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太陽の塔(新潮文庫)
太陽の塔(新潮文庫)
森見登美彦/新潮社
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総合評価

1290件)
3.7
241
426
393
86
23
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    今回、気に入った一行はふたつありました。 「かつて飾磨はこう言った。『我々の日常の九◯パーセントは、頭の中で起こっている』」 「いかなる人間に対しても譲歩するつもりは更々ない私だが、地球環境と父と母だけには頭が上がらない。」

    0
    投稿日: 2016.03.17
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    くるくると話が展開していく感じがとても森見さんらしい。さすがというか。京都の特別な日常を描いてるわけじゃないんだけどすごく京都に行きたくなる。京大生の阿呆だけど面白い日々。

    1
    投稿日: 2016.02.10
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    結局何が言いたいのかよくわからない。主人公と元恋人の水尾さんとの関係も変わらぬまま、最後まで話が進む。

    0
    投稿日: 2016.02.06
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    読んじゃった。最寄り駅に到着するまで30分あと何しよふ。毎度、河原町に行ったら毎回ええじゃない騒動を起こしたい気持ちと戦う原因はコレ。

    0
    投稿日: 2016.01.30
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    解説の本上まなみ曰く"へもい"(イケてないんだけど愛らしくて憎めない)男の青春記。 彼のさえない青春は豊かな語彙と言い回しに彩られ、どこか甘酸っぱささえ宿している。

    0
    投稿日: 2016.01.29
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    これがデビュー作と知りませんでした。 私の好きな妄想❗️そして知っている場所の情景とが絡み合いどこか不思議で懐かしいようななんでもありを容認してしまう雰囲気。 太陽の塔は頭の中だけの世界でもシンボルとして完璧です。

    0
    投稿日: 2016.01.23
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    阿呆というのは皆等しく愛しく憎めない。 彼らは単に阿呆なのではなく自ら阿呆になりきっている阿呆なのだと思った。

    0
    投稿日: 2015.12.31
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    ええじゃないか騒動に混じりたい! 太陽の塔の描写が印象的で、読んでいて心なしか塔の圧迫感を感じました。

    0
    投稿日: 2015.12.16
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    面白いけど、ちっとも進まない。 無理やり最後までページを繰ったけど これなら辞めておけばよかったかも。 話の展開がちょっと単調だったのが敗因かな。 森見登美彦さんの世界観は非常に好きなだけに残念。

    0
    投稿日: 2015.12.04
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    森見作品二つ目に拝読した。「世は短し」である程度の雰囲気は掴んでいたため、相変わらずの古めかしいシュールな言葉遣いにも容易に対応でき、さらには前回以上にそれは炸裂していた。実益の無いことに全精力を注ぎ、厭世的な雰囲気を漂わせながらとにかく他人の恋路を否定し続ける主人公の姿は滑稽であると同時に、世の中のダメ男子学生の心をくすぐるような内容となっている。クライマックスの「ええじゃないか騒動」などはその最たるもので、クリスマスの京都をあそこまでコミカルに仕上げる森見氏の表現には感服する次第です。何故太陽の塔という題名なのか。それは読んでみればわかるだろう。

    0
    投稿日: 2015.11.30
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     確かに太陽の塔というのは、「すごい!」では済まされない威圧感と気味の悪さがある。それが登場するお話ということで手にとった。  内容はというと、解説の本上さんが仰る通り、"へもい"!高すぎる自尊心に笑え、地味な生活っぷりと大仰な言い回しとのギャップに笑え、クリスマスやカップルへの怨念の大きさに笑え…まさに男子大学生小説といった感じ。

    1
    投稿日: 2015.11.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初ストーカー話かと思ったが、失恋と阿呆話の混合体になって多少切なくも気持ちよく読めた 特有の言い回しと夢か現実かの曖昧性がマッチしていて良い 乙女や有頂天に比べれば荒い様に見受けられるが同時に勢いも感じる 原点といった趣き

    0
    投稿日: 2015.11.03
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    独白形式の文章で、昭和の文豪みたいな言葉のチョイスが良い! ストーリーは、こじらせた感じの、イケてない感じの主人公が、男満載で、楽しげで、悲しげで、強がりな生活を送りつつ、そしてクリスマスのバーカと戦いを挑むも、最後にはやっぱりずっと元彼女のことが忘れられず好きなんだよ、クリスマスを楽しみたいんだよ、と素直になれる、というよう感じ。 叡山電車と太陽の塔のファンタジーなシーンが素敵なアニメーションでも見ているかのようで、また良かった。

    0
    投稿日: 2015.11.02
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    阿呆大学生シリーズの森見はあまり好きでなかったのだけれど、これは良かった。いや、果てしなくしょうもないんだけれどこれはもう、こいつただものじゃないぞ、という雰囲気がビンビンに出ている。癖のある文体だけれど、慣れてくると気にならない。

    1
    投稿日: 2015.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「なぜなら、我々が間違っていることなど有り得ないからだ。」 すすめられたので読みました。 主人公は自分を正当化できる人間。そんな彼にも仲間がいる。自分を振ったあの子とよりを戻すために日々奮闘する話。どんなに言葉で強がってみても、機会があれば飛びついてしまう。そんな愚かな主人公を描いた青春小説。

    0
    投稿日: 2015.08.23
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    京大生の話は京大生にしか書けないよね、という理由から京大文人(造語)には一定の需要があると信じています。 男性の描写ばかりで(あの大学の男女比考えたら当たり前なんだけど)、読み進めてもいまいちヒロインの「水尾さん」に感情移入ができなかったんだけど、 「ソーラー招き猫事件」のエピソードで理解できました。 「私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です」 京大生はいつだって合理的。 こういうのって理屈じゃないんだけどね。 大学生らしいくだらない日常が、さも高尚であるかのように描かれた愛すべき文学。

    1
    投稿日: 2015.08.10
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    森見さんの文体は少し固くて読みにくさを感じていた。しかしその文体で書かれるユーモアが非常におもしろく、クスッときてしまう。 それが本の面白さをグッと引き出していると感じた。またこの文体により、主人公の虚しさや異端さがより一層際立てられていると感じた。 著者の他作品で少し苦手だと感じていた部分が大きくかわった。この本を先に読んでいればもっと面白く他作品を読めたかもしれないと思った。 著者の本を読むならこの本をまず読むのがいいと私は思う。

    0
    投稿日: 2015.08.04
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    大学生のひねくれた男どもがバカやってくれる話。水野さん研究って響きだけでもう笑える。その振り切れっぷりがあるからこそ、失恋してただ水野さんを遠くから見ることしかできない切なさ、ふがいなさが溢れるように伝わってくる。

    0
    投稿日: 2015.07.05
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    最近、出張のお供は森美作品。 今回の出張は、この作品を携えての旅となった。 でも、この作品、旅先の徒然に読むのは、ちょっともったいないかも。 森美さんのデビュー作が本作なんだとか。 招き猫とか、猫ラーメンとか、鯉を背負う人とか、のちの作品をにぎやかに彩る、キッチュなモチーフは、もうこの作品から顔をのぞかせていた。 ちょっと知り合いに出会った気分。 ただ、作品が迷宮のように入り組んでいる。 主人公の妄想世界と、現実、元カノの夢の中など、うっかり読んでしまうと、レベルの違いを読み間違えてしまいそうだ。 私は、作品の面白さを感じる。 いくつもの世界を語りで一つにまとめあげていくわけで、すごい語りの技だと思う。 クリスマスイブの「ええじゃないか事件」がストーリーの上では最高潮なのかな、と思う。 その後、何だかんだ強がっていた主人公が、元カノへの思いを今もやっぱり引きずっていることをやっと素直に認めた(ように私には思えた)。 そのくだりに、ちょっとほろっとさせられた。

