
総合評価
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powered by ブクログ図書館で借りたけど、本棚に置きたいと思った。すぐ読める状況にしておきたい。同じ景色を見ても感じるものは人それぞれで、私はつくるの感性が好きだ。特に駅観。高校の授業で村上春樹読まされた時は(パン屋再襲撃)いまいち腑に落ちない表現する人って認識だったが、こんな読みやすいんだと衝撃を受けた。 仲良しグループから突然手を切られた理由を探しに行く、というミステリーチックな内容で、ページをめくる手が止まらなかった。語られない部分が多いので、それを考える時間が余韻となって心地よい。ラストはモヤモヤはしたけど、田崎つくるが幸せに生きていられるよう、願うばかりだ。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログ考察を調べてみたけれど、私がなんとなく思っていた以上に、それぞれの色彩に意味を持たせてあったのだなあと。灰田と別れた理由が、最後まで明らかにされなかったのには意味があるのかな。 巡礼の年を始め、いくつか出てくるクラシックたちを聞いてみたい。そして、2作品目だけれど、村上っぽさ、やっぱりまだ感じ取れない。
0投稿日: 2026.01.07
powered by ブクログタイトルから、すでにストーリーが始まってました。 多崎つくるって? そして、「巡礼の年」を最後にリアルに耳にしたら、身近なクラシック音楽…映像として1週間、主人公になり切って歩き続けた気持ちでした。 ストーリーの締め方は中途半端との意見がありますが、既に、答えは確信に近い結論が出ていると思います。 実は、ここ数年の自分と重なって思い入れの作品となりました。
15投稿日: 2026.01.06
powered by ブクログ相変わらず軽快なリズムで読ませる文章です。とある理由で学生時代の仲間から縁を切られて、その理由を探っていくという展開のため、ちょっとしたミステリー要素もあり、読む手を進ませる構成。 親友であった5人グループの中で、名前に色が含まれていないのがつくるだけとなっています。 これは、つくる自身が自分には個性がない、特別な価値がないことの虚無感などを表したメタファーとなっていて、こうした表現方法に春樹らしさを感じました。 全体的にも春樹のアクの強さが良くも悪くも薄まっているので、読みやすい作品であることは間違いありません。ただ、全体的に薄味すぎかな、、、。つくるがいかにも作られた主人公という感じであまり入り込めないし、出てくる人物たちもどこか平坦な印象。 私自身はこの作品に今ひとつ色彩を感じられませんでした。
16投稿日: 2025.12.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
終始つくるが不憫で可哀想だと感じてしまいました。とはいえ、学生時代に一方的に縁を切られた友人たちとの16年ぶりの再会は、つくるにとっても新しい一歩を進むために必要な行程であったとも思います。特にエリ(クロ)との再会は、淡くて切ない過去の二人の関係性が魅力的で、恋愛ではない、お互いの絆のようなもので満たされました。最後、恋人の沙羅はつくるを選んだのかどうかはっきり明言されなかったが、つくるにも報われてほしいと思わされます。
5投稿日: 2025.12.30
powered by ブクログ4.5 意外と初村上春樹。かなりのめりこんだし、余韻の残る終わり方で良かった。ラストのクロに会いに行く旅が最高だったな
0投稿日: 2025.12.27
powered by ブクログ久しぶりの村上春樹先生。 タイトルからして謎だったけど、ようやく読了。 相変わらず全然わからないけど、高校のときにつくると全く同じ経験をした私としては、ハッピーエンドの方が良かったと感じた。
0投稿日: 2025.12.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりに村上春樹を読んだ。 物語の構成と表現力がこれ以上なく洗練されていて、 爽快感すら感じるね。 他人と一定の距離をとってしまうというつくるの性質に共感してしまった。 自分も何かのきっかけで変わっていきたいと思った。
0投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログ多崎つくるの性格は理解できない。 ずっと仲良かったグループからいきなりハブられて、自分だけ辛い時間を過ごしたのにパブった理由が憶測的なモヤモヤしたものだったにも関わらず、許してしまう神経が理解できなかった。 名古屋とフィンランドが舞台となっていて、フィンランドの情景を示す文章はとても良かった。 人間関係において曖昧なものよりも自分はきっぱりと線引きをされたものの方が好きなんだなって感じた。
0投稿日: 2025.12.20
powered by ブクログ村上春樹の一冊目としておすすめ。多くの人が言っているように。少なくとも『ノルウェイの森』から読み始めようとする人はこちらにすべき。 16年前に起きた出来事の理由、謎を解き明かすために名古屋へ、フィンランドへと旧友に会いに行くロードムービー的なストーリーで、どんどん読み進められる。 村上春樹作品に多い「並行世界」との複線的な進み方ではなく、単線なので読みやすい。ただし、そのことで村上春樹作品の中では傍流っぽい印象になるのだけど(同じ理由で『ノルウェイ』を代表作と呼ぶのには抵抗がある)。 謎は、明示的には解決されない。探偵役の主人公が答えを言語化しない。 それについては多くの人が考察していて、それも含めて面白い。みんなが色々な意見・感想を書く気持ちはわかるし、そうなる作品はやっぱり良い作品なのだと思う。
0投稿日: 2025.12.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
灰田君が、なぜ突然つくるの前から消えてしまったのか、沙羅とはその後どうなったのか…楽しく読み進めていただけに尻切れトンボみたいでちょっと残念な気持ちが強いです。とても面白かったよ!と友達に勧められません
0投稿日: 2025.12.09
powered by ブクログ面白かったです。この作品が村上春樹さんとの初めての出会いですが、さすが人気の作家さんだなと感じました。
0投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
半年以上ぶりの読書。 村上春樹作品にしては話が単純で現実的で、主人公が恋愛的に「追う」側にいるのが新鮮だった。シロがレイプされたこととつくるの夢は関係があったのか、シロの死因、主人公と沙羅の結末が複雑に絡み合っていきそうなところで終わってしまい不完全燃焼。 しかし相変わらず生活の描写が良い(プールに行く様子や食べ物を食べる様子等)。あとつくるがヘルシンキに行く場面は旅行したい気持ちにさせられて、思わず韓国にいる友達に連絡してしまった
1投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて村上春樹の長編最後まで読めて、これがハルキ構文か〜というのを存分に感じることができた。笑 つくるが過去の因縁の原因を探っていく過程がミステリっぽい要素で楽しめたのかも。 ただラストはやはり純文学なのでふわっとした終わり方で物足りないところはある…
0投稿日: 2025.11.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全ての表現がとても美しい。特に音楽について。音楽を専門に学んでない若者がここまでクラッシック音楽を聴くとは。評価3にしたのは、モヤモヤした部分があるから。1つ目は、シロが誰に襲われて命を落としたのか。2つ目は灰田はなぜいなくなったのか、どうなったのか。3つめは、沙羅はつくるを選ぶのか?その後。ラストは「え?終わり。」という感覚になってしまった。
1投稿日: 2025.11.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
無知なので「巡礼」ってなんだろうって調べたけど、信仰の対象となる聖地や霊場を巡り歩く宗教的な旅のことらしく、つくるにとっての信仰の対象は高校時代の5人組だったのかと解釈。 個人的に村上春樹作品の楽しみ方は、 作品の流れの美しさとかエンディング後の納得感とかそういうものよりも、 村上春樹にしかなしえない比喩表現、物事を捉える思考の角度、魅力的なキャラクター(個性的というわけではなく、魅力的な会話フレーズ)を享受することだと思ってる……それがめちゃ享受できた作品だった、、、!! 「人の心と人の心は調和によってのみ結びついているのではない。 それはむしろ傷と傷によって深く結びついている。 痛みと痛みによって、脆さと脆さによって、繋がっている。 悲痛な叫びを含まない静けさはなく、 血を地面に流さない許しはなく、 痛切な喪失を通り抜けない受容はない。 それが真の調和の根底にあるものなのだ。」 つくるが巡礼の先で理解した、心と心の結びつきについてのこの言葉でこの作品を読んでよかったおもった。 村上春樹の言葉選びが大好きだし、やっぱり村上春樹でしか満たされない読書体験があるだいすきだーー
