
総合評価
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powered by ブクログ色彩を持たないと思い込んでいる多崎つくる。 死に追い詰められるぐらい心に深い傷を負い、年上の彼女に導かれながら立ち直っていく様子が描かれていて、読了後は心に少しの清涼感が残った。 ただ、灰と緑がどう関連しているのか、自分には読み取れなかった。時間をおいて再読してみたいと思う。
5投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログまずタイトルと設定と主人公の名前が本当に好きすぎる。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。 アカ、アオ、シロ、クロ、と多崎つくるの、かけがえのない5人組。突然それが無くなった日。死ぬことだけを考えた時期。1人で海を泳ぎ切って生き抜いた日。 大学生になってからの灰田(彼もまたグレー。)との日々。そして大人になってからの沙羅との出会い。 彼女の助言によりかつての色のメンバーのもとを訪ね歩いていく。真実を知り、自分について、人生について考える。 リストの「巡礼の年」の楽曲。 多崎つくるが自分で見つけた答え。 分厚いようだけどサクサク読めて、最後は爽やかに読み終えた。多崎つくるくんのことをすごく好きになってしまう。君はもっと自信と勇気を持っていいんだよ、と。 5人でなら実現された「完璧」は、ずっと続くわけがなくて、それに気付いてそれに耐えられなくて心のバランスが崩れてしまったシロの気持ちが分からなくもない。いや分からんけど。感受性が人一倍豊かならなおさら、終わることが怖くて、変わることが辛い。今が幸せであればあるほど明日が怖い、幸せに慣れない人。自分でそのバランスを崩すために、リンクがいちばん弱っていた多崎つくるにレイプされたと嘘をついた。その弱さと、嘘だと分かりながら多崎つくるを追放した他の3人の弱さ。 ただ誰がどんなに足掻いても崩れるものはいつか崩れるわけで、多崎つくるが抜けた後の4人はそれはそれでダメだった。 多崎つくるの見る性的な夢は、シロとクロと、さらに灰田が関わってくるのもよく分からない。自分の中の性的欲求が夢として出てくるんだろうけど、どういうことなんでしょう。性的欲求は誰にでもあるからな。 村上春樹のひらがな4文字返しかっこよすぎる。「あるいは」。 p22 最初に沙羅会ったとき、どこかから延びてきた匿名の指先によって、その背中のスイッチがしっかり押し込まれた感触があった。 恋に落ちたことをこうやって表現できる村上春樹すき。 p285 シャワーを浴びて服を着替えたときにはもう夕方になっていた。しかし窓の外は真昼のように明るかった。空にはくっきりと白い半月が浮かんでいた。まるで使い古された軽石みたいに見えた。誰かが空に放り投げ、それが何らかの理由でそのまま留まったのだ。 空に浮かぶ月をこうやって表現する村上春樹すき。 p420 すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ。 僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない
3投稿日: 2024.02.28
powered by ブクログ読書が嫌いだった頃の話。 大学受験で缶詰で勉強中。 とある先生が息抜きに読書でもいかが〜。 こちらの本は読みやすいけど、深いよ。と、 呑気なことを言ってた、 そんなこと知るか、と思って適当に流していた。 第一志望の駅弁大学に合格した。 何もない田舎町。 時間はあるけど、お金はない。 体力はあるけど、お金はない。 ふと高校の先生が言ってた言葉を思い出す 読書なんて、、、 と思いつつ手に取ったこちらの本。 読者の心情を考慮しつつ、一度通読。 分からん。 なぜ、大学時代のつくるは辛い思いをしてまで、旧友を避けるようにしたのか。 なぜ、センシティブな夢の内容まで鮮明に綴るのか。 なぜ、女の人が自然とつくるに寄ってくるのか笑 受験で高得点を取るために拵えられた頭では理解できなかった。 しかし、何かが心にわだかまりを残す。 読み手を突き放すようなわだかまりではなく、どちらかというと、受け入れるようなわだかまりに近い。 もう一度、さらに時間をかけて通読。 もう一度、、、 読み進めるたびに謎が理解できる部分もあり、新たな謎が生まれる。 しかし、温かいお風呂に浸かっているような感覚になるのはなぜだろうか。 この感覚に浸っていたい、その願いが僕をハルキストへと変えていった。
1投稿日: 2024.02.28
powered by ブクログ中盤までは面白く読み進めた。 ラストの伏線回収に期待してしまい 全部が含みのある迷宮入りで スッキリ出来なかったのが残念。 それが村上春樹なのだと言われると そうなのかもしれないけど 私は結末が明確な方が好きかな。
1投稿日: 2024.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自分が選んだ以上、後戻りはできない。 多崎つくるもその友人達も定められた場所で、それぞれの道を歩み続ける。 後戻りができない哀しみを胸に抱えながら。 この小説はある意味、村上春樹らしくなかった。スピーディな展開。いつも楽しんでいる遊びの比喩も少ない。でも、しっかり深みがある。東京、名古屋、浜松、フィンランドと物語は横断し、かつ哲学的だ。 個性的であろうとして自分を見失うより、自分が心地よいと思う方を選んでいけばいい。そうすれば自ずと個性は生まれる。そんな勇気をもらえる。 自分だけが傷ついているのではない。相手も同時に、あるいは違う相手を傷つけているかもしれない。 私が一番好きな場面はフィンランドで旧友に再会する場面。「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」 どんな諦念が頭をもたげても、信頼とか希望という言葉を心のどこかで信じられるそんな気がした。 終点を迎え、あたたかい風がほんの少し吹いている。
61投稿日: 2024.01.29
powered by ブクログ本屋で色彩検定の本を買うつもりが見当たらず、 色彩繋がりでこの本を購入。 主人公の多崎つくるが突然、親友4人から絶縁を申し込まれたという話。 読み進めていくと、親友の一人であるシロが殺害されていたとわかり犯人等、さらに謎が生まれた。 なにが起こったのかどんどん知りたくなった。 しかし、謎は回収されることなく終わった。 過去の出来事や恋人との未来の結末がはっきり書かれていないので、とても気になる終わり方となった。もやもやが残った。
2投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログ村上春樹氏の作品を久し振りに読んだのですが、何とも感受性が強いというか、自己陶酔的というか、とにかく自分には共感できない雰囲気でした。高校生の時に発売直後のノルウェイの森を読んだ時のような瑞々しさを感じなかったのは、自分が歳をとったからだろうか。
2投稿日: 2023.12.29
powered by ブクログ個性が無い人なんていないんだよ。 色が約1677万色あるように、 誰でも自分らしい色というものを持っていて 自分には個性がない特徴がないと思い込んでいたとしても、今あなたの周りにいるお友達は皆 “あなたらしさ”に つまりあなたの色に惹かれているんだよ。 あなたがその友達を必要としているように、あなたも必要とされているのです。
3投稿日: 2023.12.25
powered by ブクログ村上春樹さんの作品の中ではかなり読みやすい方だと思う。 現実的。 見上げれば月の横にもうひとつの月があったりすることもないし、意味深な井戸もないし、変な鳥も鳴かないし、絵の中のおっさんがボヨヨヨーンと出て来て話しかけてくることもない。 特に暗喩らしいものもない。 読みやすい。スラスラいける。 途中まではミステリーっぽかったけど、まあさすがに真犯人とかは出てこない。 なんとなく終了。 読み終わっても特に何も心に残らなかった。 初期の作品の方がやっぱり好きだな。 作者の主人公はだいたい女によくもてて、経済的にも恵まれてる人物が多い。 あー、うらやましい_(:3 」∠)_
47投稿日: 2023.12.02
powered by ブクログ個人的には少し難しい内容だった。 気になる部分が多いまま読了した感じ。 でも、これが村上春樹の世界観なのか...?? といった印象。 指の話も、結局どうなったかも読者の心で 考えさせるような作品でした。