    0
    投稿日: 2015.07.03
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    腐れ大学生のお話(笑) 「夜は短し歩けよ乙女」や「四畳半神話体系」とリンクするところも出てきたりして、ここから森見登美彦の世界が始まっていくのかなと感じました。 一番最後の盛り上がるシーンはツボに入ってしまい、喫茶店で読んでいて吹き出すのを堪えながら読んでいました(笑)

    0
    投稿日: 2015.06.27
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    京大生である主人公の「私」が、元恋人の<水尾さん>を「観察と研究」という名目で追いかけていく物語。主人公は著者の森見sanなのでしょうか。壮大なスケールの妄想と、猫のような水尾さんが好きです。豊富なボキャブラリーの中から、お気に入りを一つご紹介☆ ■シーン 主人公が住む「廃墟」アパートで、ドアを開け閉めする音が聞こえた時 ■お気に入り 『~中略~ もののけのしわざか人間のしわざか判定しようもなく、それなら自分以外に他の住民が住んでいるという確かな証拠は何もない。幽鬼のごとく己(おの)が周囲を浮遊する何者かの気配を濃厚に感じつつ、なおさら研ぎ澄まされてゆく孤独を満喫することができる。』 ☆Special Thanks to A.W-san☆【第15回日本ファンタジーノベル大賞】

    0
    投稿日: 2015.04.18
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    文の感じがほんとに森見さんて感じ。 いやーでもそろそろ飽きてきて、読むのがきつかったなー。多分しばらくもうこの人の本は敬遠しそうだ

    0
    投稿日: 2015.04.16
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    この太陽の塔から始まり四畳半神話大系、夜は短し歩けよ乙女へと続く京大生三部作(?)の一作目、森見登美彦のデビュー作でもある本作であるが、私は既に後の四畳半、夜は短しを読んでおり、これらの作中に現れるゴキブリキューブや恋の鞘当てが発端と言われる代理代理…戦争などの原因など後々の作品に現れるキーワードの元が知ることができてとても楽しめた。

    0
    投稿日: 2015.04.07
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    京都大学5回生の失恋ファンタジック回顧録。タイトルでもある太陽の塔の描写が印象的で、時折出てくる叡山電車にも乗ってみたくなった。しかし登場人物や話そのものはあまり魅力を感じなかった。

    0
    投稿日: 2015.04.06
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    この話の約9割は、主人公と友人たちの、偏っていてくだらなく、面白い日常が描かれている。なのにすごいところは、恋愛描写が少ないにも関わらず、それが逆に主人公の失恋の悲しさをひしひしと感じさせるところであると思う。他にすごいところと言えば、どのページをめくっても名言(迷言)が出てきて、いつまでも読んでいることができそうな面白い文章というところである。森見さんも本を初めて読んだが、他も是非読みたくなる話だった。

    0
    投稿日: 2015.03.20
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    『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話体系』で森見登美彦の世界観にハマり、今作にたどり着いた。読後の感想としてはやはり、作者のユーモアに溢れた言葉選びのセンスや生き生きとして個性豊かな登場人物、ありありと浮かぶ京都の情景、、、そのどれもがとても魅力的に感じた。

