに想いを馳せることになるでしょう。

    1
    投稿日: 2021.05.23
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    SF ということになっているけれども、SF的な設定を楽しむというよりは、純粋に冒険を楽しむ感じ。ファンタジーに近い? パウロ・コエーリョ「アルケミスト 夢を旅した少年」を思い出した(書かれたのは「旅のロゴス」が先)。「人生をかけた旅」というテーマ、マジックリアリズム的な設定など、雰囲気が似ているからでしょう。同作が好きな方には合うかもしれません(ただし、こちらは大人向けですが)。 もともと連載ものだったようで、個々のエピソードが一話完結的にも楽しめるので、ゆっくり旅をするつもりで少しずつ読むのもよいかも。

    3
    投稿日: 2021.05.23
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    面白かった!ラゴスの旅の目的、旅の途中で会う様々な人…全てが魅力的であっという間に読み終えてしまいました。

    0
    投稿日: 2021.05.20
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    面白かった!!時を忘れて読みふけってしまった。現実を忘れさせてくれた。ラゴスの旅を疑似体験しながら思ったことは、知識は武器になるんだなと思った。知識欲に溢れて貪欲に勉強を続ける人が最終的には上にいくのかな、、と感じた。人間、生涯勉強し続けなければいけないね。それにしても設定が面白くて世界観も好みで人物も好みだったから、とっても面白かったに尽きる。

    1
    投稿日: 2021.05.14
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    僕には、まだ早かった気がした(笑) この小説の伝えたいこと3割は理解できればいいなと思いつつ感想を書きます。 率直な感想としては、色んな超能力を持った人との触れ合いや考え方、文化の違いを新鮮に感じ取り、楽しく読ませてもらった。それと同時に、今の現状に満足せず旅を続けるラゴスという人物に憧れと敬意を抱きました。 今あるしがらみを振りほどき、旅をしたいです

    2
    投稿日: 2021.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    異世界が舞台なはずなのに何故かとても現実的に感じられました。ラゴスの濃すぎる生涯を通して、ずっと思い続けていた女性がデーデなのは青春時代の面影なのか、はたまた何か別の理由があるからなのか私には分かりませんでした。2度も奴隷に身を落としながら、歳を取りながらも旅を続けるラゴスの生き方は私にとってとても理解出来るものではありませんが、魅力的に映りました。デーデとラゴスは再開出来たのではないかなと個人的に思いました。

    1
    投稿日: 2021.05.01
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    様々な人と出会いながら旅を続ける男の話。 のんびりした始まりの割に突然の年月の経過にびっくりする。 本に読み耽る場面の描写にこちらものめり込むように読んでしまった。

    0
    投稿日: 2021.04.30
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    とても好き。 主人公の一生を懸けた旅の話。 主人公ラゴスの人柄が好きなので、空気感からか人にやたらと好かれるけど嫌味じゃ無い。 わたしも登場人物の女性たちに漏れず、ラゴスに惹かれました。読み終わっても、しばらく彼のことを考えています。 うーん。好きです。

    0
    投稿日: 2021.04.29
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    主人公のラゴスが故郷の街から出て、目的を果たし、戻るまでの旅の物語です。旅の間に、様々な出会いをし、苦労もし、結婚するところなど、まるで壮大な人生を旅に例えて聞かされているかのようでした。どんな苦労も幸せに在っても、ラゴスは冷静で、むしろその周囲に居る脇役の感情表現により物語が色づいています。彼らはラゴスを尊敬し、また憎み、恋をするのですが、決して無視できない魅力がラゴスにあることが伝わってきます。一人ひとりの登場人物が瞼の裏に生き生きと蘇ってくるかのような気持ちの良い読後感を得られています。また、旅全体を通じて、主人公ラゴスの芯の通った揺ぎ無さが貫かれており、人生という深いものを、この小説が語っていることを知らされます。人生を旅に例えると、出発があり、目的があり、帰郷があり、それから・・・。ラストの投げかけを、素直に感慨深く受け取りました。

    0
    投稿日: 2021.04.25
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    「やっぱりあんたは自分のことを知らないんだよ。あんたはね、自分が正直でいい人間だということを知らない間にまき散らすみたいにして周囲の者に教えてるんだよ。それを感じとれない人間だっているんだろうけどね。でも、たいていの人間はそれを感じることができるんだよ。」(64ページ) 南 へ、南へ と旅する男。 誰と出会おうと、何を経験しようと、 旅をするという人生の役目を放棄できない男の物語り。

    0
    投稿日: 2021.04.21
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    これを読むと人生は旅みたいなものと感じる 自分としては、ラゴスの一生旅をし続ける、そのために目的を見つけるといった生き方は不安定なものに感じてしまう もっと若いときに読めば感じ方も違ったのかなと思う

    0
    投稿日: 2021.04.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ラゴスは北方の祖国から進んだ知識を活かしながら旅を続ける。ムルダム一族に転移のポイントを教授したり、銀鉱で分銀炉の作成法を教えたり、南の文明が遅れた地域でこれらは活用される。 しかし、南方の森の王国に着き、先祖が残していった本を読むと、この世界とは異なるさらに優れた知識を手に入れる。今度は南から北へ、本の知識を活かしながら旅を続け祖国へ帰り、最後はさらに北へ向かって物語は終わる。 このテクストには南北の上下のベクトルがあり、始めは北側が文明を持つ優れた存在であったため、南に行くにつれ異能を持つものが存在した。似顔絵描きザムラや壁抜けのドリド、予知夢のラウラ、浮遊能力のカカラニ、読心のニキタ、暗記再生能力のタッシオがそうである。彼らの異能は文明が進んでいないため、獲得可能にした能力であり、文明や金に執着しないことも獲得条件なのである。 次にラゴスが森の王国から祖国へ、南から北へ帰る場面では、優れた知識はラゴスにのみ存在し、それらを北側の劣った文明へもたらす構造である。森の王国を出て以後、異能が描かれないのは一定以上の文明を持っているからであり、社会と人の発達が異能を遠ざけているのである。 最後の祖国よりさらに北へ、雪の女王を求めて行く場面は、祖国から上のベクトルへ、未開の地という文明が無い場所へとラゴスが行くのである。 祖国から森の王国、そして祖国へ、南北には既に文明があるため、この枠外へ行かなければ新しい知識や異能には決して邂逅できないのである。 *良い人だと他者に認識されること、これがラゴスの異能だとしたら、文明や金に執着していない点で多少なりとも矛盾が生じてしまうのではないか