1投稿日: 2025.11.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読後感が優しい気持ちになる。 フィンランドの湖畔でのシーンが特に印象的で、つくるが過去を乗り越え自分を取り戻す、色彩を取り戻す象徴的な場面かと感じた。 とは言え、日本に戻り沙羅を強く求めハッピーエンドかと思いきや、沙羅は別の男性の存在を匂わせ雲行きは怪しくなります。そして結末は語られないまま。 再生の物語のようであり、再生しようとする姿が美しく再生をしたかどうかはそんなに問題ではない物語のようでもあり。 でも、本を閉じるときには「つくる、よかったね」と静かに寄り添いたくなる物語でした
1投稿日: 2025.11.11
powered by ブクログ色彩な、、、自分も同じような事考えたことあるな、なんて自己投影しながら読了。 水曜日の夜、沙羅との会話までを出来れば描いて欲しかった。
1投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログ取り急ぎ感想こんなに今を感受性を爆発させて生きているのはすごいなと思った。 後半の彼には帰る場所も向かう場所もない みたいな内容の一節がとても印象深い。 私も、今どこに住んでるのかわからないなと感じていたけど、今の私はここにいるしかないのだなと感じた。 新しい気づき
0投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログ「中身のある人生とは何か」30代が目前に迫り、漠然とした悩みを抱える自分に深く刺さった一冊でした。 僕にはたぶん自分というものがないからだよ。これという個性もなければ、鮮やかな色彩もない。こちらから差し出せるものを何ひとつ持ち合わせていない。そのことがずっと昔から僕の抱えていた問題だった。 平凡で実直に生きてきたが故に、自分の取り柄の無さに悩み、卑下しがちな主人公•つくる。信じていた仲間からの唐突な絶縁宣告が彼の運命を変える。故郷•名古屋から一人離れ、絶望の淵に追いやられながらも、東京の工科大学に学び、夢だった鉄道関係の職を得る。 十六年の時を超え、仲間との再会で解かれた誤解と生きる意味。 たとえ空っぽの容器だったとしても、それでいい。自分自身が何であるか、そんなこと本当は誰にもわかりはしない。それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何か入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に。 異国•フィンランドの地でエリと語り明かす場面は、ノルウェイの森で描き切れなかった「その後の人生」なのではないでしょうか。 夢を強く信じて前に進んだからこそ、得ることができた今の生活。苦しみ抜いた末にひとつの解を手に入れたつくるの姿に共感しました。
16投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログオーディブルで。思いのほか人生讃歌に着陸しておもしろかったが、それはそうと灰田はいったいなんだったんだ。灰田の消息を教えてくれ…。
0投稿日: 2025.10.28
powered by ブクログ高校時代にとても仲良かった人たちから 急にハブられて、ずっと立ち直れず、 10数年後にハブられた理由を尋ねに、 友達に会いに行く話。 私にもすごい仲良かったのに、だんだん価値観の違いを強く感じるようになり、 会わなくなった友達や元彼がいる。 長い時間が経てば、仲良かった時のことや すれ違いについて正直に話せるようになるのかな。 時間が経てば、また会って話したいと思うのかな。時間を経つことで、違いがより鮮明になる気がして、今のところ会いたいと感じられない。
1投稿日: 2025.10.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シロがけっこう残酷。 追い詰められたとはいえどうして多崎つくるを陥れたのか。そういうものだった、仕方ないのだ、本人は納得してるけどよくわかりません。 フィンランドのシーンは落ち着いていて好き。
0投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一言で言うなら、「もっと洗練されたノルウェイの森」感。より無駄なものを削ぎ落とし、1Q84的要素も取り入れつつ、しかし主題の問いかけが更に美しく、切なくて淋しい風が頬を掠めるような、それでいて、胸の中にことっと大事なものを傾けて落としていくような、そんな作品。いい意味で胸がきゅっと締め付けられます。 人生は複雑な楽譜だと例えるところが好き。(きちんとやっていても評価されるとは限らない…) 今まで読んだ氏の作品の長編では一番繊細で綺麗で美しいかもしれない。それは、個人の胸の内に誰しもが抱えるふとした不安に対し、それを突き詰め問題提起することが目的なのではなく、寄り添うことを軸に書かれているなのではないかと。(他の長編は、突き詰め、問いかけていくが故に生死や世情に対する泥臭さがもっと感じられる。)
1投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ自分のアイデンティティは存在するのか、いつまで経っても不安なまま。他人の自分への態度で自分の存在を観察するしかない。他人に自分の存在を委ねず、絶対的に自分の存在を肯定したいものだ。 自分の強い感情に出会った時に、自分ってこう言う人なんだ、って気づくよね。人を愛したり、本気で傷ついたり、こうはなりたくないと思ったり。
0投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ割とわかりやすい物語でした。 もう村上春樹作品を読むときはきちんと終わるかどうかというよりもこの設定についていけるかどうかになっている。 現代の話であるから突拍子もないことはあまりなかったけれど、シロの身に何が起きたのかははっきりせぬまま終わってしまったし、つくると紗羅がこの後どうなったのかが気になる。
3投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ自分だけ色がない時点でアイデンティティとして確立してる。それをわかった上で卑下してるかんじ 限定された目的は人生を簡潔にする 大きな意味を持つ物事であるなら、ちょっとした過ちで駄目になったり、宙に消えたりすることはない
0投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログ僕が読むべき時、それは高校三年の夏、秋ごろだった。まさに間違いのない時期に本作を読めた思い出はいつになっても心にずっしり残る読書体験だった。何度読み直しても、心が正しく刺激される。
1投稿日: 2025.08.20
powered by ブクログすらすらと物語に引き込まれていった。小説を読むのが久しぶりだったがまったく苦ではなく、早く次の展開を知りたいと思える作品だった。最後は結末を描かない手法、もったいぶらせる展開が村上春樹なのか。他の作品も読みたいと思った。
1投稿日: 2025.08.19
powered by ブクログ初めての村上春樹作品だった。 すごく言葉の量(?)が多く独特な文体なのに読みやすくて引き込まれた。 どの人物とも、白とも黒ともつかない結果だったけれど、読み終わったときなんとなく穏やかな気持ちになれる。 こういう物語こそ、より本物の人生に近いのかなと感じた。
3投稿日: 2025.08.16
powered by ブクログ無印の古本でたまたま目について購入。 村上春樹の本は初めて読んだ。 村上春樹の特徴など知らずに読んだので新鮮だった。 冒頭の暗さに引きつつも読み進めた。 多崎つくるという男の人生が少しずつ前に進んでいく巡礼の物語。 色彩がキャラクターの立ち位置を表現している点や自分から見た自分と他者から見た自分の印象の差を物語を通じて理解していくのが面白かった。 私自身がつくるのように問題を抱えていたタイミングでこの本に出会い、読んでいるうちに少し心が救われたような気がした。 村上春樹の細かい面白さまで分析できなかったかも知れないけど、つくるの人生が少しずつ変化していく様は読んでいて共に心が晴れていった。 最後は、早く水曜日になってほしいというつくるの気持ちと重なりどんどんとページをめくって進めていった。
1投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログ村上春樹作品初めてで、割と読みやすかった。 読んでる途中から、これはそうかなかばミステリーな感じの作品なのか、と勝手に思ったので最後色々?のままになってしまってるとこもあり、自分の中でどう着地すればいいのかわからない。 面白かったかと聞かれたらそうではあるんだけど、あと性描写がなんかすごく生々しいと感じたのは私だけ?