    0
    投稿日: 2015.03.14
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    この人の名前は知っていたが、本を読んだことはなかった。こないだ、最寄りの図書館が蔵書点検で休みのあいだに、久しぶりに2駅隣の図書館へ行ったときに、ブックトラックに並んでいたこの文庫の『太陽の塔』というタイトルがどうしても気になって、借りてきた。 表紙カバーの左上に太陽の塔の絵がかいてある。文庫巻末に解説を寄せている本上まなみが「実は、わたしは万博公園のすぐ近くで育ちました」(p.232)と書いているのと同じように、私も万博公園の近くで生まれ育った。保育園の遠足も万博公園だったし、小学校の毎年の写生会も万博公園だったし、なにかというと万博公園だった。私が小5まで住んでいたのは、万博公園まで子どもの足で遠足というほどの位置にある団地だった。 私が子どもの頃には太陽の塔の屋根※もまだあった。おそらく、この小説の主人公・森本は、屋根から顔(てっぺんの未来の顔)をのぞかせた太陽の塔を見ていないのであろう。万博公園から歩いてすぐのところにあったマンションに住んでいた森本は、週末になると両親に連れられて公園に出かけた、という。 ▼…私の人格の底辺界隈はほとんど万博公園の風景で埋め尽くされている。その風景の中ににゅううっと屹立して、あたりを睥睨しているのが太陽の塔であった。 …(略)… 私の場合、まずそこに太陽の塔があった。太陽の塔には人間の手を思わせる余地がなかった。それは異次元宇宙の彼方から突如飛来し、ずうんと大地に降り立って動かなくなり、もう我々人類には手のほどこしようもなくなってしまったという雰囲気が漂っていた。 …(略)… むくむくと盛り上がる緑の森の向こうに、ただすべてを超越して、太陽の塔は立っている。(pp.115-116) と、やっと小説の半ばあたりになって、太陽の塔が出てくるのだが、そこまでは、ひたすら、「休学中の5回生」である男子大学生・森本の頭の中の妄想のようなものを縷々読まされる。これは、森本の手記というかたちをとった小説である。全体に妄想が疾走しており、太陽の塔は刺身のツマ程度の登場である。 森本と、その周りの類友、すなわち「女ッ気」のない大学生活を送ってきた者どもが描かれる。そのもようは、巻頭のこのあたりに凝縮されているように思われる。 ▼かつて私は自由な思索を女性によって乱されることを恐れたし、自分の周囲に張り巡らされた完全無欠のホモソーシャルな世界で満足していた。類は友を呼ぶというが、私の周囲に集った男たちも女性を必要としない、あるいは女性に必要とされない男たちであって、我々は男だけの妄想と思索によってさらなる高みを目指して日々精進を重ねた。あまりにも高みに上りつめすぎたために今さら下りるわけにもいかない、そもそも恐くて下りることができないと誰もが思いながら口をつぐみ、男だけのフォークダンスを踊り狂った。(p.7) しかし森本は、3回生の夏に「恋人」をつくったのだ。周囲からは「いたいけな1回生を騙くらかしたと非難囂々」(p.8)だったが、森本は嬉しかった。そして喜んでいる自分に、恋人ができたくらいでそんなに嬉しいのかとツッコミを入れていた。その「水尾[みずお]さん」という彼女は、その後、森本を振った。 森本の長きに亘る「水尾さん研究」は、彼女から「研究停止」の宣告を受けた。しかし森本はへこたれることなく、自身の研究能力と調査能力と想像力をもって、研究を続行してきた。その研究の副次的な目標は「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」(p.11)という疑問の解明にあった。 手記には、「この研究は昨今よく話題になる「ストーカー犯罪」とは根本的に異なるものであった」(p.11)と書いてあるが、研究成果をもとに水尾さんの現在位置を推定し、そこへ赴くといったところはストーカーといってよいだろう。だって、彼女の帰宅を見届けるために、森本は彼女のワンルームマンション近くの道端で、「素早く携帯電話を取り出し、待ちあわせをしているのに相手が15分も遅れているのでむしゃくしゃしている二十歳すぎの若者を巧みに演じ始め」(p.22)るのだ。そりゃ、立派なストーカー。 ただし、森本の妄想はでかいが、かなり気が小さい。彼女のマンションの前で、突然現れた男から指さして「これ以上、彼女につきまとったら警察を呼ぶ」(p.26)と言われ、その男を仔細に観察して、愛車の「まなみ号」(自転車)を放置したまま撤退。 実はここで現れた男・遠藤もまた、「水尾さん」に懸想するらしきストーカーまがいであることが後に判明する。その遠藤について、類友・飾磨に頼んで調査をおこなった森本は、自分の行動を遠藤につけられていたことを知って、「何ら被害を被ったわけではないが、ひどく不愉快な気分だった」(p.85)と綴る。オマエにつけられている水尾さんも、きっと不愉快であろう、と私は思う。 ▼「やつめ、どういうつもりだ?」  私は呟いた。  「さあな。君に惚れてるんじゃないのか」  飾磨は言った。「これで君も、つけられる人間の気持ちが分かったろう」  人のことは言えまいと私は思った。(p.85) ともかく、女に縁のない森本ならびに類友の面々は、クリスマスの嵐が憎くてしかたがない。小説の後半は、遠藤や水尾さんの話を交えつつも、クリスマスファシズムへの闘いが記される。類友どもが集った鍋の夜、飾磨の演説がおこなわれた。「諸君。…昨今、世の中にはクリスマスという悪霊がはびこっている」(p.144)云々と。 ▼…彼らがそうまでして我々の心の平安を掻き乱すつもりならば、我々にも考えがある。我々も彼らの大切な一日をめちゃくちゃにしてやることができる。何が特別なのか知らんが、世間ではクリスマスイブは特別である。クリスマスイブに比べたらクリスマスイブイブは重要ではない。ましてクリスマス当日などはなおさら無意味である。クリスマスイブこそ、恋人たちが乱れ狂い、電飾を求めて劣等を驀進し、無数の罪なき鳥が絞め殺され、簡易愛の巣に夜通し立てこもる不純な二人組が大量発生、莫大なエネルギーが無駄な幻想に費やされて環境破壊が一段と加速する悪夢の一日と言えるだろう。彼らが信じ込んでいるものがいかにどうでもいいものか、我々が腹の底から分からせてやる。今年のクリスマスイブ、四条河原町を震源地として、ええじゃないか騒動の再現を提言するものである」(pp.145-146) そして、クリスマスイブ、者どもは決起する。 飾磨が小さな声で発した「ええじゃないか」の一言から、「ええじゃないか」の声が湧き起こり、四条河原町周辺で押し合いへしあいする人々が楽しそうに「ええじゃないか」と発する声が響き渡る騒ぎになったのを見届けた。 この作品は、2003年に日本ファンタジーノベル大賞、というのを受けているそうである。ファンタジーという語感と、この小説を綴る変な文体とは、私のイメージの中で齟齬があるが、なんやこのストーカー男、と思いつつも、最後まで読んでしまった。 太陽の塔は、主人公・森本にとって畏怖する対象であるとともに、それと出会った水尾さんをいたく執着させることになった存在として描かれる。森本に連れられて初めて万博公園を訪ねた水尾さんは、姿を現した太陽の塔に「うわっ、うわっ、凄い」(p.118)と言い、「凄いです。これは宇宙遺産に指定されるべきです」(p.118)と語り、森本に対するよりもはるかに勝る情熱を太陽の塔に傾けた。 大阪へ来る友人知人が、ときに「太陽の塔」を見たいと言って、一緒に行くことがある。初めて見る、という人もいる。そうして初めて太陽の塔に出会う人たちの新鮮な驚きや感動を思い出すと、水尾さんの「うわっ」という感慨も分かる気がする。 子どもの頃からあまりにも見慣れてしまっている私は、一緒になって改めて太陽の塔をつくづく眺め、(こんなんがにゅううっと立ってるのは、やっぱりヘンな風景よなア)と思う。 (2/17了) ※太陽の塔の屋根 万博記念公園のサイトには、 http://www.expo70.or.jp/cause/expo/tower-of-sun/ 「巨大な大屋根は1977年から1978年度(昭和52年から53年)にかけて撤去されました」とある。この小説の作者は1979年うまれだというので、生まれたときにはもうあの大屋根はなかったのである。 ※カバー装画の原画 影山 徹「太陽の塔 2004」 http://www.tis-home.com/toru-kageyama/works/3 文庫カバーではトリミングのために右上の大文字が見えなくなっている。京都の山と、おそらく叡山電車と、向こうにそそりたつ太陽の塔(単行本では、裏表紙にも絵がつながっているようだ)。

    0
    投稿日: 2015.02.17
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    最初、言い回しや主人公に着いていけず読み進められなかったが、中盤になって一気読み。 おもしろかった。 ただのストーカーではなかった。

    0
    投稿日: 2015.02.04
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    再読。「有頂天家族」を読んで、この作者は愛らしいキャラ造形がとても素晴らしいので、懐かしく思って読んだ。やはりキャラクターへの優しい視線と、暖かい世界観は健在なのだけれど、久しぶりに読むと「?」と思ったところもある。まあ夢の世界に整合性を求めるほうがおかしいのだけれど、良くわからない、納得出来ないところが目につくようになってしまった。悪く言うと、ご都合主義な感覚。

    0
    投稿日: 2015.01.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

     京都大学の休学中の五回生が、青春や恋愛への呪詛をコミカルに延々と語る話。幸せに青春してる奴らが憎い、というパワーに満ちあふれている。自虐と紙一重のナルシシズムが満載で、読んでいて思わず口元が綻ぶ。ただ、後半近くまではかなりダラダラと出来事らしいものがあまり起こらないで進む上に、メインが主人公の日常語りなので退屈に思えたり、コミカルに仕立てたいんだろうけど身につまされて笑えないなあと感じることも。  しかし、ラストのまとめ方は綺麗。文庫本226ページの「私は色々なことを思い出す」から始まる一段落がもの凄く好き。水尾さんに対する想いの描写が切ない。  太陽の塔の下で、遊んでいる彼女の描写はとても綺麗で、心が温まるような風景に思えた。読者が想像したようなラストになっていると語られているが、別れた二人がリスタートできたと信じていいのだろうかと不安を感じる。  物語の後半では、別れた彼女のことはそういえば居たなあと思うくらいだったので、ラストには、『え、こういう終り方なのか』と驚きもあったが、後味の良い終り方だった。ハッピーエンドが一番。   

    0
    投稿日: 2015.01.29
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    女っ気皆無の理系男子大学生かつ男子寮だったあの頃を思い出す。わかるわかる、と思いながら読了。それはそれで楽しいのよね、ひたすら男汁祭りも。京都はいつか機会があったら住んでみたい。

    1
    投稿日: 2015.01.18
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    読み終わってから、 ああ青春とか恋愛ってこういうものだよな〜 って思った。 中心にいると気づかないけど、 一歩引いてみると面白い空間。 独特の世界観があっておもしろかった! もっとさくさく読むべきだったかも。反省。