    2
    投稿日: 2021.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ラゴスが程よく倫理観があり、読んでいて苦にならなかった。 旅する中で様々な女性と関係をもったラゴスだったけど、何十年もの間脳裏に過ぎるのはデーデっていうのが何だか好き。 過去の記憶を美化してるっていうのもあると思うけど少しだけ一途さを感じた。 最後ラゴスはデーデと会えたのかな、、でも会わない方が綺麗な理想のままでいれるのかもしれないともんもんとしました。

    0
    投稿日: 2021.03.19
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    心に残ったのは医学は科学の発達と共に発展してきたというところ。 SFも交えて、読唇術や予知夢の能力がある女性と出会います。ラゴス自身は前向きな思想によって周りに幸福をもたらしていく、とても近代的な人。  政治家とはこうあるべき。本当に民の為になる様な事をするには、勉強しなきゃですね!

    0
    投稿日: 2021.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私はファンタジーが好きだ。それも、タイムスリップどころじゃなく、現実とは全く違う世界の物語が好きだ。 ただそんなファンタジーは、児童向けこそたくさんあるものの大人向けになると少ない。「旅のラゴス」は、その数少ない「大人のファンタジー」だと思う。 ラゴスが住んでいる世界は、おそらく私たち地球人が旅立ち、新たな星で作り上げた文明と子孫たちだ。ラゴスは、南方の地に隠された、地球の文明に関する文献を求めて旅をする。 途中までは、ラゴスが住む世界の奇妙な話が続く。 旅中、ラゴスは多くの災難に見舞われたが、そんな場面にも悲壮感はなく、不思議な爽快感があった。それはきっとラゴスがどこまでも聡明で、「旅したい」という想いに迷いなく突き進んでいるからだと思う。 でもラゴスが文献に辿り着いて、初めてわかった。これはラゴスの旅物語であるとともに、文明の発展の物語だ。 ラゴスが地球の知識を得てそれをみんなに伝えると、文明は急速に進化していく。ただ、急すぎる発展が弊害を生む場面もあった。(編集中)

    1
    投稿日: 2021.03.08
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    「旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ」と語るラゴスが不思議な世界を旅する冒険の記録のような小説。 一瞬にして空間を移動することができる「集団転移」、意識を集中させることによって壁をすり抜けられる男、他人の意識に強く同調して何を考えているかがわかってしまう人、聞いたことを一言一句忘れずに暗唱することができる少年など超能力的な力を得た人物がいる不思議な世界。 なぜ人々は力を得たのか。ラゴスの旅の目的とは何なのか。そして旅をすることで何を得ることができたのか。 ラゴスと共に旅をしてこの不思議な世界を隅々まで見てまわりたい方に是非。

    1
    投稿日: 2021.03.02
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    旅先での出会いと別れを繰り返し旅を続ける旅人ラゴス。転移 同化 壁抜け 飛行等の超能力を獲得した世界で奴隷にされながらも旅を続ける。ラゴスの目的達成に生涯をかけた旅の記録である。 ラゴスはサバサバした性格ながら聡明で博識、誰からも好かれ周囲に影響を及ぼす。物語が進むにつれ少しずつラゴスの目的や素性が明かされて行く。奴隷や盗賊等、中世が時代背景のファンタジー感溢れるSF小説でこの世界観やラゴスの精神力に魅了された。 過去や未来を見据え正しい道を模索する異次元ドラベルファンタジーSF小説。 ★★★★★ 5.0

    2
    投稿日: 2021.02.28
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    本屋で見かけ、帯を見て、ほぼジャケ買いした1冊で、初めての筒井作品。 難しい…というのが読み始めの感想。 片手間には読めないかな。 読み進めるにつれ、世界観にどんどん引き込まれていきました。不思議な世界観で、まさにファンタジーなのかな。旅は様々なことがおこりかなりドラマチックな展開なものもあるはずなのに、主人公はただ淡々と旅を続け本人自体の進む道は何も変わっていない。何か普遍的なものを描いているような感じがする。 また数年後に読んだときに自分がどんな感想を持つのか興味もあり、味わい深い1冊でした。

    0
    投稿日: 2021.02.27
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    話題作として期待大で読み進めていましたが自分には合いませんでした…。 ラゴスが旅先で異常に好印象なのですが、私にはラゴスという人の良さが伝わりませんでした。どこ行っても女作ってて始終引いてしまいました。 作中惹かれる台詞も特に見当たらず、悲しいです。

    0
    投稿日: 2021.02.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    奴隷商人に紙をばら撒かれた後のラゴスの考え方は、本来人間とは、資産とはこうあるべきではないのかと考えさせられた 何回読んでも『王国への道』はワクワクする こんな生き方もいいなぁなんて思いながらページをめくる でもやっぱり奴隷は嫌だなぁ

    0
    投稿日: 2021.02.25
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    筒井康隆大好きであった高校生時代、何故かこの本は手が伸びず30年近く経って読みました。そして、この数年色々なランキングに登場し大絶賛されているのでハードル上がりまくりでした。 異世界でラゴスという超人が様々な困難や、己を取り巻く誘惑を振り切り旅をし続ける物語です。が、心に何も波紋を残さず読み終わってしまい非常に困惑しています。 困難と言ってもあっさりと超人的な頭脳で乗り切ってしまうし、誘惑もあっさりと跳ねのけて次の旅に出てしまうので、懊悩したり転落したりも無いのでひっかかりなくするりと読めてしまうのです。 これはいったいどうした事なのか。僕の感性が錆びついているのでしょうか。お前分かってないなと言われることを覚悟して書くと「おもんない」という言葉が頭に浮かんでしまいました。 世の中の絶賛している人にどのあたりが面白かったのか教えて欲しい本です。 レビューは無理だなあ。難しい。

    3
    投稿日: 2021.02.17
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    ラゴスは賢く、逞しく、頼りになる男で 憧れる部分がたくさんありとても楽しく読むことが できました。 ラゴスは最初の旅では自分の故郷に嫌気がさして 出発したものの、結局旅の目的は色々なところで 知恵を身につけ故郷へ帰ってくることでした。 しかし歳を重ねてからの最後の旅では自分の心から 消えることのない愛しい人を求めて旅をしました。 これだけたくさんの人から愛され、多くのものを 手に入れた人も人生の最期に求めるものは 本当に大切な愛しい人なのだなと思いました。