1投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログそのような普通でない資質を持ち合わせることが、本人にとって何を意味するのか、灰田青年には実感として理解できなかった。それが持ち主にとって至福なのか、重荷なのか。恩寵なのか、呪いなのか。あるいはそれら全てを同時に包含したものなのか。 君は自分の気持ちを正直に口にしているだけだ。言い訳とは違う。 初の村上春樹。欧米的な言い回しや例えの表現、哲学的な節はファンになる人が多いという印象。今風の夏目漱石や太宰治という感じ。これが初めてなので作品全てに通じているかはわからないが、もう一作は読んでみたい作家だと思った。 昔の友人関係、今の恋人、自分の存在意義、と色々な話題が混ざって進んでいき、どうなるのかハラハラしながら読んだが、残りのページ数からこういう結末になることが透けて見えてしまった。元々そういうミステリー的なことは狙っていない感じがしたが、今の恋人関係は白黒つけて欲しかった。言わない美しさがあるんだろうけど。 こんな淡白な主人公なのに、性的描写が散りばめられているのにも戸惑い。何回押し付けられた乳房のこと言うねん。 30半ばの同級生の、存在意義を見いだせない問題は、たとえ結婚して子どもがいても、考えようによっては共感を得られると思う。主人公は所属官はなくとも、ある程度望んだ職種に就き、ライフワークにもなる趣味があり、不安定ながら恋人もいて、何より経済的に安定している。人それぞれに、何が欲しくて生きているかを考えさせられる。 話は個人的にはもやもやするところもあったけど、文体は好みで時間を割いて読もうと思えた。
2投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログつくるが節々で、どうしようもなく沙羅を求めてしまって、電話をしたり会う約束をとりつけたりしてしまっているところに痛いくらい共感した。そして沙羅があなたは高校の時の友達にあうべきだと言ってくれたのはそれがわかっていたからだと思った。受け止めてくれているのだと思った。村上春樹の小説に出てくる主人公は女性に対してオープンな弱さを持っていることが多いが、それは幸福なことだと思う。自分と重ね合わせてつくづくそう思う。
2投稿日: 2023.11.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ちょっと設定を戦隊モノにしすぎな感はあるけども、自分を他人と比較して色のない、空虚な人間に感じて苦しむことは誰しもあるはず。 空っぽなりにどこまでも素敵な入れ物になればいい。 と思ったけどつくるくん、社長パパがくれた恵比寿のマンション住みイケメンの時点で普通に腹立つ。自分にとって何が心地よいか自覚できているところも。 地獄は等身大に人それぞれなのだけども。
2投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ村上作品の中では一番イマイチだったかな。 つくるが身勝手過ぎて冷める。 夜明け前に電話。折り返しかかってきても出ない。とかね。 可能性に満ち溢れた過ぎ去った青春を、自分と重ね偲ぶにはいい作品でしたが。
1投稿日: 2023.11.10
powered by ブクログ・エロティック。情熱的。村上さんはいい意味で変態だと改めて思った。自分も感性鈍らせたくない&感情を表す語彙力増やしたい。 ・ミステリーかと思ってたけどむしろ日常の話だった。
2投稿日: 2023.11.03
powered by ブクログ初、村上春樹さん。 独特の世界観だと思った。 特につくると灰田の会話、高次元すぎて難しかった。 フィンランドでエリと再開するシーンが特に好き。 フィンランドの自然が目に浮かんだ。 つくるの16年のモヤモヤが濾過されていって、良かったと思った。
2投稿日: 2023.11.01
powered by ブクログ自分の過去と向き合うことを選んだ多崎つくる。 色を冠する名前を持つかつての友に会いに行きながら真実を見つける姿は、まさに巡礼である。 文字と音楽が混ざり合うような感覚がとても心地よく、流れるように読み進めることができた。
2投稿日: 2023.10.23
powered by ブクログうーん、微妙w 村上春樹は苦手なんだけど、一応読んでおくか…と2年に1度くらい読む。 だけど今回も無理だった… 主人公は仲良しグループ5人から締め出されてしまう。 その理由は、主人公がグループの1人をレイプしたから。とその被害者から告発される。 しかしそれは本当ではない。そんなことは起こらなかった。 そのことが、長い時間を置いて明らかになる。 主人公は16年の時を経て、当時の仲間達を訪問する。 だけど、なんだろう。この皆さんの他人事感は… なかなかに酷いことをしたのに、淡々と語る皆さん。そして主人公も淡々としている。 不思議と淡白で、感情の薄い登場人物たち。 ファンからするとこれがオシャレ感なのかもしれない。けれど自分には、不気味な世界の不気味な人たちにしか思えなかった。
9投稿日: 2023.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
もっともっと観念的な話かと思っていたらストーリーも面白くてあっという間に読めた。独特の言葉遣いがクセになる。
1投稿日: 2023.10.15
powered by ブクログ単行本発売当時TVで取り上げられらのはもちろんのこと、ことのほか記憶に残っているのはAmazonに書かれたレビューだった。そのレビューは当時ネットで話題になり、むしろレビューの方が面白いと言われるくらいの名レビューとなった。 そのレビューの印象が強すぎて、読んだこともないのに「ふーん、そんな内容なのね」と通り過ぎて約10年。ちゃんと読むことができました。 感想を言うと、悪くない。むしろ結構好きな内容だった。今までの村上作品と比べるととても平凡ではあるけれども。
12投稿日: 2023.10.09
powered by ブクログ有名な著者だから村上春樹くらいは読んでおこうと思って手に取った。 ノルウェイの森は5回ほど挫折している。 しつこい性描写、比喩、自分に酔ってる主人公と昭和の男女の雰囲気が合わなくて読むのをやめた。 Audibleなら最後まで読めるかも、と思い聞き始めた 読者が置いてきぼりにされる部分もあったけど、所々の表現が素晴らしく眼の前に情景がありありと浮かんだ。 なんだかノルウェイの森に似ている 村上春樹の作品で根暗みたいな主人公と、凛とした女性、しつこい性描写はあるあるのようだ。 結論もなく、伏線回収もない 煙のように何も残らない作品 だからこそ、みんなの感想を読むのが面白い この世界観に酔えるハルキストが羨ましいなと思った 自分から行動しないと生きた心地がしないんだな やっと沙羅に思いを伝えることで色のある人生になる ただ過ぎていくものを見ているだけでは、色彩がない人生だ
1投稿日: 2023.10.01
powered by ブクログ独特の世界観ですね。 読んでいるとストーリーに魂をもっていかれる感じがします。 現実と空想の狭間というか、フィクションとノンフィクションの間とでもいうのか。 言葉にすることが難しい世界観がありました。 以下本の抜粋になりますが、まさにそんな感じです。 ”どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはあります”(抜粋) 高校時代に5人グループに所属していた多崎つくるが、ある日他の4人から縁を切られる。その理由を探すべく、昔の仲間に会いに行く、というお話。 途中、ミステリっぽさも出てくるのですが、それはあくまでスパイス的な要素になっていて、それ自体はそんなに意味はないんですよね。 (多崎つくるが脱皮する要素に謎解きは必要ない) 何故つくるは4人から縁を切られたのか。 その理由がつくるの中で腹落ちした時、過去のしがらみから解放されていきます。 昔の仲間に会い、縁を切られた理由を知ることはつくるにとって失われた過去を取り戻すための行動だったのかもしれません。しかし、実際に仲間と会い、懐かしい日々は戻らないことを突き付けられます。この儀式があってこそ、つくるは次の一歩を踏み出すことができたのだと思いました。 うーーーむ。ふわっとした感想だなぁ。笑 「ノルウェイの森」の雰囲気に似ていると思たのは私だけでしょうか?メンタル疾患の女の子が出てくるからそう感じるのかなぁ。 しみじみ。
14投稿日: 2023.09.28
powered by ブクログミステリアスな出来事が多くて最後まで引き込まれるんだけど、内容的にはつくるくんの心の成長の話なのかな。 ただ最後はハッピーエンドだと良いのだけど…沙羅ちゃんの真相はどうなのかとても気になる。 灰田が何故忽然と消えたのかも謎だし、シロが誰に絞殺されたのかも謎のまま。 まだ村上春樹の作品2つ目なのでよくわからないんだけど、村上ワールドってこういう感じなのかな…それともたまたま? つくるだけの心の成長としてはとても納得できて私は好きなタイプの話なのだけど、とにかく謎のままの部分が多過ぎて消化不良な感じもあるかなぁ〜