    0
    投稿日: 2015.01.17
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    話を楽しむっていうよりは、雰囲気を味わうって感じで読んだ。 手に汗を握る面白さはないけど、「ええじゃないか騒動」とか、叡山電鉄に乗って太陽の塔のもとに行くとか、へんてこな事件がちょいちょい起こるのは楽しかった

    0
    投稿日: 2015.01.14
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    よくも悪くも森見作品は同じような設定、表現が多く見られるけど、この作品の可愛らしさと哀愁と少し突き放した視点のバランスは好みだった。

    0
    投稿日: 2015.01.09
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    面白いんだか面白くないんだかよくわからない不思議な物語でした。ツッコミどころ満載の本で、現実逃避するにはピッタリだと思います。

    0
    投稿日: 2015.01.01
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    14/12/30 森見さんの文章はほんとたのしい。 けど内容はつまんなかった。 P31 誰か分からないあの男。いまごろ奴はさも得意気に一部始終を彼女に報告していることだろう。自分が玉子豆腐のようにぷるぷる震えていたことなどおくびにも出さず、あたかも自分の威光の前に私が罪過を悔いてひれ伏したがごとき情景を彼女に伝えるに違いない。 P46 そもそもあの男は何者か。あの圧倒的小者ぶり。あのキャンキャンと神経にさわる不器用な威嚇。頭から尻尾の先まで腹立たしく不味いアンコが詰まった鯛焼きのような男だ。

    0
    投稿日: 2014.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。今の季節の話の印象が薄いのは緑の中の太陽の塔が頭に残るのとフラッシュバックする水尾さんの思い出のせいでしょうね。どうしてもあそこでボカロ曲のjust be friendsが脳内で鳴り出してしまう。下の名前はまなみなんだろなーせつない。 太陽の塔は一度間近で見てみたいのですが、伊丹空港に着陸寸前のときにちらっと眺めたっきりです。街中に降りていく不安が一瞬で消えるあの存在感は尊い。

    0
    投稿日: 2014.12.17
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    再読。 「とにかくでかい人工建造物が見たい、しかも何の実用性もないようなものが」 という衝動に駆られ「太陽の塔」を見に行こうかと思い立ったのだけれど意志半ばにして叶わず、書棚から取ったのがこれである。 初読の際にも、「太陽の塔」の存在感、ヘンテコなもの感を語るくだりに圧倒された記憶がある。 「ちっとも太陽の塔に慣れることができない」、「つねに異様で、つねに恐ろしく、つねに偉大で、つねに何かがおかしい」という、その感覚。 それはあらゆる芸術家(もちろん作家も含めて)にとって最大の褒め言葉であり、理想とするところなのではないかなと思う。 「なんだか分からないけどとにかくそこに在る」、「文脈も歴史も背景も何もかも無視してただそこに在る」という、圧倒的で絶対的な存在感。むしろ畏怖の念さえ抱かせてしまうような、意識の埒外に追いやることのできない程の影響力。 以来、「太陽の塔のような」という形容詞は僕の中では最大級の賛辞であり、いくつかの小説に出逢った時には心の中で度々繰り返してきた言葉である。 けれど、斯く言う私は、実のところ、実物の「太陽の塔」を見たことがないのである。本や小説の中で何度も触れて、それを見た気持ちになってしまうという、本好きの中でもかなりタチの悪い部類に属しているのだ。 さあ、寺山修二も斯くやとばかりに今こそ書を捨てて、街へ出ようではないか。 そして「太陽の塔」を見ようではないか。

    0
    投稿日: 2014.12.13
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    森見さんデビュー作。 あらすじ読む限りもっとストーカー的なのかと 思ったらそんなコトも無く・・・ でもちょっとストーカー的でしたが。 時々 不思議な現象が起こったりと ファンタジーと現実の曖昧さが面白かった。

    0
    投稿日: 2014.11.01
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    『夜は短し歩けよ乙女』がかなり気に入ったので読んだのですが、 全体的にメリハリがなく、冗長だなぁと思っていたらデビュー作だったんですね。 なら納得しました(笑)

    0
    投稿日: 2014.10.29
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    夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話体系に続き、 3作目の腐れ大学生の話。 前述の2作よりだいぶ腐ってるし(何たってストーカー)、 期待が高かっただけに他の2作よりも物足りなさを感じつつ。 やっぱりふふっと笑ってしまう。 ええじゃないか騒動あたりで森見ワールドが炸裂炸裂。 偽叡山電鉄や、猫ラーメン。 他の作品との繋がりを見つけるのも森見作品を読む醍醐味と言える。 ところで彼は何故振られたのかしらん。 まあ、どうでもいっか。

    0
    投稿日: 2014.10.02
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    再読。とにかく言葉のこねくりまわし方というか言い回しというか、その辺がやっぱりすごくいい!内向き妄想力が高いところも、いい。でもクリスマス前に読んでもっと空気に浸るべきだった!次はぜひともクリスマス前に読むぞ。

    0
    投稿日: 2014.09.30
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    私、太陽の塔、実物見たことないんですよね。 勿論、存在は知っているし大体こんな感じってのはわかるんですが。やはり見に行かないとイカンかなあ~なんて思いました。 失恋するとセンチメンタルになって悲劇の主人公のようになるのは洋の東西、性差を超えて普遍な現象なのかな。そしてさらに追い打ちをかけるクリスマス。まあ…傷に塩を塗り込むようなものなのでしょうか。 とはいえ。水尾さんのかわいらしさとか良さがまるで伝わってこず主人公の独り相撲が何とも痛々しい。とはいえ主人公もけして好きなタイプではありませんが。というわけでそうなんだふうん、で終わってしまいました。少し残念ですが偽叡山電鉄とかほかのシリーズにつながる小道具がそこそこ出てきたのでそれは面白かったです。

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    投稿日: 2014.09.25
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    2014.09.18読了。 今年27冊目。 さすがの森見作品、安定感あるなー。 ええじゃないか騒動が笑えた。 そして毎回森見作品を読むと京都行きたくなる。 真夜中の叡山電車に乗りたい♡w

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    投稿日: 2014.09.18
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    初めての森見登美彦作品。出だしの期待感、高鳴りを考えると、ちょっと期待はずれだったかも。(最初の5Pはかなり面白い予感にあふれていた)あるいは期待し過ぎていたのかも。もてない京大生の自意識にまったく共感できないまま終わる。とはいえ、ところどころ面白いなあと思うところもあって(ex.「悲しみの不規則配列」・「ええじゃないか騒動」)、他の作品もちょっと読んでみたい。

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    投稿日: 2014.09.13
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    この妄想の世界にはついていけなかった。京大生にはとても響くらしい。モテキはめちゃくちゃ心をえぐられてよかったけど、さらにもう一段階上のレベルのこじらせ?が存在した。

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    投稿日: 2014.09.01
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    男は等しく1人の女性のために阿呆になれる。夜は短しよろしく四畳半よろしくペンギンハイウェイよろしく、世の男は等しく黒髮の乙女に恋をする。 この太陽の塔の主人公も似たり寄ったりだ。阿呆な京大生のお話。他の森見作品に似たり寄ったりのお話。しかし、無限に読んでいられるお話。 次は聖なる〜を読んでみたい。