    0
    投稿日: 2021.02.15
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    デーデと再会することはできたのか。 それとも、吹雪の中で人生という名の長い旅に幕を下ろしたのか。 ラゴスが失われていた学問を再生していく様は読んでいて爽快だった。

    0
    投稿日: 2021.02.15
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    高度な文明を失った世界で ラゴスという一人の男が旅をするという、 言ってしまえばそれだけの話だけど、 自由な人格者の生き様は 憧れを感じずにはいられない。 人生、出会いと別れ、社会、文明…… 壮大なテーマが一人の人間の目を通して、 読者が主人公に 否応なしに「同化」してしまうような文章力で、 さっぱりと描かれているのは さすが傑作というだけある。 冒頭は彼の旅の目的も 突然登場する「移転」の話もわからず、 置いてけぼり感があるんだけど、 わかる範囲を楽しみながら 辛抱して読み進めて欲しい。 ラゴスの人格が、 “おれは冗談めかしてタッシオに眼くばせした。 「言ってみろよ。タッシオ。 お前は喋れるんだぜ。」” って所に強く滲んでいるような気がして、 とても心惹かれた。 達観していてさっぱりした人物なんだけど、 愛馬の死に心を痛めたり人間味もあって 旅の途中で会う人が みんなラゴスに好感を持つのはわかる気がする。 特に女の人は ラゴスを好きになってしまうんだけど、 ラゴスは人格者だから 「彼女らには幸せであってもらいたい」 とは願うものの、 彼自身が彼女らを幸せにしてやろうとはしない、 一種自己中な所があって、 (個人的には性癖なのですが) こいつを愛したら幸せになれないぞ……とww “人間はただその一生のうち、 自分に最も適していて最もやりたいと思うことに 可能な限りの時間を充てさえすれば それでいい筈だ。” 多くの人が共感しているこの一節は 私の人生にとっても大事な格言になりそうです。

    1
    投稿日: 2021.02.15
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    主人公が必然的に旅を続ける姿に、不思議な魅力を感じる。 場面が目まぐるしく変わるが、ちゃんと一貫性が保たれており、のめり込みながら読んでしまった。

    0
    投稿日: 2021.02.14
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    現代ではない不思議な時代の不思議な世界、旅をするラゴスの日々を描いていて、さらっと読みやすかった。 深い意味を感じるような、でもゲームの世界のような、あまり自分が読まないジャンルの作品でしたが楽しめました。

    6
    投稿日: 2021.02.13
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    筒井康隆の代表作かつ異質な作品で、ラゴスと共に異世界の"旅"を体験できる傑作。諸星大二郎のカオカオ様とかあの辺の世界観を思い出した。10年ぶり以上に読むけど内容かなり覚えているあたりやっぱりこれは面白い。旅に出たくなる。

    0
    投稿日: 2021.01.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読みやすかったが、問いや答えがある内容ではない。 終わりなきラゴスの旅の物語。 最後も完ではなく、まだまだ続くのだろうという終わり方。 最後に出てきたドネルはたまごみちの街で泊めてくれた女性の息子のようだが、だから?という印象だった。

    1
    投稿日: 2021.01.26
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    ラゴスの旅の物語。 カタカナの名前が苦手なので 前半登場人物が覚えられず入り込めなかったが 中盤あたりから一気に引き込まれた。

    0
    投稿日: 2021.01.17
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    不思議な異世界を旅するラゴス。人に出会い、さまざまな場面に遭遇しながら、旅を続ける。初めは流浪の旅人なのかと思いきや、目的地はあり苦労して目的地にたどり着くも、また次の目的地を見ている。「こうすべき」、「あのようにあるべき」を押し付けられても、ハイハイと淡々と役割をこなしつつも、自分の欲するところや感情を忘れずに正直に生きる様は実に気持ちが良い。と同時に私自身がいかにつまらんことにがんじがらめになっているのかを自覚せずにはいられなかった。 そうだった、自分も自由だった。自由に生きればいいんだった。そんなことを思いながら読了。 "かくも厖大な歴史の時間に比べればおれの一生の時間など焦ろうが怠けようがどうせ微微たるものに過ぎないことが、おれにはわかってきたからである。人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。"(133) "それに私は、そもそもがひとっ処にとどまっていられる人間ではなかった。だから旅を続けた。それゆえにこそいろんな経験を重ねた。旅の目的は何であってもよかったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生と同じようにね。"(249)

    3
    投稿日: 2021.01.14
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    ラゴスという旅人の人生の物語。 さまざまな街を行き、奴隷になり、王になり、、と 壮絶な人生でした。なんどか結婚をするのですが物語序盤で出会ったデーデという女性を最後まで忘れずにいるというのが非常に印象的でした。

    0
    投稿日: 2020.12.29
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    読むと必ず旅に出たくなる! 最初の方はなぜか頭の中でずっとドラクエのBGMが勝手に流れて集中できなかったりした。

    0
    投稿日: 2020.12.16
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    スリリングな出来事の連続で最後まで一気に読みました。 主人公ラゴスは良心的で完璧なヒーローで、どちらかと言うと善悪さまざまな脇役の何人かに自分を重ねて読みました。

    0
    投稿日: 2020.12.15
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    章ごとにまとまった話になっているので、旅行中読むのにピッタリだった。 奇想天外でスリリングなことばかり起きるので、先が気になる。 何のために生きるのか?私はどこに向かっているのか?がぼんやりしている人には、何か一つの答えを示してくれるかも。示してくれないかも。 いずれにしても、面白く、読後感は爽やかだ。

    0
    投稿日: 2020.12.12
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    同僚が、別の同僚が辞める時に、その人のようだと送別の品として贈っていた本。 "異空間・異時間のなかに生き、異質の日常性に出会うことによって、自らの日常性を、多くの選択肢のなかの「一つ」として自覚する" 解説より 関係ないけど解説に、解説から読み始める人がいるって書いてあったけどそうなんだと思った。 

    0
    投稿日: 2020.12.10
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    若い頃読み漁った筒井。奇想天外だったり、馬鹿だなぁ〜って大笑いしたり、面白くて大好きな作家だった。 何年か前に本屋さんで見かけて、懐かしくて手に取って、そのまま積ん読になってたのをやっと読んだ。 こんなに素晴らしい作家だったんだ…と、気付かされた。