1投稿日: 2023.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて読んだ村上春樹の小説でした 主人公が論理的というか感情に乏しすぎて、自分の感情に対して無関心なのが面白かった 私も自分の感情に対してよく迷子になるから分かるけど、この主人公は徹底的迷子って感じの物語だった だから色々な苦悩の末、最後の告白の言葉に血が通った感じと他人を信じてみたい気持ちがよく現れていて感動した でもそこに至るまでが長くて淡々としているし、最後も全て解決です!!という終わり方では無いので好みが分かれそう 私はもう少し続きが読みたいと感じた あと主人公が性的なこと定期的に考えるんだけど…異性ということもあるかもしれないが自分には無い感情で興味深かった 印象的だった言葉メモ 限定された目的は人生を簡潔にする 自分の持ち合わせていない才能や資質が欲しいと真剣に望んだことはなかった 不満や不足をどこか違う場所にわざわざ運んで求めなくてはならない類のものではない 人生の破綻の時期
1投稿日: 2023.09.23
powered by ブクログ辛い過去を忘れるだけでは、前に進めたことにならないのか 自分の「巡礼」は終わってないのかもしれない 「人の心は夜の鳥なのだ。それは静かに何かを待ち受け、時が来れば一直線にそちらに向けて飛んでいく。」
1投稿日: 2023.09.11
powered by ブクログ必要な苦しみは正しく味わわなければいけない。それが人生にとっては必要なこと。主人公の現実での葛藤とフィクションとか絶妙に入り混じり、余韻を残す。思春期に覚える妙な意識をイキイキと書いた作品。美しい。
1投稿日: 2023.09.05
powered by ブクログ途中まで先が気になって一気に読んでいたけど、最後に空中に放り出された。余白は読者に想像させるけど、私には大きすぎる余白だった。
2投稿日: 2023.08.29
powered by ブクログ文庫版を1刷で買ったけど、Amazonのオシャンティなレビューで読んだつもりになって何年も積読になってた 自殺念慮から始まったり、抽象的な(知的な)会話が続いたり、読むのに勢いがつくのに少し時間がかかったが、1/3ほど読んだところからやっと勢いがついて最後まで読めた 著者の全ての作品を読んだ訳ではないけど、他の本よりもファンタジー要素は少なめ 村上春樹の作品が10年以上ぶりで、昔の本も読み返してみようかなぁ。。。とも思ったけど、最後で説明しすぎ 余韻を残して終わるなら、ちゃんと余韻を味合わせて欲しかった
1投稿日: 2023.08.27
powered by ブクログ何十年ぶりかの村上作品。 それだけにある意味、新鮮だった。 人間の描写が繊細かつ奥深い。 友達の喪失や自己嫌悪に生きる気力すらなくす主人公が、関わる人との縁もあり向き合う姿が美しいと思った。 何年か後に、再読したいと思う。
2投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログAudibleで通勤途中や育児細切れ時間に耳読書。村上春樹は何作か読んでは挫折するものの、再起を狙い、分量が長すぎず短すぎずの本書を選択。 村上春樹らしいしつこい比喩、性的描写、根暗っぽい登場人物、そして回収されない結末。あらゆる面で期待通りである。多忙な日々に束の間の妄想、空想の旅をする目的においては、自分的に二重マル。向井理の語りが耳にも優しい。おそらく村上春樹のわりに入り込めやすいストーリーでもある。ただやっぱり村上春樹にのめり込むには、自分はあまりに凡人なのだろうと実感し、次回はしばらく間を置いてからにしようと思い至って本を閉じる。
2投稿日: 2023.08.12
powered by ブクログ初めて読んだ村上春樹作品。 冒頭3ページで知らない言葉がたくさん出てきて、読書初心者の私としては挫折の匂いがぷんぷんしたが、筆者の言語能力の高さや情景描写のうまさから本を読んでいて得られる情報は文字だけなのに、映像として脳内で再生できてしまい、次のページを巡る手が止まりませんでした。 沙羅は?灰田は?灰田の父は?沙羅の別の男は?と気になるポイントも多々あるが、人間は誰しもが孤独で、誰しもが何かに依存している、単独では色を出すことはできないけれど、人との繋がりを通して色彩をつくることができるんだと考えさせられる作品でした。
0投稿日: 2023.08.01
powered by ブクログ多崎つくるの感情に共鳴してしまい 装丁のような色が混ざり合う世界にしばらく彷徨う日々でした 他の作品が読めない状態になり それが苦しくもあるのだけど 言葉にすると消えてしまうような感情に浸ることが次第と心地よくなり… 素晴らしい作品に出会うことができ 揺蕩うような余韻に浸る事ができたことに感謝しました 名前に色彩を持たない多崎つくるくん… 自分自身の事をいつも個性がなく 色のない面白みに欠けた者だと遜っていたけれど 私には高校時代に完璧に調和のとれた4人の 親友(心友)と出会った多崎つくるくんを とても羨ましく そして眩しく映りました リストの『ル・マル・デュ・ペイ』の音楽を聴きながら 多崎つくるが過去に追った深い傷をなぞり 40歳を目の前にする時期に 親友と再会(巡礼)していく旅を深く味わいました “正しい言葉はいつも遅れてあとからやってくる” 人との調和は 実はお互いの脆さや痛みという傷によって 深く結びついていくのかもしれない… そして正しい言葉は遅れてやってくるけれど それは少なからず 探し続けている者だけに 訪れるものだと思う… それならば 私は重い荷物を背負ってでも 自分を探し続ける人生でありたいな… やっとこの想いを言葉にする事ができたことで 次の作品の世界に気持ちよく入っていけそうです!! こんなに時間がかかるとは _____ やれやれ…(笑)
4投稿日: 2023.07.23
powered by ブクログ初の村上春樹作品 初心者におすすめとあったので挑戦してみた 普段はエンターテイメント性の高いミステリーばかり読んでるので、途中で投げ出してしまうかもと心配だったが杞憂だった 表現が多彩で、悪く言えば回りくどい感じなのに、サラサラ読める 想像の倍は読み易かった あっという間に読了 伏線が回収されないとあったけど、個人的には気にならなかった 爽やかな読後感 他の作品も俄然読みたくなった
2投稿日: 2023.06.25
powered by ブクログAudibleにて再読。つくるは何故高校時代の仲間4人に疎外されたのか、すっかり忘れていた自分に驚いた。確かに、この作品は一度さらっと読んだだけだった。白と黒との夢は、「ねじまき鳥クロニクル」のクレタとマルタを彷彿とさせる。そこは村上春樹氏的に、好むと好まざるとにかかわらず、絶対に書かなければならないものだったのであろう。
2投稿日: 2023.06.24
powered by ブクログ初めて村上春樹の本をちゃんと読んでみた。 つくるという名前、「色彩を持たない」「巡礼」すべてが「繋がって」いて、出会うもの離れたモノ・コトすべてに意味がある。
1投稿日: 2023.06.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。 続いたのが数年であったとしても、高校時代に「完璧な調和を成す関係」を持つことが出来たつくるを心底羨ましく思った。お互いがお互いを求め、共に過ごすことに大きな価値を感じるような関係性。そんな素晴らしい感情を抱けるような相手に私も出逢いたいものである。登場人物の名前及び、つくるの巡礼の前に起こった出来事さえも全て「繋がり」があり、伏線が張られていて良かった。沙羅との結末が分からなかったのが難点であるが、個人的には沙羅と結ばれることによって多崎つくるに「色彩」を持たせてあげて欲しいと思った。あるいは、つくるの持つ色彩に気づかせてあげて欲しい。 P.S. 言うまでもないが、村上氏の語彙と言語化能力、世界の解像度の高さにはやはり感心である。
2投稿日: 2023.06.06
powered by ブクログ「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない。」
2投稿日: 2023.05.31
powered by ブクログ説明が長すぎ。読み飛ばしてしまったせいかもしれないが全ての点が線になる的な感動はなかった。でも面白い。
1投稿日: 2023.05.26
powered by ブクログ仲良しグループからの追放に新鮮さを感じたすぐあとに、男女構成とわかる。良い意味でこれはやっぱり村上春樹なのだなと察した。物語だとよくある光景だけど、やっぱりその類いの香りがする。そして女は美女と醜女であることがこの作品の中では重要。 どの道を辿っても、究極の選択肢を迫られて窮地に陥っても、生きてさえいれば、現在の自分にたどり着くこと。巡礼(彼らに会いにいくこと)することにより、それぞれが抱えた16年の緊張した関係が緩んでいくのを感じた。もうこの先、会うことがなくても。会ったとしても。 それと、午前四時前の現実離れした甘美で理想的な雰囲気の時間があるということを知った。 また彼らと同じ歳になったころにこの作品を巡礼すると思う。