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    投稿日: 2014.08.31
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    森見さんの小説読んだのはこれで3作品目だが、やはり登場人物の独特な性格や言い回しが印象的である。くだらないことを難しい言葉で説明する描写は滑稽であるがどこか知的さを感じさせる。その中でも印象に残ったのが主人公が彼女に振られた時に、飾磨から来たメールの返事である。 「幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産みだした。その分は勿論、俺が頂く」 慰めとは程遠い返事であるが、あくまでも自分が頂くというところに友情のようなものが見え隠れしているような気がする。

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    投稿日: 2014.08.30
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    日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 お馴染み猫ラーメンに、想像して鳥肌がたちましたゴキブリキューブ。 森見さんの言葉のセンスには脱帽です。 それに私は ゙失恋を経験した男 ゙ではなく、 ゙失恋する予定の人 ゙でもなく、 そもそも男ではないのですがまったくもって共感の嵐が吹き荒れました。笑 ここにはっきりと言いたい。 聞きたくもない幸せの謳歌を聞かねばならぬ義理はないのだと。 たしかに彼らはたくさんのサンプルを目の前に並べ、諸君に「幸せ」を提供して見せるであろう。 黙れ、黙れ。学生の本分は学問である。 恋にうつつを抜かすヒマがあったらもうちっと勉強せいやコラ。 あたかも我々に幸せのありかを教えてあげると言わんばかりの大合唱、じつに傲慢極まりない。 幸せのありかなんぞ教えていらん、私の幸せは私だけのものだと、声を大にして言いたいのである。 しかしこの声は聞こえまい。 彼らのわめき声があまりに大きいからだ。 我々はやんやと拍手喝采した。

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    投稿日: 2014.08.26
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    【本の内容】 私の大学生活には華がない。 特に女性とは絶望的に縁がない。 三回生の時、水尾さんという恋人ができた。 毎日が愉快だった。 しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。 失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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    投稿日: 2014.08.23
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    男性心理って複雑なんですね…。 何度見てもますます大きく迫ってくる太陽の塔、なるほどなあ…。 解決なんてできないことを抱えられるようになることが大人になることなのかな。 何とも切なく、それゆえ心を支えてくれるように思います。 暑苦しい男たちの生態というものを見ていたら、学生時代をやり直したいとは思わないけど、やっぱりいいなあ、なんて思ってしまいました。

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    投稿日: 2014.08.22
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    初めての森見作品。 な、なにこれ、まったく私には合わない。。 森見さんの本はおもしろい!っと聞いて期待して読んだのに、ぜーんぜん良さがわかりませんでした。 主人公が理屈っぽいのや、京都?関西方面の地理にも弱いので、まったくストーリーに入り込めず。。 たまたまこの本が合わなかったのか、、夜は短し〜というこれもまた評価の高い本も今手元にあるので、そっちも読んでから最終判断しようと思います。

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    投稿日: 2014.08.11
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    森見さんにしては幻想部への導入が雑、というか滑らかさがないなぁと思ったら、これがデビュー作なんですね。なるほど納得。 荒削りだけど森見ワールド全開。へもい主人公たちに思わず「どんまい!」と声をかけたくなる、そんなお話でした。 ただ森見さん入門にはやっぱり四畳半とか夜は短し〜とかの方がいいかなぁ。 クリスマスの頃の話なのに、うっかり真夏に読んでしまってなかなか入り込めなかったので(笑)、冬になったらもう一度読みたい。

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    投稿日: 2014.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

     森見登美彦のデビュー作品である『太陽の塔』  デビュー作から「森見節」は健在で、読みやすく作品の内容とマッチしてテンポよく進んでいく。  作品としては、解説の本上まなみさんの文章を引用すると「ふられた男子の真冬のさえない独白小説」ということになるだろう。  言ってしまえばそれだけのことなのだが、それが非常に豊かな物語として読めるがまさに森見節なのである。  さて、僕がこの作品をとても好きな理由は、この主人公の水尾さんに対する恋愛物語にはまさに恋愛の普遍性が描かれていると感じたからである。  それは、この物語が失恋を通して自己愛を獲得する物語であるということと、この物語において恋愛の対象である水尾さんがほとんど出てこないということ。この2点である。  この作品は先にも書いたように「ふられた男子の真冬のさえない独白小説」なので、物語として「恋愛の成就」というゴールもなければ、「恋愛の破綻」というゴールもない。(物語はフラれてからスタートするので)  ではこの物語の本筋は何なのかというと、それは「自己愛の獲得」だと僕は思う。  恋愛がうまく行かなかった=他者による自己の否定 を通して、絶対的な自己肯定=自己愛 を獲得するこのパラドックスに恋愛の本質がある。    そのことは次の2カ所に集約されてる。  まず作品冒頭少しの部分  「恥をしのんで書けば、私はいわゆる「恋人」を作ってしまったのである。(略)それでも正直に言おう、私は嬉しかった。それでいて喜んでいる自分に対して唾を吐きかけていたのであった。「恋人」ができたくらいでそんなに嬉しいのかオマエは、と。」  そして、物語の終わりの1ページ前 「しかし、酔うまい。決して自分に酔うまいぞ。そう自分に言い聞かせながら、雪降る夜明けの町を歩き、しばらくうんうん頑張ってみたが、せめて今日ぐらいは自分に酔わせてくれと思って私は泣いた。」  物語冒頭、恋人を勝ち取った「勝者」の主人公は「自分に唾を吐き」、物語最後フラれて惨めな「敗者」の主人公は「自分に酔う」のである。  もう一つは、水尾さんをめぐる恋愛物語であるのに、水尾さん本人はほとんど出てこないということである。  恋愛の本質は相手の不在による。  不在の相手を思う気持ちこそが恋愛であり、その仮想性が物語になる。  この物語に書かれている水尾さんをめぐる様々なドタバタ劇のほとんどは、水尾さんには何の関係もなく、感知もせず、影響もないことなのだろう。水尾さんの不在において勝手に繰り広げられているのである。これぞまさに恋愛なのではないだろうか。

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    投稿日: 2014.08.06
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    くだらなさの中にキラキラが詰め込まれてて、微笑ましかった。読み切った〜みたいな達成感がないのが森見さんの特徴のような気がする。

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    投稿日: 2014.07.23
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    ストーカーかっ! うだつの上がらない大学生生活を描く。著者のデビュー作。「四畳半」や「夜は短し」に続く元になりそうな独特な文調が面白い。だが、私の腐った大学生活と文章がちょいちょいシンクロして憎めない。唯一違う点は、私にはそんなには分かり会える友が居なかったかとか。 叡山電車に乗ってみたくなる。

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    投稿日: 2014.07.22
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    さえないけど愛しい大学生活を、森見節の語彙とユーモアたっぷりに綴られる。 結局主人公は恋を成就できたのか、出来たならその復縁理由は?それ以前にわかれた理由は?追いかけてきた京大生たちはなんだったの?そもそもこのタイトルがそぐわなくないか?等、いろいろ突っ込みたい所も満載です。 途中で回想とか夢とか無駄に入れ過ぎで読みづらい。 けど、また森見作品は読みたい。今回も沢山の言葉に出会えました。