    0
    投稿日: 2020.12.08
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    「人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに、可能な限りの時間を充てさえすれば、それでいいはずだ」P133 主人公のラゴスが、生涯をかけて旅を続けていく。 終わり方が秀逸で余韻が残りました。

    1
    投稿日: 2020.11.27
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    旅を続ける中で起こる様々な出来事を経て綴られるラゴスの人生。 起こるイベントは不条理なものが多く、イベントごとの重みはあまりない。 それでもただ終わりまで旅を続けるのは人生とはこういうものだということなのか、情けないことに私にはあまり深い考察ができない。

    0
    投稿日: 2020.11.22
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    ラゴスと一緒に旅をした。 すごい世界を! 本当にすごい世界を! 二度挫折したのに、今回はスラスラ。 旅ができない今だからこそ ラゴスとの旅は本当に楽しかった。

    0
    投稿日: 2020.11.08
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    旅とか舞台設定とか超能力とかの描写も面白いけど、主人公が出会う人に誠実に関わって仲間が増えて、いろいろ経験しながら人生の収穫を豊かにしていく過程が読んでいて心地よかった。

    0
    投稿日: 2020.11.05
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    この世の本で1番好き 文明が一度滅んだとか衰退しつつあるとかド好み 読み終わった時、わたしも同じように人生を一つ終えたみたいな充足感あった、一生読み返すと思う

    6
    投稿日: 2020.11.02
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    筒井作品の中ではかなり異色の存在ではあると思うが、NAVERまとめや2ちゃんの本のスレでは必ずと言っていいほど上位にランクされる名著の評判高い作品。 ラゴスという一風変わった男が、一生をかけて旅をし続ける、という物語なのだけれど、彼が経験を積んで成長し、学び、時には奴隷として何年も拘束されたり、結婚して王になったりと波乱万丈の生き方をしながらも、実に淡々とした叙述で非常に静かに話は進む。 ラゴスの一人称がおれからわたしへと変化し、先祖が残した莫大な量の本を読んで知識を蓄えていく描写はとてもわくわくする。感情移入しにくいという向きもあるし、そもそもSF的な世界観が全くだめ、という感想もあるけれど、わたしはこの物語がとても好きだな。そして筒井康隆氏のとてつもない底の深さ、作家としての才能を感じるのだ。 個人的には深く同化した動物、ここではなんちゃらウシだが、そのたびの伴侶、道中の相棒がまさに死に直面する時、断末魔の叫びを夢の中でも聞き取ってしまう、という描写がなんとも心に残った。これこそが同化するという事なのだろうと思う。

    12
    投稿日: 2020.10.25
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    ジブリにありそうな話。 世界観が濃密。分類としてはSFだが、中世ファンタジーの印象か強い。 銀鉱 の終り方がいい 赤い蝶 は切ない 結局デーデには会えたのかな。 終わり方は個人的には少し物足りないが、男受けのするラストだとは思う。 133P 焦燥はなかった。かくも厖大な歴史に比べればおれの一生など焦ろうが微々たるものに過ぎない。 人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。(若干略) 249P 旅の目的はなんであってもよかったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生と同じようにね

    0
    投稿日: 2020.10.24
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    『旅のラゴス』というタイトル。 『ラゴスの旅』じゃないのは、ラゴスの人生そのものが旅だからだと思う。 ラゴスは正直者で勇敢で、頭が良く達観した考えをもった立派な男だ。もし旅の途中、ラゴスがわたしの街に立ち寄ったなら、きっとわたしは彼を好きになってしまうだろう。他の女たちのように。 ラゴスの旅の目的は、昔の人が残した書物を読むことなのだが、そこまでの道のりは困難を極める。途中で何年(確か8年近く)も奴隷として銀山で働いたりするのだ。普通なら「こんなんじゃ人生が終わってしまう!」と焦るところだけど、ラゴスはそうじゃない。不思議な男だ。 ラゴスが旅の途中で出会う人の中には特殊な能力を持った人が何人かいて、そのエピソードも読み物として充分に楽しめる。『顔』と『壁抜け芸人』はオチが少し怖くてぞっとする。『たまご道』なんかも面白かった。 たいていの人間は、人生も終わりに差し掛かると、自分が落ち着いて過ごせる場所が欲しくなるんじゃないかと思う。お金を稼ぐために好きでもない仕事をしたり、苦手な人との付き合いに疲れたり、面倒な揉め事に巻き込まれたり必要以上に疲れることなどはしたくないなと思う。 どん底の不幸は這い上がれる自信がないし、最上級の気が狂いそうな幸せもそれほど必要じゃなくなってくる。 でもラゴスは違う。 失うことを恐れるな 自分の心の声に従え そういうメッセージをわたしはこの本から受け取った。 ラゴスと一緒にいろんな世界を旅することができて、とても楽しかったと思う。

    1
    投稿日: 2020.10.23
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    忙しくて結構時間がかかった筒井康隆の初読み。 予想よりも普通に読みやすくて意外だった。 こんな薄い本で時代の流れが速くて、上質のファンタジー小説みたい。 終始、心地よく読み進める事が出来た。 でも、名作と呼ばれる本て何かこんな終わり方が多い気がする? 他のぶっ飛んだ作品を探してみようかな!

    0
    投稿日: 2020.10.22
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    本当にトップクラスに好きな小説。 ここから筒井康隆好きになった。 旅の魅力。出会いの魅力。SFの魅力。小説の魅力。 満点。

    0
    投稿日: 2020.10.15
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    異世界の設定の理由は、中盤で明かされる。話もぐっと面白くなってくる。 虚構船団でも歴史の大まかなパロディーがあったなことを思い出したけど、様々な化学や思想、文化の発展を概略したい意思があるのかな。 主人公含め、登場人物が記号ポイんだな。感情を現わしているんだけど、古代の神話を読むのに近い感覚。解説でペール・ギュントに話が及んでいるけれど、たぶんそんな感じじゃなかろうか。 あっさり読み終えたけど、最後の旅は何だろうねえ。氷の女王が何を意味するのだろうか。何故、デーデとの再会と主人公の死で話が終わらなかったのだろうか。 なかなか面白かったんだけど、その面白さを伝えるのは難しい本。