0投稿日: 2025.07.27
powered by ブクログ大学生になり、急に高校時代からの仲良しグループからハブられた主人公がその理由を求めて昔の友人を訪ねる話。 高校から大学にあがるとき、いろんな変化があると思い出す。 特に地方から東京に出てきたひとはなおさらそう感じると思う。 何気ない生活をしていても、住む場所が違えば、経験も変わる。考えにも影響する。自分では何も変わらないと思っていても。 新たな環境で、新たな自分を発見するに連れて、他者からは異なる人物に見られる。 そうして前のままでは居られなくなる。 読みながらそんなことを感じた。 気づけば地元には、なんだか居場所がないような気もしてくる。(もう長く地元に住んでないから当たり前かw) 村上春樹ワールドでは一番読みやすいので、おすすめ!
1投稿日: 2025.07.27
powered by ブクログ学生時代とかの、初めておこる感情のピュアさや激しさ痛みとかは、確かにあの時だけのもので2度とない感覚がある どこかの初恋の描写を見て、当時の恋心を思い出した 村上春樹の文章はそういう懐かしさがそっと現れる時がある
0投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村上春樹の本をまともに読むのは初めてで、実はかなり偏見を持っていた。 というのも、唯一過去に読んだ短編の「ふしぎな図書館」が、かわいい羊ちゃんだと思って読み始めたのに悪い夢みたいな内容で驚き、高尚で難解な作品群だと思い込んでいたのだ。 全体的に文体が読みやすく、多くの人が読んでいるのも頷けた。 偏見は良くない。 記憶と、認識(意味)と、事実。 それらは似ているようですべてが異なる。 記憶は誰かの断片的な視点に過ぎない。 認識は事実そのものからの乖離を孕む。 事実はただこの世に"あった"だけで意味(色)を持たない。 本作では、主人公は無意識下で記憶にとらわれ、認識は事実とは異なった。 そしてすべての事実を正しく認識していた人間はおそらくいなかった。 記憶は薄れて遠くなる。 認識は時間の経過によって変化していく。 事実はこの世のどこかにあるかもしれないが、記録や記憶になければそれを確認する手段は永遠に失われる。 色の名前で呼び合っていた登場人物たちが、「色ではなく名前で呼んでほしい」と要求したシーンがあった。 それは、色(認識/意味)を取り払い、名前(事実)として見て対峙した瞬間であった。 そして、主人公は唯一名前に色を持たず無個性を自称するが、色彩がないなんてただの名前(事実)に過ぎず、そこに意味はないと言われる。 意味も、事実も、どちらがより優れているわけではない。 事実こそ正解のように思えてしまう中で、事実すらただそこに横たわっているだけのものでしかない。 この色をたどる巡礼がなければ、事実を知ることはなく、誤った認識のままだった。 ただ知ったとて事実が覆ることはない。なくなったものはなくなったままだ。 だが、そうであったとしても巡礼に意味はあった。 作中では明かさなかった事実が多くある。 悪魔は? 灰田くんは一体? 沙羅と一緒にいた男は? シロの真実は? 事実はこの世のどこかにあったかもしれないが、知るすべはない。 知っても知らなくても何かが変わったわけではなく、収まるところに収まるしかない。 そうであるならばこそ、できることをするしかないのだ。 本作で言うならば、沙羅がどちらを選ぶかはすでに決まっていたとして、それが覆らないとして、それでもつくるくんが行動することを選んだのなら、行動しないよりもきっと後々の認識のためには良いのだ。 事実は変わらなくても認識は変えていける。 偏見は良くない。 ----- 以下はつくるくんの悪口 自分は無色で無個性で友達もおらず恋愛に積極的ではないと言いつつも、ハンサムで黙ってても女性が寄ってくる描写が複数ある上に「いまは独身だけど結婚もしてもいいと思っている」と嘯いており、非常にいけすかない人間だった。夜中に電話してくるし。夢と現実の区別があんまりついていないし。 恋愛にそこまで積極的ではないと自称するわりに他人の見てくれの良し悪しや胸部を見すぎである。 14歳と言われたら特に気にならないが、36歳である。 つくるくんは他人との内面的関わりよりもお胸を見たい割に、冷静で自分のペースを守り精神的に強いモテ男としての自負が、「ない」といいつつ多分強めに「ある」ので、怒った。 鈍感だから気づいていないかもしれないけど、結構個性的だと思う。
5投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログねじまき鳥以来の村上春樹長編読了てす。その後の1Q84(途中で挫折)ほどのとっつきにくさがなく、素直に面白く読めました。主人公が失われかけた自分の人間性の中の大事な部分を回復するために行動する、不思議な魅力をたたえた女性が主人公の行動を促す、というのは、村上作品に共通する流れですね。挫折と喪失を経て良い方向に向かう希望を感じました。
0投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ2回目読了です。あんまり内容を覚えてなかったので面白かったです。本書にはいい印象が残っていませんでしたが、読む年代が変わると印象、感想も変わるものですね。
0投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログ素晴らしい なぜあれほどまでに完璧であった5人の結束がある日くずれ、4人から絶縁されるまでになったのか。その真相から紐解かれる、色彩を持たない田崎つくるの死と回生の物語。 自分はどのような価値を持っているのか、鋭い内省と著者の言葉を失った死人への洞察から得る喪失感がひしひしと伝わってくる、また、さらにそれに対して私たちは、どう抗い生きていかなければいけないかを表現した至高の傑作。
0投稿日: 2025.06.20
powered by ブクログ親しくしていた人から拒絶された時の感情の描写が、すごい 人生を共にしたいと思える人のために自信と勇気を持ってと励ますエリが好き 沙羅に愛を伝えるつくるくんの言葉に心を打たれる
1投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログ描写が素晴らしくて、情景が鮮やかに伝わってくる。音楽もスマホで探して聴きながら読んだりして、それも新鮮で、すご〜く楽しめた。うーん、たぶん沙羅とは結ばれなかったかなーって思う。
4投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ言わずと知れた大御所の作品だ。 こう表現するのは烏滸がましいけれども、僕自身の断片みたいな内省的で瞑想的な人物が次々に出てきて、妙に居心地が良い。 はるか昔はこの絶え間なく続く省察が堪らないものだったが、今や僕自身がそのような人間になったせいだろう、穏やかな気持ちでスラスラと受け止めることができた。 歳を重ねていくとはそういうことなんだろう。分からなくなることはあるが、分かるようになることもあるのだ。 終盤ではクロに共感した。多崎つくるとクロ。長い紆余曲折の果てに、それぞれが失ってきたものはきわめて多い。 特にクロの言葉には限りなく切ないものがあり、彼女の悲しくも優しい喪失感は読者の胸を強く搏たずにはいられない。 物語の閉じ方もただただ美しい。余韻という線路の上、喪失の闇を希望で照らしながら、力強く走り往く列車が見えるようだった。
16投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
美しさとは、形そのものだけではなくて、溌剌としていることだ。溌剌とするには、そうなれる場所を見つけることが必要で、その場所が分からない、そこに行く筋力がないとどんどん生気がなくなっていく。 頭も体も働かない。何にも心惹かれず、自分が好きなものも分からない。そうすると、かつてあった美しさもなくなり、自分がわからなくなり、人と会っても何を話すことがなく、1人になり、ますます生きる道が分からなくなる。とりあえず生命活動を維持している身体を引き摺っていて歩いている、悪霊に取り憑かれた日々を送っている。このまま、こうして生きているとどんどん死に近づいている感覚がある。このままでいいわけがない。でも、どうにかしようとする気力がない。 シロは死ぬ間際、そういう状態だったんじゃないかなと思った。 死の際は、気づいたら足元にある。死ぬのも、生きるのも恐ろしい。生きるって、どうしたらいいんだ。