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    投稿日: 2014.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    森見氏のデビュー作らしい。この人の書く本は独創的だ。 主人公、京都の大学生・森本は元彼女にストーキング行為的なまずい研究に手を染める。それに一癖二癖ある友人達が手を貸し、クリスマスイブに下らないお祭り騒ぎを起こす・・・というナンセンスな妄想小説。内容は実にしょうもない。しかし、何か面白いんだよね。この主人公の妙に古くさい語り口と、誇大妄想癖が。 しかし、「鴨川ホルモー」を書いた万城目学と何か混ざっちゃうんだよなー。同じく、京都大学出身で京大生の青春恋愛コメディを書いていることが多いからかな。この二人の独特なユーモアは好きだ。でも、時々で良いや。

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    投稿日: 2014.06.14
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    森見さん好きなんですが・・・、やはり最初から格別に文章も上手かったのですが・・・、失恋男たちに捧ぐなんて素敵な切り口で期待も大きかっただけにイマイチかなぁ。水尾さんもそれほど魅力的に描かれておらず残念。ストーリーも無いような。ファンタジーノベル賞の受賞作を読むの初めてだったかも。まあその後の傑作の原型という事で、ええじゃないか?!(笑)

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    投稿日: 2014.06.11
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    森見さんのデビュー作。その後の作品の原型はあるが、読みずらい。最初にこの作品を読んでいれば印象は違うかもしれない。

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    投稿日: 2014.05.14
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    男汁溢れる、でもちょっと切ない物語。 森見登美彦お得意の疾走感。さくさく読めます。 今回も主人公は京大生。 女が読んでもおもしろい。 クリスマスなんて爆発しろって思ってる非リア充男子ならなおさら共感できるでしょう。 とにかくカオス。おもしろかった。 おまけに語彙力もUPします。

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    投稿日: 2014.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    途中まで読んで、そのまま1年ほど放置してしまいました。 今回途中から最後までやっと読みました。前半はかなりうろ覚えでしたが、ゴキブリキューブは強烈に記憶に残っております。想像しただけで恐ろしい。 これを読んでいて、主人公たち冴えないグループみたいに、仲間と傷をなめ合って、もっと大学生活をがっつりモラトリアムに満喫したかったなーと思います。 実際、似たようなものだったのですけど。(笑)また大学に通いたくなりました。学生っていいなあって思います。

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    投稿日: 2014.04.25
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    ありえなさそうで,どっかにいそうな冴えない男の物語。ファンタジー小説らしいのだが,この作品の面白さは僕にはわからなかった。

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    投稿日: 2014.04.22
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    久しぶりの森見作品。 へもさ炸裂!やはり可愛らしいなぁと思いました。 意味分からない部分があるにはあるけど、それも含めて味があります。

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    投稿日: 2014.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんでもマジックリアリズムというそうだが、なぜか読後感が切なかった。ただ男の失恋物語がこんなになるんだなあ。すごい。

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    投稿日: 2014.04.05
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    森見さんの作品はこれで5作品目くらいだけど、やっぱり最後の最後まで読んではじめて作品のメッセージに気付かされてほっこりする。途中挫折しそうになってもとりあえず最後まで読むべき。 面白おかしく描かれているけど、主人公はすごく一途で純粋な恋心が、素直になれなくプライドの高い性格によって回りくどくなってしまっているというお話。切ない。

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    投稿日: 2014.04.04
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    笑えてしんみりする非モテのための小説。とにかく表現が上手いし魅力的。これがデビュー作とはすごすぎる。非リアな悲しみをちょっとだけ笑い飛ばせる青春もの。いいね!

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    投稿日: 2014.04.03
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    全てのクリスマスファシズムと闘う者に読んでもらいたい一冊。誇り高き主人公は屈折すること180度。初めはのうちはもはやホラー。だが、次第に彼に畏怖の念さえ感じ、最後には360度回転して戻ってくると、可愛いらしくなってきてしんみり。くだらなくて、時々ぶっ飛んでいて、でも美しい森見ワールド全開である。なんといっても彼の文体が好きだ。日本語ってこんなに綺麗で奥深いのかと再認識できる現代作家さん。太陽の塔の描写は絶妙だった。それでいてくすりと笑いを誘う言い回しが魅力的。

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    投稿日: 2014.04.01
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    2014.3.25 am10:50 読了。あれ、どこがファンタジー?さらっと読み進めたため、気づかず混乱中。気をつけて読めば良かった。『夜は短し〜』よりアクが強い。そのため途中読み進めにくい。そのうち再読したい。最後の太陽の塔を見上げる彼女の姿が印象的。「すがすがしい草の匂い」「春の空気」「豆粒のように小さな人影」「精一杯背をそらせて太陽の塔を見上げ」「世界の果てのよう」まるで夢。ファンタジー小説であることに納得。蛇足だが、解説が本上まなみだったことに思わず笑った。

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    投稿日: 2014.03.25
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    「もさい」学生達が地味に自分達は正しいのだと無理矢理定義しながら世界を僻んでてんやわんやする話。 デビュー作ということですが最初っから森見節が効いてます。 世の幸せな男女を憎む男達の惨めでじめじめとした生活を書いてますがなぜかちょっとだけ寂しい話。 水尾さんのふわふわして掴み所の無いところ好きです。 古本屋で購入したため帯が付いていなかったのですが、画像の帯文を読んでから本を読めば最初もう少し入りやすかったかな~など思いました。

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    投稿日: 2014.03.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    出だしのインパクトがありすぎて全体的には期待はずれな感じ。モテない男子大学生がリア充への恨み節を延々と綴っているのが面白い。ゴキブリのくだりがリアルすぎてぞっとした。

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    投稿日: 2014.03.15
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    「太陽の塔」はパワプロ2013で「夜は短し〜」はパワプロ2013決定版みたいな感じ。大した違いはないけど、読むなら「夜は短し〜」の方。

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    投稿日: 2014.03.09
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    森見登美彦の小説としては三冊目に読んだ小説だが、他二冊(四畳半、夜は短し)に比べるとインパクトが薄かったのは、デビュー作であるためだろうか。最初にこの本を読んでいたら、四畳半や夜は短しには出会えてなかったかもしれない。

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    投稿日: 2014.03.06
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    すさまじいパワーと童貞臭。 (僕たちの日常の90%は頭の中で起こっている) この一説に、尊敬の念を抱きました。 堅苦しい文章と脳内妄想。 主人公の映像が頭の中で出来上がりました(笑) 物語としてはイマイチ意味不明ですが、主人公の見栄っ張り脳内日常を読んでるみたいで、クスクス笑ってしまいました。 2016/05/05 再読