6投稿日: 2023.05.18
powered by ブクログ学生時代の親友たちに突如縁を切られた主人公・多崎つくるが、十数年のときを経て、当時何があったのか親友たちのもとを巡礼する物語。 故郷から離れた、多崎つくるが、故郷に残り生活する親友、故郷から遠く離れた異国の地で生きる親友と再会し、それぞれの十数年に想いを馳せていく様は、誰しも共感できるところがあるのではと思った。 多崎つくるのように、人には、いつか巡礼しなければならない時と場所があるのではとも。
2投稿日: 2023.05.14
powered by ブクログ人には誰しもそれぞれの人生があり、痛みがあるのだということを再確認できた。自分自身、もっと自他との区別をつけて、生きていくべきなのだろう……。色々と思い悩む時期にあり、今読んでよかったと思えた。 前半部分では絶縁をされた主人公に感情移入し、他の四人にあまり良い感情を抱けなかったが、進むにつれて他の四人に対するイメージが緩和されていったのが印象的だった。 タイトルも美しい。 印象に残るフレーズ・比喩はたくさんあった。今回はちゃんと付箋をはりながら読んだので、折にふれて読み返そうと思う。 個人的にとても好きな比喩を一つ。 (p347)そこにある無言の思いは、地表をえぐり、深い湖を作り出していく古代の氷河のように重く、孤独だった。
1投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ村上春樹の本を初めて読んだ。感情の描写が細かくて目の付け所と比喩が独特だった。 みんなが色で呼び合っていたときにつくるも名前に色がなくとも仮に色をつけてやってほしかった。彼は繊細やから。 色がない名前に加え、縁の下の力持ちのような性格、繊細さが、名前も「自身も」色がないと思い込むことを加速させてしまったんだろうな。 でも色に囚われていたのは彼だけかもしれないな。 つくるの名前に色が入っていたらまた人生が変わったのかなとも思った。 追記 つくるがいなくなって徐々にグループが解体していったように、つくるは「色をつくる」人だったのかな。つくるがいたからみんなの色があったのかな。 追記 つくる、物事の見方が色眼鏡すぎ?
2投稿日: 2023.04.21
powered by ブクログ村上春樹さんの作品は、とてもリ読み心地がよく、スッと体に入ってくる感じがして、とても好きです。 ぜひぜひ読んでみて下さい。
11投稿日: 2023.04.14
powered by ブクログ「限定された目的は人生を簡潔にする」 「空っぽの容器だったとしても、どこまでも美しい形の容器になればいい」 「君は色彩を欠いてなんかいない。素敵な駅を作り続けているし、一人でフィンランドにまで来ることができる。どこまでも立派でカラフルな多崎つくるくんだよ」 心に響いた言葉
2投稿日: 2023.04.01
powered by ブクログ久しぶりの村上春樹作品。 前回読んだのが「1Q84」だったので、実に7年ぶり。 これも発売当初はかなり話題になったけど、文庫本が発売されるまで待ってたんだよね。 特別ファンという訳でもないし。 村上作品の中では、これはかなり読みやすい。 不思議な所がほとんどないし、現実にあり得る話だし。 あ、そうそう。 舞台に「浜松」が登場します。 名古屋出身の美人ピアノ教師が浜松で暮らします。 興味があったら読んでみてください。 村上作品の中によくある不思議な世界が苦手の方でも、この作品はすんなり読むことができると思います。 そういう意味では、村上作品っぽくはないんだけどね。
2投稿日: 2023.03.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
多崎つくるの人間性に、自分と共通する部分がいくつかありました。自分は与えられるだけで、自分から与えられるものはわずかしかないのではないか。 そんなつくるに「色彩はある」と言ってくれる周りの人たち。つくるを傷つけないように言ってくれているのかな? 5人の関係性が途絶えてしまった理由も、もしかしたら、残りの4人がまたうまく示し合わせてちょうどいい理由をでっち上げたのでは?なんて捻くれた考えも起こしてしまったし、シロの死の原因もつくるの思考の範囲内でしかないので、結局どうなんだろうなと思いました。 最後、なんでまた電話かけちゃったかなぁって思いました。
2投稿日: 2023.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全てこの事が伏線回収される事なく終わった。 この本では特段必要ない事だからだろう。 人生のでの良い出会い思い出があれば、別れはその分辛くなる。そんな事柄が人生や人を作っていってる。
2投稿日: 2023.03.06
powered by ブクログ村上春樹ってこんな感じなんだ。 何一つ形が出来上がることなく、読者を置き去りにして、自身の表現に酔いしれてるかのような、不満しか残らなかった。
1投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログ心に傷を負ったつくるは死にたがっていた。自身の内なる世界を見つめ、その空虚で、色彩のない深淵に、自分は生きる意味がないと悟る。 内的世界の探訪は、時に見たくないものを発見してしまう。苦しむことにはなるが、直視し、私の輪郭を、生きる意味を掴んでいきたい。
4投稿日: 2023.03.01
powered by ブクログ「私もあなたのことかとても好きよ。会うたびに少しずつ心を惹かれていく」と沙羅は言った。そして文章に余白を設けるように、少しだけ間を置いた。
1投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とても素敵な本だった。 過去の親友達から絶縁された多崎つくるが、足跡を辿るように名古屋やフィンランドへ向かう様子は、からっぽだった心に大事なものがひたひたと沁み渡るような感覚になりました。
2投稿日: 2023.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
20年ぶりくらいに読んだ村上春樹作品。 特にフィンランドでの部分は、情景がきれいに浮かび、リストのピアノ曲のBGMもあいまってとても美しかった。 最近流行りの「伏線回収」がなされないエピソード。灰田はなんだったの?灰田のお父さんのピアニストのエピソードは?という疑問が残り、それがより深くこの物語の言わんとすることを考えさせる。 正直言うと、解説…ほしかった…
3投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大学生の時、村上春樹好きの友達に教えてもらった本。 小学生の時の読書感想文さえまともに読まず書かずだった自分が最後まで楽しんで読むことができた。 仕事中やお風呂に入ってる時など、本は読めないけど頭が動かせる時、あのシーンはどういう事だったんだろう、何が起きていたのか先が気になる…ってずっとこの本に意識が持ってかれてた。 読んだ後もずっと頭の中に残ってる。 もっと読みたい!これからどうなるの?どうなったの?という時に話が終わってしまったので少しもやもや。 でも、友達が言ってた「読んだ後はその本について誰かと語り合いたい」ってのは分かった気がする。 試験が終わった後に友達と答え合わせをしたい感覚に似てるかも。 こういう事で合ってるのかな?それともこうかな?って。 「誰も欠けてはならない」という絆。 それ故の「もしこの状態が保てなくなったら」の不安。 人それぞれの感じ方・考え方・強さ(弱さ)。 周りから見えてる自分と自分が思う自分。 少しのズレや気がつかなかったこと(気がつけなかったこと)が上手い具合にすべて合わさって大きなズレが生じ、みんなそれぞれ苦しむ事になったんだなって。 もっと早く真実を明らかにする事だって出来たかもしれない。 だけどあの時はそうするしか無かった。 解決に時間はすごくかかったけど、死を乗り越えた時みたいに(ターニングポイント的な)顔つきが変わった気がした。 沙羅さんを失いたく無さすぎて最後は落ち着きがなかったけど、前のつくるよりも温かさを感じた。 あと、灰田と沙羅が気になってしょうがない。 知ってるようで知らないことがたくさんある(あった)2人。 沙羅さんのこと考えてどうにもならなくなって朝4時に電話しちゃった時、「安心してゆっくり眠りなさい」って言ってくれたの信じていいんだよね!? 最後のページちぎれてるんじゃないかって疑うほど絶妙な所で本が終わった。 まだその人達の物語は続いてることを感じられて嬉しい気もするけど…複雑な気持ち。 3日後、多崎つくるはどうなってるんだろうなぁあ!!