0投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ考えても知りようのないことは、また知っても確かめようのないことは、考えるだけ無駄というものだ。そんなものは所詮、君の言う仮説のあぶなっかしい延長にすぎない。
0投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログめちゃくちゃ前に読んで、面白かったなあという気持ちだけしか残っていなかったので、改めて読んだ。 村上春樹さんの本は、10年前くらいにこの本も含めていくつか読んだのだけど、全て(面白いと思ったのだけど、どんな話なのか理解できていない。説明できない。)と感じたのを覚えている。 今回も、そうかもしれない笑 全部、理解しきらんというか、自分の感覚の中にはまだない感情とか表現がわりと多い気がする。 でもその一方で、この気持ちは自分の中のこの感覚や、みたいな共感もそれなりに多くある。 それこそ、多崎つくるの(自分には色がない、空っぽ)みたいな気持ちは、自分にもあるなあと思う。 で、自分なりに今回読んでみて、今回の解釈としては一旦、 自分に自信がなくて人と心から交わるのを避けてきた人間が、痛みを覚悟でもう一度心から交わろうとする話(自分の人生を生き直してみようとする話) なんかなと んーでも、言葉にするとちょっと違う感もあるかも 今回も、前回読んだ時よりかは、自分に置き換えて読めた気もするし、わからんことが多かった気もする。 あ、あともう一つ思ったのは ミステリー小説みたいに、含みを持たせて読ませる割に、伏線回収全然されへん話やなあとも思いました笑 その部分も含めて、良さなんやろうけれど
0投稿日: 2025.05.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校時代の仲の良かった5人組から縁を切られた外崎つくるが縁を切られた理由を探す旅に出る物語。 途中に大学時代に仲の良かった灰田との物語や灰田の父親のミステリアスの物語もでてきて読みやすかったと思うが伏線などはあまり回収されずに終わってしまった。
1投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
休日に一気読みした。ハッピーエンドとは言えない、結末が分からない終わり方だけれども、爽やかな読後感を覚えた。主人公はきっとこの後も生きていけるなと感じた。
0投稿日: 2025.05.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「たとえ君が空っぽの容器だったとしてもそれでいいじゃない。もしそうだとしても、君はとても素敵な、心を惹かれる容器だよ。自分自身が何であるかなんて、そんなこと本当には誰にもわかりはしない。それなら君はどこまでも美しい形の入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何かを入れたくなるようなしっかり好感の持てる容器に。」というセリフが自分の心に奥深く安心感をもたらしてくれた。 高校生の頃に初めて読んだ時、人生で1番好きな小説だと思った。 改めて、7〜8年ぶりに読んでも、やはり1番に変わりがないことを実感した。 心温まるストーリーではないのに、モヤモヤが晴れていくような爽快感も含んだ作品。 わたしはこの小説がこの世で最もすきな小説だと思う。
3投稿日: 2025.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
数年ぶりに再読。過去の作品と比べると、主人公がはじめから自立?している(厳しい時期があれど、彼は「夜の海を一人で泳ぎ切ることもできた」)ようにも思え、そのせいか幾らか物語の展開がスムーズに感じられた。他の村上作品と同様、多くは語られず(シロの死因、沙羅との結末等)、多くは読者の想像力に委ねられてはいるが、具体的に何が起こったかではなく、その背後にあるファクター/メカニズムにこそ目を向けるべし、というメッセージだと、個人的には受け取った。 最近他の村上作品と一気読みしている中で、どこか根底に繋がる一つのテーマとして「正しさ」があるのではないかと感じている。正しく傷つく、正しい場所にいる...等。何が正しいかは知る由もないが、要は正しくあるために「労力を払う」ということを著者は重視しているのか(著者の言葉で言うとコミットメント)、などと考えたりする。結果が正しいか、思わぬ方向に逸れるかに限らず、少なくとも「正しくあろうとするために自身の労力を差し出す」ことを怠っては、自分にはどうしようもない悪や闇に自分の人生を支配されてしまう。幾つもの村上作品を通読する中で、そのように感じるに至った。 特に印象に残った箇所は以下 ・「淋しいとは思わなかったの?」と沙羅は尋ねた。「孤独だとは思ったよ。でもとくに淋しくはなかったな。というか、そのときの僕にはむしろそういうのが当たり前の状態に思えたんだ」(p.32) ・「どんなことにも必ず枠というものがあります。思考についても同じです。枠をいちいち恐れることはないけど、枠を壊すことを恐れてもならない。人が自由になるためには、それが何より大事になります。枠に対する敬意と憎悪。人生における重要なものごとというのは常に二義的なものです」(p.78) ・しかし才能というのはな、灰田くん、肉体と精神の強靭な集中に支えられて、初めて機能を発揮するものだ。脳味噌のどこかのネジがひとつ外れ落ちてしまえば、あるいは肉体のどこかの結線がぷつんと切れちまえば、集中なんぞ夜明けの露のように消えちまう。たとえば奥歯が疼くだけで、ひどい肩こりがあるだけで、ピアノはまともに弾けなくなる。本当だよ(p.96) ・「なあ、こういうのって大いなるパラドックスだと思わないか?おれたちは人生の過程で真の自分を少しずつ発見していく。そして発見すればするほど自分を喪失していく」(p.235) ・それは日本で彼がいつも感じているのとはまた違った種類の孤立感だった。なかなか悪くない、とつくるは思った。二重の意味で一人であることは、あるいは孤立の二重否定につながるのかもしれない。つまり異邦人である彼がここで孤立していることは、完全に理にかなっている。そこには何の不思議もない。そう考えると落ち着いた気持ちになれた。自分はまさに正しい場所にいるのだ(p.296) ・「僕のことならもう気にしなくていい」とつくるは言った。「僕はなんとかその一番危ない時期を乗り越えた。夜の海を一人で泳ぎ切ることもできた。僕らはそれぞれ力を尽くして、それぞれの人生を生き延びてきた。そして長い目で見れば、そのときもし違う判断をし、違う行動を選択していたとしても、いくらかの誤差はあるにせよ、僕らは結局今と同じようなところに落ち着いていたんじゃないのかな。そんな気がする」(p.357)
1投稿日: 2025.05.21
powered by ブクログ村上春樹はいつだってパラレルワールドに連れて行ってくれる。それも鮮明に。 色彩をもたないつくるくんと共に巡礼を行ったような、濃密な時間を過ごしたような感覚が残る。そして、この物語からそれぞれの自分なりのパラレルワールドが展開されていく余白がそこかしこに残されているのもまたいい。
0投稿日: 2025.05.19
powered by ブクログ10年前に読み、今回再読。 前回は読後の印象(余韻)が薄かったが、今回はガツンときた。 自分が歳(読書経験)を経たからか。。 結果どうなったか気になるが、分からなくても、この作品の心地よさを味わえたので大変満足です。 また、10年後に再々読したい。
1投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ情景が思い描けるように細かく描写されていて、とても好きな本。タイトルを見て想像していた内容と、実際に書かれていることが全く異なり飽きることなく読みました。