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    投稿日: 2014.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    森見氏の原点であり自伝的ともとれる本作。久方ぶりに再読した。依然として氏の代表作と言って良いのではないか。主人公に感情移入しまくって、実に面白かった。もっとも、面白かったなどと一言で済ませてしまったら、主人公の「私」が憤慨するやもしれぬ。冴えない大学生が失恋から立ち直るまでを、彼の目線から描いた物語だからだ。あ、「冴えない」などと書くと余計気分を害して、ゴキブリキューブ(作中で登場する武器のようなもの)を投げつけられかねない。注意しよう。 私は以前読んだことがあったにも関わらずストーリーを忘れていて、実を言うと、読んだことがあるかどうかすら自信がなくなっていた。数年前に思い立って全蔵書を古本屋に売ってしまったので、本が手元に残っていなかったのだ。だが、読み始めてすぐ、この世界に来たことがあるぞと分かった。男汁溢れる大学生男子たちの生態は実に楽しい。 読んだのを忘れてしまっていたのは、ひょっしたら、あまりに自分自身の学生時代の空気とシンクロし過ぎていたからかもしれない。私の場合、クリスマスイブには彼女がいない男の集まりに顔を出して鍋を囲んだものだ。楽しくって「また来年もやろうな」などと言い合い、翌年には欠席した裏切り者を祝ったり呪ったり寂しくなったりして、最後は酒に飲まれて便器に抱きついたりした。今でこそ楽しい思い出として語れるが、当時は本当にぷつぷつと鬱屈してて冴えなかったなあ。 私は小学校で皆勤賞の賞状をもらったものだが、大学時代の聖夜の飲み会はそれ以来の皆勤賞となった。集まり散じて人は変われど、仰ぐは同じき理想の光ーー母校の校歌の一節である。私はあの皆勤賞で何を得たのだろうか。うまく言葉にできないが、それはそれで「ええじゃないか」と思う。今回は読書感想文というよりただの思い出話になってしまったが、それもまた「ええじゃないか」と笑っていただけたら幸いである。

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    投稿日: 2014.02.28
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    2014年1月、不覚にも2冊目を購入。すっかり忘れていた・・・。忘備録の意味ないじゃん。 っで、レビューを書いていなかったので書こうと思う。 約4年ぶりに読む「太陽の塔」。森見さんのデビュー作。のちの作品に通ずる展開。大学時代のもやもやとした青春物語だ。 「ええじゃないか」でカタルシスをむかえる自分考察。恋とは盲目ですなぁ。

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    投稿日: 2014.02.25
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    モテない男のバイブルですね。森見ワールド全開です。ダメな大学生たちが人の恋路をじゃましたり斜に構えて語ったりしてなかなか自分に正直になれない 。等身大のあかんたれを描いた作品です。

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    投稿日: 2014.02.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    もりみさんはやはりもりみさん。京都の大学を舞台にしたへたれ男子たちの日常+プチ不思議。呆れるほど馬鹿馬鹿しいことも高らかに格調高く謡い上げる筆力。できのよい頭の細胞と能力をあほらしいことにどこまでも真剣につぎ込む登場人物たちが大好きです。そしてやはり京都と(関西)いう舞台を最大限に利用した仕掛け満載の文章は圧巻。個人的には,『夜は短し』のほうが女性が魅力的に丁寧に描かれていたので好みですが,こちらはやはりデビュー作の勢いと力強さが勝っている気がします。日本ファンタジーノベル大賞だったのがへえという感じ。

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    投稿日: 2014.02.23
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    大好きな京都出身の作家3人のうちの一人森見登美彦氏の初期作品『太陽の塔』を読了。彼がこの作品の後に出した京都を舞台にした無頼派というか哀しいまでにさえない大学生の救いようのない毎日を描いた作品、狸達が主人公の京都での奇譚物語などをそこここで思い出させる強烈なデビュー作品です。今の作者にはあったみたいですが、彼はこの作品を書いたとき京大の大学院生だったとの事で、そのころだったら友人にはもちたくないたおぷだったかも知れません。究極の情けない大学生に失恋にまつわる独白をここまで笑える物に仕立てたさすが森見登美彦氏です。ある部分は自伝なんだろうんあ。

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    投稿日: 2014.02.22
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    20140218 ひっさびさに再読。7~8年ぶりくらいか。やっぱり傑作だ!後の森見ワールドに拡がる要素がいっぱい。阪急がマルイに変わったりなんだり、時の流れを感じるぜ。

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    投稿日: 2014.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夜は短し~、四畳半神話大系と時期を遡って読み進めていった。 主人公が元彼女の研究、そして、ええじゃないか騒動に画策する中で、元彼女の夢の中に入り込んだりと、他の二作品と比べて爽やかでミステリアスなのが印象的である。 内容も面白く、電車の中で年甲斐もなく笑ってしまう場面もあり人に薦めるに価する一冊である。。ただ、場面の展開が些か急すぎて読み直してしまう時が何度かあった。

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    投稿日: 2014.02.11
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    男汁が充満している学生生活は自分の学生時代と重なり楽しかった。男汁と空想と恋を作者独特の言い回しで描かれている作品。ええじゃないか、ええじゃないか

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    投稿日: 2014.02.09
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    私は古本市でこの本と出会った。本の中には紅葉で有名な京都の寺の入場チケットとこのもみじが挟まってあり、前の所有者であろう東京大学工学部の1回生(当時)だった文学少女が紅葉色のキャンパスライフを謳歌していたことは言うまでもない。 イギリス文学的な凝った言い回しが好き。

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    投稿日: 2014.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    レビューというより、思ったことを徒然と・・・。 なぜ水尾さんは別れを告げたのか? 言い換えれば、「太陽の塔」という、彼女のたましいに強く響いた存在を共有できた相手をなぜ無下にしたのか。 そして、主人公がプレゼントした「太陽光で動く招き猫(”太陽“にしても招き猫の形態にしても太陽の塔のメタファーでもあろう)」をなぜ無下にしたのか。 その招き猫は、彼女の深層世界において、太陽の塔のすぐ側に大切に置かれ、ゆらゆらと生きていた。「よけいなものが増えるのは嫌」という言葉の背景に何があったのか。 イブの日に飾磨を同席させたこと、そしてきっと最後までジョニーが活躍する関係にはいたらなかったこと(ジョニーを持て余して悶々という表現から)を考えると、水尾さんにとって主人公は「入って来すぎた存在」だったのかもしれない。 たましい(無意識)の世界を叡山電車という乗り物によって解放しながらも、最後にはひとりでいたい、でも入って来て欲しいという、彼女の複雑なこころの在り方を感じる。 だからこそ水尾さんという存在が、触れられそうで触れられない、でもそこにある、という幼いころに体験した神秘的な世界との触れ合いを連想させて、この作品を読んだ後に残る感傷的な気持ちを生み出したんじゃないだろうか。 個人的には、「邪眼」植村嬢、鷺森神社、京大生狩、あとは遠藤について、もう少し描いて欲しかったなぁ。

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    投稿日: 2014.01.27
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    京大生が馬鹿なことや、ストーカーまがいのことなどを、難しく文学的な言葉で言い表している。 語彙力、文章力に惚れ惚れすると同時に自分自身も使いたくなるような言い回しに思わず笑ってしまうような作品。

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    投稿日: 2014.01.07
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    森見さんの小説は好きやけど、これはちょっとハズレやったな。何を書きたいんかが良く分からんくて読みにくかったかな。

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    投稿日: 2014.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    森見さんの代表作で典型的な森見作品。 舞台は京都で、失恋した京大生が平気な振りをして、バカなことをやったりストーカー紛いなことをやったりするけど、最後の最後に自分はまだ降られた人のことを想っているんだとしみじみに気付いて終わる話。 相変わらずバカなことばかり書いていますが愛すべきばかっぷりです。