    0
    投稿日: 2020.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本当に面白い本だと思う。 旅で出会う個性豊かな人々や不思議な能力も面白いが、それ以上に後半の「本で得た知識からどんどん文明が作り上げられていく様」にとてもワクワクする。 知的好奇心がくすぐられる作品。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。 北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

    0
    投稿日: 2020.10.10
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    主人公がいくつもの国を旅して行く先々で不思議な出来事に遭遇するというのは、後発ではあるが『キノの旅』に似ている。 それでも本書の方が内容が濃く感じる。 その理由は、『旅のラゴス』には時系列が存在し主人公が年を重ねていくことと、各都市での出来事を最小限の描写にとどめていることでかえって想像の余地が生まれていることにあると思う。 250ページでこれだけ冒険した気分に浸れるとは。 笹本祐一の『妖精作戦』やハインラインの『夏への扉』のような濃さ。 それでいて、主人公最強無双系のいわゆる「なろう小説」のような爽快感がある。 始めは北大陸の学校で学んだ知識を使い、後半は先人類が残した知識を使って他人より優位に立ちまわる。 特に後半のラゴスの知識は舞台となる世界においては完全無欠と言って良く、その知識が社会に対して急激な変化を与えてしまわないように、その力の行使をセーブする必要があるほどだ。 彼の知識は神から突然与えられるというような無根拠無背景のものではなく、旅の危険と知識を吸収するための長い年月を捧げたことによるものなので「なろう」よりも納得がいきやすいと思う。 でもそれだけの力を得て、多くを手に入れることができるのに、読み終えた時に寂しくなるこの不思議な感じはどこからくるのか。 そこには「ラゴスに欲がないこと」が影響している。 彼は金銭や社会的地位・名誉を追い求めてはいないし、特定の女性に対する感情も妄執とは違う。 旅の目的である先人類の知識についても独占しようとはしない。 彼の旅そのものと同様に、ものに固執せずさすらうような生きざまを運命づけられているかのようだ。 ラゴスは何も得ようとしないのではなく、何も得ることができないのかもしれないと考えると、これだけの知識を携えて人に頼られるラゴスがなんだか可哀そうに思えてくる。 もし自分がラゴスと同じ旅路をたどったとしたら、銀鉱でラウラと暮らしていたかもしれない。 なんとか自分の旅の目的を思い出して南の大陸に進んだとしても、あの王国を抜け出すのは無理だ。 だってニキタもカカラニもかわいすぎないか? でもラゴスを見ていると、人は多少の欲は見せた方が幸せになれるものなのかもしれないと思った。 もし最後に彼が唯一追い求めたと言える氷の女王に会えたのなら、そこでは安息を得てほしいと願わずにはいられない。

    2
    投稿日: 2020.10.07
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    初の筒井康隆作品。 想像以上にのめり込んでしまい一気読み。 正直、こんなに面白い作品だとは期待していなかった。 文明が崩壊した未来の世界というSF的要素がありながら、旅を通じて主人公の生涯を擬似体験できる。非現実的な世界でありながら居心地が良く、現実逃避したくてついつい読み進めてしまった。 もっと著者の作品を読んでみたい。

    0
    投稿日: 2020.10.05
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    旅のラゴス(新潮文庫) 著作者:筒井康隆 発行者:新潮社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 文明の衰退した世界で一人旅する気分を味わえるファンタジー長篇作

    2
    投稿日: 2020.10.01
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    ラゴスの旅路には様々な出会いと別れあり 人々の文明が衰退していて、読心や浮遊などの超能力が出てくる世界。 主人公のラゴスの24歳から68歳になるまでの旅路の物語です。 印象的だったのはラゴスがある農村にあった古代書を何年にもかけて読み漁り、失われた文明を再生させていく話。 そこで麻薬を求めるが如く新しい知恵を身につけていくラゴスは、度々村長や村の人に読んだ本から得た知識を与えます。 村は栄えてあっという間に都市国家として独立して繁栄していき、ラゴスは宰相となった元村長に頼まれて国王になります。 しかし結局ラゴスは束縛されることを嫌い、目的を達成すると別の土地へ旅立ってしまいます。 ラゴスのように自由に旅をして様々なところに滞在したくなるようにさせてくれる本です。

    0
    投稿日: 2020.09.24
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    内容とは関係ないけど、ブックカバーのイラストが良い! これは、SFなん?確かに転移とか出てくるんで、そうなんやけど、SF感はない。 但し、内容は、好きな感じ。ラゴスの生き方に憧れる。 「人間はただ一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。」 ※ただし、イケメンに限る(^^;;

    16
    投稿日: 2020.09.12
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    ★過去の異国の物語とSFが相まって、何とも楽しい世界観である。 ★ラゴスは好人物で女にモテる(笑)。楽しい。

    0
    投稿日: 2020.08.30
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    旅のラゴス。 まさのそのまんまのタイトルだった。 私達の世界がもう少しだけ発達して、その後に滅んで、わずかに残った人々が少しずつ進歩していって、その過程で瞬間移動などの能力が割とポピュラーに使えるようになった世界。 イメージは日本人の持つ中東と古代エジプトが混ざったような世界。 この世界観だけですでに心をがっちり掴まれてしまった。 また、ラゴスの性格や生き方にも一貫した「意志」があり、自分の知りたいこと答えを探して各地を旅し、途中出会う人とはあくまで利害の一致や心の共感を得るときのみ共に行動し、危険な目にも遭いながら会いたい人に会いに行く。 現代では到底不可能な生き方を淡々と実践していく。それに憧れと尊敬の念を持ちながら、読み終えた後は爽やかな清々しさを抱く。そんな素晴らしい本でした。

    2
    投稿日: 2020.08.22
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    まさに旅のラゴスであった。ラゴスが旅をしていく中で会う人々一人一人が生き生きしており、一つ一つの街には風情があった。ラストは読後感が良く、自分の中でラゴスが旅をしているようであった。自分の人生についてよく考える機会になるとても良い本だった

    2
    投稿日: 2020.08.11
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    ★★★☆☆ 3.0 なんだか印象の薄い一冊。そこまで面白いか?もう一回読む必要はあるけど、読む気が起こらないという作品。テーマは面白かった。