0投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログ多崎つくるという主人公が抱える「色彩を持たない」という漠然としたコンプレックスが導入で提示されたとき、私自身にも共通する悩みであり、彼はどうなっていくのだろうと興味を持って読み進められた。 また、この漠然とした悩みは、ほとんどの人が抱えているものだと思う。そういった言語化の助けになるだけでなく、物語としても吸い込まれるように自然に進んでいくので生活の一部のように読むことができる。
0投稿日: 2025.04.20
powered by ブクログ絶望を知り、諦めに支配された人の話に感じた。それは私にも当てはまるものであり、だからこそ結構共感できた話だった。 多崎つくるのように、関わる人や友達が少ない(気が合う人ができにくい)場合、その少ない大切な人と離れたり関係性が悪くなったりすると、かなりトラウマになると思う。それがその後の人との関わり方に影響することは言うまでもない。深い関係性が失われる恐怖によって、深い関係になれない。 沙羅のような人はありがたい存在だ。昔の私は沙羅のような要素が強かったから沙羅の感覚もわかると思う。彼女はきっと、ある程度成功体験があり、希望がある。やってみないとわからないよ、そんなタイプ。未知のことに対して不安や恐怖より希望が上回る。沙羅に出会えた多崎つくるはラッキーだと思う。 この話は簡単に言ってしまえば、過去の人間関係の喪失により希望や意思を持たなくなったつくるが、沙羅と出会って過去の喪失の原因を知り、今後の人生で人と深く関わろうとしていく話だ。けれど、この長編という形をとり、つくるの生活や人生、考えを細かに描写し、読者に時間をかけて読ませることで、より1人の人間の悩みであるというリアリティが強くなるし、つくるという人間がどういう人か知ることができるなと思った。だから私は長編小説が好きだ。まるで主人公が実在しているドキュメンタリーみたいな現実味を感じる。最後、沙羅の答えがどうなのか描写しないで終わるところも、ただつくるの人生の一期間を切り取ったまでの小説、という感じがして、無理に答えや起承転結を作らないところが好きだった。 灰田のお父さんの話に出てくる色が見える男の話の意味を、もう少し考えたい。今はあのシーンが存在することについて、自分なりの答えを出すことができていない。
3投稿日: 2025.03.13
powered by ブクログスッキリしない…。 結局、シロはやばい人? さらとはどうなったの? 灰田はなんだったの? 「書ききらない美しさ」みたいなことかもしれないが、不明点が多すぎてモヤモヤした。
0投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ第2回読書会の課題図書、楽しかった〜 今まで春樹3冊くらい挑戦したけど、今回初めて一冊読み切れた。毎晩寝る前に読み続けてて、ページ全体の半分超えて巡礼の旅に出た頃からは、行き帰りの電車でも読む、はよ続き読みたいはよ、ってなるくらいおもしろかった。(春樹をおもしろがれるか否かは自分の年齢が進んだことも影響してるんかな?と夜ふかしの読み明かし聴いておもた。) 人間 勝手に人の気持ち考えていろいろ想像して勝手に凹んだり悩んだりするけど、相手が考えてることって全然その通りじゃないよね〜、翻って自分のことも自己評価と他己評価では全然違うってことを多崎つくるを通して思い知らされる。ほんで、つくるの置かれた状況でカンタンにできることちゃうけど相手と直接話すことで次の局面に進んでいくものなのよねぇ、、と、まとめちゃうと陳腐になるけどそう思った。第1回の課題図書の『カラフル』にも通ずる感想。 あと、沙羅との出会いが多崎つくる変化のキッカケと思うけど、「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」って平家物語にあるように、沙羅はつくるの人生の変化(無常観)を表す象徴として描かれてるんかなと読書会終わってからふと思った。
0投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
久しぶりに本を読んだ。 村上春樹の性の描写に若干嫌気がさしつつも、なぜグループからつくるがのけ者にされたのか真相が気になり、ページが進んだ。 真相は自分がつくるなら全く納得いかないが、つくるには幸せになってほしいと感じた。
0投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ名前に色の漢字が入っている男女4人との高校時代の濃厚な関係が閉ざされたことが後々まで影響を与え、性格の基盤となっている主人公の田崎つくる。何をするにも曖昧で自分の意思がなく、漂うように日々を過ごしていた。しかし、4人と関係が閉ざされた理由を十数年の時が経った今、解決をしようと動き出し、実際に解明されたことによって、もたらされた性格への変化。それによって、自分に正直になり、本当に欲しいものへ貪欲となる変化が読みどころ。
1投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ村上春樹さんの小説の中で1番好きかもしれない。 人から拒絶されたり嫌われたり選ばれなかったりする怖さとか、自分の足りないところとか、考えても答えの出ないことが多いけど、人生って悩むのが当たり前だよね、と私は読んでいて少し心が軽くなりました。
11投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
めちゃくちゃ面白かった。村上春樹の世界観とは、極限まで誠実に自分の心に向き合い続けることでしか到達できない考え、思考、哲学のようなもの、ことを、限りなく正確かつ適切な言葉で、そして言い得て妙としか言いようのない鋭い比喩表現とともに言語化してくれる快感を与えてくれるものだと思う。これまで、何十冊も村上春樹の小説を読んできたが、通底してこの世界観は変わらない。 中でもこの作品の特徴は、比較的最近の著作のためか、初期の頃の、展開の荒々しさ?ある種の衝動性、暴力性のようなものは少なく、良くも悪くも、ものすごく綺麗に筋がまとまっている。中年に差し掛かろうとしている主人公が、あるきっかけで青春時代に負った心の傷に正面から向き合うことを決意するのだが、トラウマに向き合うことを通じて自分自身を理解していく旅を通じて、読者自身も、自分の心が整理され、心の奥の冷たい部分が少し溶けていくような、そんな温かさを感じることができる一冊。最後の結末を敢えて描かず、読後、読者が想像を膨らませる余地を残しており、自分自身の心と向き合うこと、そして結論には万人共通の正解なんてない、ということを暗示しているように思える。非常に芸術的。
0投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ誤解から学生時代に仲良かった仲間達にハブられてしまい、その後少し時間が経ってから死んでしまおうとと思ってやめてから物語が始まる。当時の仲に合っていき、誤解がとけていく。あんまちストーリーは覚えてないけど、面白かった
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
色々と考察もでき、最初からずっと村上春樹の世界観に浸れる読み応えのある本だった。 読み終わってからもずっと、彼らのことを考えている。沙羅はつくるを選んだのか。6本指は何のオマージュだったのか。読み終わってからもゆっくりその小説について考えられる本は、記憶に残る。 シロはクロと同様に、いたたまれなくなって名古屋を出たんだと思う。つくるの影や、あの頃を思い出してしまうから。シロを襲ったのはきっと誰でもない、彼女を見た目でしか判断しないヤツで、殺したのも彼女の中の闇。誰がとかじゃないんだろうな。 灰田は、シロやクロが女性だからだけでなく親密に思っていたという比喩で出てきたのかな。灰田に対しても、性欲というより、もっと親密になりたいと言う欲の表れが夢になって出てきたのではないか。 今まで嫉妬を感じなかったつくるに嫉妬をさせるために沙羅は浮気をしていないといけなかったんだろうし、沙羅も色彩を持たないので彼女もまた悩んでいたのかと思うと、浮気相手はきっと妻子持ちだったんじゃないか。 死ぬことや青春に対しての闇を抱えることは誰しもにあることだと思うし、その描写が相変わらずとても丁寧で、これこそが小説の醍醐味だと思った。映画ではなく、本を読む価値があるなぁと感じた。 クロと会うシーンがとてもお気に入り。つくるのことを好きでいてくれて、そしてそれを告白してくれてよかった。ハグも救われた。性欲が悪いんじゃなくて、うまく友情と切り分けられないのが難点なんだろうなぁ。青春は難しい。