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    投稿日: 2013.12.28
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    ストーカー行為に及ぶ主人公から始まる物語は、危険な、異色な世界を描くのかと恐怖させるが、なんのことはない、どこかにいそうな頭でっかちの男子学生を軸として話は進む。 私、森見作品の中でこの作品を読むのは、何作品か読んでからなので、魑魅魍魎の跳梁跋扈する「魔界」の存在を楽しみにしていたが、そういうのはでてこず、ややおとなしめの作品に感じた。されど、理屈っぽく、失恋からなかなか踏み出せないでいる主人公の姿は何かを思い出させるような懐かしいにおいがした点、好感を持った作品であった。

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    投稿日: 2013.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ええじゃないか」 本作はこれにつきるかな〜 最初は非モテ大学生男の比喩表現のクドい独り言にしか受け取れず、なんだか鬱陶しい話だなーという印象でした。 けれど読み進めて行くに従い、それが妙な旨味となってじわじわ響いてくるような、妙な感覚がありました。シンパシー的なものなんでしょうか。いちいち面倒くさい比喩表現を額面通りに受け取ってイメージすると、自分も大学時代に感じていた退屈な日常が、ファンタジーに満ちた面白い要素に囲まれた世界に変化するということに気づかされたりする部分に、面白さを感じました。 本作の本質はそこじゃないかもですが、私はそれが一番本作で楽しめたポイントでした。 そしてクライマックスの「ええじゃないか騒動」。くだらないけど、これもまたじわじわくる可笑しさがあって、電車の中で読みながら心の中でニンマリしていたように思います。 その後の話はちょっと蛇足気味だったので「ええじゃないか騒動」でスパッと〆てくれた方がよかったかな?と思ったり。

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    投稿日: 2013.12.08
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    この本より後に発刊されたものを先に読んでしまっていたので、「あ、話がつながってるところもあるのか」と思いました。 わたしは森見さんの作風がとても好きなので、今度は是非順番通りに読み直してみたいと思います。

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    投稿日: 2013.12.01
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    最初、ストーカーの話?と思ったが、物語はスローモーションのようにゆっくりゆっくり…。 作者の文章力にあっぱれ。

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    投稿日: 2013.11.26
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    ファンタジーなのか はたまた恋愛小説なのか… ”モテる”という言葉とは全く無縁な 京大生である主人公と その個性的な友人たちが織り成す くだらない青春もの(と呼ぶのもおかしいかもしれないけど)としても読める 最初は、ヒロインである水尾さんを主人公がストーカーしている話かと思い不安になったが… 結末はどうなるんだろう?とけっこうスラスラ読めました。清々しい。

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    投稿日: 2013.11.23
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    文語調のような語り口で、ちょっと冴えない理系の京大生が、あれこれと屁理屈をこねくり回して、別れた彼女をひっそりストーカーするところから物語は始まる。 同じように上手く流れに乗り切れず、おかしな方向にエネルギーを爆発させる友人やら、黒髪で小さくて、ヤッパリ世間と少しずれてる可愛いヒロインやら、『四畳半神話大系』、『夜は短し歩けよ乙女』と似たような登場人物で、似たようなストーリーだった。 いちいち突っ込みたくなる語り口や展開はおもしろいし、突然ファンタジーな展開になるのもわくわくしちゃう。 『太陽の塔』→『四畳半神話大系』→『夜は短し歩けよ乙女』の順番で読めばよかったなー。書かれている順だけあって、後者に行くほどよりおもしろいと思う。ちりばめた伏線も回収するし。 『太陽の塔』はやや消化不良な感じだった。

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    投稿日: 2013.11.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    失恋後というのは、概して心の傷を癒すための行動に出るとか、思考の深淵にはまり込んでしまったりするものであるが、この男はそのような素振りはまったく見せず、己の道をひたすらに歩んでゆく。そしてこの男の周りに起こる日常のようで日常でない出来事の数々、どこまでが本当の話でどこからが妄想であるか、読み手が振り回されているような感覚に陥り、いつしか物語に引き込まれてゆく。たまに話が横道に逸れるところも面白い。人はこうして成長していくのだなというのは読後の感想である。

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    投稿日: 2013.11.10
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    入り込めたような、全然わからなかったような読了後。 面白かった気もするし、微妙だった気もする。 森見登美彦らしいなという気はしたけど。 笑えるところが多かった。ハハハという感じではなく、クスッとした感じで。

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    投稿日: 2013.11.09
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    非モテ系男子の妄想とダメさ加減が、素晴らしい描写で、繰り広げられる。まるで、自分の事のように…。 そして、文体も非モテ系男子の独白調で、僕をその辺の男と一緒にしないでくれと言うやり場のない自意識が、悲しい。 この本は、女子校の教科書にして、非モテ系男子を許容するという女性の懐の深さを身につけるバイブルとしてほしい。

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    投稿日: 2013.11.05
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    何と言うか……久々に「面白くなかったなあ~!(むしろそう堂々と言えることに清々しささえ感じる)」と感じた一冊でした。 森見作品にはファンの方も多いので、単に自分の好みと合わないだけだと思います。 しかし、自分の中では万城目さんと森見さんは勝手に同じ括りに入る作家さんだと思っているのですが、万城目さんはツボで森見さんは苦手なのはどうしてだろう。不思議でなりません。 万城目さんの話はまだギリギリ現実味があるけど(そうか?)、森見さんの話はキャラがぶっ飛び過ぎていて、より天然度が高いからでしょうか。 なんだかちょっとお洒落でふわふわしているイメージです、森見作品の登場人物達。 あ、人間じゃない不思議な生き物が出てくるかどうかの違いかな……。 いや、でも夜は短し~には不思議な生き物出てくるしな。 苦手と言いつつ、実は惹かれる要素は既にどこかで感じ取っているのかもしれません。

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    投稿日: 2013.11.01
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    冴えないモテないしかも失恋してしまった大学生が、ストーカじみたことをしたりとか、なにかとから回っているお話でした。結局、ただダメな大学生が、ああだこうだとなにかと意味不明な言い訳をつけながら、ほとんど無意味に日々を過ごしてるだけなんですが、そのなかに起きるちょっとだけ奇妙な出来事とか、そのどうしようもなさとか、それがとにかくおもしろおかしく書かれていて、しかもなんとなくかわいらしい。テンポのいい森見節がほんとにきもちいいです。おもしろかった!

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    投稿日: 2013.10.30
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    アニメ「有頂天家族」がとっても良かったので、 初めて読んでみた~。 京都行きたい。 最初どうなっちゃうの、、と思ったけど、モテない大学生の空回りがキモカワイイ。 モテない大学生だったから、アハハ、共感。

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    投稿日: 2013.10.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    京都大学近辺を舞台に失恋した主人公がさまよい疾走する物語。 冒頭から「水尾さん研究」なる、いわばストーカーのような行動をとっている主人公、あくまでも自分の行動はストーカーではないと言い訳するのに要いる論理が非常に面白いです。 その他の登場人物も非常に面白い。「夢を無くした男」飾磨、「突然美女に追いかけられおびえる」高藪、「常に法界悋気にどっぷりつかっている」井戸。 特に飾磨は名言を多く残しています。「われわれの日常の90%は頭の中で起こっている」「クリスマスファシズム」「幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を1つ産みだした。その分は勿論、俺が頂く。」 途中、主人公が遠藤に送ったゴキブリキューブのプレゼントのところは非常に面白かったです。でも実際に想像してみると気持ち悪くてしかたがないけれど。 森見さんワールド満載で最高に面白い!

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    投稿日: 2013.10.23