    0
    投稿日: 2020.08.06
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    ーこの世界は一体、どこでいつなのか…… 北から南へ。そしてまた北へ。時には奴隷になり、王様にもなり、そしてまた奴隷になり、旅先で集団転移をしたり、壁抜けや同化、様々な経験をしながら、ラゴスは南へ向かう。この旅の目的とは……そして、目的が達成された時に、何を思うのか。 久しぶりの旅のラゴス。 この本、本当にいろいろとすごいのですが、まず、びっくりしたのが、SF?ファンタジー?なのに、世界の説明がないんですよ。 普通、「時は20X X年、人々は荒廃した文明の中にうんたらかんたら〜(雑)」とかいう世界観の説明があると思うんですけど、いきなりラゴスの話から始まるし、いつまで経っても詳しい説明がなくて、当たり前に世界が進むわけです。 だから、この世界って実は、未来のことなのか、はたまた別の惑星なのか、もしかしたら過去のことかもしれないとか思っちゃうわけですよ! そこが面白いんです。 なんだか、自分も一緒にラゴスと旅をしている気分になるわけですよ〜。 忘れられない女性との出会いや、知識的欲望の充足。もう、これがまさに人生!転落したり浮上したり、人生は忙しい。 知識への渇望って、いつの時代も満たされることはないですね〜 この本、ハマらない人もいるとは思うんですが、個人的にはすごく好きです。

    3
    投稿日: 2020.07.22
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    壮大。 旅をして様々な出会いが、ラゴスを 成長させていく。 冒険に憧れるね。 決して急がず、しかし着実に進んでいく。 そんな人生にしたいですね。

    9
    投稿日: 2020.06.18
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    学生時代以来の再読。こんな感じだったっけ...。内容をほとんど覚えていなかったのである意味新鮮。設定や登場人物は突飛なのだが、淡々とした語り口からは劇的なシーンは生まれない。心理描写もほとんどなく、風景がぱっと前に開ける、まさに一緒に旅をしている感覚。休日にはちょうど良い時間でした。

    13
    投稿日: 2020.06.07
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    なろう系主人公?という感じがした。 物語自体は分かりやすく読みやすかった。テンポも良かったためどんどん読み進めることができた。 しかし、現代のなろう系のような雰囲気があったためあまり好きにはなれなかったかも。この本が好きな人には申し訳ない。本を読むのが苦手な人にはお勧めできる一冊ではあった。

    1
    投稿日: 2020.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分にはまだ読むには早すぎる作品だと感じた。 無論、世の中での評価と自分の評価が全く重なるわけはないが、正直作品の良さを感じ取ることはできなかった。悔しい。 ラゴスがなぜこんなにも旅の先々で人に好かれ、旅を共にしたのだろうか。それは彼の途方もない大きな夢へ進み続けている姿なのだろうと思った。いつどの時代にも、その姿は素晴らしく見えるのだろう。 自分がラゴスであったなら、自分の運命を何度も呪うだろう。奴隷になったり、15年の成果を捨てられたり。その度に、自分の夢のために、周りの人間のために考えに考え抜いて前に進んでいく姿勢には驚いた。文章の中に「○年が経ち、」という文言を見るたびにラゴスの不運さとラゴスの思慮深さ、粘り強さ、意志の強さを感じた。 しかし、そんなラゴスでもデーデのことだけは合理化できなかった。人を愛し続けることは尊いことだと思う。しかし、愛する人の隣にいられなかった場合にのし掛かる思いはとても苦しいものだ。良くも悪くも愛することの重さを強く感じた。

    0
    投稿日: 2020.05.10
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    読み終えた今、ラゴスとともに長い長い旅を終えたような感慨がある。 間違いなく読者はラゴスの旅の途中から彼に同行し、いつしか心を深く同化させてしまうのだろう。 今までSFが苦手だった。苦手というよりも、今となっては自分の想像力の問題だと思う。しかし、うまく想像できない置いて行かれる現実味を感じられないなどの理由で、勿体ないながら嫌煙していたのは確かだ。(解説の村上陽一郎氏の述べるように、SF作品は読者の常識的な感性、価値観、道徳、理性などに挑んでくるものであるならば、私はそれにうまく対処できない読者かもしれない…) SFと括ってはいけないのかもしれないが、この物語の世界観もファンタジーである。ラゴスという旅人を主人公にその旅を追っていく。前述したように物語は旅の途中から始まるのだが、私にとっては不思議なことに全く抵抗なく物語の設定に順応した!これは今までにない感覚だ!簡潔で読みやすく、落ち着いていてしかし手に汗握る! ああ、長い長い旅を終えて飲むコーヒーの感慨深さ! 上質の読書体験を経て、自分の読書技術不足によ偏見でジャンルを狭めることの愚かしさを実感した。この本との出会いもブクログからだったように思う、出会い感謝している。ありがとうございます!

    15
    投稿日: 2020.05.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SFの類だろうけど、根本は人間心理でとっつきやすかった。 ・人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。 ・多くの人は幸運をつかんだ語り手の自慢話よりも、どちらかといえば苦労話の方を喜び、信じるものだ。 ・旅をすることによって人生というもうひとつの旅がはっきりと見えはじめ、そこより立ち去る時期が自覚できるようになったのであろうか。 読書感想文にはもってこいの本ですね。 SFの体をしつつも、人生とはなんぞやっていう一つのあり方を書き記した本でした。

    3
    投稿日: 2020.05.05
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    人間が様々な特殊能力を持ち、生活をしている世界。 その世界を旅して回る主人公のラゴス。 ラゴスは絶対にイケメンだと思う。 2度も奴隷となり、ある時は王として称えられる。 ソツがないようで、ちょだとお茶目なラゴス。 これはモテるだろう。 そこだけに焦点を置いてしまい、 最初から最後まで、ラゴスのモテ伝記を読んでいる気分だった。

    4
    投稿日: 2020.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本当に旅をした気分にさせてくれる一冊 陽気な街での出逢いから、奴隷として扱われたりと波乱万丈だが主人公の生き様が良く伝わってくる 1日で読みきってしまうほどのめり込んでしまった

    0
    投稿日: 2020.04.28
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    作者はよくテレビに出てるから顔は知ってたけど読んだことは無かったから読んでみた。 世界は、私たちが生きている世界ほど文明が進んでいなくて、500年前くらいの印象。でも実際は、高度文明が終わった人類の末裔(別の惑星)で、文明を失った代わりに高度な能力を持った世界。少しずつ不思議な町を訪れ、奴隷になったり王様になったりするラゴスの旅を読みながら、私も旅をした。