1投稿日: 2023.02.07
powered by ブクログ古い友人に会いに行くたびに、本当にどきどきしながら、ページをめくる手が止まらなかった。 恐れ、期待、緊張。 学生時代の劣等感って実は思春期らしい思い込みなのかも。
0投稿日: 2023.01.25
powered by ブクログ読み終えた後にいくつか疑問が浮かんだが、それについて考察していく事が楽しかった。 本を読んでいる間だけでなく、読んだ後も楽しませてくれる作品。
0投稿日: 2023.01.10
powered by ブクログ個人的に村上春樹のなかでとても読みやすかったほう。 自己認知と他者認知のちがいを感じるとともに つくるくんの自己愛は自分に負けないものがあると感じてしまった、、 いつものことだけどすっと頭に入ってくるけどアウトプットはできない語彙力が秀逸 レクサスが造語、ということとトークンという単語が2012年にあったことはプチ驚き
0投稿日: 2022.12.26
powered by ブクログ読み応えがあった。 多崎つくるの気持ちを考えながら読むと、本当に辛く、随所で涙が出た。 自分の過去と重ね合わせ、向き合わないといけないような感覚になり、それも辛い。 大事なものを唐突に失ったときの絶望感、喪失感がひしひしと伝わってきて、苦しくなる。 文章が心の琴線に触れてきて痛い。 所詮自分は空っぽで、運良く誰かが自分と関わってくれているときは忘れられるが、その人が去っていけば、結局また空っぽに戻るという描写が、本当にその通りだなと思った。 でも、つくるが、かつての親しい友人とちゃんと会って、話が出来たのが本当に良かったと思う。 エリと会うシーンはとても印象的だった。 これが、門前払いされて、誰とも会えないという物語では、あまりに悲しすぎる。そうではなくて、良かった。 切り捨てられた方はもちろん傷つくが、切り捨てた方にだって、同じくらいの、もしくはそれ以上の傷を負うのだなと思った。 最終的な結末は描かれていなかったけれど、多崎つくるの幸せを祈らずにはいられなかった。
0投稿日: 2022.12.25
powered by ブクログ村上春樹特有の会話のテンポと美しい日本語が読み手を引き込む。無色でも、いい容器になればいいだけのこと。
0投稿日: 2022.12.20
powered by ブクログ読者の想像にある程度お任せで、読む人によっては作品の印象が分かれると思います 比喩の使い方は秀逸ですね なかなか自分では発することのできない言葉だなと感じました
0投稿日: 2022.12.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
若き日の田崎つくると、アカ、アオ、シロ、クロと呼んでいた4人のグループが、つくるを追放することで解散した。なぜつくるは追放されたかを知らないまま年月が経ち、ガールフレンドの勧めでその真相を探る話。 個性がない、という誰もが抱えるような悩みに対し、クロの「生きている以上誰しも個性はある。それが見えやすいかそうじゃないかの違いだけ。」という返しが刺さった。自分の中の一つのコンプレックスが解けた気がした。
1投稿日: 2022.12.12
powered by ブクログ私が記憶してる限り初めて村上春樹さんの作品を読みました。 日本語ってこんなにきれいだったけ。普段使っているのに違う言語かのように比喩表現がきれいで物語自体は私が面白いと思えるジャンルではなかったけど日本語がきれいだったのでこの評価にしました。 小2くらいからずっと小説読んてきたけどこんなに日本語がきれいな作品は初めて出会いました。今までの捉えてた本っていうのは読む人それぞれで言葉の捉え方が違うから頭の中で描かれている情景描写も十人十色だったんだと思います。この作品は情景描写が事細かくかかれているため読む人が似たような情景描写になるんじゃないかなって私が今まで読んできた本の中では初めての感覚でした。情景描写も込みで作者が伝えたいことを読みてに一致させるためにここまで書いてるのかなって。お話自体は最後変にもやもやして私的に苦手な作品でした、、。日本語表現の参考にしようかなって思います。
3投稿日: 2022.11.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
同著者の1作目の長編につづいて本著を手に取った。1作目から36年の時を隔てて書かれた小説だ。1作目では大学生の主人公が描かれ、本著は大学生時代の出来事(高校時代の親友たちとの別れ)とその16年後の社会人になった主人公が描かれている。本著のタイトル、「巡礼」とはよく言い得ている、しかも、どこか不安を感じさせながら、一方で明確にいち個人に焦点をあてる、静謐と世俗のバランスがなんとも絶妙で感心してしまう。 本著者って平易なことばで物語を紡いでいくし、構成がよく練られているし、けっして捻れすぎの難解さを感じさせない。なるほどファンが多いわけがわかったような気がした。
0投稿日: 2022.11.18
powered by ブクログちょっと苦手な村上春樹さんに再挑戦、の本でした。 恋愛ものや不倫とか苦手なんですが、こちらは謎解きの要素が入っていて、意外なほどすらすら読めました。 なぜ?どうして?明かされた謎の理由は凡庸だな、と感じたけれど、そのくらい凡庸な方が現実味があるのかもしれない。 多崎つくるは私の中にいる!と思って読み進みましたが、いやいや、わたしだけじゃなく誰の中にも彼はいるんだ、と思い直しました。 多崎つくるに共感しながら自分自身を旅していくような、そんな本でした。
2投稿日: 2022.11.17
powered by ブクログ再読 2025.04.19 村上春樹の長編作品の中では読みやすい部類に入ります。 分量も400ページ程度で登場人物も戦隊モノのようにキャラクター設定されています。 また宗教的な要素、イデオロギー的なものも比較的薄いです。 高校時代の友だちに何十年ぶりに会いにいく、というのを巡礼という言葉を使用する意味はあまりよくわかりませんでした。 ただ、つくる自身の過去の穢れ、償いに対する一種の禊ぎなのではないかもと私自身考えました。 今回も現実世界と深層世界の入り混じった世界は随所にありました。 ガールフレンドに告白する直前で話は終わりますが、フラれたら2度目の巡礼が始まるのでしょうか。 この作品にも根底として絶対悪が存在していてそれは抗いようのものとしてストーリーの軸としてありました。 理不尽な出来事が存在し、理屈ではどうにもならない。 今回の話も多くの謎を抱えたまま終わりました。 内容としては全体的に暗いですがつくるが自分と向き合う、これからの希望として思えばそこまで辛い話ではなかったと思いました。 2022.11.16 新刊で読んで以来の再読。 そこそこ(30年くらい)人間をしていると多かれ少なかれ過去に何かしら後悔を感じてきたことがある。 ふだんは仕事だったり育児だったりで気にならないのだが、ふとした瞬間に過去の友人たちとのわだかまりでの痛みで疼くことがある。 あのときああすればよかった。 なぜできなかったのか。 もし、できていれば今はどうなっていたのだろう。 などなど。 状況は全然違うがこの本を読んで過去の辛い感覚が蘇ってきた。 もともとこの本を読むきっかけになったのは先日コロナになって長い休みをもらったことだった。 自分の人生を考えたときに そもそも自分ってどういう人間だかわからなくなっていた。 どんなことに喜びを感じ、怒りや悲しみを、、、。 そう思ったときに今まで読んだ本や映画をもう一度振り返ろうと。 つくるは彼女からアドバイスを受けたが、自分は皮肉にも病から啓示(大げさ)を受けた。 なのでこの本を読むことは自分にとっての巡礼的な意味がある。 私はこの本で昔の古傷を思い出すことができた。 本自体は伏線がある(指6本について、シロの殺害された理由、犯人について、灰田の行方)ようで全く回収はしていない。 そのため内容としてもやや尻しぼみな感じがあるがこれはこれでおもしろかった。 読みやすいし、あんまりスリリングな話は自分はあまり好まないから。