1投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ4色の友人達と キャンバスの様な、つくるさん どんな色も受容出来る、どんな色でも描ける つくるさんがすごく素敵 それらを"つくるさん以外"の 登場人物達や物事が、柔らかく教えてくれる作品 自分のことが、わからない時 自分ひとりになってしまってはいけないよ きっとわかりっこなくて、諦めて、 終わらせてしまいそうになる そういう経験が自分にもあります 自分以外の人と関わることってすごく大事だと 改めて思いました 陶芸やりたくなりました
3投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログかっこよすぎる会話が多いけど、まあそんなことはどうでもいいんだ村上春樹の作品は。 独特の一冊。 はじめは静かに進み、次第にはまり込むページターナー。 アオアカクロとの再会がすごく印象に残る。 とっても良い本です。
1投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ永遠の美しさと儚さ。 時間の尊さと残酷さ。 色褪せない記憶と色褪せていく現実に 人生の光と影を感じられる。
0投稿日: 2025.01.07
powered by ブクログ内容は面白い。ただ、伏線回収がされていない箇所がある点と、少し腑に落ちない終わり方になっている点が気になった。 物語終盤で、絶縁された背景についての主人公の考察が書かれていたが、これもまた腑に落ちないというか、全体的に少し駆け足気味であるように感じた。 それはそうと、休学ないし休職という人生のモラトリアムとも言える期間のことを「狂うための期間」と表現していたのがかなり印象的。
3投稿日: 2025.01.05
powered by ブクログ愛すれば愛するほど苦しくなる。 それは調和だけでなく、 苦痛を分かち合うからこそ愛も深くなり、 抜け出すことが出来なくなるから。 愛まみれた場所を探すのか、 それとも精神的にバランスを取れる場所を見つけるべきなのか、 人との繋がり方を考えさせられる一冊でした。
0投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログ⚫︎中盤までは良かったが、フィンランドあたりからダレた。珍しく大体予想がついてしまい、2人のありそうなまどろっこしい会話にイライラしてしまった。心境的にその手の会話がお腹いっぱいなのかもしれないが。 ⚫︎他の小説みたいにパラレルワールドが出てこないのもなんともつまらない。小さくまとまってしまっている感じ。 ⚫︎名古屋の良くも悪くも閉鎖的な、内に籠りがちな描写はいい。ところどころに実名称が出てくるのもリアリティーがある。 ⚫︎どうも今回のは庶民的というか…ありがちな恋愛話に終始してるのが惜しい。ラストあたりは読んでいるのが辛かった。面白くないから苦笑
11投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログタイトルがカッコよくて、本当はどんな理由で絶交を切り出されたのか、と気になって読んだが、意外とそんな大した理由はなかった、、
0投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ理由も告げられず、 突然4人の親友から絶縁状態になった主人公 ずっとそれに虎われていた。 複雑な心、見えない心 どこから、どう見るか、 見方によって、 どんな風にも、理解できるし、 感じることもできる 真実って⁇ ネガティヴもポジティブも 捉え方でどっちもある。 両方見れる自分でいれたら。
14投稿日: 2024.12.20
powered by ブクログ難解.ヒトの死と再生という抽象的なテーマが描かれる.抽象的な物語世界における知的生命体としての個体の存在価値と,それに基づき構成されていく群体の中での個々の結びつきの強度を,色彩という概念で表す.長編小説を複数読んできて,ようやく村上文学の構造体の一端が,共通項という形で垣間見えてきた気がする.
0投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログ職業としての小説家からの流れで色を使った名前を書くことで小説として新たに手応えのある作品となったとか小説家はいつでも自由にどんな主人公にもなれるという内容を確かめたくて読み始めたら久々に村上作品のエッセンスが沢山散りばめられていてスルスル読めた。自分は何が出来るだろう、何が得意だろう、と思っていた時期にそこは多崎つくるとあいいれる共感部分もあった。ラストの呆気なさにはちょっとびっくりしたけどそれはそれで新しさを感じた。
0投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログ男女のあからさまにお互いを意識した会話って文章で読むとそわそわするんだな〜って村上春樹作品を読んでいると感じることが多い。 終わり方が思いの外呆気なかったのと、 灰田父の過去話は何を言い表したかったのか自身の想像力だとわからなかった、、
0投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログなんだか読みづらい本だった。特に前半、中後半は読みづらくてもページを進めることが出来た。特に会話の部分が硬すぎると感じた。夢の中の話も多すぎるし、一個一個のストーリーがどう繋がって展開していくのかと読み進んでいったが私にはからなかった(灰田のお父さんの経験とか駅の落とし物とか)読後のスッキリ感は無かった。
5投稿日: 2024.11.24
powered by ブクログ村上春樹はノルウェイの森の印象が強すぎてキモイ人認定してるんだけど(◜ᴗ◝ )これはめっちゃ面白かった。結構普通寄り。笑 高校時代の仲良し5人組から大学で離れた途端1人除け者にされる話。大人になってもそれを引きずってその理由を探っていくっていう話。除け者にした人達はそうしなければならなかった理由があったみたいだけど、10数年ぶりに再会した時に誰も悪びれてないところが違和感だった笑
0投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログそれぞれのライフステージが変わり、これまでの友人をこれまで以上に大切にしなくてはならないと切に感じている時期であったところ、ふとこの本のあらすじを読んでまさに今もう一度読んでおこうと思ったため再読。
3投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログ友人に対して自分が思うところとか、自分に対して自信がないところとか、主人公の性格や生き方、価値観に共感できるところはあった。 伏線回収がもう少しあれば本としてはよかったかも、私は好きだけど、誰かに村上春樹のおすすめな本教えてって言われた時はこの本は選ばないかもしれない。。
0投稿日: 2024.11.03
powered by ブクログ人生とは失い続けるものなのかもしれない。 それでも思い出に縋るのではなく、自らのトラウマを打破して行動するつくるに励まされました。 自分が辛い時にまた読みたくなる作品です。
1投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログ5人それぞれの人生が職業含め丁寧に描かれていくストーリー展開はとても面白かったけど、すごく好みかと聞かれるとそうではなかった。 多分その理由は多崎つくるくんの置かれた立場があまりに理不尽で納得できないからだと思う そして珍しく女性との友情が描かれるかと期待させられたのに、結局性愛の相手になるところにもうんざりしてしまった。 えりのフィンランドでの再会のシーンはとても印象的でよかった。会話も引き込まれた。多崎つくるくんがようやく真相にたどりつけた境地と現地の穏やかな空気感に、聴いていてやっと安心したからなのかも。