    3
    投稿日: 2020.04.26
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    緑が緑を駆け抜ける。 白と黒の物体が心を揺さぶる。 長い髪を揺らし、縦横無尽に駆け巡る それは一種の旅である。 かつて見た感動的な場面。 ヴェルディ時代の、あの軌跡を忘れない。 いや、それラモス。

    0
    投稿日: 2020.04.24
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    ずっと読みたかったSF作品。人生をテーマにした旅物語。主人公が人間らしくてまっすぐうらやむくらい魅力的だった。

    0
    投稿日: 2020.04.24
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    旅先で何かしらの出来事に遭遇するラゴス。物語的には面白かった。でも、漢字が難しかくて何回も調べながら読んだり、登場人物が多くてややこしくなったりした時もあった。

    0
    投稿日: 2020.03.21
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    まさにそのタイトルの通り。 ラゴスは日々粛々と旅を続ける。 旅の日々、人々との出会い、その積み重ねがラゴスの日常であり、人生そのものとなる。 出会う土地や人々によって、様々な生き方を迫られ、命も危うくなる場面もあるけれど、ラゴスは変わることなくラゴスであり続け、物語の世界は安定している。静かな印象すら受ける。(彼の安定感からかな) ラゴスの旅を見届けたくて、読み進めてきたラスト。 ラゴスと共に旅をして静かに人生を蓄積してきたという感覚が、なんだかしっかりある。 彼は終わりに何を見、何を感じたのだろう。

    2
    投稿日: 2020.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    青年ラゴスが旅を続ける話。 淡々と語られる物語。集団転移、スカシウマ、壁抜け人間、空飛ぶ人間、同化、心を読む…。それらが当たり前のように存在する世界。 我々の世界が滅びて、ラゴス達が生まれて、(私たちから見れば)特異な能力を使い、生きている。 ラゴスは書物を読み、過去から学んでいる。遅かれ早かれ電気・ウラニウムが登場するのだけれど、同じ過ちは繰り返さないように慎重に生きている。 ラゴスは、学問的・社会的成功は望まない。ただ一人、デーデを求めている。(しかし、淡々と語られる中にその想いは感じられず…)しかも、途中女性を買おうとしたり子どもを産ませたり、やることはやっている。それはそれ、だな。 「その夜おれは時間で区切られた初夜のスケジュールをきちんとこなさなければならなかった。おれはそのつとめを比較的スマートに果たした。」 ラストに出会ったドネルは、一体いつ出会ったのだろう…。ラゴスと同じように、記憶の中から抜け落ちてしまったみたい…。

    1
    投稿日: 2020.03.17
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    期待を裏切らない脳内小旅行。 旅とか冒険って言葉を聞くと、なんかワクワクしてしまうのは自分だけかな笑 旅の途中で出会う人たちが、とにかく魅力的でした。 一人旅がしたくなる本。

    21
    投稿日: 2020.03.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    独特。 ラゴスがいろんなところに行く。はじめの転移するところがすき。スカシウマもすき。ラゴス、とかデーデとかの名前の感じが結構好き。 文明がない感じのはじめの頃の文章と、書物を読んで文明の単語とか技術が出てきだした頃の文章の印象がかわるところが、一緒に進化しているみたいで不思議だった。 童話みたいな感じ。

    0
    投稿日: 2020.03.15
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    典型的な浦島太郎型の物語 主人公のラゴスは、時に余りにも倫理観が欠如した振る舞いをすることがある。また旅の目的から外れた寄り道に、7年、5年と惜しげもなく時間を費やすこともある。 そんな一見共感し難い人物により紡がれる物語がこうも多くの人の心に響くのは、家族や会社、学校といった集合体に幾重にも繋がれた上に、人生の残り時間に恐怖し高々1日を無為に過ごすことにも罪悪感を覚え、時に1分の損失にすら激怒する現代人による、潜在的な憧憬の証左に他ならない。

    1
    投稿日: 2020.03.10
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    初筒井康隆。 もう一度最初から読みたいと思った本は久しぶりだ。 物語の始まりでは何者なのかよく分からなかったラゴスに、自分がどんどん同化していく感じがたまらなく良かった。一人称が「おれ」なのもとても良い。 短編集のようにストーリーが区切られていたり、筒井康隆らしさなのかSF要素が過去現在未来の狭間でうまく描かれているのも、面白かった。最後、氷の女王に会えていたらいいなーと思わされた。

    2
    投稿日: 2020.03.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    p.133 人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。 再読。 なかなかそんな"こと"が見つからないのは何故でしょう? 旅をすれば見つかるんですかね?

    0
    投稿日: 2020.02.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    しばしば色々なところで紹介されている本である。このタイトルを目にする機会が多く、手に取って読み始めてから2週間程経った。 初めはライトノベル作品であるキノの旅と似た雰囲気を持つ小説かと思ったが最後まで読んでみて、どこか違うなと感じた。私はキノの旅の方が好きです。 主人公のラゴスモテすぎ!っていう風に感じちゃいました。ほかの方も言ってますが、男性的ファンタジー。 ページ数は250ページと少なめで、あっさり読めそうな厚みではある。が私自身の好みには合わなかったようで、読み切れる気がしなかった…。面白みを全く感じられず、ラストも尻切れトンボな感じ。読み終わっても余韻も感動もなく。小説にはエンターテイメント性を求めてしまう。 また歳を重ねて改めて読み返せば味が出るのかも。 主人公が本を読み耽り学を重ねていく章は好きでした。私もずっと本読み続けられたらなぁってラゴスがちょっと羨ましかったかも。

    1
    投稿日: 2020.02.26
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    毎年、春先になると妙に売れていた一冊。 なんとなく気になって読んでみて、納得した。 一言で言えば、ある男の旅の一代記である。 けれど、物語は突然、まるで続きからであるかのように始まり、そして明らかな終わりのないままに締め括られる。 まるで、続きはご想像にお任せします、とでも言わんばかりに。 彼が旅する「世界」の実像についても、多くは語られていない。 むしろそれは不完全に語られ、読者自身によって補完されることが前提とされた書かれ方をしている。 そして「転移」や「同化」、「壁抜け」、「飛翔」といった、この世界の人々が扱う超自然的な能力は全て、「想像力」を根源としている。 ラゴスが生きて旅をするこの世界は「想像力」に満ちており、そして、その「世界」そのものは、現実に生きる偉大なる作家の「想像力」によって創り出された物語である。 そして、さらに言えば、その物語を読む読者の想像力次第で、始まりも終わりもなく、どこまでもこの「世界」は広がっていくのだ。 想像力のある者が、いちばん強く生きていくことができる。 そして、想像力のある者が、いちばん強い世界を創ることができる。 ということを教えられた気がする。 ぜひ、「物語」の次の「文学」を、 そして全ての「学」を志し始めた人に、 読んでほしいと思った。