0投稿日: 2022.11.16
powered by ブクログ村上春樹デビューをこの本でしてみました。 文学的すぎて なかなか私にはまだ早かったと反省。 結末もまさかのところで終わってしまい 世界観に馴染むまではもっと読みやすい本で 村上春樹さんを知っていきたいと思った
0投稿日: 2022.10.12
powered by ブクログ理解力が低いからか、村上春樹さんの本は何が言いたいのかよく分からない… ただ自分自身も無個性だと思っていたことが過去にあったので『生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけだよ。』という言葉は印象的だった。 村上春樹さんは自分としては難解だけど、言葉遣い?言葉選び?はとても魅力的だといつも感じます。
1投稿日: 2022.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「調和のとれた完璧な共同体」 「人と人との心は調和だけで結びついてはいない」 居心地の良い共同体を夢見ていた若者が、それぞれの道を歩み互いに傷つけ、赦し合いながらも本当の意味で心を通じ合わせる、そんな物語だと思いました。 きっと誰しも家族、友人、恋人心の拠り所になる場所があって居心地の良さを求めているけど、それだけだといつか軋みができてバラバラになってしまう。 そんな時に互いにぶつかり合いながらも心の内を見せることで心と心で繋がることができるのかなと、そんなことを感じました。 つくるは周囲の人には色•個性を持っている一方で自分には色も個性もない、空っぽの入れ物だと思っている。そんなつくるにエリがいった「それでもいい、美しい入れ物になればいい」その言葉が素敵だなと思うと共に、きっと誰からも必要とされない個性のない人なんていなくて、見方や捉え方を変えれば人は何色でも、何にでもなれるんだなと大切なことに気付けました。
0投稿日: 2022.09.22
powered by ブクログ久しぶりの村上春樹。 彼らしいゆったりとしていて、少し暗い物語。 進んでいるようで進まない物語。 人は誰しも、死の淵を彷徨うような気持ちになることはあるのだろうか。 わからない理由を探し求めて彷徨い、半分くらいわかる真実。 村上春樹らしく、文章は読みやすく、物語の中に浸っている感じにさせる作品だった。
0投稿日: 2022.09.11
powered by ブクログ沙羅が素敵。 ミステリー要素もあり少し重めの内容だが、絵が浮かびやすい丁寧な描写と文体で読みやすい。 あとフィンランドに行った時のことを思い出した。 読者に委ねられてるのだろうけど、どうしても結末が気になる…
2投稿日: 2022.08.12
powered by ブクログ初めましての村上春樹。 意外と読みやすかった。 なぜハルキストという言葉が生まれるほどの魅力を感じるのか、自分にはまだよく分からない。 ハルキストの方には申し訳ない。 過去の傷って何年経っても尾を引くよね。 正直いってその原因は本当に気の毒なんだけど、だからといって許される理由にはならないと思う。 彼が幸せであることを願う。
2投稿日: 2022.08.08
powered by ブクログ村上春樹にしては相当読みやすいやつ 放り出される感が少ない 個人的には昔の、「んんん???」ってなって終わる方が好きだけど、これはこれで。 みんな自由じゃない自由を手に、私は自由だと思い込んでます
1投稿日: 2022.07.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
はじめて村上春樹さんの作品を読んだ。想像より読みやすかった。笑 高校時代の5人グループからの断絶。大人になって過去を知っていく 時間が経っても忘れられない生傷ってあるよね
3投稿日: 2022.07.21
powered by ブクログ自分は中二病にはリアル感を持てるのだけど、高二病や大二病は作り物って気がして一体感を持って読むことはできない。 村上さんの本は性的衝動を美しい文体でいろいろな形式(音楽作品をテーマにしたり。今回はリストの『巡礼の年』より「ル・マル・デュ・ペイ」)をもって大二病を完治していない大人を描くことが多いので、読んで何かを感じることはあるけれど、やはり薄い布越しに「作品」を触ってみる…って感じでした。 「色彩を持たない」ことは不安かもしれないけれど悪いことではないし、むしろ色彩を苗字などで最初からつけられて生きることの方が楽ではあるけれど人生の選択肢が狭まるようでつまらないかもしれませんね。 こういうわけのわかったようなわからなかったような文体を書きたくなる。 それが村上春樹パワー。
2投稿日: 2022.07.05
powered by ブクログ共同体から弾き出される恐怖や孤独感を、乗り越えたというよりは封じ込めるようにして、少年が大人になった。その経験から16年後、彼らを巡ることで、蓋をして閉じ込めたトラウマが、大切な彼の一部となっていく。 心が蘇っていくような過程で、コントロールできないほどの激しい感情を持つことができたのは、過去を乗り越えたからこそだと思った。 物語も面白かったが、登場人物たちの個性に引き込まれるようにして読んだ。 印象的なだったフレーズ どんなに穏やかにみえる人生にも、どこかで必ず大きな破綻の時期があるようです。狂うための期間と言ってもいいかもしれません。人間にはきっとそういう節目みたいなものが必要なのでしょう
5投稿日: 2022.06.16
powered by ブクログR4.6.4~6.11 (感想) 久しぶりに村上春樹さんを読みました。 読みやすかった。 昔の著者の物語に比べるとストーリーにつじつまがあっている気がしましたがどうでしょうか。記憶違いでしょうか。 以前のファンタジーなものも好きだったのでそういったものもまた見てみたいです。
1投稿日: 2022.06.11
powered by ブクログ揶揄されることも多いハルキストですが、僕はこんなにも薄い、氷のような、膜のような複雑な心理描写が出来るのはこの人だけではないかと思っています。描けるものの種類と、その形という点で今作も含めて圧倒的なオリジナリティ。迷い込んだまま居心地がいいので棲みついてしまう。
1投稿日: 2022.06.06
powered by ブクログ人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。
2投稿日: 2022.06.03
powered by ブクログ評価は難しい。 人間関係の設定は残酷で、辛い過去を精算出来るわけでもない。そんな中でのつくるの奥底の強さも描きたいのかな?と思うのだが、彼に影響を及ぼす女性たちの強さの方が際立つ。 静かで優しい言葉と文体、読み心地は良い。一方、1ページに何回も出てくる「〜のように」に、やや疲れてしまった。 いわゆる受賞作を、まだ読んでいないからなのか、村上作品に対する世評と自分の感覚の差に、戸惑う。
2投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ何が面白いのかわからない ダラダラ多崎くんが悩むだけ 言葉は美しい 結局灰田くんはどうなったのか、シロの件はどうなったのか うーん
3投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ久しぶりの村上春樹。 はじめは硬派だなと思っていたけど、だんだん1Q84を思い出す展開になってきてあー!懐かし!ってなった。 この程よいエロさがウケるんだろうなあ。あと文体が気だるくておしゃれな雰囲気なのも。とにかく旧友にばったり会った感じで嬉しかった。 どうやら海辺のカフカも読んでいないので、騎士団長殺しも含めるとこれから文庫本6冊も楽しめる!!めっちゃ嬉しい!