0投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログ友達が離れていくことは誰しも経験するもの、それが誰のせいとかは置いておいても。 つくるの自分への期待値が限りなく低い感じとか、個性のなさに酷く傷ついている感じとか、気持ちがわかる瞬間もあって、人のことを信じたり、近づいたりするのは怖いんだよな。 すっきりはしないけど、少し前向きにはなれる読後感でした。
1投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログ相変わらず勃起がどうだの性夢がどうだのと言う描写はあるが、セックスシーンをくどくど書いていなかったので助かった。 人間を色に見立てるのは昔からある手法だけど、読みやすくて良い。 スプートニクでは結末が気に食わなかったので、沙羅に会う前に終わらせたのが好印象だった。"疎外からの克服"がテーマであるならば、沙羅は克服の為の因であって果ではない。 しかしそうすると灰田と緑川の存在が脚本上どういう意味を持たされているのか分からない。「ル・マル・デュ・ペイ」のレコードでシロと灰田が、ピアノでシロと緑川が繋がるけど、なぜわざわざそれを分離して(しかも慎重にも"灰田の父親"と緑川と言う接点の遠さで)おいたのか、灰田(父)と緑川のトークンの話、灰田(父)と灰田(子)の関係がどう関連するのか、ただ田崎つくるを巡礼(疎外からの克服の旅)に行かせるためだけなら不要な描写が多いし、逆に密に関連させたいなら描写が足りないと思う。 後36と38の男女がこんな会話してたらちょっとゲンナリするな。剥き出しのエイジズムだけど。"ハルキスト"の方達はこう言う会話を40になっても50になってもする事が良いと思うんでしょうか。 あと"グル"を但書きやルビとしてではなく、話し言葉として「指導者,尊師」の意味で使ってたけど、伝わるかなぁそれ。麻原彰晃の事件の後に良く使われてたんですか? 少し村上春樹に慣れてきたので良かった
0投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あっという間に読んでしまった、つくるが、4人に会う決心がついてからはすぐに。 灰田、シロ…全てがわかったわけではないけど アオやアカ、エリに会いに行ったことで、つくるの傷だけでなく他の人物の傷も知ることができたのは大きい。それぞれの人生においてきっと。 傷は無くすことは出来ないけど、共有できること・共有できる人がいることってとても大事なんだな。 さらのことは気になる。気になるぞ…。 人にはそれぞれ、分かりきらないこともある。でも、後からこうだったのかな、と想像することはできる。それがいいのか悪いのかはわからないが。
0投稿日: 2024.10.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シロを殺した犯人は結局わからず。 淘汰の法則が優勢遺伝を上回るって話はなんか響いたな〜世の中的にマジョリティで正しいとされてるものが必ずしもクオリティー的な意味としての優劣の優に当たるわけではないし。 多指症の話も分からず。 つくるの性的嗜好もどっちともとれるような叙述だったし。
0投稿日: 2024.10.03
powered by ブクログ冒頭の文章に惹かれて、村上春樹作品読了。表現描写が非常に細かく、パッとその場面が映像として浮かぶほどだった。結末に含みが持たせられており、また途中の【伏線】が全く回収されていない点で星3評価。ただ読了後の余韻や思考を促すという意味では星4かもしれない。
0投稿日: 2024.09.28
powered by ブクログ自己を喪失してまた再生していく過程の描写が繊細で魅力的だった。 つくるが恋人である沙羅に促されて、過去の真相に向き合おうとすることから少しずつわかってくることもあるが、最後までどうなったのかわからなかったこともあり、この部分は各々の読者が解釈すればいいし、実際の人生もわからないまま進んでいくことも多々あると思う。 後半のフィンランドでの場面では、美しい情景を想像できたり、勇気を貰えるような会話があったり惹き込まれた。 個性がないと自認する多崎つくるが主人公なこともあって全体的に静かな感じで進んでいくけど、共感する部分もたくさんあり、楽しく読めました。
5投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
そこで終わるんだ、と思った いつもながら、女性に言われたことを運命のように受け入れ流される主人公に若干もやつく でも過去仲の良かった友達と今向き合う、という状況が好きだった
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログ村上春樹の作品の中ではすごい読みやすい感じがした!ただ、久しぶりに村上春樹に触れるとなんかモヤモヤした感じが残る、これが良かったんだけど。 私も1ヶ月くらい前、死ぬ事しか考えてない大学生だったから、あの表現とても納得出来た。私は夜の暗い海を泳ぎきったんだな。 また読もうと思った。
0投稿日: 2024.09.24
powered by ブクログ久しぶりに再読。新鮮な気持ちで。 「束縛されない状況にいつも身を置いて自分の頭で自由に物を考える」 「自分の肉体という限定された檻を出て鎖から解き放たれ、純粋に論理を飛翔させる」 「枠に対する敬意と憎悪」
0投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログ本棚にあった本を再読。 2013年の初版本だから、私は発売されてすぐ読んだらしい。その時もあっという間に読んだという記憶がある。後はネタバレになりそうなのでメモに記す。
9投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて村上春樹作品を読んだけど、どう評価していいか分からない。ポイントをいくつか。 ・人の色が見える人って一定数いるんだなと。 ・ノルウェイの森と関係あるかはさておき、結局北欧にたどり着いているのが面白い。 ・人生とは結局救われないものなのか… ・やっぱり文体がねっとりしている。笑
0投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログ「私たちはこうして生き残ったんだよ。私も君も。そして生き残った人間には、生き残った人間が果たさなくちゃならない責務がある。それはね、できるだけこのまましっかりここに生き残り続けることだよ。たとえいろんなことが不完全にしかできないとしても」 「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」 「僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」
3投稿日: 2024.08.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
急に親友達から絶縁された多崎つくる。精神的に苦しんだ後、何年もたって当時の絶縁の理由を調べることに。かつての親友達に聞き込んでいく中で少しずつ明らかになる謎。次はどうなるんだろうとドキドキしながら夢中で読んだ。 少しずつ謎は明らかになるものの、灰田君の話や、シロの話など最後まで謎の話もあり、ここで話が終わるのかと最後が残念だった。続編があれば読んでみたい。
0投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログ村上春樹作品にしては比較的物語に起伏がありミステリーっぽい側面があった。 この作品によらずだが、登場人物に個性がなく、みんな同じような口調で同じようなことを言ってるのが毎度気になる。
0投稿日: 2024.08.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