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    投稿日: 2020.02.16
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    味わった事のない世界観。どこか懐かしいお伽話のような感覚も。しかし、向き、不向きやその時の体調を選ぶかも知れない。

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    投稿日: 2020.02.09
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    ラゴスは北に向かって旅に出る。途中の出来事や目的地についてからの生活などが、軽い読み物になっている。 彼の旅の目的は、北の大陸に先人たちが残した文化を知ることだった。膨大な書物になって盆地の建物に眠っているということを学校で習っていた。 転移、同化、予知などの能力は先人が滅びた後に獲得した人々の智恵だった、そうした力を使いながら北の大陸に辿り着く。途中に出会う壁抜け男や、似顔絵書き、時には盗賊に会いながら北の大陸にたどり着く。 やっと語り部の老人にあい、その話から盆地の書物を発見する。不思議な壁に囲まれた建物の中で書物が保管されていた。先人が滅びたのは、進んだ知識があってもそれを使う機械を作ることが出来なかったからであり、知識だけでは生き残ることができなかった。発達した科学知識があっても材料資源や装置などが不足していたのが分かる。現在に照らしても発達ということが先走れば崩壊に繋がることもある。 ラゴスは書物を筆写していくが到底追いつかない、旅で知り合った子供が成長するほどの時間が過ぎ、その子供が訪ねてくる。彼は、言葉を漏らさず記憶再生する特技があった。ラゴスは朗読して彼に覚えさせる。 先人の知識は、盆地の村に革命を起こし、名もない赤い実がコーヒー豆だということを知る。それを売って盆地の国は栄え王国になる。とても読みやすく面白かった。筒井作品の濃いSF性は余り感じられず、旅をするラゴスの周りの出来事や、経済が潤い国が栄え街の体裁を整え政治も始まる。このあたりとても面白い。 北の王国を出て、南大陸の我が家に帰ってくる。そこで、旅の知識を使って文化を進める。しかし、それで得た尊敬や崇拝の裏には、嫉妬や裏切りもある。父と兄は不仲であり、兄はラゴスの知識を喜ばなかった。 ラゴスの心は世界を歩いて自由に暮らすことだった。父の書斎で見つけた放浪の画家の絵の中に、旅で心惹かれか忘れられない少女の成長した姿を見つけた。 北で学んだ知識、主に農業の知識を書物に書き残してまた旅に出る。 ラゴスは新しい国で結婚もする、帰って故郷で知識を伝えたりする。だがそれはいつの間にか窮屈な社会のしきたりや人間関係に縛られることに気がつく、そこから開放され孤独の中で生きていく自由を選ぶ、、一度限りの生き方として出来れは、勇気があればそうして生きること、成長した少女の姿を求めることがとても美しく感じられる。 丸く輪になって異動する転移、人や動物の心と繋がる同化、念じて空中を飛ぶ力などSFらしい発想も効果的でとても面白かった。

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    投稿日: 2019.12.30
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    積読を買い漁ったばかりなのに長距離移動の日に本を忘れて、慌てて購入した1冊。 夏の新潮100冊などでよく目にするものの今まで興味は惹かれず、単純に短めであることと、ここ10年ほど筒井康隆作品を読んでなかったのでチョイスしました。 大当たりでした(笑) 予備知識なしで読み始めると、出だしは完全なる旅の途中で、世界観を掴むまでは取り残されてる感があったものの、旅する途中に出逢う人や街でのエピソード、旅の途中の生死をかけたハプニング、年単位で遠回りしながらも旅の目的を果たす姿やその帰路。地元に足を踏み入れる際の展開はほんとに気持ちいい!(笑)そしてラゴスらしい締めくくり。穏やかで賢く行動力のあるラゴス、その人生をかけた旅にすっかり惹かれて読み進めることができた。 筒井康隆作品は久々だったけど、映像ではなく文章だからこそ楽しめるような流れというか。必要な部分はしっかり語られ、でも各々の想像に任される部分はしっかり残されているような。理論的なとこは理論的で、空想的なとこは空想的でほんとに飽きないストーリーでした。 最近は湊かなえさんや村田沙耶香さんなど作者のテクニックに甘えた読書ばかりだった気もするから、なんだか久々に心が悠大で豊かな気持ちになれた気がするw 作品中に説明も出てくるが、世界観としては、電気はないが商業都市などがあるくらいの文明レベル。そして大きく違うのはちょっとした超能力が存在すること。SFになるわけだけど、なんというか超能力の存在が不思議と現実的というか、めちゃめちゃ修行して希少価値の高い陶芸品作れる人みたいなかんじで努力で身につけたり、小さい頃から暗記が得意とか絵が得意みたいなかんじで予知夢が見れますって人がいたり。超能力の存在がちゃんと合理的に馴染んだ世界。 構成としては「ブランコの向こうで/星新一」を思い出した。長編の中で、次々と場面が変わりながらそれぞれの不思議な世界観と登場人物が紹介されながらドラマが繰り広げられる。 【おまけ】 この作品を読んだ人なら分かってくれそうな所で言うと、「おみやげ/星新一」も思い出した。新潮文庫「ボッコちゃん」の中の1作で光村図書の小5の国語の教科書にも掲載されていた作品。文庫でいうと3ページほどのほんとに短いショートショート。あらすじは、人類がまだ生まれていない地球に高文明の宇宙人が来て、医療や政治経済などあらゆる高度な資料を「おみやげ」として置いていく。その資料を理解できるレベルの人類なら開けられるであろう特殊金属の容器に入れて。だが、年月が経ちその容器が開けられた瞬間は、おみやげの存在に気づかず原爆実験で中身もろとも消えた瞬間だった。という話。 ◆内容(BOOKデータベースより) 北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

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    投稿日: 2019.12.15