1投稿日: 2022.05.27
powered by ブクログ境界を越えて戻ってこない越境者たち。 日常からめくれのぞいている闇。 理由を知りたく境界の際まで潜ってみるが、 その根源的な理由はわからず 残された者に深い傷を残してゆく。 欲望という「実存感」を持つ「非存在」とどのように向き合うか。 自己が傷つきながらも、それと向き合和なければ、 他者を傷つけ続けるだろう。 (ついつい、現代の流れで、そのような「非実在性」を無いことにするのはとっても危険である。) 残されたものは、根源的な謎や無意味の中で、 「ささやかで大切なもの」を見出し、 調和(完全さ)ではなくむしろ傷(不完全さ)が 人の心を結びつけることに気づく。 そして不確定で不恰好な現実、俗世を歩いていく。
0投稿日: 2022.05.23
powered by ブクログ初めて触れる村上作品です。 読まず嫌いしてたわけではなく、ずっと気になってはいたのですが、状況とか心情とか色々と合わずにここまで未読できました。 つくるがもしあのとき生きることをやめてしまっていたら、四人はどうなっていたのかな。 仕方ない状況だったとしても、なんか簡単に消化できない気持ちです。 続きが気になる!と、どんどん読み進め読了しましたが、謎ばかり残りました。 みなさんの考察などを検索して読んで、それが正解かはわからないけれどそうだったら色々納得できるなと思うものがありました。 全部明かさずに委ねてくれるものや、文章の外側に物語が広がっている作品はとても素晴らしいと思います。 でも私にはまだ早かったかな。 もっと成長してから次の村上作品を手に取りたいです。
0投稿日: 2022.05.22
powered by ブクログ消化に時間がかかりそうです 人の謎、指の謎、情景の謎、 どんどん読み進めたくなるのに消化が追いつきません 思わず人と話したくなる 余韻を楽しめるのが私にとっての村上春樹作品です
1投稿日: 2022.05.07
powered by ブクログ自分自身は自分のことをなにもない、無個性だって思っていても他人からしたら魅力の塊だったりするんだよな 全てから拒絶されても生き抜くことができたつくるは強い クロとの再会のシーンが好き フィンランドの広大な自然の中でのんびり陶芸しながら生きるのいいなあ 人と関わることは痛みをもたらすものだけどそれを乗り越えて成長していくんだと思った ハッとさせられる言葉が何個かあった 題名がすごく綺麗で素敵 村上春樹の本をしっかり読むのはこれが初めてだったけど思ったより読みやすかった、もっと読んでみたい
0投稿日: 2022.05.01
powered by ブクログつくるくんは考えすぎる人だと感じた。特に最後の方で沙羅にもう少しで会えるというのに電話をかけているシーンは、あまりのもどかしさに声を上げてしまった。でも人間はやはり彼くらい考えているものだと、今は思う。人が考えていることを詳しく細かく書くと、彼のような思考の文章になるのだ。私は自分の考えを整理し、詳しく表現出来ないから、つくるくんが考えすぎな人間で、実際にはこんな人間いないと感じた理由だ。私の思考も村上先生に書き出してもらったら、こんな風になるのかなぁ。 つくるがクロに会いにフィンランドに行くシーンは良かった。外国に行きたくなった。 話の構成が分かりやすくて、ぐんぐん読み進んだ。村上先生の文章は読みやすくて、安心感がある。それはやはり生きる名小説家だからだと思う。
1投稿日: 2022.04.07
powered by ブクログ色を持たない…色彩の話をしているのか、漢字の話をしているのか、すでに無意識の中に入り込んできている。 夢の中に誘い込もうとしているのか、私たちの夢の中に入り込もうとしているのか。 最終的な結論はいつも人間は理解不能だなーということで、自分についても人間についても、全てを知りえることは不可能だな、ということ。意識の限界を突きつけてくる。 そんな夢の世界とか、想像の世界、無意識がどれだけ意識して生きているつもりの現実の世界に影響を与えているのか。 それほど読み込んでいるわけではないけれど、そんな感じがやっぱりする。 多崎つくるというパレット上で、自分の劣等感と、人間不信と、それでも自分を肯定したい思いと、信頼し合える誰かとつながりたいという願いとかなんかいろんなものが混ぜ合わされて、なんかその混沌自体をいったん認めることができたような感じ。
3投稿日: 2022.04.04
powered by ブクログ村上氏の本は他にも読んだような気がしたが、初めてのようだ。アカデミー賞で話題になった作品も村上の作品とこの本を読んでから調べて知り、偶然に驚いたところ。ノーベル賞候補に毎年なっていることから読んでみたというところ。 この作品はタイトルが不思議で、読み進める内に理解してくる。自殺願望から始まり、持って行き場の無い絶望から始まる。そこを抜け出したと思ったら、また色に関係する友人ができる。夢のような体験があり、現実感のないままこの友人との別れが訪れる。これが疑問のままで終了。 10数年経過し新たな恋人の勧めで、過去にあった出来事の解明に乗り出す。色の付いた名前の友人達と絶縁となった理由を聞き回るが、肝心の証言者が死んでいて真相が不明。誰が殺したかも不明。新たな恋人の陰に見える男性の正体や、これから二人の将来も不明。何だか疑問が数多く残されてフラストレーションが溜まるのだが、このような意見は少数派のよう。哲学的な内容とフィンランドのような映像美が良いのだろうか?
36投稿日: 2022.04.03
powered by ブクログ設定が奇妙です。「色彩を持たない多崎つくる君(♡)」というガールフレンドのセリフもちょっと気味が悪いです。 でも、テーマにしていることには引き込まれるものがあります。 多崎氏が失ったもの。それによって彼が抱えることになった痛み。真相を知っていく過程。そして回復。 フィンランドでの美しい光景を経て、比較的に美しいエンディングを迎えるように思います。(最後の最後は釈然としないものがありますが。) それにしても、一度死の淵を覗き込んだ彼が、なんだかんだいい生活を送っているという点は、反感の対象になってもいいと思います。そこまで行ってしまったら、もっと辛く暗い道をずるずると送ることになるんじゃないかな。 何人もの女性と関係をもったり、気が利くけどちょっと気取ったカウンセラーみたいなガールフレンドがいたりなんてことは、まあちょっとないですよ。 特定の職業を偏見に基づいて描写するような部分が散見されますが、その必要性についても、私にはどうも分かりかねました。
1投稿日: 2022.03.29
powered by ブクログ約30年ぶりに読んだ村上春樹の小説。 「走ることについて語るときに僕の語ること」と「職業柄としての小説家」を読んだ後、久方ぶりに戻ってきた。 夢中になって村上作品に読み耽っていたあの頃から歳月を経て、心身も環境も大きく変わったにもかかわらず、頭の中で巡る思想や思考は20歳の頃と変わらない感覚が甦った。自分が成長していないのか、自分の根底にあるものは変わらないのか、それとも村上春樹の文学が一貫しているということなのか。 いずれにしても、遠からず次の作品を読もうと思う。
0投稿日: 2022.03.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
俺は過去の清算ができるのだろうか。 過去を振り返り、真実を知るには、強かで芯が通ってなくてはならない。そして清算をすることが、それこそが唯一、第二の人生に向けて再構築する手段なのだと強く思い知らされた。 カフカを読了した後に読むと、「夢と現実」や「生と性」といったキーワードがどちらの作品にも散りばめられており、俺は村上春樹が好きなのかもしれない…と気付かされた。
0投稿日: 2022.03.20
powered by ブクログ自分のライフステージ的に1番必要としている時に読んだのだと思うが、この本の中の言葉は自分にとって、大きな気づきや救い、学びに溢れており、自分の人生の大きな助けとなった。 たとえば、 限定された目的は人生を簡潔にする 歴史を隠すことはできても、変えることは出来ない などといった言葉たち。自分が前に進み出すための後押しとなるような言葉に出会うことができ、自分はとてもラッキーであったと思う。 覆い隠して無かったことにしてしまいたかった過去に改めて向き合い、真実と対峙することにより、新たな人生を自らの手で切り開き、進んでいく。死に近づき、ほぼ同化するまでにギリギリの状態にまでいき、そこからの再生、生まれ変わり。思春期の状態と絡めてなんだか一つ一つのエピソードや言葉が、前回読んだ時にくらべて深く心に染みた。改めて、本とは、読む時期、自分の状態も大きく影響するのだなと理解出来た本でもある。 また新たな宝物に出逢えた気分
0投稿日: 2022.03.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