教科書にのっていたバースデーガール、青が消える、氷男しか読んだことなかったが、ついにデビュー。父の本棚から勝手に借りて読んだ。 もっとよくわからない世界が展開されると思ってたけど、結構わかりやすくて想像以上に面白く読めた。だんだん謎が明かされていくから読んでて楽しかったし終わり方もよかった。最終的にすべてが明かされたわけじゃないけど、想像したり解説ブログを読むのも楽しいから全然いい。 2、3回読んでも理解できない文章は飛ばしたけど、ときどきとても腑に落ちる文章があって気持ちよかった。いつかフィンランドに行ってみたい。映像美を感じられた。
3投稿日: 2024.08.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
サラリーマンの多崎つくるくんが 学生時代の友人4人からハブにされた理由を知るために 踏み出すお話。 村上春樹にしてはファンタジー要素がほぼ?なく、 かなり現実感のある小説で読みやすかったです。 しかし、つくるくんが逃げ腰なため、 謎が解明されないまま終わったのは非常に勿体なかったし スッキリしたかったなという感想。 読んだ後に、解説ブログを合わせて見てみるのをオススメします。
0投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログ過去の出来事の回想からの伏線回収を楽しみに読みました。 内に内に押し込めた意識の描写がとても読み応えがあります。 過去と現在の接点が強まる瞬間…現実でも在ること。 考えさせられます。
1投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログ完璧に調和の取れた5人組から突然切り捨てられた主人公が、16年の時を経て、新たな恋人 沙羅に促され、4人を巡礼し整理する話。 真実が少しずつ明かされる様子がミステリーのようでおもしろい。
1投稿日: 2024.08.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
喪失からの再生を試みる物語は村上作品の鉄板。 今回は起承転結で言う結の再生について、オープンエンドなのでややむず痒いところもあるけれど あえて作者がこの終わり方を選んだ、というところで自分たち読者もより自分事としてこの物語を投影できるのではないか。 語彙力がなくていま言ったことを上手く表せる言葉が思い浮かばなくて安っぽくなってしまったけれども。 なんにせよ抽象度の高い村上作品の中では、かなり具体性を持った「モノ」としてあらわれているのでわかりやすくなっていると思う。 割に繰り返されてるテーマがあるけれども、分析をするならそれ相応の時間と労力が必要でなかなか難しい。 個人的に気になる部分を備忘録的に。 木元がつくるに自分の過去を清算してほしいとエゴを告げたけれど、それはつくると性交している間に感じた彼の身体と精神の乖離。 つまり彼女はつくるに「身体と精神を一体にして手に入れたい」と思っているのだが、この「身体」と「精神」が乖離した状態でどちらか半分は誰かの手に渡ってしまった状態に対して、つくるは夢の中で初めて情動的に身体的に残った初めての感情「嫉妬」を抱いたと言っている。 つまり、木元はつくるの乖離された半分を持ってかれた「誰か」に嫉妬していると考えられる。 その「誰か」が彼の大学2年生の7月から1月の過去にいるはずだと彼女は言っている。当たり前のことかもしれないが、間違いなく繰り返されてるイメージを木元は話している。 夢は『世界の終わり~』でも出てきたけれど、単なる定義上の夢ではなく、 現実世界で「本当に」起こったものとして捉えなければならない。 しかし、「本当に」の部分はどのように解釈するかが非常に厄介。 クロはp.350で「あの子は『本当に』いろんなところに生き続けているのよ」…「私にはそれが感じられる。私たちのまわりのありとあらゆる響きの中に、光の中に、形の中に、そしてありとあらゆる……」 と言っている。リストの音楽のなかに、彼女の音楽というものは、彼らのなかに永遠に刻まれた記憶として残っている。 それを聴いた彼らが作り出すもの、あるいはすべてのものに彼女は生きている。「本当に」 夢も実際には起きたことではないにせよ、「本当に」起きたことであることは明白。 ・基本的にすべての傍点で強調されているテーマは毎回考えないといけない。 ・灰田の役割については難しい。白と黒の中間色という存在である、つくると同性(男性)の彼が、夢のなかで彼にレイプまがいのことをしたつくる。 そして、明確な意思を持って彼のもとを離れていった。 ・緑川の持っていた袋のなかにあるものが小指であったことについては? ・基本的に灰田の役割は緑川という人物の話をつくるに伝導すること。その役割を終えたから退場したと考えるのが一般的 ・では、夢での灰田の役割は何だったのか? ・沙羅は色を持たない人間である。 ・色を持った人間というのは基本的に去っていく。 ・しかし、その色が多崎の容器としての容れ物、人格、人という形のなかに大きな影響を与えている。「形の中に」「生き続けている」シロ。 ・緑川も明らかに入っているだろう。 ・六本指の人間の話は奇形。世間から外れたもので、早期に親から取られてしまうもの。 ・形ある容器、容れ物のなかに成人になってから切り落として持ち続けた緑川 ・緑川は死ぬ運命にあるが、人の色を見れると言っていたが、あれは何? ・自ら檻の中に入って鍵を外に放り出すという描写も灰田(緑川)の話に入っていた。 ・乖離された半分? ・駅は容れ物であり、その中で人々が入れ替わり立ち替わり入っては出て行くもの。その駅をつくる、多崎つくる。無茶苦茶重要な作品内のイメージ。 ・陶器をつくる、クロ。陶器も容れ物。 ・p.350 そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができた。魂のいちばんそこの部分で多崎つくるは理解した。人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない許しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。 ・多崎つくるは帰る場所、目指す場所がないと言っていたが、一度だけ目指したのが東京の大学であり、彼は名古屋を離れた。 ・人の人生というものは基本的にはずっとどこかにとどまっていることはできない。 どこかの分岐点で必ず喪失を伴うものなのかもしれない。 ・けれど、その喪失こそ、その深い傷こそ、人と人とを結びつける大事なものであるのではないか。 ・最後に自分が手に入れるべき、愛する人にこそ、その深い傷によって繋がらなければならないのかもしれない。 ・そういう意味では、沙羅も確実に喪失を伴った人生を歩んでいるはず。その一端が年増の男とのデートに表れていたのかもしれない。 ・でも、そのデートもつくる自身が言及していたように、彼の巡礼でのクロへのお礼を買いにいく、という彼の(クロの言う)「優し」さがなければ見ることはできなかった。 ・作品内で、木元の喪失について語られていた箇所が自分の記憶にはない。つくる自身も知らないだろう。 ・彼女の喪失からもう一度ふたりで再生の道を探していくという意味でのオープンエンドだったのかもしれない。 ・となると、今までの「僕」一人称で描かれていた作品とは違って、「二人」の物語として世界を拡げた点で大きな村上作品の転換点となっている作品では?
1投稿日: 2024.07.20
powered by ブクログ自分の心の弱さと向き合う話かなと思った。文章はとても読みやすく、お話もわかりやすい。ラストの終わり方もおしゃれに感じた。
3投稿日: 2024.07.18
powered by ブクログ淡々としていながらも丁寧なタッチで描かれていて、じわじわと心に広がる作品だった。 規則正しく地道で誠実な人生を送っている多崎つくるが主人公だったからこそ、共感できる部分が多かった。
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ友達の元を巡礼していく過程は、ミステリー小説を読んでいるように、明らかになっていく真実に引き込まれていきました。村上春樹作品の中では読みやすい方だと思います!
1投稿日: 2024.06.23