色彩のある名前やそれらの人々を巡に訪ねて行くという構成だけを考えればなんともチープな進行だろうと思ったがこれはこれで冒険的で分かりやすくていいと思う。 最もしっくりくる部分はどれだけ調和が取れていたグループだとしてもそれが永遠ではないことを説いているところだ。やはり友人というのは「絶対」ではないと深く思う。 じゃあ家族とか肉親なら絶対的な存在かというとそれもまた微妙な気がするが… 内容自体は登場人物がひとつの演劇のように言いたいことを言ってフェードアウトしていくため大体のことが明かされないまま小説が終わった。 シロの死因や灰田のその後、沙羅の人間関係など気になる部分はたくさんあるがそれを全て仔細に描かれないところがこの作品、というか村上春樹らしさだと思う。こちら側に考える余地を与えるところがこの作品の良さだと思う。 だけど、6本の指関連のエピソードは個人的に全く刺さらなかったから何か教訓があるのなら教えてほしい…
0投稿日: 2022.03.09
powered by ブクログのらりくらりと上っ面だけ触れて、肝心なところには触れないかんじ。 外堀を埋めて、本質を浮かび上がらせるかんじ。 シロを殺した人は誰?灰田はどうなった? 緑川の話は一体なんだったの? やけに協力的なサラの本当の目的は? 「色彩を持たない多崎つくる 犯人」で検索すると、なかなか面白い考察を見ることができる
2投稿日: 2022.03.07
powered by ブクログ恥ずかしながら、初めて村上春樹を読みました。以前気になって古本屋で買ってあった本を、なんとなく読んでみようと手にとって、あっという間に読み終えてしまいました。 初めて村上春樹の本を触れたけれど、翻訳者としての癖が強すぎる言い回しと、どんな文化圏で生きてきたらこんな会話するの、、という洗練されすぎてとっつきにくいやりとりに、最初は、というか最後まで慣れることがなかった。 なのに、なぜこんなにもするする読み進めてしまえたんだろう。少しミステリーチックなストーリー展開もさることながら、友情や愛や人生や死や生に関する普遍的な哲学が読み手の思索を引き込みます。 もう四十手前のつくるが自分の無色を想う様は、かつての大学時代の私のようです。私は死の深淵を覗いた事はありませんが。それらを想う心の痛みを感じなくなることは、何かを求める心の躍動を失うことは、物理的な身体がどのような状態であれ、それは即ち"死"なのだと思います。シロ(ユズ)がそう追い込まれていったように、自分を護るために心を殺さずにはいられない人もいる。自戒こめ、想像力を絶やさぬよう、この感覚を守っていきたい。 強い色彩も、その鮮やかさに振り回されるもので、無色はその色を取り込めるバランスが備わっていて、5人に無色が1人いたことは、それこそ完璧な調和の要だったのだろうと思います。そんな尊く美しい調和、経験してみたかったですね〜
1投稿日: 2022.02.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村上春樹の小説を初めて読んだ。 なんだか難しい。 自分はこの小説を何%理解できているのだろうか… 主人公は多崎つくる。 つくるは高校時代、4人の親友を持ち、その5人は完璧なバランスをとっていた。 自分以外の4人はそれぞれ名前に色を持ち「アカ」「アオ」「クロ」「シロ」と言われていた。 色を持たないのはつくるのみ。 大学を進学を機につくるだけ東京へ行き、その他の4人は生まれ育った名古屋に留まった。 それでもつくるは、休みがとれるたびに名古屋へ帰り、なるべく5人と会うようにしていた。 しかし、ある日を境につくるはその完璧なバランスをとっていたメンバーから追放されてしまった。 つくるに心当たりはない。 そしてそれから16年経った。 ガールフレンドから当時の真相を明らかにするように促され、止まっていたものが動き出した。 あらすじはこんなかんじ。 まず、題名の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 これはそのまま、名前に色がないつくるが、16年前の真相を明らかにするべく、当時の親友たちの元へ行く(巡礼)と解釈した。 巡礼の年はシロがよくピアノで弾いていた曲からきてる。 内容としては、結果的につくるはシロをレイプしておらず、それに関してはアオもアカもクロも同意見であった。 ただ、当時のシロには凄まじいものがあり、つくるとの関係を切るしか選択肢がなかったようである。 しかし、最後の方のつくるの考察では、シロは最初からつくるがレイプをしてきたとは思っていなかった。 ただこの完璧なグループはいつまで経ってもこうあるべきではないと、誰よりも早く悟ったシロは自分をレイプしてきた犯人をつくるにしたのであった。 つくるならこの逆境にも負けないと思って。 シロをレイプした犯人と絞殺をした犯人は分からずに終わった。 灰田の存在が明らかにされずに終わったが、どういう伏線だったのだろうか。 灰田の父親が出会ったピアニストの話とシロの関連は何があるんだろう。 シロは灰田の父が出会ったピアニストと同じスキルを持っており、みんなの色が見えていたのかもしれない。 みんなの色が見えた時、完璧にバランスのとれていると思っていた5人は、それぞれの名前とは違った色がついており、このまま一緒にいても破滅するだけなのだと悟ったのかもしれない。 そのスキルを保有している者は、寿命が分かるという話もあったように、シロは自分の寿命が分かっており、どんどん憔悴してしまったのだろうか。 つくるが度々見ていたシロとクロとの夢。 あれはつくるのことを想っているからこそなのではないのだろうか。 ゆえに2人はつくるを愛で、クロよりもシロの気持ちが強い分、つくるの射精を毎回受け止めたのはシロだったのかもしれない。 シロの憔悴の理由は、最愛のつくるを自らの手で切った後悔の念などからかもしれない。 大学2年生のときに一度だけ、灰田がつくるの射精を受け止めたが、その時はその2人をも超える気持ちが灰田にはあったのかもしれない。 自分の頭で全てを理解して、面白いと感じるには少々難しい作品だった。 皆さんの感想、意見、解説を見てみよう。
0投稿日: 2022.02.21
powered by ブクログなんとなくだけど、普段の村上春樹よりもストレートな孤独とかネガティブさの表現な気がして、終始あーわかるーと思いながら読みました。 わかってるけど、自分の目からしか見えない世界だから、本物とか真実とかそういうことを考えててもしょうがないなぁ。悲しいのも傷つくのも、楽しいも幸せも、みんな自分が作ることなんだと改めて思わされます。 私の感情はそんなこと考える暇もなく、瞬間湯沸かし器みたいに変化するけど。
1投稿日: 2022.02.17
powered by ブクログ図書館で手にした初めての村上春樹です。 彼の噂は聞いていたので、どんな作品を書くのかと興味本位でした。 率直に、漫画を読んでいるようでした。日本語というのはこうやって描写できるのか、自分の眼前に自然とイメージが湧いてくる感じです。語調なのか、わかりやすい語彙なのか、繰り返しなのか。その組み合わせで、自然と話が頭に入ってきました。 なるほど、彼の作品を愛好する人がいるのもうなずけます。 物語自体は、時間がとても入り組んだ構成でした。 高校時代の夢のような生活と、それを一変させた大学時代の悪夢。そして、社会に出てからの一部始終。このシーンをタイムリープのように往来しつつ語られる多崎の物語に引き込まれます。 伏線の回収具合や、話の顛末の切り取り方は、、、これが村上流なのでしょうか、ちょっと驚きました。こういう終わらせ方もあるのか、と。 個人的には冒頭と巻末、この2つのシーンの対比にグッと来ました。どんな形であれ、救われるストーリーです。 どんな結末でも受け入れる。心を安らかにいることを願う態度は、マルクル・アウレリウスの自省録を彷彿とさせる感じがしました。後味を残しますね。 これ以外の作品も拝見します。
0投稿日: 2022.02.14
powered by ブクログ『ノルウェイの森』を読み終わった時のような独特な読後感に再び浸りたくなり、購入。 ネット上で飛び交う考察に、かなり動揺している。
1投稿日: 2022.02.13
powered by ブクログ5人って良い人数なんだろうな。絶妙なバランスが保たれる。星がそうだもんな。ただ1人が崩れると総崩れする。 ・正しい言葉(本当に言いたい言葉)は、いつも遅れてやってくる ・自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見る
0投稿日: 2022.02.11
powered by ブクログ蓋をした想いとか、向き合いきれなかった心の傷とか、繋ぎ止められなかった関係性とか、信じていたはずのこととか、そういうのがあってもいいんだと思えた。全てが時の流れに消えてしまうわけじゃない。でも、しかるべきタイミングで、それらをクリアにして前に進む勇気が持てたらいいなと思う。 そして、自分は被害者だと思っていたら実は加害者でもあったということは往往にしてある、そういうことは忘れずにいたい。 伏線がこれほど回収されないのは村上春樹特有な気がする笑、でも作者の描く生き生きとした人物たちが好き。 「生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけだよ」(p. 358) 。自分以上に自分の色を認めてくれる人たちがいることは、どんなに幸福なことだろうと思う。
1投稿日: 2022.01.24
